異世界転生   作:魔導科学

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「宴も酣ではございますが・・・」

 

俺がそう切り出し、キャンプの片付けと帰り支度を始めようとした、その時だ。

 

「リョウさん? お部屋は余ってるんだから、当然泊まっていくわよね?」

 

哀お母さんが、逃げ場を塞ぐような、眩しくも恐ろしいまでの聖母の笑みを浮かべる。

 

すかさず、めぐりちゃんが「そうだよ!泊まっていってよ〜!」と、追い打ちのクリティカルヒットを打ち込んできた。

 

その瞬間だった。

 

「・・・許さんかい・・・許さんぞワレェ!!虫ケラどもが、なめ腐りやがってえええええ!!!!!」

 

それはまさに、手下にすら敬語を使うあの『宇宙の帝王』が、限界を超えてブチ切れた時の如き咆哮。

 

さっきまで沈没していたはずのお父さんが、凄まじいプレッシャーと共に『復活』を遂げ、周囲に雄叫びを轟かせた。

 

「おんどれ、一人でそこらへんにテントでも張って、そこで寝くされ!ボケカス!ゴラァ!!魔導キャンピングカーにはな、一歩たりと入れへんからな?ボケカス!」

 

「あら・・・アナタ? 私の『お・も・て・な・し』を邪魔するなんて・・・いちいち癇に障るわね!?」

 

再び背後に現れた哀お母さんの冷徹なオーラに、復活したばかりの仮面ライダーXYZのマスクが、今度こそ爆発しそうなほどガタガタと震え始めた。

 

「せ、せやかて、マイハニー!このド腐れはな、めぐりだけやのうて、マイハニーの名前まで呼び捨てにしやがって・・・!なめとんかワレェ!!」

 

「・・・アナタ?さっきの私の話、聞いてたかしら?」

 

お母さんの背後から立ち昇るオーラが、一気に膨れ上がる。

 

「私は、リョウさんに『名前で呼んで』って、自分から言ったのよ・・・?それが何か・・・不満かしら?」

 

「チクショー!おんどれ、覚えとけよワレェ!今に見とれよボケカス!!マイハニーが言うんやったら、しゃあないわ! 一番ちっこい部屋貸したるから、そこで寝くされ! ボケカス!」

 

「あ、有難う御座います。お父さん」

 

「おんどれに『お父さん』呼ばわりされる覚えは、ない言うとんじゃ!ボケカス!なめとんかワレ!」

 

「・・・アナタ?」

 

哀お母さんのプレッシャーが、更に強まる。

 

そのプレッシャーたるや、ラ◯ァ・スンの『逃れられない圧倒的な思念』が、具現化したかのよう。

 

思わず『ララ◯、私を導いてくれ・・・』とか、言いそうになったよ。

 

「お兄ちゃん、早く中に行こう?他のみんなも、中に入ってるよ?」

 

めぐりちゃんが、俺の腕を引いて中に入る。

 

お父さんは、お母さんに仮面ライダーXYZの姿のまま正座で、説教中だ。

 

「話には聞いてたけど、凄いな!?」

 

先ほどの壊れかけの通販番組のナレーターか、物件紹介のレポーターの様なノリで解説した、魔導キャンピングカーの中を見て驚いた。

 

「凄いでしょう?全部、ボクが設計したんだよ?因みに魔導建築士とか、魔導クリエイティブ・マイスターの資格もあるんだよ?」

 

この世界の公的資格には、年齢は特に関係ない。

 

能力さえ有れば、誰でも取ることが可能だ。

 

言ってしまえば、持って生まれた能力は、すぐに資格として活用できるという事。

 

では、全く素質が無い時はどうするのか?

 

その場合は前世と同じで、学校なり養成所なりで勉強して、必要なスキルや知識を取得すればいい。

 

では、スキルはどこで証明されるのか?

 

それは、俺が登録した冒険者ギルドだ。

 

あそこは、本当に市役所みたいな施設なんだよね。

 

業務内容的には、討伐した獲物の買取や解体、クエストの依頼や相談。

 

後は、俺も受けた適性検査。

 

この適性検査で、その人がどんなスキルを持っているか、どんな事に向いているかが分かる。

 

非常に便利な世界だな、と思う。

 

でも、この世界には市役所もちゃんと存在しているし、病院だって存在する。

 

いくら魔法科学が発展している世界とはいえ、やはり専門の行政機関や医者は不可欠だということだろう。

 

そんな考察に耽りつつ、ふと高級ホテルのロビーのような場所へ視線を向けると、ソファーに腰掛けて何やら真剣に相談しているカオリたちの姿が目に入った。

 

「では、『誰が、リョウ様の部屋の隣に泊まるか?』を、考える会を開きます」

 

高級ホテルのようなロビーで、ミリィさんが厳かに、かつテキパキと場を仕切っている。

 

「それは勿論、私よね? リョウの部屋を真ん中で挟んで、反対側がピィちゃん」

 

カオリが、さも当然の権利だと言わんばかりに主張した。

 

「反対〜!カオリ、それはズルいと思う〜!」と、マリーさん。

 

「そうですよ。マリーさんの言う通り、カオリさんとリョウさん、珊瑚ちゃんは、普段から同じ部屋に住んでるじゃないですか」と、ゴモリーさんが追い打ちをかける。

 

「そう言えば、そうね!ならやっぱり、ここは私が・・・」

 

「ネアさん? お忘れかもしれませんが、今日は私とリョウさんのデートだったんですよ? だから、隣の部屋は当然、私とポポちゃんですよね?」

 

ユカさんが静かな、しかし確実な殺気(?)を込めて、ネアさんを牽制する。

 

だが、そこに瑞が淡々とした口調で割って入った。

 

「私はユカさんの魔力から生まれた。そして、私はリョウさんを主と認めポポは、ユカさんを主と認めた。この相関関係からして、私は主であるリョウさんと、同じ部屋で良いと思う」

 

「そんなこと言ったら、私はパパの義理の娘だよ? 将来、結婚する予定だし。それなら、カオリママと私で、パパと一緒の部屋で良いと思う!」

 

珊瑚の堂々たる反論に、カオリが「流石、ピィちゃん!」と、愛娘を抱きしめんばかりの勢いで喜ぶ。

 

だが、そこにリリーさんの鋭い一撃が突き刺さった。

 

「・・・それじゃ、ゴモリーが言った通り、施設の部屋割りと何も変わらない」

 

一瞬で場を冷え込ませたリリーさんは、そのまま自身の要求を突きつける。

 

「・・・だから、転生者同士。私とリョウ、そして妹のマリーで同室になるのが、一番理にかなっていると思う」

 

「リリーさん? それはちょっと聞き捨てなりませんね。私とリョウ様には『メガネ』という強固な楔があります。ですから、同室になるのであれば、私が最優先だと思いますが?」

 

ミリィさんが、メガネの縁をクイッと押し上げ、知的な光を宿らせて反論する。

 

もはや、収拾がつかない議論の嵐。

 

そんな中、今までずっと黙って様子を伺っていたポポが、ぽつりと爆弾を投下した。

 

「それなら、みんなで一緒の部屋にすれば、良いんじゃないかな?」

 

 

 

 

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