異世界転生   作:MSZ-006

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「リョウ?!わ、私はとても嬉しいぞ!アンダーソン少佐に直接具申して、この制服を軍で正式採用して貰おうかと考えてる位だぞ!」

 

「え〜!それはダメ〜!だって、瞳ちゃんのミニスカ姿が他の軍人に見られるんでしょう?それは絶対にダメだよ〜!!」

 

「ブッ!リョウ、それは反則だぞ!?」

 

瞳ちゃんは、今にも飛び出しそうな鼻血を抑えるように、慌てて手で鼻と口元を覆った。

 

他の女性陣も、同じように鼻を押さえたり、顔を赤くして俺を眺めたりしている。

 

「り、リョウさん?やはり、養子ではなく離婚して・・・」

 

美星さんが、俺を見つめて呟く。

 

それに対して宇治茶博士が、「お、お前!?まだそんな事を言うのか?!本当に儂、泣くぞ!?」と、嘆き悲しんでいる。

 

「そうねぇ、リョウさん?私は旦那がいるし、めぐりの母親でもあるから、リョウさんとは一緒にはなれない。でも、珊瑚ちゃんや瑞ちゃんの師匠として一緒にいることはできる。だから、リョウさん?ウチの旦那みたいに、奥さんを不安にさせて悲しませるような人にはなっちゃダメよ?」

 

哀さんは、悲しげな顔で俺を見つめて言う。

 

「めぐりちゃんのお父さんは関西弁で喋って、すぐぼくのことを『タコ』とか『ボケナス』って言うけど、でも凄く優しい人だって知ってるよ?」

 

「うふふ。そうね?リョウさんは、ウチの人と夜中に仲良く『お喋り』したもんね?」

 

哀さんは先ほどと変わらず、とても悲しそうな儚い笑顔で俺を見る。

 

「お母さん?夜中に、お父さんとお兄ちゃんが話し合いって何?」

 

めぐりちゃんが、小首を傾げて哀さんに聞いている。

 

「めぐり、男って本当にバカよね?『男のロマン、女の我慢』ってよく言ったものよね・・・」

 

哀さんは、フフッと儚く寂しげに笑う。

 

それを聞いていた美星さんが、「囃子原さん?ご主人と、何か御座いましたの?もし宜しければ、お話をお聞かせくださいませ」と言って、哀さんに席を勧める。

 

「そうですか?それじゃ、ちょっと愚痴を聞いていただけますか?」

 

哀さんはニッコリ笑って、美星さんと宇治茶博士の座る席に腰を下ろす。

 

「そもそも、宅の主人なんて・・・」と、先ずは美星さんの宇治茶博士に対する愚痴が始まり、哀さんも笑いながら、お互いの旦那の愚痴を話し始めている所で宇治茶博士は、縮こまってコーヒーを飲んでいる。

 

・・・一気に、酔いが醒めたね。

 

美星さんは多分、哀さんに気を遣って宇治茶博士の愚痴を先に話して、わざと哀さんが愚痴を言いやすくしてるんだな。

 

俺の前世は、哀さんや珊瑚より歳上だし美星さんよりは歳下だったけど、そんな風に察する。

 

哀さんは俺と旦那さんが、夜中に死闘を繰リ広げた事を確実に知っている。

 

でも、やっぱり俺から哀さんに真実を話すことは出来ない。

 

誤魔化す為にも、もっと呑んでこの場を乗り切るしかないな。

 

俺は梅酒ソーダを、一気に飲み干し、新たに酒を注文する。

 

新たに運ばれて来た酒を呑みながら、瞳ちゃんに話し掛ける。

 

「それでね?瞳ちゃん、この軍服はただの軍服じゃないんだよ!?」

 

「り、リョウ?大丈夫か?今呑んだ酒は、結構アルコール度数が高かったと思うが・・・」

 

瞳ちゃんが、心配そうに俺を見る。

 

「瞳ちゃん、大丈夫!此れは、炭酸割りだから、こんなのジュースみたいなもんだよ!」

 

ケラケラ笑いながら、話す俺。

 

「それで、その軍服なんだけど、システマって攻撃された時に痛みを呼吸とかで、早く解消したりするんでしょう?でもね、俺は瞳ちゃんに、傷付いて欲しくないんだ。だから俺は、この軍服に相手の攻撃が全て『ヌルヌルと流れる』イメージを叩き込んだ!そして、その結果できあがったのがコレさ!」

 

いかん!

