異世界転生   作:MSZ-006

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さて、気を取り直して、魔導具の説明だ!

 

俺を見つめ続けるゴモリーさんを、最初のターゲットにして声を掛ける。

 

「ゴモリーちゃん、魔力流して?」

 

「ふぇっ?!う、うぅん!分かりました。魔力を流しますね?」

 

ゴモリーさんは上擦った声を出し、咳払いしてから胸元に着けた『安全ピン型のアクセサリー』に魔力を流す。

 

すると、目の前に体長1メートル程の二足歩行する猫が現れる。

 

その出で立ちは、左腰にレイピア風のスモールソード。

 

頭には、往年の大剣豪を思わせる、ツバの広い鮮やかな赤い帽子をかぶっている。

 

風が吹くと、ふわりと揺れる大きな白い羽根飾りが、その誇り高き佇まいをいっそう際立たせていた。

 

そして、艶やかな漆黒の体には中世の騎士さながらの銀色に鈍く光るチェインメイル。

 

足元をカチリと引き締めるのは、明るい茶色のブーツだ。

 

外見は愛らしい黒猫だが、その挙動は洗練された本物の騎士そのものだった。

 

猫は左手を腰のスモールソードに添えると、右手で赤い羽根のついた帽子を優雅に脱ぎ、それを前方へ大きく回し出す。

 

そのまま片足をスッと後ろに引き、上体を深く傾けて、シャランというチェインメイルが擦れる小気味いい音を奏でながら、ゴモリーさんに向けて完璧な貴族風の礼を捧げた。

 

「はじめましてニャ!我が主。御命令をニャン!」

 

そう黒猫が、ゴモリーさん語り掛ける。

 

「か、可愛い〜!リョウさん、可愛すぎます!何ですか?!この子!」

 

ゴモリーさんは、目の前の騎士風猫に大興奮だ。

 

周りの女性陣も、黒猫の姿を見て感嘆の声を上げている。

 

黒猫は礼をしつつ、チラッと俺を見る。

 

すると、黒猫は俺に対して同じ礼をして俺に話し掛けて来る。

 

「はじめましてニャ、創造主様!因みに、マタタビ欲しいニャ!」

 

そう言って、黒猫は懐からエルダーエント製の煙管を取り出し、マタタビを強請ってくる。

 

「ゴモリーちゃん、そのヌコが持ってる煙管は一応、武器なんだよ?」

 

「創造主様?吾輩は、ヌコじゃないニャ!猫ニャ!!」

 

黒猫は俺の言葉に対して、心外だといわんばかりに涙目で地団駄を踏んで抗議する。

 

自分で創っておいて言うのもなんだが、可愛いなコイツ・・・。

 

「リョウさん!この子、凄く可愛いです!アナタ、名前は何て言うの?」

 

ゴモリーさんは、俺を見ながら猫に声を掛ける。

 

「吾輩には、まだニャ前がニャいニャン!どっかの創造主様が、ニャ前をつけてくれなかったニャン」

 

そう言って、俺をジト目で見てくる黒猫。

 

・・・何、お前!?

 

一々、仕草とか発言が可愛いんだけど?!

 

「あ〜、うん!名前は、主人たるゴモリーさんにつけて貰えば良いかな〜って」

 

「ニャる程?では、吾輩のニャ前が『駄作』とか『クソ猫』とか、はたまた『イカれたマヌケの役立たず』ってニャ前でも良いと、創造主様は仰るニャ!?」

 

黒猫は更に、俺をジト目で追求してくる。

 

「ちょっと待って!ゴモリーちゃんが、そんなおかしな名前つける訳ないよ〜?」

 

「そうです!そんな酷い名前、つけたりしません!私が名前をつけるなら・・・。そうですね!ポチとかどうですか?」

 

「ゴモリーちゃん?猫の名前だよね?」

 

「吾輩、猫ニャ!?」

 

俺と黒猫は、驚愕しながらゴモリーさんを見る。

 

「あら?駄目ですか?なら、ゴンとか・・・」

 

黒猫が、俺を見つめている。

 

その瞳は『は、早く助けるニャ!お前が、吾輩の名前をつけるニャ!』と、言ってる様な感じだ。

 

俺は次元収納から魔導マタタビ、その名も『魔導木天蓼』と言う、特別な漢方薬としても使われるマタタビを取り出し黒猫に渡す。

 

この『魔導木天蓼』という植物は、猫科のモンスターを捕獲する時に、非常に役に立つアイテムでもある。

 

先ほど、めぐりちゃんに分けて貰った最高級の逸品で、俺が猫の魔導具を創ると言ったら分けてくれた物だ。

 

黒猫はゴロゴロと喉を鳴らしながら、俺から『魔導木天蓼』を受けとり煙管に詰めて、指先に火を灯して吸い始める。

 

そして煙を燻らせながら、早く名前を決めろと言わんばかりに俺を見ている。

 

「そうだなぁ〜、クロとかタマとかどうかな?」

 

黒猫は、ため息と共に白煙を口から吐き出し、俺に言う。

 

「創造主様?創造主様が日本人ニャのに、権座伶素(ゴンザレス)とか、舞家瑠(マイケル)とか微里威(ビリー)なんて、ニャ前をつけられたらどう思うニャ?」

 

そんなに、今の名前は酷いのか?

