異世界転生   作:MSZ-006

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俺は、前世から酒があまり好きではない。

 

なぜか?

 

ビールや日本酒の味もそうだが、何より酔って人に暴力を振るったり、暴言を吐く阿呆が反吐が出るほど嫌いなんだ。

 

・・・俺の親や周りに居た人間が、まさにそんな屑だった。

 

だから、前世の俺は殆ど酒を飲む事は無かった。

 

飲んでも、カルアミルクや甘い酒をちょっと口にする程度だったな。

 

でも、一度だけ吐くほど飲んだ事があった。

 

まぁ、吐いてスッキリした後、今度は低血糖で酷い目にあったんだけどね?

 

前世の俺は、1型糖尿病だったからね。

 

でも、今は違う!

 

「俺、カルアミルク、大ジョッキで!」

 

「リョウ、そんなに飲んで大丈夫?」

 

ヴェルダンディが、光学ディスプレイで注文しながら俺を心配してくれる。

 

「大丈夫だよ〜!たかがグレープフルーツサワーと、甘い梅酒に抹茶ミルク、ストロベリーミルクを飲んだだけだよ?そんなので、酔う訳ないじゃん?」

 

俺はとても気分良く、焼き鳥からネギだけ外し口に入れる。

 

「おい、リョウ?さっきからなぜ、ネギだけ残すんだ?」

 

「瞳ちゃん俺はね〜、前世から玉ねぎとネギが嫌いなの!分かる?もうね、アイツは敵ですよ!全俺を滅ぼしに来てるのかって位、大嫌いなんだよ?」

 

「リョウ、君はネギと玉ねぎ以外に嫌いなの物はあるのかい?」

 

テア博士が、ほんのり上気した顔で俺に問う。

 

「テアちゃん!それは、アレだよ〜!ネギと玉ねぎの入った味噌汁とか、後はキュウリの味噌汁!アレは、全俺を殲滅しにかかってるよね!もう、本当にふざけんな!キュウリ自体は、好きだし、かっぱ巻きは大好物だけど、なんで味噌汁にキュウリ入れるの?他の具材で良いでしょう?例えばナスとか、人参とかジャガイモとか、後はナメコとワカメの味噌汁も好き!ヴェルダンディもそう思うでしょう?」

 

「ハイハイ、そうね?ちょっと、酢の入った水を飲みなさい?」

 

そう言って、ヴェルダンディが冷たい水に少量の酢を入れた物を渡してくれるが、俺はそれをテーブルに置いて、大好物の蛸の唐揚げを摘む。

 

「お酢に含まれる酢酸には、アルコールの分解をサポートして肝臓の負担を減らす効果があるのよ。二日酔い予防です、さあ飲んで」

 

ヴェルダンディが、解説しながら俺に水を飲ませる。

 

「ヴェルダンディ、お母さんみたい!有難う!」

 

「・・・ドSなリョウも魅力的だが、こんな風に甘えるリョウも可愛いな!また、新たな扉が開かれそうだぞ!ハァハァ」

 

「た、確かに、此れは破壊力があり過ぎる!」

 

テア博士と瞳ちゃんが、俺を見てそんな事を言う。

 

ペッ◯ー君が、大ジョッキのカルアミルクを持ってくる。

 

俺は、それを受け取り半分程飲み干す。

 

「テアちゃん、瞳ちゃん、コレ美味しいよ?飲んでみる?」

 

俺はテア博士と瞳ちゃんに、自分の飲みかけのカルアミルクを差し出す。

 

「り、リョウ?!そ、それは間接キ・・・」

 

酒で赤くなった顔が、更に赤くなる瞳ちゃん。

 

「リョウ、君は私をどうしたいんだ!?貰うけどね?」

 

そう言って、テア博士がカルアミルクを受け取り全部飲んでしまう。

 

「テアちゃん、ヒドイよ!ぼくのカルアミルク無くなっちゃたじゃんか〜!ふぇ〜ん!?」

 

