異世界転生   作:MSZ-006

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温泉宿の入り口まで、赤色灯付きの軍用車に乗って、其処から今度は瞳ちゃんと一緒に徒歩で来た道を戻る。

 

因みに、赤色灯付きの軍用車両は、めぐりちゃんの小道具で既に魔導カプセルに戻してある。

 

今、瞳ちゃんから聞いたよ。

 

さき程の場所に戻ると、今度は皆でワイワイとBBQしてる。

 

めぐりちゃんは、そんな皆の姿をハンディカメラ的なモノで撮影している。

 

俺が帰って来た事に気付いためぐりちゃんは「お帰り、お兄ちゃん!さっきの演技、凄く良かったよ!後で、皆で見ようね?因みに今撮ってるのは、エンディングの日常部分のシーンだよ?」

 

「あのね?ぼくは、さっきセレネに性別を聞いただけなんだよ?それが、何でこんなコントじみた、ドラマ撮影になってるのかな?それに、まだ他の魔導具の説明が、出来てないんだけど?」

 

「そう言えば、そうだったわね?明日、婚姻届を取りに行って貰う話で、すっかり忘れてたわ?」

 

ネアさんは、そんな事を言う。

 

「婚姻届?それより、ネアちゃんとユカちゃん、ポポも魔導具の説明させてよ!」

 

俺は婚姻届の部分を全く考えず、聞き流して魔導具の説明をする。

 

「ネアちゃん、その『がま口財布型のショルダーバッグ』に、魔力流して?」

 

「じゃ、魔力を流すわよ?」

 

すると、『がま口財布型ショルダーバッグ』がパチンという小気味よい音がして開き、ネアさんの手にはエント製の『魔導南京玉すだれ』が、カチリと握られていた。

 

バッグ自体は、そのまましっかりとネアさんの肩に掛けられている。

 

「リョウ?なんで、南京玉すだれなのよ!?」

 

ネアさんは、困惑しながら俺に聞いてくる。

 

「え〜?だってネアちゃん、双六の時の『南京玉すだれ』凄くカッコよかったよ?だから『魔導南京玉すだれ』にしてみた!」

 

俺はニコニコ笑いながら答えて、少し離れた場所に、次元収納から新たな標的を取り出し地面に挿す。

 

「双六の時みたいに、標的を攻撃してみて?」

 

ネアさんは、『魔導南京玉すだれ』を標的に向って一直線に伸ばす。

 

まるで生きている蛇を思わせる様な素早い動きで、標的を一瞬にして粉微塵に切り刻む。

 

「それで、その『魔導南京玉すだれ』は、双六の時と同じで、十手とかにも変形可能だし、武器以外だとミニチュアの車とかスケボーとかも出来るよ?因みに、スケボーはちゃんと乗れるし、ミニチュアの車は遠隔操作可能で自走するからね?」

 

それを聞いたネアさんは、『魔導南京玉すだれ』で、様々な物を形作る。

 

警棒、十手、盾、弦のない弓、槍と様々な物に変化させる。

 

「それでね?弱点なんだけど・・・」

 

俺はもの凄く申し訳なさそうに、ネアさんに声を掛ける。

 

「『魔導南京玉すだれ』の最長は、大体10メートル、それ以上は伸びないんだ。遠隔操作が可能な車とかは、思考を読み取れる限界が最大で100メートルまでなんだ。後、弓にしても弦がないと、駄目なんだ。ごめんね?」

 

「リョウ、謝る事じゃないでしょう?弱点の説明よね?長所の説明にしか、聞こえないんだけど!?そもそも、私の持ってる魔導ウルミですら、3メートルが限界で、直剣だと1メートルなのよ?後、弦はミラージュスパイダーの糸を使用すれば、問題ないわね!矢さえ調達できれば、ボウガンに変形させる事もできるし、言う事なしじゃない?」

 

ネアさんは、『魔導南京玉すだれ』を車に変形させて、ラジコンカーの様に走らせている。

 

「うふふ!ネアちゃんに、そう言って貰えると嬉しいな!」

 

ネアさんは、俺を見て真っ赤になりながら『魔導南京玉すだれ』ラジコンカーを爆走させる。

 

「そ、そんな顔されたら!」

 

ラジコンカーになっていた『魔導南京玉すだれ』が、今度はミニチュア戦闘ヘリ『アパッチ』になって戻って来た。

 

「ネアちゃん、凄いね!どんどん進化してる!」

 

俺は拍手しながら、ネアさんの『アパッチ』を見る。

 

「お父さん?僕の魔導具は?」

 

ポポが、俺に話し掛けて来た。

 

ポポはさき程、演技で号泣していたのに、今は全くいつもと変わらない。

 

本当に、凄い役者だよね?

 

白目で『ポポ、恐ろしい子!』ってなるのは、此れで二回目だよ?