 

酔いが醒めて、ついつい本来の喋り方が出ちまったよ?!

 

もうちょっと、呑んどこう。

 

「そして、魔導科学が発展した素晴らしい世界であっても、残念ながら絶対は無い。俺が作った魔導軍服にも弱点がある」

 

俺は、酒を呑みながら話を続ける。

 

「この魔導軍服は、相手の殺気や素早い動きに対して反応する。だから、殺気が無い偶然の攻撃とか、物凄く遅い攻撃には反応しないんだ。ごめん」

 

俺は申し訳なくなって、瞳ちゃんに謝る。

 

「リョウ、何を謝っているのか分からないが、凄い事はよく分かったぞ!」

 

瞳ちゃんは、感心した様に頷いている。

 

魔導具作りはイメージが大切だと、めぐりちゃんに教わったが、どうにも発想が飛び飛びになって、それが意図せぬ方向に向ってしまうんだよな。

 

俺がこの魔導軍服を作る時に考えたのは、『瞳ちゃんって、システマ習ってたよな?でもシステマって、痛みを呼吸法とかで早く解消したりするんだよね?でも、攻撃されたら痛いに決まってる!だったら、攻撃を受けても完全無欠に防御できれば良いじゃん!瞳ちゃん、魔導エステで今は女の子になってる。だから、ミニスカとか似合いそうだな。ミニスカで軍服って言ったらOD色より、やっぱり赤い方が似合うよね!』なんて、考えながら製作したら此れができた。

 

まぁ結果的に丈の短さと弱点以外、大丈夫だから良いのか?

 

「では、早速実験してみましょう!瞳ちゃん、絶対に防御しないでね?」

 

俺は瞳ちゃんの返事も聞かず助走をつけて、頭に手刀を振り下ろす。

 

この時、俺は『瞳ちゃんの頭を、俺の手刀で痛くしてやる!』と、殺気を込めて振り下ろしている。

 

ヌルン!?

 

頭に振り下ろした手刀が、石鹸で滑るが如く勢い余って滑って転んでしまう。

 

「あだっ!?」

 

「リョウ!大丈夫か?」

 

瞳ちゃんが、慌てて俺を心配してくれる。

 

「どう?ちゃんと発動したでしょう?」

 

俺はニコニコ笑いながら起き上がって、瞳ちゃんに言う。

 

「そうだな!でも、リョウだけだと実績が足らん。他の人たちにも、攻撃して貰おうと思う!」

 

瞳ちゃんはそんな事を言うが、他の女性陣は余り乗り気では無い。

 

「いくら実験とは言え、憎くも無い相手に殺気を込めるなんて、出来ませんよ?リョウさん」

 

ユカさんが、困った顔で言う。

 

「そうねぇ?確かに、瞳ちゃんに対して殺意とか無いわね。それなら瞳ちゃんが、私たちを怒らせる様な事を言えば良いんじゃないかしら?」

 

話を聞いていたヴェルダンディが、ポンと手を叩いて言う。

 

「なる程!では、行くぞ?ヴェルダンディさんの、馬鹿ぁ〜!最初に見た時から凄く可愛くて、一目惚れだったんだぞ!でも、今はリョウに惚れてるけど・・・」

 

顔を赤くしながら、そんな事を宣う瞳ちゃん。

 

それ馬鹿以外は、悪口になってませんよ?

 

「え〜と後は、ミリィさん!メガネが凄く似合う、知的で素敵な女性だから、私は悔しい〜!」

 

瞳ちゃん、それは褒めてるんですか?