 

俺は結構、真面目に考えたつもりだったんだけど?

 

「じゃ、ランスロットとかノワール、シャドウとかどうかな?」

 

「創造主様?吾輩は、円卓の騎士のニャ前は、イヤにゃ!それから、ノワールはフニャンス語で黒、シャドウは英語で影ニャ?けど、それは吾輩の体色を見て言ってるニャ?創造主様、吾輩の持つこの『スモールソード』は、針のようニャ剣ニャけど、魔力を流せば斬る事も可能ニャ?名前はスモールでも、創造主様を斬る事も可能ニャ?」

 

黒猫は煙管を燻らせながら、ジト目で俺を脅す。

 

「別に、ぼくはふざけてなんかいないぞ!じゃ、この名前でどうだ!お前は『セレーネ』だ!」

 

「セレーネ!?素晴らしいニャ!創造主様、やれば出来る子ニャ!因みに、月の女神様ニャ?」

 

セレーネは、自身の懐から出した携帯灰皿に煙管の中身を捨て、煙管と共に携帯灰皿を仕舞うと、左腰のレイピア風のスモールソードを鋭い金属音と共に引き抜いた。

 

そして、その細い刀身をピシッと垂直に立て赤い帽子のツバの先、ちょうど自身の口元の前へと持ってくる。

 

「我が創造主様、そしてゴモリー様。このセレーネの剣、あなた方に捧げますニャ。後、セレーネは長いから、セレネだニャ!」

 

ブーツの踵をカチリと鳴らし、セレネは不敵に笑うと、掲げた剣先を斜め下へと鋭く振り下ろし、流麗な騎士の敬礼を捧げた。

 

ゴモリーさんは、セレネの宣誓を聞いて「カッコ可愛い!」と、感動している。

 

そんな姿を見ていたミリィさんが、セレネに声を掛ける。

 

「はじめまして、セレーネさん?私の名前はミリィと言います。アナタが、お持ちの武器はスモールソードですね?私と、手合わせして頂けませんか?」

 

ミリィさんは、クイッとメガネを上げながら次元収納から高位魔導武器、細剣『エピオン』を取り出し言う。

 

「はじめましてニャ!ミリィ様、お手柔らかにお願いしますニャ!後、セレーネじゃ無くてセレネと、お呼び下さいニャ!」

 

そう言って、セレネはスモールソードを抜いてミリィさんと向かい合う。

 

お互いに、剣を抜き構える。

 

最初に動いたのは、ミリィさんだ。

 

ミリィさんの鋭い突きが、セレネの胸元を狙う。

 

それをセレネは、左手に隠し持っていた魔導煙管で受け流す。

 

そして、反撃にスモールソードを突き出す。

 

ミリィさんは身体の重心をずらし、セレネの鋭い一撃を紙一重で躱す。

 

キンッ、ギャリンッと、お互いの剣撃が火花を散らす。

 

間合いが詰まり、お互いに鍔迫り合いになる。

 

ギギギ!

 

お互いの魔導武器が、鍔迫り合いにより悲鳴を上げる。

 

セレネが、魔導煙管でミリィさんを殴打しようとするが、それを察知したミリィさんは素早くセレネの足を払う。

 

セレネは、攻撃を中断し片足を引いて足払いを躱し、その勢いのままトンっとバックステップで距離を取る。

 

お互いに距離を取り、ミリィさんが微笑みながらエピオンを納刀し、次元収納に仕舞いながらランに言う。

 

「素晴らしい、身のこなしですね」

 

「有難う御座いますニャ!ミリィ様も、とても素晴らしい剣技と体術ですニャ!」

 

セレネは、ヒュンと剣を一振りし鞘に戻す。

 

達人同士の、素晴らしい剣技だったな。

 

「そう言えば、ゴモリーちゃん!セレネには、ちょっと残念な弱点があって・・・」

 

俺は、ゴモリーさんに申し訳なさそうに声を掛ける。

 

「創造主様?吾輩には、弱点なんてニャいニャ!?」

 

「いや、ある!お前は、此れを見てもそんな事が言えるのか?」

 

俺は、次元収納から猫が大好きな猫じゃらし風の玩具を取り出し、セレネに見せびらかす様に振ってやる。

 

「そ、そんな物で、吾輩は・・・フニャ〜!」

 

俺が左右に手を動かすとセレネは、首を左右に動かし必死になって抵抗していたが、最後には我慢できず玩具に飛び付いて来た。

 

そして、俺の手から玩具を奪い取ると、フニャフニャ言いながら玩具にじゃれついている。

 

「ね?」

 

俺は、残念そうな顔でゴモリーさんを見るが、ゴモリーさんは尊い物を見る様な目でセレネを見ている。

 

暫く、猫じゃらしと戯れたセレネは、ハッと我に返り何事も無かったかの様に立ち上がり懐から煙管を取り出しマタタビを詰めてふかし始めた。

 

いや今更、格好つけても遅いぞ?

