異世界転生 作:MSZ-006
「なんや、しゃーないなぁ。ま、一枚だけやったらええで?」
「有難う御座います!」
俺は、光学パネルを出現させXYZを撮り始める。
「ハァハァ!いい!いいよ!?その立ち姿!今度は、斜め45度から行くよ!?」
「なんや自分、急に変なスイッチ入りよったな!ちょっと、キショいねんけど!?」
「そ、そんなこと言ったって、すぐ目の前に憧れの存在が居たら、しょうが無いじゃないですか!?」
「え、憧れ?なんや、そんな風に言われたらしゃあないなぁ。ちゃんと、シュッとカッコような撮れよ?」
「めぐりちゃん?本当に、こんな所にリョウさんとお父さんが居るの?」
ユカさんが、ゾンビが闊歩する街中を堂々と歩いている。
「うん!ボクを、信じてよ〜!」
「そうね。確かに、人の気配があるわね」
藍お母さんが、とある喫茶店を見て、そう言った。
めぐりちゃんが、引き連れてやって来たのは、藍お母さん、ユカさん、ポポ、瑞、リリーさん。
「主、すごく泣いてた・・・」
瑞が、心配そうに呟く。
「そうだね。泣きながら、こめかみに銃まで当ててたし・・・」
ポポも、不安を隠せない様子で答える。
「リョウさん、大丈夫かしら?」
ユカさんは気が気でない様子で、辺りを見回している。
「大丈夫よ!なんせウチの人が付いてるんだから」
藍お母さんが笑いながら言うと、(((だから尚更、心配なんだけど・・・)))と、三人の心の声が完璧に重なった。
「大丈夫だよ〜!お父さん、何気に面倒見いいからね!」
めぐりちゃんも、お母さんの言葉に無邪気に同意する。
「・・・なんか、ゾンビ以外の変な声が聞こえる」
リリーさんが、とある喫茶店をジッと見つめて呟いた。
「ホントだ!あの店から、歌が聞こえる!」
ポポが、喫茶店を指さしながら言う。
「ボクのレーダーも、この先の喫茶店を指してるね!」
俺は今、憧れのZ◯を撮るため、音楽を流してる。
脳内で流れる曲のリズムに合わせ、シャッターを切る。
世界最高の暗殺者が異世界貴族に転生して、裏で暗殺稼業をするアニメの主題歌。
それをバックに撮影すれば、最高にいい画が撮れる気がするんだよ!
「じゃ、今度は其処の柱に身体を寄せて、マイクロチェーンで自分を雁字搦めにして!?ハァハァ!」
「自分、なに言いたいねん!誰が自分の武器で自分を縛り上げんねん、アホか!・・・ま、ええわ。これぐらいでええんか?こうか?」
「ハァハァ!うん、イイよ!イクよ!?イッちゃうよ?」
ガチャッ!
「やっぱり、此処だった・・・ね〜?」
扉を開き目の前の光景を見て固まる、めぐりちゃん。
「アナタ?一体、何やってるの?まさか、アナタにそんな趣味があったなんて・・・」
目を丸くして、自分の夫を見る藍さん。
「主、緊縛が好きなのは教えて貰ったけど、男もイケるの?」
瑞が、不穏な事を口にする。
「お父さん、二刀流!?」
ポポが、更に追撃する。
「・・・リョウ、固定用の工具みたいな漫画家の作品が好きなのは知ってたけど、実写もイケる口?」
リリーさんが、俺の好きな超有名漫画家の名前を使ってツッコミを入れてくる。
そして、何も言わないユカさん。
無言って、一番辛いよね?
「ち、ちゃうねん!マイハニー、自分ら、これは誤解や!ワシはただ、こいつが『シュッと撮るから縛られてくれ』言うから・・・」
ヤバい!
また、カオスな現場を目撃DQNされた!?
「ち、違うんです!リリーさん、確かに俺は前世で『材料を作業台に固定したりする時に、挟んで締め付けたりする工具』みたいな名前の超有名漫画家が大好きで、出てる漫画は全部買い集めました!でも、Xだけは完結しないままで、此方に来ちゃったから凄い残念で・・・。いや、そんな事じゃ無くてですね?お父さんに、柱で雁字搦めになって貰ったのは、敵に拘束されたシチュエーションを想像してですね?だから、俺は正常なんです!女性が好きな、正常な人間なんです!!あと瑞、カオリから聞いたのかな?それは、もう忘れてくれ!ポポ?俺は二天一流は教わって無いし、男に興味は無いからね?」
お父さんは自分に巻き付いたマイクロチェーンでもがきながら、顔を真っ赤(?)にして叫ぶ。
「マイハニー、信じてや!ワシはこいつの『シチュエーション』とかいう、よぉ分からん遊びに付き合わされただけやねん!縛られたんは・・・その、勢いや!事故や!!」
「リョウさん?私はリョウさんが、どんな趣味でも受け入れますよ?」
「ゆ、ユカさん!?そんな聖母の微笑みで、俺を見ないで下さい!本当に、俺は正常な男です!ただ、ちょっと少女漫画とかが好きなだけなんです!!」
「お兄ちゃん、少女漫画好きなの?例えば?」
めぐりちゃんが、身を乗り出して俺に質問する。
「前世の物だけど、ハートフル少女漫画の巨匠が描いた、お母さんに先立たれた主人公が、幼い弟のめんどうをみる(ほぼお母さん状態)男の子の奮闘記とか、同じ作者が描いたニューヨークのゲイカップルの人生ドラマは本当に感動したな」
「お兄ちゃん?それって、やっぱり・・・」
「めぐり?一体、なんの話や?その入浴が、どないしたんや。風呂の話か?」
お父さんは鎖に巻かれたまま、ポカンとした声で聞き返してくる。
「っていうか、自分!感動したとか言うてる場合か!このガッチガチの鎖、早よ解かんかい!マイハニーの目が笑うてへんのん、見えてへんのか!?」
「アナタ?ちょっと、煩いから黙って!めぐり?リョウさんと、一体なんの話をしてるの?」