異世界転生   作:魔導科学

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「・・・お兄ちゃん。お父さん、ああ見えて忍法体術の免許皆伝なんだけどね。投擲術だけは全然ダメだし、そもそも体術だってお母さんには逆立ちしても勝てないんだよ。だってお母さん、先代師範の娘だもん。お父さんの技なんて、全部お見通しなんだよね」

 

めぐりちゃんが、呆れたようにボヤく。

 

「・・・そうなんだ」

 

エリートのサラブレッドに、叩き上げの苦労人が勝てるはずがないってわけか。

 

道理で、あのビンタを避けようともしなかったわけだ。

 

「じゃ、めぐりちゃんも?」

 

「うん!ボクも忍法体術、修めてるよ?投擲術も、お父さんと違って問題なし!」

 

「あぁ、うん。そうなんだ〜。めぐりちゃんは凄いんだね!・・・そういえば、めぐりちゃんって、アニメだけじゃなくて特撮も好きなの?」

 

「うん!前世の特撮は、古いのとかいっぱい観たよ!やっぱり、宇宙刑事は銀色じゃ無いとね〜!」

 

「うん、それは俺も同意するよ!!そうだ!めぐりちゃん今度、会って欲しい人が居るんだけど・・・」 

 

「おいコラァ! ワイを無視して、なに娘とイチャついとんねん! まだ決着ついとらんやろがい! このドカスがぁ!!」

 

「あの、お父さん。実はちょっと、お願いが御座いまして・・・」

 

「何が『お父さん』や! ワレにそんな風に呼ばれる覚えはないわ! なんでワレのお願いなんか、聞いてやらなあかんねん!」

 

「え〜?良いじゃん?ボクからも、お願い〜?」

 

「めぐりが言うんなら話は別や。ええで、ええで!」

 

「お兄ちゃん、今の内にお願いして?」

 

「実は、その素晴らしく、カッコいい仮面ライダーXYZの姿を、写真に撮らせて頂けないかと・・・」

 

「なんでワレが、お願いしてくんねん。アホか? ワイはな、めぐりのお願いやったら、聞くって言うたんや。分かっとんのか!?」

 

「お父さん、お願い!ボクとお兄ちゃんの三人で、一緒に写真撮って!」

 

「めぐりが、そう言うんならワイも断れへんやんかぁ。しゃあないなぁ、もう!」

 

俺の言葉を聞いた後、お父さんは少しの間、何やら複雑な表情(?)で考え込んでいた。

 

「三人で・・・写真!? ワイと、めぐりと・・・ワレと・・・。ホンマにしゃあないなぁ! ほら、ワレ! さっさとカメラ準備せんかい! ワイのこのXYZ、一番カッコええ角度で撮らなあかんで!」

 

そう言って、お父さんは渋々といった様子でこちらを向いた。

 

「ほら、何ボサッとしとんねん! ワイの『XYZ』が一番映えるんは、この斜め45度からのアングルや。分かっとんのか、このド素人が! めぐり、パパの隣に来い! ワレは・・・端っこでええわ!」

 

「・・・リョウ、私も」

 

いつの間にか、事の成り行きを傍らで見ていたリリーさんが、静かに、だが真っ直ぐな瞳で俺にそう告げる。

 

「リリーさんも、一緒に撮りたいですか?」

 

「・・・うん。◯Xカッコいい」

 

リリーさんの「カッコいい」という無機質な、しかし確かな賞賛の一言。

 

それが聞こえた瞬間、お父さんの肩がピクンと跳ねたのを俺は見逃さなかった。

 

お父さん、今絶対『ニヤッ』としただろ!

 

「それなら〜、皆で一枚集合写真にして、その後、個別で撮るのはどうかな〜?」

 

めぐりちゃんのナイスな提案に、お父さんは『し、しゃあない。外野がそこまで言うなら、撮らせてやらんこともないで!』と言いたげな顔で、必死に頬の緩みを堪えている。

 

仮面で顔は隠れてるけど、俺には分かる。

 

「リョウ〜?写真撮影するの〜?」

 

リリーさんの双子の妹、マリーさんが此方にやって来た。

 

「勿論、リョウ様とのツーショットもあるんですよね?」と、クイッとメガネを上げながら、ミリィさんもやって来た。

 

「リョウさん、私たちの結婚式の写真、此れにするんですか?」

 

どさくさに紛れて、ゴモリーさんがとんでもない『決定事項』を口にする。

 

「主、私も」

 

「お父さん!ご主人と、ポポとも撮ってね?」

 

「パパ!?私も写る!」

 

瑞、ポポ、珊瑚までが俺の周りに密集し、もはや誰の撮影会なのか分からなくなってきた。

 

「ポポちゃん?そんな・・・私はリョウさんと一緒に、ウェディングドレス姿で撮るなんて、まだ心の準備が・・・」

 

あれ?

 

ユカさんまで、ゴモリーさんみたいな幻覚を見始めたぞ?

 

帰ってこ〜い!!

 

「リョウ、楽しいわね」

 

カオリが、微笑みながら此方を見る。

 

そうだな。

 

本当に、この世界に来てから、毎日が楽しいよ。

 

「私も、参加して良いかしら?」

 

哀お母さんが、此方にやって来る。

 

「はい、どうぞ!旦那さんの隣に・・・」

 

「やぁねぇ!リョウさんの隣以外、ありえないでしょう?」

 

そう言って、哀さんが俺の腕に抱きついてくる。

 

柔らかな感触と、ふわりと漂う大人の香りに、俺の理性は一瞬で蒸発しそうになった。

 

ちょ、ちょっと!?

 

お母さん、それは流石に刺激が強すぎます!

 

恐る恐る、お父さん(XYZ)の方を盗み見ると、そこには斜め45度のキメポーズのまま、全身からどす黒いオーラを噴き上げている鋼の戦士が立っていた。

 

「・・・ワレ・・・ワレェ!! ワイのマイハニーに何さらしとんねん!! 決闘や! 写真撮影中止して、今すぐ真剣勝負やぁぁぁ!!」

 

 

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