 

ほら、ゴモリーさんも他の女性陣も、お前の事を凄く可愛い者を見る目で、優しく見つめてるぞ?

 

「ふぅ・・・、まぁ吾輩の様な完璧な存在に、弱点なんてニャいですニャ!」

 

セレネが白煙を吐き出し一言、述べる。

 

俺は、ちょっと呆れながらセレネを見ていると、魔導甲冑と龍ロボが俺の近くにやって来た。

 

そして、魔導甲冑が地面に蹲り指先で字を書き始める。

 

『猫に名前をつけて、私と龍の名前が無い。此れは、差別だと思うが?何なら、法的手段で訴える事も考慮している!』と、綺麗な字で抗議文を書く。

 

龍ロボはそれを見て、俺に対して『ウンウン』と、頭を動かしている。

 

え〜と君ら、さっきの俺に対する塩対応は何だったの?

 

阿呆を見る様な眼差しで、俺を見てたよね?

 

「創造主は俺だけど、君らの主人は瑞と珊瑚だけど?」

 

俺が魔導甲冑と龍ロボにそう言うと、魔導甲冑は再度、地面に綺麗な字で文字を書く。

 

『お前は、創造主たる責任を放棄する気か!?そんな事だから、医療支援ロボットに連れて行かれた変態に「女心が理解って無い」なんて、言われるんだ!』

 

魔導甲冑は、プンスカしながら俺に抗議文を見せる。

 

「グラァ!グァ!」と、龍ロボも同意している様だ。

 

「う〜ん、分かった。ミズキ〜!サンゴ〜!ちょっと、お願いがあるけど良いかな?」

 

俺が瑞と珊瑚に声を掛けると、二人は直ぐに俺の所に来てくれる。

 

「主、どうしたの?」

 

「パパ、何?」

 

「うん〜!実は、ちょっと温泉宿の売店で魔導通信機を買って来て欲しいんだ!西洋甲冑も龍ロボも、言葉が通じ無いのは大変だろうし、何より地面に字を書くのは下が泥沼とかだと、出来ないでしょう?だから、お願いしても良いかな?デザインは、好きなデザインを選んでね?」

 

「うん、分かった。行って来る!」

 

「パパ、優しい!じゃ、行って来るね?」

 

二人は一緒に、売店にお使いに行ってくれた。

 

「地面に字を書くのは大変だろうし、龍ロボも言葉が通じる無いのは、不便だもんね?」

 

俺は、二体を見ながら声を掛ける。

 

すると、西洋甲冑は地面に綺麗な字で『有難う。でも、それなら最初から魔導通信機を持たせるべきでは?』と、抗議文を書く。

 

それに対して、龍も同意している。

 

「ごめんね?だって、意思表示出来るとは創ったぼくでも、思わなかったんだよ〜」

 

西洋甲冑はガシャリと大げさに肩をすくめ、首を左右に振りながら両手のひらを上に向け、外人リアクションで『やれやれ』と反応する。

 

龍ロボに至っては、ちょっと前と同じ様に阿呆を見る様な眼差しで、俺を眺めている。

 

「な゛ん゛て゛た゛よ゛〜!な゛ん゛て゛、そ゛ん゛な゛は゛ん゛の゛う゛す゛る゛ん゛た゛よ゛〜」

 

俺は四つん這いになって、泣きながら地面を叩く。

 

そんな俺の反応に対して、西洋甲冑と龍は、流石にマズいと思ったのかオロオロし始める。

 

それを見るに見かねたカオリが「単なる酔っぱらいの戯言だから、気にしなくて大丈夫よ?」と、優しく西洋甲冑と龍に声を掛ける。

 

そんなやり取りをしていると、珊瑚と瑞が帰って来た。

 

「パパ〜、買ってきたよ〜!何で泣いてるの!?」

 

「主、ただいま・・・。何があった?」

 

珊瑚と瑞は、俺の姿を見て呆然としている。

 

「ピィちゃん?瑞ちゃん、大丈夫よ?リョウは、酔ってるだけだから」と、カオリが珊瑚と瑞に説明し始める。

 

「リョウ、泣くな!ほら、立ってコレを飲むんだ」

 

テア博士が、俺に飲み物を渡してくれる。

 

「テ゛ア゛ち゛ゃ゛ん゛、み゛ん゛な゛ひ゛ど゛い゛ん゛た゛よ゛〜!」

 

「リョウ?分かったから、落ち着いてコレを飲みなさい?」

 

テア博士が、優しく俺を引っ張って立ち上がらせながら俺にそう言う。

 

「テアちゃん、優しいね〜!ぼくと結婚して〜?」

 

「わ、分かった!結婚しよう!婚姻届を明日、市役所で貰ってくるからな?」

 

「テア博士、私の分も頼む!」

 

瞳ちゃんが、テア博士にそんな事を言う。

 

すると、独身組の女性陣がこぞってそれに参加する。

 

「・・・私の魔導バイクで行けば、直ぐに済む。明日の朝、市役所が開いたら行って来る。リョウは、この為に魔導バイクを私に授けた」

 

リリーさんが、皆の分を貰いに行くと張り切っている。

 

 

 

 

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