異世界転生   作:魔導科学

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「取り敢えずカオリ、元の姿に戻ってくれないかな?」

 

「え〜? でもリョウ、こういうの好きでしょう?」

 

カオリはわざとらしく小首をかしげ、上目遣いでこちらを覗き込んでくる。

 

「・・・うん。まあ、その姿が可愛いのは認めるし、カオリが元々可愛いのは、言われなくても分かってる。でも、これ以上誤解されたくないから、もう本当にやめてくれ!」

 

「自分、やっぱり、えげつない危険人物やな!ウチのめぐりに、近寄るなや! ボケカス!ゴラァ!!」

 

ほら、やっぱり・・・。

 

お父さんの『鋼の戦士』としての殺意が、一段と跳ね上がった音がした。

 

「リョウ様・・・。私も、やはり魔導エステに・・・」

 

「ミリィさん!? 誤解ですからね? 確かに俺は、子供の無垢さが好きですけど、決しておかしな目で見ているわけじゃないですからね!?」

 

「・・・必死なところが、なおさら怪しい」

 

リリーさん!? そのボソッとした一言、今の俺には致命傷なんですけど!

 

「リョウ? もういいのよ。本当のことを言って、楽になりなさい・・・?」

 

ネアさんが、まるで迷える子羊を導く聖母のような、慈愛に満ちた微笑みを浮かべる。

 

「ちょっと、ネアさん!? 俺はずっと、本当のことしか言ってません!」

 

「リョウ〜?大丈夫だよ〜?何も恐くないからね〜?どんな性癖でも、お姉ちゃん達が、受け止めてあげるからね〜?」

 

マリーさんが、迷子をなだめるような声音で、ゆったりと両手を広げて迫ってくる。

 

「マリーさん、その優しさが逆に怖いんですって!」

 

「リョウさん? 私は、分かってますよ? リョウさんは、とっても優しい人・・・。ただ、ほんのちょっとだけ、危ない趣味があるだけなんですよね?」

 

ゴモリーさんが、まるで罪を告白した信者を赦すシスターのような、慈悲深い声音で語り掛けてくる。

 

いや、その前提がもう間違ってるんですって!

 

「なるほど・・・! また一つ、リョウさんの新しい一面を知ることができました!」

 

ユカさんが、キラキラした瞳でメモでも取りそうな勢いで頷く。

 

・・・ユカさん? それ、完全に誤解の可能性がありますが!?

 

それに、さっきまで通報案件とか言ってませんでしたっけ?

 

「パパ、私はどう?」

 

「珊瑚が可愛いのは、当たり前じゃないか!そもそも、お前を嫁に出すなんて冗談じゃない!!もし言い寄ってくる奴がいたら、そいつは間違いなくルシファーか、胴田貫の錆にしてやる!」

 

「大丈夫!私は、パパと結婚するから!」

 

珊瑚のキラキラした笑顔が眩しい。

 

・・・あれ?

 

そういえば、さっきお父さんも似たようなことを言って、お母さんに串を投げられていた気がするな。

 

・・・まあ、いいか。

 

「主、珊瑚ちゃんがオッケーなら、私とポポもオッケー?」

 

瑞が期待に満ちた目で、ポポと一緒に覗き込んでくる。

 

「瑞、ポポ。二人とも、もちろん凄く可愛いよ。俺にとっては、大切な娘みたいな存在なんだから」

 

「・・・そう言ってリョウは、慈愛に満ちた言葉とは裏腹に、まるで秘蔵の宝物でも愛でるような、どこか独占欲の滲む視線で娘たちを値踏みし・・・」

 

「ちょっと!?お母さん?」

 

「お母さんじゃ、ないでしょう?」

 

先ほどと同じ様に、子供のように頬を膨らませる。

 

「危ないナレーションは、勘弁して下さい」

 

「ちゃんと、名前で呼んでくれないなら、続けるわよ?」

 

不敵な笑みを浮かべてナレーションを再開しようとする彼女に、俺は慌てて両手を上げた。

 

「わ、分かりました!哀さん!?これで、良いですか?」

 

「・・・よろしい。ふふっ、瑞ちゃんもポポちゃんも、パパに愛されてて幸せね?」

 

「だから、その危ないナレーションは勘弁して下さいって・・・」

 

「このガキィ!またワシのハニーの名前を呼び捨てにしやがっ・・・!」

 

「アナタ?煩いわよ?」

 

ゴキッ、という人体から発してはいけない不穏な音が響く。

 

直後、お父さんは糸が切れた人形の様に、動かなくなる。

 

き、きっと、今の音は気のせいだ!

 

そうだ、気のせいに決まってる!

 

俺は冷や汗を流しながら、必死に自分に言い聞かせる。

 

うん、お父さんはきっと・・・急に満腹感が襲ってきて、そのまま寝ちゃっただけなんだ!

 

そうだよ、きっとそうだよね!?

 

現実から目を逸らす俺の横で、哀さんは何事もなかったかのように「ふふっ」と、微笑んでいる。

 

「お兄ちゃん? 盥船に、海と陸の間に広がるあの異世界から来た、『赤と白の騎士』・・・あの聖戦士の機体が誇る、最強の霊気キャノンかビーム・ソード・ライフルを付けた方が良いかな?」

 

めぐりちゃんが、首を傾げながら物騒かつ、男のロマンを刺激する武装の相談を持ちかけてくる。

 

その純粋な瞳とあまりに自分好みな提案に、リョウの理性が限界を迎えた。

 

「・・・めぐりちゃん、結婚しよう!」

 

「ちょっと!? なんでそうなるのよ!それ、二回目よね!?」

 

間髪入れずに、元の姿に戻ったカオリの鋭いツッコミが飛ぶ。

 

 

 

 

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