異世界転生 作:MSZ-006
・・・お前等は、一つ大きな過ちを犯した。
それは、俺を完全に怒らせた事だ。
良かろう?
俺が本気で怒ったら、どうなるのかを教えてやる!?
「大変、申し訳ありませんでした!深く、反省しております!!どうか、お赦し下さい?!」
俺は、前世も含めて二度目のジャンピング土下座を華麗に決める。
因みに、一度目は転生時に会った女神様が初だった。
俺の『必殺、ジャンピング土下座』が気になる人は、2話を読んでね!?
もうね、パニックになってるから何処の誰に言ってるのか判らん発言とかしてるけど、俺の脳内はこの修羅場をどう切り抜けるかで、精一杯なんだよ!?
「創造主様?反省してるニャ?」
セレネが、優しく俺に語り掛けてくる。
「はい、本当に申し訳ありませんでした!」
俺は、土下座したまま答える。
「創造主?それなら、どうすれば良いか理解ってるわよね?」
「そうだ〜!そうだ〜!」
「わ、私は別に、き、キスとか・・・。は、恥ずかしいYO〜」
アイリス、沙羅、『魔導唐傘おばけ』が、順に話し出す。
ちょ、ちょっと!?
み、ミリィさん、助けて!
「話は聞かせて貰った!リョウ、正妻会議、第一条!夫は、妻を等しく愛さなければならない!此れが適用されるから、もし誰かにキスしたら全員にキスしなきゃ駄目よ?」
ネアさんが、毎回『地球が滅亡する!』って騒ぐ人みたいな台詞で、宿の門から現れた!
「ね、ネアさん?」
俺は驚いて顔を上げ、ネアさんを見る。
「リョウ、正妻会議は絶対遵守の掟なの!もし破れば・・・」
「も、もし破れば?」
俺はネアさんの迫力に押されて、生唾を飲み込んで言葉を待つ。
「もし、破れば『ネギ、玉ねぎを一週間』の刑よ!」
「な、なんだって〜!そんな地獄を味合わそうと言うのか!?アンタ等、鬼か?!悪魔か?!それともドSか!?」
「・・・リョウ、安心する。私はドM」
「わ、私だって、そのリョウになら・・・」
突然現れたリリーさんの言葉に、顔を赤くして賛同するネアさん。
「あの、リリーさん?なぜ此処に?」
俺はリリーさんの登場に、驚愕しつつ質問する。
「・・・散歩」
「そうよ!?私はリリーさんと、ちょっと外でも散策しようかと思って外に出ただけよ?そしたら、リョウたちが話しているのが聞こえたってだけよ?決して、監視してた訳じゃ無いんだからね?」
リリーさんは、いつも通り素っ気なく、ネアさんは慌てた様に答える。
ミリィさんは、二人を黙って眺めながら頷いている。
・・・プライバシーって、何だっけ?
「分かりました。しかし、俺はまだ誰ともキスなんてしてません!」
「ですが、リョウ様?先ほど、私の手を取ろうとしましたよね?」
ミリィさんが、メガネをクイッと上げながら言う。
確かに、ミリィさんのふつくしさに誘惑されて、手を取ろうとした!
「な、なら!みんなと一回は、必ず手を繋ぐ。此れなら、大丈夫ですよね!?」
「それなら会則として、問題ないですね」
「仕方ニャいニャ。今回は、それで我慢するニャ」
セレネは、『魔導煙管』をゆっくりと口元に持って行き、ため息混じりに言う。
「創造主と、手をつなげる!」
アイリスが、嬉しそうに言う。
「まぁ、妥当な所よね〜!」
沙羅が、仕方無いと言わんばかりの態度で納得する。
「YOYO〜!創造主、YO〜!早く出掛けるんだよYO〜!チェケラ!」
完全復活した『魔導唐傘おばけ』が、俺を急かす。
手を繋ぐって言ったけど、コイツどしよう?
それを察知したのかミリィさんが、こんな事を言う。
「リョウ様、先ほどめぐりちゃんがセレネさん、アイリスさん、沙羅さん、そして魔導唐傘おばけさんに改良を加えて貰いました。後、父が瑞ちゃん、ポポちゃんを人型にした際の魔導具も、私が所持しており全ての準備は既に整っております。ですので、ご安心下さい」
ご安心下さいって、何?
そんな事を考えていると、魔導唐傘おばけが『ポンッ!』と、音がしそうな勢いで変身する。
「創造主YO〜!此れなら、手を繋げるんだよYO〜?」
目の前にはミニ浴衣の様な服を着た、色白の可憐な少女が佇んでいる。
そして何故か頭の上には、柄の部分が無い赤い小さな和傘開かれた状態で、帽子の様になって乗っている。
俺は唖然としながら『魔導唐傘おばけ?』を見つめる。
「そ、そんなに見つめられたら、恥ずかしいんだYO〜」と、頬を染めてモジモジしながら此方をチラチラ見る魔導唐傘おばけ。
そして、次々に変身していくセレネ、アイリス、沙羅たち。
セレネは、黒髪のマニッシュショートで白い羽根が付いた赤い帽子を被り、銀色に鈍く光るチェインメイルで身体を覆い、腰にスモールソードを佩いて『魔導煙管』を片手に、妖艶に微笑む可憐な女性。
アイリスは、セミロングの金髪で頭に紫色のアヤメの花を髪飾りにして、ヘルメットを外したフルアーマーのスラっとした凛々しい女性。
沙羅は長い黒髪で、5枚の純白の可憐な弁花をつけた、真ん中に明るい黄色の雄しべがある夏椿が彩られた着物姿の少女。
俺は口をパクパクさせながら、まるで打ち上げられた魚の様な状態で声を失う。
「リョウ様、行きましょう?」
浴衣姿のミリィさんが、手を差し伸べてくれる。
俺は緊張しながら、ミリィさんの手を取り正座から立ち上がる。
そして、手を優しくギュッと握りながら「此れで私が、一番最初ですね」と、はにかんだ笑顔を見せる。
そして、それを無言で見ていたセレネ、アイリス、沙羅、魔導唐傘おばけが一斉に輪になって、ジャンケンをし始める。
「やったYO〜!」
「つ、次は吾輩ニャ!」
「いや、私だ!」
「創造主、待ってて!負けないから!」
勝ち鬨を上げた魔導唐傘おばけが、俺の反対の手を両手で握り、ニコニコしながら俺を見上げる。
そして、再度ジャンケンバトルを繰り広げるセレネ、アイリス、沙羅たち。
暫く掛かるかな?
