異世界転生 作:MSZ-006
「え〜と、どうしたの?」
俺は、円な瞳でジッと俺を見上げる『魔導唐傘おばけ』に声を掛ける。
すると『魔導唐傘おばけ』が、魔導通信機のパネルを表示する。
[YO〜YO〜、創造主YO〜!お前、さっき『物扱いは許さないけどね?ぼくにとっては、家族同然の存在だから!』って、言ったYO〜!それを聞いて、私は凄く感動したんだよYO!この姿、可愛いかYO〜?]
また、随分と斜め上のキャラになったな?
和傘なのに、何でラップ調の喋り言葉なんだよ?
後、お前まで魔導通信機を食べたのか?
まぁ、さっきアイリスと沙羅がそれをやったから、もう驚かないけどな?
「うん、凄く可愛いよ!所で、買って貰った魔導通信機はどうしたの?食べたの?」
[うふふ!そんな事、言われたらYO〜!嬉しくて、嬉しくて踊りだしたくなるYO〜!魔導通信機?あ〜、食べたYO〜?チェケラ!]
『魔導唐傘おばけ』が、長い舌をビタンビタンしながら、喜びを表現している。
やっぱり、食ったんだ・・・。
「あのさ、一応聞くけど、大丈夫なの?具合悪くなってない?お腹痛いとか、大丈夫?」
[創造主YO!お前、優しすぎ〜!だからみんな、お前にベタ惚れYO〜!お前、責任取ってYO〜!私を抱きしめろYO〜!YOYOチェケラ!]
「抱きしめろって、君は和傘だろう?」
そう言って、俺は『魔導唐傘おばけ』の足(柄)を握り肩にヒョイっと担ぐ。
「抱きしめはしないけど、此れならどうかな?」
俺が『魔導唐傘おばけ』を開いて、チラッと上を見上げる。
「きゃ〜!下から見るなYO〜?!私の中身を見るなYO!恥ずかしだろうYO〜!このバカ野郎〜!チェケラ!」
「ちょ、ちょっと?!そんな叫び声を上げると・・・」
俺が焦って『魔導唐傘おばけ』を畳んで、下ろしたが時既に遅し。
「リョウさん?唐傘ちゃんに、何してるんですか?」
ユカさんが、頭に可愛い犬耳カチューシャを着けて、俺を冷めた目で見ている。
「ユカちゃん?な、何もしてないよ!?本当だよ!」
「リョウ?この唐傘おばけも、話せる様になったのか?」
瞳ちゃんが、小さくて丸い耳がペタッと横向きに着いた、多分アレはカワウソだなを着けて『魔導唐傘おばけ』を眺めて、俺に聞いてくる。
「う、うん!さっき喋れる様になったみたい」
「なる程、では質問します。唐傘さん?アナタは、リョウさんに何かされましたか?」
ミリィさんが、頭にウサ耳を着けてメガネをクイッと上げながら『魔導唐傘おばけ』に質問する。
「創造主、結構大胆だYO!私を優しく担いで〜、さりげなく下から見上げてYO〜!私の身体を、舐め回すように見るYO〜!キャ〜!恥ずかしいYOYO〜チェケラ!」
おい!
止めろ!
そんな事を言うと、また大変な事になるじゃないかYO!
「り、リョウ?わ、私も覗いて良いんだぞ?ハァハァ」
テア博士が、可愛いブタ耳を着けてピコピコ動かしながら危険発言をする。
凄いね〜!
動く耳とかあるんだ〜!
流石、魔導科学が進歩した世界は凄いなぁ〜!
「リョウさん?ミリィさんから先ほど教えて頂きましたが、また新たな扉を開かれたので御座いますの?」
美星さんは、美しい顔が覗く怪獣の着ぐるみを着て、俺におかしな事を聞いてくる。
しかも、さっき教わったって何か聞いてた様な気がしたけど、それか?
「み、美星ママ?ミリィちゃんから、なに聞いたの?」
「それは、リョウさんの好きな性癖を・・・」
「いや〜!止めて〜!これ以上、ぼくの心を領空侵犯しないで〜!!」
俺は、頭を抱えて蹲る。
「そもそも、ぼくの創った『魔導和傘』を下から見上げただけだよ?それなのに、こんな冤罪みたいな事を言われるなんて・・・」
「うわぁ~!創造主、さっきも言ったけど、だから女心が理解って無いなんて言われるんだよ!」
アイリスが頭にオオカミ耳のカチューシャを着けて、そんな事を言う。
西洋甲冑なのに、オオカミ耳のカチューシャ!?
「そうそう!創造主?私たちは、立派な乙女なのよ!」
沙羅は、猫耳カチューシャを着けて俺に言う。
龍ロボなのに、猫耳カチューシャ!?