 

「ひ、瞳さん?さっきも言いましたが、素早い攻撃とかでも大丈夫なんで・・・」

 

そう説明しつつ立ち上がり、瞳ちゃんの方に向って数歩進んだ所で、事件が起きた。

 

さっきから酒を呑んでいて、一次的に酔いが醒める様な出来事があったとはいえ、酔っている事に変わりは無い。

 

俺は覚束ない足取りで歩くうち、足が縺れて瞳ちゃんの方に倒れ込む。

 

「キャッ!」

 

ムニュンと、幸せな感覚が掌に伝わって来る。

 

「り、リョウ!昨日に続いて、今日もまた私の胸を!」

 

瞳ちゃんは咄嗟に両腕で胸元を隠すように抱きかかえ、顔を真っ赤にして怒鳴る。

 

「お父さん?昨日もって、何したの?」

 

ポポが、ブラック・モルダバイト状態で俺に問い詰める。

 

「詳しく、聞かせて下さい?リョウさん?」

 

ユカさんが、ファム・ファタルな笑顔で、俺に詰め寄る。

 

ふ、二人とも、映画の撮影時間じゃないからね?

 

「リョウ様? 一体、『誰が』『どこで』『なぜ』『何を』『どのように』したというのですか?ええ、『いつ』の事かも含めて、すべて説明して下さい?」

 

ミリィさんが、メガネをクイッと上げながら俺を見る。

 

「リョウ?昨日、瞳さんに何したのよ!」

 

瞳ちゃんの声を聞いたカオリが、俺に詰問する。

 

「ちょっと、リョウ?私とテアちゃんが温泉に入ってる時は私たちの所に来なかったくせに、まさか瞳ちゃんとは仲良く一緒に温泉に入ってたなんて事はないでしょうね?」

 

ヴェルダンディが、優しい笑顔で俺を問い詰めてくる。

 

「パパ?私とは、いつ一緒に温泉に入ってくれるの?」

 

珊瑚が、ウルウルした目で俺を見る。

 

「リョウ!?わ、私は、此れから温泉に行くから、アンタも来ても良いのよ?それで、二人で温泉に浸かりながら・・・」

 

ネアさん?

 

顔を真っ赤にして一体、何を想像してらっしゃるんですか?

 

「主、一緒に温泉行く。そして、お互いに身体を洗う。それで、全て解決!」

 

瑞、それは流石に駄目だぞ?

 

俺には、まだやりたい事、しなきゃならん事があるんだ。

 

今此処で、この世界の警察機構である軍に、しょぴかれる訳にはいかんのだよ!

 

「お兄ちゃん!私も、一緒に行く〜!お兄ちゃん、私とか珊瑚ちゃん、ポポちゃん、瑞ちゃん位の年頃の娘が大好きだもんね?」

 

めぐりちゃん?

 

お願いだからこれ以上、俺の罪を増やさないで?

 

「めぐり、待ちなさい!此処は先ず母親である私が、リョウさんと組んず解れつ話し合いをして・・・」

 

ちょっと、哀さん?

 

何を、言ってらっしゃるんですか!?

 

あんた、旦那さん居るだろ?

 

「まぁまぁ、お待ちなさって?ならば私も、リョウ様と裸の付き合いをさせていただければと存じますわ!」

 

み、美星さん!?

 

旦那さんである宇治茶博士が、ガチ泣きしてますから止めて下さい!

 

後、宇治茶博士?

 

俺を睨んでも、どうにもなりませんからね?

 

「リョウさん、酷いです!私と一緒に、温泉に浸かりながら『ゴモリー?君の肌は、本当にスベスベで美しいな!君の様な美しい女性が、俺の傍に居てくれるなんて、本当に幸せだよ』って、私の耳元で囁いたのは嘘だったんですか!」

 

ゴモリーさん?

 

俺はゴモリーさんと、いつ一緒に温泉に入って耳元で囁きましたか?

 

それこそ5W1Hで回答を、お願いします。

 

「リョウ、君って奴は私やヴェルダンディ師匠に隠れて瞳大尉と混浴ドキュンだなんて、早く私を温泉で辱めてくれ!」

 

テア博士?

 

ちょっと、意味が通じない文章なんですが?

 

「・・・リョウ、一緒に温泉に入って『お姉ちゃん、身体洗ってあげる!終わったら、ぼくの身体も洗ってね?』って、言う」

 

リリーさん、その要求は非常に高レベル過ぎませんか?