泣き出した俺を見て、瞳ちゃんが「そ、そうだぞ!わ、私が先に受け取る筈だったたのに・・・」と、ションボリする。

 

「リョウ、もうお酒は止めておきなさい?分かった?」

 

そう言って、ヴェルダンディが俺を諭す。

 

「う、うふふ!リョウと間接キスだ!こ、この後は、泣かせてしまったから、お仕置きか?ハァハァ」

 

テア博士が、泣いている俺を見て興奮している。

 

「り、リョウ?そんなに泣くな!」

 

「え〜ん!瞳ちゃん〜!」

 

俺は隣に座る瞳ちゃんに、抱きついた。

 

「り。リョウ?!だ、大丈夫だからな?私がちゃんと、お前を守ってやるからな?」

 

そう言って、瞳ちゃんは俺を胸元に抱きしめて頬を染め、とても優しく頭を撫でてくれる。

 

「瞳ちゃん、優しい〜ね!おねぇちゃんみたいに!大人になったら、ぼくと結婚して!」

 

「ッ?!り、リョウ?!ほ、本当か?大人と言っても、お前は既に成人年齢の筈だ?何なら今すぐにでも・・・」

 

トマトの様に真っ赤になった瞳ちゃんに、すかさずヴェルダンディが声を掛ける。

 

「リョウ?落ち着きなさい?飲み過ぎよ?瞳さん、ごめんなさいね?リョウ大分、酔ってるみたい」

 

「そ、そうか・・・。そうだな。酔ってるもんな・・・」

 

肩を落とし、意気消沈する瞳ちゃん。

 

それを見ていたテア博士が「リョウ!?わ、私もいつでも大丈夫だぞ!」と、声を上げる。

 

俺はそんなテア博士をチラッと横目で見やり「・・・テアちゃん、嫌〜い!ぼくのカルアミルク、全部飲んじゃったもん!」

 

そう言って、瞳ちゃんに更に抱き着く。

 

「そ、そんな!冷たくあしらわれるのは良いが、嫌いと言われるのは非常に傷付く?!」

 

俺の言葉を聞いたテア博士が、オロオロしながら泣きそうになっている。

 

「リョウ?テアさんはわざと貴方に、意地悪した訳じゃないのよ?許してあげなさい」

 

ヴェルダンディが、俺たちを眺めながら、そんな事を言いつつ、光学ディスプレイで何やら注文している。

 

ヴェルダンディが注文した物がペッパ◯君によって運ばれて来た。

 

それを受け取り、テア博士に渡しながら耳打ちする。

 

「り、リョウ?アイスクリーム食べないか?美味しいぞ〜!」

 

「アイス?!うん、食べる〜!」

 

俺は、瞳ちゃんから身体を離し両手を上げる。

 

残念そうな瞳ちゃんを横目に、テア博士がスプーンに掬ったアイスクリームを俺の口元に近付ける。

 

「美味しいね〜!テアちゃん!」

 

俺は満面の笑みで、テア博士に言う。

 

「り、リョウ?すまない!カルアミルクを全部、飲んでしまって・・・」

 

テア博士が、緊張した面持ちで俺にスプーンを差し出す。

 

それに対して、俺は大口を開いてアイスを受け入れる。

 

「うん!今、アイスクリーム食べさてくれてるから、もう良いよ!テアちゃん、大好き!」

 

テア博士が、俺の発言を聞いて後ろに倒れ込む。

 

それを上手く、キャッチするヴェルダンディ。

 

「と、尊い・・・」

 

テア博士は、恍惚の表情で鼻血を垂らしている。

 

「テアちゃん?どうしたの?大丈夫?具合、悪いの?」

 

「だ、大丈夫だ!まだだ、まだ終わらんよ!?」

 

テア博士が、鼻血を拭い姿勢を正す。

 

「はい、あ〜ん!」

 