「そうニャ!創造主様は、ちょっとデリカシーが足りないニャ!」
セレネは、なぜかナース服を着用して俺にそんな事を言う。
ちょっと待って!?お前、黒猫だろう?
しかも赤い帽子から、わざわざ今は見なくなったレトロなナースキャップに被り直してるし?!
ナース服なんて、何処から出した?!
俺は、そんな事を考えてめぐりちゃんの出店を見る。
すると、先ほどのカチューシャや着ぐるみ以外にも、ナース服やセーラー服、CA服等のコスプレグッズまで出している!
そして、其処に群がる温泉宿のお客さんたち。
「アミーゴ!君には、コレがお似合いだと思うんだよ!ちょっと、着てみてくれないか?」
神楽坂さんが、手にしているのはセーラー服。
は?
なんで、俺がセーラー服なんて・・・。
「ふむ?確かに、撮影時の女装してミニ浴衣を着ていたが、とても似合っていたな!私も、見てみたいぞ?」
せ、セニョール監督?!
アレですか?
セレネの『ヌードはちょっと・・・』って、発言に対する報復ですか!?
「お兄ちゃん!ちゃんと、着替える場所もあるからね!」
めぐりちゃんが、出店の隣に設置された、試着室の様な個室を指差し俺に言う。
因みに、その個室は数十個も横一列に並んでいた。
「さ、入るわよ〜!」
カオリが、俺の背中を押す。
「さぁ!早く、準備しなさい?」
ネアさんも、カオリに合わせて追従する様に言葉を発する。
「へ?!いや、あの・・・」
俺が戸惑っていると、魔導アナグマまで参加する。
「キュ、キュキュキュン!」[ぼくも、セーラー服姿が見たい!]
「そうね!リョウの女装姿って、滅茶苦茶可愛いわよね!」
ヴェルダンディが、ニコニコしながら言う。
更に、「うむ!リョウの女装した姿で一緒にデートしたいな!」と、瞳ちゃんまで賛同する。
「お父さん、早く着替えて!一緒に写真撮ろう?」
「ポポちゃん!それは、ナイスアイディア!?私も、お願いします。リョウさん」
ユカさんが、嬉しそうな笑顔で言う。
「分かったよ・・・。着替えて来るよ」
俺がトボトボと簡易更衣室に向かい歩いて行くと、なぜか賛同した女性陣の一部が、一緒に着いてくる。
「あの〜、着替えて来るよ?」
「うん!早く、着替えましょう!そして、化粧は私たちがするからね?」
カオリが、満面の笑みで答える。
「いや、ぼくが入ったら、満員だよね?」
「あら?此れは、誰の作品だと思ってるのかしら?」
藍さんが、俺を見ながらそんな事を言う。
「めぐりちゃんだよね?」
「そうよ!私の娘のめぐりよ?なら、理解るわよね?リョウさん?」
藍さんが、悪い笑顔で俺を見る。
「で、でも、ぼくは男だから・・・」
「なに、言ってんのよ!別に、気にしなくて大丈夫よ!」
ネアさんが、赤面しながら背中を押す。
「リョウさん、早く入って下さい!」
ユカさんが、催促する。
「お父さん?まだ?他のお客さんに、迷惑だよ?」
ポポが、俺にトドメを刺す。
「リョウ、それは杞憂だ。先ほど確認したが、内部は幾つかの個室がある。だから、問題ない。其処に、私を連れ込んで・・・。ハァハァ」
テア博士が、またいつものスイッチが入った様だ。
放っておこう。
そして、押し込まれた個室は広い空間だった。
円形のホールに、部屋の扉が複数ある。
めぐりちゃんの施した空間魔法が、ふんだんに使用されてるね。
「リョウ!先ずは、メイクからよ!」
カオリが、扉を開く。
すると其処には、いつの間に入ったのかミリィさんと、ゴモリーさんが待機している。
「お待ちしておりました、リョウ様。此方へどうぞ」
「リョウさん、座って下さい!メイクアップしましょう?」
ミリィさんがメガネをクイッと上げながら、ゴモリーさんはニコニコしながら椅子を勧める。
俺は促されるまま、椅子に腰掛けるとガチャンと手足を拘束される。
「ちょ、ちょっと?!なんで、拘束するの!」
「リョウ様?ちゃんと綺麗に仕上げますからね?」
ミリィさんが、とても冷徹な目で俺を見つめる。
「そうです!だから、抵抗できない様に、拘束しました!」
ゴモリーさんは、相変わらず優しい笑顔でにニコニコしている。
かえって、その笑顔が恐いんだけど!?