 

「ポポ、さっきの演技、凄かったね!ポポは、役者デビューするべきだと思う!セニョール監督に勧誘されてたから、お願いしてみるよ!」

 

俺は、そう言ってポポを褒める。

 

「あ、有難う、お父さん!でも僕は役者より、お父さんと結婚して早く、ご主人や皆と一緒の家で、暮らしたいかな?」

 

「そっか!なら、早くしないとだね?ぼくも、頑張って仕事しないと!それで、大きな一軒家を買うか作るかしないとだね!」

 

俺は酔っている為、そんな返答をしてしまった。

 

「お父さん?今の言葉、忘れちゃ駄目だよ?もし、忘れたなんて言ったら・・・」

 

ポポが、言葉の最後の方でブラック・モルダバイト的な雰囲気になる。

 

底冷えしそうな声音で、俺に言葉を掛けてくるポポ。

 

「と、取り敢えず、魔導具の説明しようか?」

 

俺は、ポポの雰囲気に耐えられず話題を変える。

 

「うん!じゃ、魔力を流すね?」

 

ポポは、いつもの可愛い雰囲気に戻ってスニーカーにつけた『シューレースチャーム』に魔力を流す。

 

するとポポの目の前に細身の猪八戒型魔導鎧が、目の前に鎮座する。

 

「それは、『猪八戒』って言って物語の中に出てくる元『天帝水軍の優秀な神』って存在なんだよ?でもね?酒癖が悪くて、上司である神様を怒らせて追放されちゃったけど、偉い坊さんと一緒に旅をするって内容の話なんだよ」

 

俺はニコニコしながら、ポポに話をする。

 

すると話を聞いていたゴモリーさんが、話の補足をしてくれる。

 

「その話は、有名な話ですね!もう少し付け加えると、下界で転生する時に、間違えて『雌豚の胎内』に入ってしまったため、生まれた時からすでに顔が豚、体は人間の『豚の化け物』になってしまったの。最初は術で人間のイケメンに化けて潜り込んでいたのね?人間界で人として暮らして結婚する猪八戒は、自分の正体がお嫁さんにバレて、そのお嫁さんを軟禁し旅の途中の僧侶と猿の武人に問い詰められる。そして猿の武人と大喧嘩した末に、フルボッコにされるの。でも、下界に行く際に観音菩薩様から『三蔵法師を助けて天竺へ行けば罪を許す』と言われたことを思い出してね?止めに入ったお坊さんが『三蔵法師』だと気づいて平伏し、共に旅をするって話なのよ。面白いでしょう?ポポちゃん!」

 

ポポはゴモリーさんの話を聞いて、なぜか俺を見つめて『酒癖が悪くてって辺りは・・・。でも、そんなヤンデレなお父さんも・・・』等と、頷いている。

 

「ポポ、ぼくは、ストーカー紛いの危険人物じゃ無いよ?!ちゃんと、相手の同意を得た上で、キチンと真面目に交際するし、それが駄目な時は諦める。そもそもぼくは、酒癖悪くないよ?」

 

「・・・リョウ、酔っ払いは皆、同じ様な事を言う」

 

リリーさんは、いつもの眠そうな目で俺を眺めて言い放つ。

 

「え〜!リリーお姉ちゃん、それは酷いよ〜?ぼくは前世から、そんなにお酒呑まないもん!」

 

「そうね、リョウは酔っ払っても、楽しく酔うだけよね?」と、話を聞いていたヴェルダンディがニッコリ笑って俺に言う。

 

「でも、ポポちゃんが言いたい事は分かりますね?愛する人になら、監禁されても構わないって思うのは・・・」

 

ユカさんが、さっきのポポみたいな状態でファム・ファタルな目で俺を見てるよ?!

 

「それ、理解る!でも、大前提として『愛してる』って事が、大事よね?」

 

ネアさんも、ユカさんの言葉に同意している。

 

「なる程?では、リョウ様は様々な変態属性+ヤンデレでもあると?」

 

ミリィさんが、メモを取り出し何やら書き込んでいる。

 

「ちょっと!ミリィちゃん?ぼくは、ヤンデレじゃないよ〜?」

 

俺は、慌てて否定する。

 

「リョウ〜、変態属性って所は、自覚してるんだね〜?」

 

マリーさんが、ニコニコしながら大皿に山盛りにされた料理を、途轍もないスピードで消費しながら俺に言う。

 

「マリーお姉ちゃん!昔の偉い人は言ったよ?『紳士よ、変態であれ!変態よ、紳士であれ!』って」

 

因みに、此れは俺の人生観だ。

 

決して無理強いせず、常に相手を思いやる心を持って接する。

 

そんな、高等な気高くも美しい心意気さ!

 

「確かに、愛する相手を独り占めしたくなる気持ちは、分かるな。そして、パパにそんな風に愛されたら・・・」

 

話を聞いていた珊瑚が、小さな拳を胸の前で握りしめ、頬をぽっと赤く染めながら、すっかり己の世界へと旅立ってしまった。

 

帰って、来〜い!

