異世界転生 作:MSZ-006
「お姉ちゃん、ごめんなさい〜!」
俺はリリーさんに泣き真似をしながら説明し、同時に膝の上のマリーさんをあやしていた。
現在、温泉街の喫茶店内部で、非常に高度な情報公開議論が展開されている。
「リョウ〜、あ〜ん!」
「はい、お姉ちゃん、あ〜ん!」
「うん〜、リョウ〜、美味しいよ〜!」
「マリーさん、それは良かったです」
俺は、マリーさんを膝に抱っこしながらアイスを食べさせている。
「パパ?パパのした事は、一歩間違えれば、確実に逮捕案件だよ?私は宿に帰ったら、お願い!」
珊瑚から、キツいお言葉をと宿に帰ってからのリクエストを頂く。
「リョウ?本当に、自重しなさい?じゃないと、後ろから刺されるわよ?宿に帰ったら宴会よ!」
カオリが、俺に説教をたれる。
言ってる事は理解るが、お前に性癖を暴露され、そのせいで俺は泣きながら逃亡した事を忘れてないぞ?
敢えて、『分かる』を『理解る』と表現してみた。
中二病っぽくて、カッコいいだろう?
と、心の中でドヤ顔してみた。
「リョウ様、もう許しません!今日、私と結婚して下さい!そうでないと、訴えますよ?」
ミリィさんが、メガネをクイッと上げながら俺に言う。
ミリィさん、お願いします。
もう少し、猶予を下さい。
「リョウ!私は、本気だからね!ちゃんと、責任取りなさいよ?」
ネアさんが、責任を取れと言う。
責任って、何の責任ですか?
主語が、抜けてますよ!?
「リョウさん?人妻である私を誑かして、一体どうする気なの?」
哀さん、俺は哀さんに何かした覚えがないんですが・・・。
後、本当に旦那さんに抹殺されるから、勘弁して下さい。
「お兄ちゃん!私は、今日一緒に温泉に入って!そしたら、今回の件は水に流すよ?温泉なだけに?」
めぐりちゃんが、ドヤ顔で高難易度の要求をしてくる。
めぐりちゃん、俺を檻に入れたいのかな?
そもそも、めぐりちゃんは転生者だけど、今は小学生だよね?
「お父さん?早く僕と、ご主人も一緒に結婚して!それで、全て解決!」
「そうね!ポポちゃん、それは名案ね!リョウさん、そうしましょう!?」
ポポ?
それから、ユカさん?
人生は、一度きりなんですよ?
だから、そんなに急いで失敗したら、大変ですよ?
「キュキュ、ジェジェジェ!キュキュン!」[ぼくは、お前が女装して「早く私を、寝床に連れ去って!」って言うなら、許す!]
魔導アナグマが、ドヤ顔で言いやがる。
「おい?お前は、自分の立場を理解してないみたいだな?さっきの言葉は、まだ忘れてないし、お前を鍋にするぞ?」
「キュ!?キュン・・・」
魔導アナグマは、俺の言葉を聞き酔八仙拳の型をやり始めた。
いや、酔ったフリをしてるつもりかも知れんが、酔ってあんな激しい動きは出来ないし、何よりお前は一切、アルコールを摂取してないよな?
お前が、飲んでたの普通の100%の果物ジュースだよね?
「主、私は『瑞、お前は何でそんなに可愛いんだ?お前の魅力は、俺を獣に変える!もう我慢できん!』って言って、抱きしめながらベッドに飛び込んでくれたら許す」
瑞さん?
君まで、俺を軍に引き渡したいのか?
瑞、珊瑚、ポポ、めぐりちゃんは、事情を知らない第三者が見聞きしたら、本当に事案案件扱いされかねないんだよ?
ほら見ろ!
他のお客さんが、俺をチラチラ見ながらヒソヒソ話してるだろ!?
ガチで通報されたらどうするんだよ?!