「じゃ、脱ぎ脱ぎしましょうね〜!」
「へっ?!いや、ちょっと、駄目だよ〜!や、止めて〜?!」
頬を染めたゴモリーさんに拘束されつつ、セーラー服に着替えさせられる。
この拘束椅子、凄いんだよ!
だって、拘束されてるのに、着替えが出来る!
画期的だよね!?
そして、着替えさせられる俺をチラチラ見ながら、顔を赤くしたミリィさんにメイクアップされる。
途中、メイクアップと着替えを交代されたりしながら、俺のビフォーアフターが終わる。
そして拘束が解かれ、出来上がったのは・・・。
「こ、これが、アタシ?!」
俺は、自分の顔を手で触れながら呟く。
因みに、この台詞を言うのは双六ゲームの時、撮影でミニ浴衣を着た時、今で3回目である。
鏡の中の美少女も俺と、同じ動作をしている。
鏡の前に座っていたのは、黒髪短髪の俺ではない。
どこからどう見ても、清楚さと儚さを兼ね備えた『超絶美少女な女子高生』だった。
「ふふふ、やはり私の見立てに狂いはありませんでしたね。セーラー服には、この『清楚系黒髪ボブカット(魔導ウィッグ)』が至高です」
ミリィさんがメガネをクイッと上げながら、満足そうに言う。
「素晴らしいです、リョウさん! まつ毛の長さ、肌の透明感、そしてこのセーラー服の襟元から覗く、鎖骨のライン・・・完璧な仕上がりです!」
ゴモリーさんが、パチパチと手を叩きながら相変わらずの聖母のような笑顔で、しかしメイクアップアーティストの狂気を孕んだ目で俺を見つめている。
チクショウ・・・。
もうこうなったら、もうヤケだ!
前世で大好きだった某有名な小説家の先生の作品をオマージュして、マシンガンとか持ってやろうか?
因みに、台詞まで言うと版権問題的にヤバそうだから、止めておくけどな!
それから、個室を出て俺の姿を見たカオリが「リョウなの?!やっぱり、凄いわね!双六ゲームの時もそうだったけど、本物の女の子にしか見えないわよ?!」
カオリが、燥ぎながら俺に言う。
・・・コレは、喜んで良い所なのかね?
「う、うぅん!あ〜、あぁ〜!うふふ!カオリさん、有難う!」
「ちょ、ちょと!?何、その可愛い声!?」
カオリが真っ赤になって、俺を見つめる。
「うふふ!ヤダぁ、カオリさんったら!私が双六ゲームの時に歌ったの聞いてたでしょう?」
「た、確かに聞いてたわよ?でも、あの時はゲームの世界で変声されてたわよね?それに、今の声は完全に女の子にしか聞こえないけど!?」
「フッ!此れが、私の実力よ?」
俺は、片目でウインクしながら、裏声でカオリに言う。
「クッ!女として、負けた気がする!」
カオリは悔しそうに顔を歪めながらも、その瞳は何処かときめいた色を帯びて俺を見つめていた。
「ホントよね〜!リョウって、不思議な存在よね?まぁ、でも転生者だし?」
隣で聞いていたネアさんが、そんな感想を漏らしながら、どこか落ち着かない様子で、俺をチラチラと赤い顔で見ている。
「そうですね!分からないって所が、リョウさんの魅力ですよね?」
ゴモリーさんが両手を胸の前で合わせて、そんな事を言う。
「その通りです。リョウ様は、初めてお会いした時から不思議な方でした。そして、いつの間にか私の心を弄んで・・・」
ミリィさんが、メガネをクイッと上げながら、おかしな発言をする。
「ちょ、ちょっと、ミリィちゃん?私がいつ、ミリィちゃんの心を弄んだのよ!?」
「リョウ?話し方が、完全に女の子になってる・・・」
カオリが呆れた声で言うが、今はそれ処じゃ無い!
また、冤罪なんて勘弁してくれ!
「いつ、ですか?それは、アナタが私を虜にした、その時からです」
ミリィさんは、俺から照れくさそうに目を逸らし少し斜め下を見ながら、そんな事を言う。
ちょっと!?
なんか、凄くカッコいい台詞だけど、意味が分からないよ?
「そうね・・・。今にして思えば、出会った瞬間から、私たちはリョウの虜にされていたわね」
ネアさんが、遠い目をして言う。
それは、遠い過去を思い出すかの様な。
でも、出会ったのって数日前ですよね?
もう何年も、一緒に居る様な気がしますけど!?
「さ、皆さん、お待ちかねですよ?行きましょう!リョウコちゃん?」
そう言ってゴモリーさんが、俺の手を握って簡易更衣室から外に出る。