 

「ニャる程?確かに、創造主様がそんニャ風に吾輩たちを求めてくれるなら、吾輩も嬉しいですニャン!」

 

セレネが、魔導煙管を燻らせながらそんな事を言う。

 

それを聞いた、魔導甲冑と龍ロボが話に加わる。

 

「それ、理解る!『お前は、俺だけのモノだ!甲冑なだけにな?』とか言われたら、胸キュンだよね!?」

 

「そうね!創造主ドSだから、『お前の長い身体を柱に巻いて、最後は綺麗に蝶結びで身動き出来なくして、一生離さない!』とか、言われたらどうしよう!?龍なだけに」

 

最後の龍なだけにって、ちょっと意味が分からんよ?

 

要は、蛇みたいに身体が長いから柱に巻いて、蝶結びされたいってヤンデレ要素?

 

ワイワイと他の女性陣が『愛』について盛り上がっているが、俺はポポに猪八戒型の魔導鎧の説明をする。

 

「ポポ?この魔導鎧は、瞬間的に身体に密着してポポの体型に完全フィットする仕様だから、安心してね?因みに魔導鎧だと普段、邪魔になるでしょう?だから、こうしたんだ!」

 

俺がパンパンと柏手を打つと、猪八戒型の魔導鎧が、以前のポポの様な可愛い黒子豚に変化する。

 

「ピィ〜!」

 

黒子豚は、ポポの足元に擦り寄って頭を擦り付けてスニーカーにつけられたら、黒子豚の『シューレースチャーム』が、可愛く揺れている。

 

因みに、『本体が外に出ていても、チャーム自体は消えない安心設計さ!』キラッ!と、ちょっとお茶目な一人ツッコミを脳内で完成させる。

 

「かわいい・・・!」

 

女性陣の『愛』の熱論が一瞬で止まり、みんなの視線がポポの足元に釘付けになる。

 

「本当だ〜!美味しそ、じゃなかった〜、可愛いね〜!」

 

マリーさん?

 

危険な発言があった様な気がしますが、敢えてツッコミませんよ?

 

「ぴ、ピギィー?!」

 

マリーさんの本気か冗談なのか分からない発言を聞いた黒子豚が、涙目になりながら悲鳴を上げる。

 

「大丈夫だよ?僕が居るから、食べられないからね?」

 

ポポは、愛おしいそうに黒子豚を抱き上げて撫でている。

 

そんな姿を眺めつつ俺は、ポポに声を掛ける。

 

「ポポ?丁度良いから、そのまま鎧を着るイメージをしてみて?」

 

「うん!」

 

ポポが返事すると、黒子豚は一瞬で光の粒子になりポポの身体に巻き付く。

 

そして、ポポは黒い猪八戒型の魔導鎧を身体に纏い、その重厚な見た目とは裏腹に、どこかおっとりと佇んでいる。

 

「す、凄いよ!お父さん!?全然、着てる感じがしない!」

 

それを見たカオリが、呆れたようにクスリと笑う。

 

「ピィちゃんもそうだけど、リョウの事を『パパ』とか『お父さん』呼びなのよね。血の繋がらない関係だから、傍から見てると危ない発言にしか聞こえないけどね?」

 

「カオリ?珊瑚もポポも瑞も、ぼくにとっては大切な娘や妹みたいな存在だよ?ポポ、エルダーエント製の魔導鎧だからね?他の人たちのプレゼントもそうだけど、高位の魔導具だから、重量も感じないし何より己の意思に敏感に反応してくれる。だから『考えるな!感じろ!』が、即実践できるんだよ?」

 

ポポは、俺の言葉を聞いて残念そうな顔をしているが、気を取り直して

八極拳の震脚を試している。

 

『ズンッ!』

 

地面を伝って、俺の居る少し離れた場所まで地響きが伝わって来る。

 

うんうん!

 

素晴らしいな!

 

因みに、俺がこの猪八戒型の魔導具を創った経緯は、『ポポってフォンファさんに弟子入りして、ゴモリーさんから陰陽乾坤圏(いんようけんこけん)や月牙鏟(げつがさん)の扱いも教わってるよね?→八極拳や凄い武器術を習う事になるけど、それでも戦闘で怪我したら嫌だな→月牙鏟って河童が使ってた僧侶の武器だよね?→なら、ポポは元黒い子豚の魔導具で、俺の魔力から生まれた存在だし、猪八戒とかどうかな?→じゃ、猪八戒型の魔導鎧にしよう!』という、『完全完璧』で『理路整然』とした『完全無欠』で『安心安全』な思考に基いて、考案されたんだよ!

 

まぁ、本来の物語としては沙悟浄は河童じゃないらしいし、月牙鏟も使ってないみたいだけど、俺の思考は前世の知識だから仕方無いよね?

 

そんな言い訳じみた思考をしながら、俺はポポを見つめる。

 

 

 

 

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