「リョウ?私は、君に心も身体もキツく縛られてたら、許そう!ハァハァ」
「テア博士?何故、貴女まで参戦されるんですか?そもそも昨日の話を、俺が供述しましたが貴女は昨日、ヴェルダンディと瞳さんと一緒に居ましたよね?」
「そ、そんな正論で責められたら、私は・・・んあぁ・・・っ、ハァハァ」
テア博士が、また身悶え始めた。
・・・放っておこう。
「リョウ、私は『ヴェルママ、膝枕して〜!』って、甘えてくれたら許すわよ?」
ニコニコと笑いながら、ヴェルダンディが俺に言う。
「おい!ヴェルダンディ?!お前は昨日、俺に説教しただろう!」
「そうねぇ。でも皆、言ってるから私も・・・」
「いや、便乗しなくて良いから!」
「リョウ?私は、其処の三人の為に頑張ったぞ?だから、早く結婚式場に・・・」
「瞳さん、本当に有難う御座います!でも、結婚式場ってのは色々すっ飛ばして、おかしいですよね?」
「・・・リョウ、前世でもLGBTに対して、理解が拡がっていた。リョウは、LGBT否定派?」
「リリーさん、俺はどちらかと言えばLGBTは肯定派ですよ?でも、瞳さんの場合、途中経過が色々とすっ飛んでますよね?!」
「・・・リョウ、愛に出会った時間は関係ない。だから『お姉ちゃん、ぼくと結婚して〜?』って甘えながら言う。そうしたら、直ぐに市役所に婚姻届を出す」
「リョウ〜?私も、お姉ちゃんと一緒に〜、婚姻届出して〜?」
膝の上で、俺が一生懸命アイスを食べさせていたマリーさんまで便乗する。
俺は、席替えして少し離れた席にいるハジメ、アル、トロワに目を向ける。
三人は困惑した、しかし羨望の眼差しで俺を見ている。
「アニキ、やっぱり凄い!俺、感動しました!」
「リョウアニキって、天然人タラシだよな!?」
「そうッス!あんなに恋人が居るのに、まだ増えそうッス!俺たちみたいな人間まで救って優しくしてくれて、本当に人タラシッス!」
いや、俺はハーレムを作りたい訳じゃないんだよ!?
後、その『人タラシ』っての聞こえが悪いから、止めてくれ。
ハジメ、アル、トロワが、そんな風に俺を評価をする。
「さて、そろそろ宿に帰るかな」
俺は、空になった丼サイズの器にスプーンを戻し、マリーさんを膝から降ろす。
マリーさんは、物足りなさそうな瞳で俺を見るが、これ以上は駄目ですよ?
他の人たちまで、俺の膝に座るとか言い出しかねないんだから!
「そうね!宿で宴会よ!酔わせて、既成事実を・・・」
「カオリ?俺は飲まないぞ?」
「そ、そんな〜!?」
「お前等、今後どうするんだ?」
離れた席で、相変わらず羨望の眼差しで俺を眺める三人に声を掛けた。
「俺たち、此れから職安行って手続きしてきます」
「そうだな。まず職安行って、職業検索してだよな・・・」
「スッね。新しい仕事見つけないと、生活できないッス」
「おい、貴様ら!軍に入る気は無いか?」
瞳ちゃんが、三人を見て声を掛ける。
「えっ!?俺たちが軍に?!」
「俺たちみたいな、施設育ちの馬鹿なんて、無理ですよ」
「そうッス!無理ッス」
「本当に、そう思うか?軍には、施設育ちの人間は腐るほど居るし、貴様らはリョウから『二度と理不尽に負けたくないなら、知識という武器を備えろ!』と、教わっただろう?だったら、軍に入って様々な事を学べ!私が推薦してやる、安心しろ!」
瞳ちゃんが、真剣な顔で三人に声を掛けている。
良かったな。
ちゃんと、お前等を見てくれる人が居るんだぞ?
「ね、姉さん!?本当ですか!」
「お願いします!俺、頑張ります!」
「おねしゃッス!ち、違った!お願いしまッス!俺も頑張って、仕事覚えるッス!」
ハジメ、アル、トロワが元気よく返事する。