俺はミリィさんに、昨日プレゼントした『ススキの簪』の弱点を話していなかった為、それを説明する。
「ミリィさん、申し訳ありません。昨日は、酔っていた為に『ススキの簪』の弱点を、説明が出来ておリませんでした」
「弱点ですか?」
ミリィさんは、可愛らしくコテンと小首を傾げながら俺を見る。
は、鼻血出そう・・・。
「はい、ススキと言う植物は切り取って乾燥させると、非常によく燃える性質があります。なので、簪を振り抜いて穂を弾丸の様に飛ばした際、火による防御を展開されると、全て燃やされてしまうんです」
「なる程、そうだったのですね。ですが、その程度の事なら全く問題になりませんので、ご安心下さい。何より、この簪を武器として扱うのは、止める事にしました。リョウ様から頂いた、大切なプレゼントですからね」
そう言って、ミリィさんは空いた手で『ススキの簪』に、優しく触れる。
「ですがミリィさん、緊急時は躊躇わず使って・・・」
「うふふ、はい!その時は、使用します。リョウ様は、心配性ですね」
俺の言葉を聞いたミリィさんは、優しく微笑みながら此方を見る。
「っしゃ〜!」
沙羅が、ガッツポーズを決めている。
「くっ!だが、次があるニャ!」
セレネは焦りながら、そんな事を言う。
「ま、負けないんだから!」
アイリスは、悔しそうに両手を握り締める。
そんな光景を、黙って優しく見つめるリリーさんとネアさん。
・・・そして、遂に決着の時が来た。
激しいジャンケンの末に、次の順番を勝ち取ったのは・・・。
「やった〜!私が勝った〜!」
アイリスは、嬉しそうに微笑んでいる。
対してセレネは、四つん這いで項垂れながら「に、ニャンでニャ?わ、吾輩の完璧な計算では、最後になるなんて事には、ならなかった筈ニャ?そ、そうニャ!此れは、きっと悪い夢ニャ!?目が覚めニャら、新しい朝が始まって、此れから創造主様と楽しいデートニャ?!」
ブツブツと、セレネが呟いている。
「・・・残念ながら、此れは現実」
「そうよ、時に諦める事も必要なのよ?でも、大丈夫。今回は、仕方なかった。でも、次は良い結果になるわ!」
リリーさんと、ネアさんがセレネを励ましている。
「リリーさん、ネアさん・・・。うニャ〜ん!」
泣きながら、リリーさんとネアさんに抱きつくセレネ。
「え〜と、じゃ行きましょうか?」
俺は、淡々と言葉を告げる。
「つ、冷たいニャ!何でそんニャに、冷たいニャ?!吾輩は、テアさんみたいな重度のM体質じゃニャいニャ!もっと、優しいドSを要求するニャ!」
「ほら、置いて行くぞ〜?」
俺は、セレネに催促する。
「ま、待つニャ!創造主様、吾輩の何がそんなに気に入らニャいニャ?!」
「・・・リョウは、ドS。だから、好きな存在をイジメたくなる」
「リョウは好きな娘をみると、イジメたくなる仕方無い性分なのよ!」
リリーさんと、ネアさんが風評被害の様な解説を入れる。
まぁ、Sなのは認めるけど・・・。
「違います!俺は、愛情表現の分からない幼児の様な事はしません!確かに、みんな可愛いですけど早く行かないと、あっと言う間に時間が過ぎて行きますからね?」
「か、可愛い?!」
魔導唐傘おばけが、ラップ調を忘れて俺の手を握り締めながら、頬を染めて見上げてくる。
「か、可愛いだなんて〜!創造主ったら、正直なんだから〜!」
沙羅が赤くなりながら、クネクネしている。
「そ、創造主?どうして、そんな事いうの!我慢できなくなる!」
そう言ってアイリスが俺に飛びつこうとした所を、ネアさんとリリーさんに取り抑えられる。
「そ、そんな事いっても、う、嬉しくニャンてニャいんだから!」
泣いていたセレネは頬を染めてニヤけそうになりながら、必死に澄まし顔をしようとしている。
全員、可愛いな!
チクショウ!
「リョウ様?当然、その『可愛い』は、私やリリーさん、ネアさんも含まれているんですよね?」
ミリィさんが、ジッと俺を見つめながら問い詰める。
「はい、その通りです!ですから、もうこれ以上は責めないで下さい」
俺は、真っ赤になりながら答える。
俺の答えを聞いた、リリーさんとネアさんは顔を赤くして、アイリスを拘束しながら俺を見つめる。