 

「リョウ〜!温泉に一緒に浸かりながら〜、ソフトクリーム食べたい〜!」

 

マリーさん、温泉に入りながらじゃ無くて、温泉を上がってからでは駄目ですか?

 

そんな俺の姿を見ていた瑞の西洋甲冑は、ガシャリと大げさに肩をすくめ、首を左右に振りながら両手のひらを上に向け『やれやれ、また始まったよ』と、言わんばかりの外人リアクションで眺めてるし、珊瑚の龍ロボは阿呆を見る様な眼差しで俺を眺めている。

 

おい?!

 

俺は、お前たちの創造主なんだけど?

 

なんでお前等、俺にだけ塩対応なの?

 

俺も、泣くよ?

 

取り敢えず、気を取り直して酒を呑みつつ説明を続ける。

 

「今の様に、攻撃意思が無い場合は、無効になっちゃうから、気を付けてね?でも、瞳ちゃんはシステマの達人だし大丈夫かな?」

 

俺はチラチラと、瞳ちゃんの様子を伺いつつ、通常の3倍のスピードで酒を煽る。

 

もうね、さっきみたいに酔った状態の方が安全だよね!?

 

「リョウ?私は、お前と婚約した!そうだな?」

 

瞳ちゃんは、下を俯きプルプル震えながら俺に言う。

 

「・・・婚約?うん!瞳ちゃん、ぼくと結婚して!」

 

俺は再度、順調に酔いが回りケラケラ笑いながら答える。

 

その言葉に、瞳ちゃんは物凄く嬉しそうな笑顔でガッツポーズをしている。

 

すると、他の女性陣たちから『ちょっと!リョウ、私にも言いなさい!』や『酒に酔って言ったとは言え言質を取れば、それが法的な効果を発揮します!リョウ様は、なかなか態度が煮えきらないから、今がチャンスですね!?』と、メガネをクイッと上げながら言ったり『パパ!私とも結婚して!』や『人妻でも・・・』等の危険発言まで飛び出した。

 

「うん!ぼく、みんな大好きだから、みんなと結婚する!幸せになろうね?でも、哀さんと美星さんはダンナさん居るから、ごめんなさい!」

 

俺は、ペコリと丁寧に頭を下げる。

 

その答えを聞いた哀さん、美星さんは『リョウさん?義理の息子で、危険な関係とか昼ドラみたいな展開なら良いのね?!』や『やはり、離婚を検討いたしましょうかしら・・・』と、ボヤいている。

 

因みに解説すると、この世界では一夫多妻も多夫一妻も認められている。

 

だが、既婚者がさらに別の家庭へ新しく加わる事は出来ない。

 

新しく結婚相手を増やして家庭を広げられるのは、あくまで独立して家を構える『その家庭の主』だけなのだ。

 

つまり、お互いが『主』として独立した家庭を持っている場合、主同士がそのまま結婚して家を合併させるような真似は出来ない。

 

どちらかが家を畳んで独身に戻るか、あるいはどちらかの家に『加わる側』として籍を入れるしかない。

 

要するに美星さんは、俺の『夫人の一人』になる為・・・すなわち、俺が主となる家庭に『加わる側』として滑り込む為に、宇治茶博士と一度離婚して『独身』に戻るという、恐ろしくロジカルな法的手続きを瞬時に計算してボヤいているのだ。

 

もちろん美星さんは『宇治茶博士を、からかうための冗談』なのだが、愛する旦那を嫉妬させる為の計算が、早すぎて恐ろしい。

 

隣でガチ泣きしている博士が、不憫でならない。

 

そして、哀さんの方も本気なのか冗談なのか『籍はそのままで義理の息子(愛人)』という、法律的にもモラル的にも完全にアウトな昼ドラルートを開拓しようとしている。

 

俺を自分の家庭の夫として引き込もうにも、俺が他の独身組と結婚して『主』として独立してしまえばそのルートが閉ざされる。

 

だからこそ、今のうちから戸籍に縛られない禁断の関係を冗談で言って愉しんでいる。

 

人妻組の冗談なのか、本気なのか判断が出来ない言葉が怖すぎる!!

 

 

 

 

 

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