俺は、テア博士が持っていたスプーンで、残りのアイスクリームを掬いテア博士の口に運ぶ。

 

「り、リョウ!?そ、そんな事をしたら、私は・・・」

 

真っ赤になったテア博士がプルプル震えながら、瞳を閉じて口を空けてスタンバイする。

 

俺は、その口にスプーンを差し込んで、テア博士に話し掛ける。

 

「美味しい?」

 

俺は上目遣いで、テア博士を眺める。

 

「・・・今日は死ぬには、いい日だな」

 

テア博士は、至福の表情で自身の身体

を抱きしている。

 

「ダメだよ!死んじゃ、ヤダ〜?!」

 

「リョウ!?大丈夫だぞ?私は、死なないからな?」

 

「うん!なら、良かった!瞳ちゃんとヴェルダンディも食べる?美味しいよ?」

 

「わ、私は、そんな・・・」

 

「え〜?瞳ちゃん、いらないの?あ、そっか!スプーン、ぼくとテアちゃんが使っちゃったから、ばっちぃって思うんだね?ごめんね?じゃ、新しいスプーン貰って・・・」

 

「リョウ!?良いんだ!私も、食べさせて欲しいな!」

 

そう言って、潤んだ瞳で口を開く瞳ちゃん。

 

「はい、あ〜ん!」

 

俺は瞳ちゃんの口にアイスクリームを運び込む。

 

「・・・わ、私は、今この瞬間、運命の楔を打ち込まれ、私の中の刻が完全に止まってしまった!もう、お前しか居ない!この責任、キチンと取って貰うぞ、リョウ!」

 

「ヴェルダンディも、はい!あ〜ん!美味しい?瞳ちゃん、どうしたの?美味しくかった?」

 

俺はヴェルダンディにスプーンを差し出し、ヴェルダンディが嬉しそうにアイスクリームを味わう。

 

その姿を眺めつつ、瞳ちゃんに残念そうな表情で語り掛ける。

 

「そ、そんな事はないぞ!?今まで食べたアイスクリームで、一番美味しいぞ!・・・リョウが、食べさせてくれたから」

 

「うふふ!瞳ちゃん、有難う!ぼく嬉しいよ!」

 

「そうね、私も初めてアイスクリームを食べたけど、今後はリョウに食べさてもらわないとかな?」

 

ヴェルダンディが、優しく微笑みながら俺に言う。

 

「うん!ヴェルダンディが、そうして欲しいならそうするよ?瞳ちゃんとテアちゃんも!『はい、あ〜ん!』ってしてあげる!」

 

「リョウ、もう駄目だ!限界だ!私は、これまでの人生で、こんなにも幸せな時間を知らない!やはり、責任を取って貰うぞ!?リョウ!」

 

瞳ちゃんが、ヒートアップして席から立ち上がりながら声高に宣言する。

 

その姿を見た周りのお客が、拍手喝采で応援している。

 

「リョウ!私も、駄目だ!早く結婚式場に行こう!そして、早く既成事実を作り上げて、君を逃さない様にしないと!ハァハァ」

 

テア博士が、身体を抱きしめながら、ビクンビクンと痙攣している。

 

「リョウ?酔ってるのは分かるけど、程々にしなさい?じゃないと、大変な事になるわよ?」

 

ヴェルダンディは、優しい笑顔で俺にそんな事を言う。

 

「大変な事?ぼく、大変な事になっちゃうの?ヴェルママ?」

 

「リョウ!大変な事になるって言った傍から!私がどれ程、我慢してるか分かってるの!?」

 

ヴェルダンディが顔を紅く染め、潤んだ瞳で俺を睨む。

 

「ヴェルママ、そんな怖い顔しないで?」

 

俺は、上目遣いで更にヴェルダンディを追い詰める。

 

「もう・・・、ダメ!!」

 

顔を真っ赤に染めて、テーブルに突っ伏すヴェルダンディ。

 

ヴェルダンディ、ノックアウト!

 

 

 

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