異世界転生   作:魔導科学

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「号外!号外!大黒屋の主、大黒屋五平が亡くなったよ〜!!後、大名屋敷の殿様も病死だよ〜!」と、ゴモリーさんの声が辺りに響く。

 

朝、奉行所に行くと、小煩い上司が俺の所に来る。

 

「彩刃さん!遅いですよ!?皆さん、時間前から来て仕事の仕度をしてるんですよ?」

 

「おはようございます。ですが、給金は発生しておりませんが?」

 

「何を言ってるんですか?良いですか?我々、奉行所の者が真面目に働いて、市民の皆様の安心と安全を守る!それが、我々の仕事じゃないんですか?そう思いませんか?真毅村さん?」

 

「そうですね。全くもって、その通りだと思います。ですが、我々も人間。キチンと時間を守り、働いて休む。この方が、身が入って良いのでは御座いませんか?」と、カオリが援護してくれる。

 

俺は、それを聞きながら、ウンウンと無言で頷く。

 

「・・・そうですね。真毅村さんの言う事は、尤もですね?ですが、彩刃さん!貴方は、違います!!そもそも、貴方は普段から禄に仕事もせず・・・」

 

「大変、申し訳ありません。此れから、見回りの時間になっておりますので、行って参ります」

 

「ちょっと!?お待ちなさい!」

 

「では御免、行って参ります!」

 

そう言って、俺は上司の小言を切り抜ける。

 

カオリが、後から着いて来る。

 

「ふぅ、やれやれだな」

 

「そうね。アイツ、煩いのよね」

 

奉行所を出て、暫く歩くと珊瑚が飴を売っている。

 

「どれ、飴でも一つ買おうかな」

 

と、珊瑚の屋台に近付くと「こんにちは!飴を、一つ下さい!」と、幼い子供を背負った若い女が来た。

 

若い女は飴を買って「父ちゃんの分まで、一緒に頑張ろうね」と、背中の子供に話し掛けている。

 

「リョウ、あの人・・・」

 

「うん。まぁ、元気で良かったよ」

 

俺達は、女を見送った後、珊瑚の店で飴を買い、食べながら街を見回る。

 

「提灯〜!魔導提灯は、如何ですか〜!」

 

瑞の出店を見ると、女が声を出して客引きをしている。

 

「ある、じゃ無かった。八丁堀の旦那、新しく雇った人」

 

「・・・先日は、有難う御座いました」

 

「いや、四十九日も終わってないのに、大丈夫ですか?」

 

「えぇ、働かないと生きて行けないんです。それに、動いている方が、気が紛れます」

 

「そうですか。余り無理は、なさらないで下さいね」

 

「はい。有難う御座います」

 

切腹した浪人の妻は、頭を下げる。

 

「珊瑚が作った飴は、ちょっと苦いな」

 

「そうね」

 

俺は空を見上げて、飴を口に入れながら、ぽつりと呟く。

 

「お嬢〜!此処の細工は、どうしやしょう?」

 

「うん?此処はね〜、こうやった方が人気が出ると思うんだ〜!」

 

「流石、お嬢!」

 

「えへへ!褒めても、何も出ないよ〜?所で、新しい蕎麦屋が出来たけど、天麩羅蕎麦とか食べたい?」

 

「お嬢、ご馳走様です!!」

 

「お嬢、此方のふらいぱん?ってのは、どうしやしょう?」

 

「あ!出来た?それは、受注生産だから、届けて貰おうかな?」

 

めぐりちゃんの店から、賑やかな声が聞こえる。

 

平和だな〜。

 

「リョウさん、カオリさん。こんにちは」

 

「こんにちは、ユカさん、ポポ。往診ですか?」

 

「そうなんです!ご主人と一緒に、往診なんです!」と、元気いっぱいにポポが答える。

 

「そう言えば、精神的な不調を訴えた者たちは、どうなりました?」

 

カオリが、ユカさんに話し掛ける。

 

「皆さん、良くなって来てますね。やはり、病巣を取り除いたのが、一番の治療ですね。私たちは次の往診がありますので。リョウさんも、お仕事・・・頑張ってくださいね」

 

ユカさんは小さく会釈すると、ポポの手を引いて人混みの中へと消えていった。

 

「あ、さて!あ、さて!さては、南京玉すだれ!」

 

ネアさんが今日も、玉すだれの大道芸で人々を楽しませている。

 

「姉ちゃん!アレやって!地獄の大百足!」と、小さな子供がネアさんに言っている。

 

「仕方無いなぁ!ちょいと伸ばせば、地獄の大百足!(センチピード・オブ・ヘル)」と、伸ばした玉すだれを、額の辺りに持ってくるネアさん。

 

「うわぁ〜!大百足だ〜!!」

 

「怖い〜!」

 

キャッキャッと、騒ぐ子供達。

 

「フフ!ネアさん、大人気ね」

 

「あぁ、そうだな」

 

「リョウ、ミリィさんの所に寄って行かない?」

 

「おっ?そうだな!」

 

芝居小屋は、今日も大繁盛!

 

人集りで凄いな。

 

こりゃ、中に入れないかな?

 

「リョウ〜!こっち〜!!」

 

芝居小屋の脇から、マリーさんが手を振っている。

 

「こんにちは、マリーさん。今日は、お土産ないんです」

 

「お土産ないのは〜、残念だけど、別に構わない〜、中に入って〜」

 

「有難う御座います。では、お邪魔します」

 

「此れから〜、ミリィが踊って〜、お姉ちゃんと私が〜、演奏と歌〜」

 

「そうなんですか?それは、楽しみですね」

 

「そうね。リリーさんの歌声って、凄く綺麗よね。マリーさんの篠笛も凄く綺麗な音色だし、ミリィさんの舞も凄く綺麗だし」

 

「じゃ〜、見ていって〜」

 

そう言って、マリーさんは舞台裏に姿を消す。

 

暫くすると、明るかった芝居小屋が暗くなり、舞台の中央に明かりが灯る。

 

ベンッ!ベンッ!

 

ヒョオォォーーー!!

 

ベベン、ベン、ベン!

 

ヒュルリラッ!ヒラリッ!!

 

ドンドド、ドンドド!

 

ヒョーッ、ヒョ、ヒョーーー!!

 

ピーーーーヒャラリ、ヒョオォォーー!!

 

凄い!

 

ドンドンって所は、蛇味線の胴を叩いてるんだ!?

 

しかしこの曲、前世で聞いた事があるような?

 

そうだ!

 

魔法が使えないというだけで理不尽に国を追われた王女が、空飛ぶバイクのような変形兵装に跨って、竜の軍勢と戦い・・・最後には世界の理である神すらも屠る。  

 

かつて、深夜のテレビに噛じりついて見ていた、あの苛烈な物語の旋律じゃないか・・・!

 

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