異世界転生 作:MSZ-006
道を歩きながら俺は、セレネ、沙羅、アイリス、魔導唐傘おばけに言う。
「そう言えば昨日も言ったが創造主って呼び方、止めないか?堅苦しくていかんよ」
「じゃ、ア・ナ・タ?とか・・・」
「待つニャ!?それは、まだ早いニャ!」
「そうよ!それは、ルール違反よ?沙羅!」
「駄目だYO!それは、愛する二人の特権だYO〜!チェケラ!」
順に沙羅、セレネ、アイリス、魔導唐傘おばけが言う。
「正しい判断ですね、みなさん」
ミリィさんは、話を聞きながらウンウンと頷いている。
「後、魔導唐傘おばけじゃ可哀想だから、何か名前を考えないと・・・。ユカさんに、相談しないとだな」
そんな呟きを聞いた魔導唐傘おばけが、俺の手を握りながら此方を見上げで言う。
「創造主YO!主から、もし名前を決めて貰えるなら、創造主に決めて貰った方が良いって言ってたYO〜!チェケラ!」
ゆ、ユカさん?!
なぜ俺に、そんな試練を与えるんですか!?
暫く、ウンウンと唸りながら俺は名前を考える。
「紫の雨と書いて、シグレなんてかどうかな?本当は、時の雨がシグレって言葉の正しい漢字だけど、紫ってのは前世の日本では高貴な人が使う色って話だったと思うんだよ。それで、紫の雨で神秘的で高貴な感じを表現してみたんだけど、どうかな?すまんな、俺はネーミングセンスが無・・・」
「有難う!創造主!」
そう言って、俺に抱きつく紫雨。
「あ〜!ズルい!」
「ニャ?!どさくさに紛れて、とんでもない事をしたニャ!」
「み、ミリィさん?この場合は、私たちも権利が発生するわよね?!」
沙羅、セレネ、アイリスが言う。
「そうですね。そして、その権利は当然ながら、私にも発生します!」
ミリィさんが、声高に宣言する。
「主〜?今、創造主から名前決めて貰ったYO〜!えっ?シグレだって!凄く神秘的で、素敵な名前を貰ったYO!後ね、創造主に抱きついたから、主も抱きつく権利が発生するってYO!うん、うん!帰ったら、詳しく話すYO〜!バイバイ、チェケラ!」
ミリィさんの宣言を聞いた後に、紫雨が独り言を言い始めたと思ったら、どうやら体内にある魔導通信機の機能を使用して、ユカさんに連絡していた様だ。
まぁ、紫雨が連絡しなくても絶対に、情報は流される筈なんだよね・・・主に監視員から。
姿は見えないが、絶対にリリーさんとネアさんはついてきてる筈だ。
まぁ、監視してなくてもミリィさんが、後でみんなに報告するだろうな。
ミリィさんはそこら辺、キチンとしてる人だからな。
さて、俺はミリィさんと二人きりでデートだと思ってたから、色々と考え直さないとならんな。
取り敢えず、先ずは・・・。
「よし、服屋に行こうか?」
「創造主様、服ニャに行くのニャ?」
「そうだよ!そもそも、一張羅じゃ折角の美人や美少女が台無しだろう?それから、俺はリョウで良い」
俺は、そうセレネに答える。
「そ、そんな、いきニャり呼び捨てニャンて・・・。後、美人ニャンて・・・」
顔を赤くしながら、そんな事を言うセレネ。
おいおい?
呼び捨ての何が、そんなにマズいんだよ?
「美人?!う〜ん。創造主を、名前呼びか〜?」
沙羅が俺の言葉に反応して、赤くなりながら考え込む。
「そうよね〜。名前呼びだと、ちょっと特別感があって、恥ずかしいわよね。私は、美少女かしら?」
アイリスは、頬を染めて感想を漏らす。
「でもでも、名前呼びならYO〜!お互いの心の距離が、短くなる気がするんだYO!そして、今の私は美少女だZE!」
紫雨が俺を見上げて、嬉しそうにニコニコしながら言う。
アイリスさん?
貴女くらいの見た目年齢は、少女と呼ぶにはちょっと厳しいし、沙羅とアイリスの発想が逆転してると思うんだZE?!
「では、ちゃん付けは如何ですか?」
ミリィさんが、話を聞いて答える。
「リョウちゃん!」
「リョウちゃん!?」
「リョウニャン?!」
「リョウちゃん、チェケラ!」
上から順に、沙羅、アイリス、セレネ、紫雨が俺をちゃん付けで呼ぶ。
どうしよう?
連呼されると『右!左!前!後ろ!』ってお盆持って、裸踊りとかしなきゃならん様な気がするんだけど!?
「でも、アレよね〜!リョウちゃんって呼び方は、黒いウサギみたいな・・・」
アイリスが、前世のネタを語り出す。
「あっ、分かる!巨大な戦艦とかに・・・」
沙羅も、合わせて話し出す。
「ちょっと待った!それ以上は、危険だ!」
俺は、とっさにツッコミを入れる。
「そうニャ!版権問題的にマズいニャ!」
セレネが間髪入れずに、俺に同意する。
「危険だZE!チェケラ!」
そして紫雨も、賛同する。
「リョウ様?時々、版権問題とか分からない事を言われますが・・・」
「ミリィさん、すみません!何でもないんです!忘れて下さい」
そもそも、古いアニメの話なんて誰も分からないよな、きっと・・・。
前世の知識を共有している存在だから理解る話で、異世界人であるミリィさんには黒いウサギの様な猫みたいな生物の事を思い出して、全く伝わらないのに自分たちだけで盛り上がってしまったよ。
折角のデートなのに、気をつけないとな。
そして、やって参りました洋服屋さん!
俺は、みんなと一緒に店内に入る。
様々な服が、置いてあるな。
キョロキョロ周りを見渡していると、中年の筋肉質で角刈りな男性店員がクネクネしながら話し掛けてくる。
「いらっしゃ〜い!あらあら、お兄さんイケメンね!周りは、彼女かしら?そんな色男には、こんな服は如何かしら?」
クネクネしながら喋る、角刈りで筋肉質のオッサン。
ち、ちょっと!?
距離が近いんですが?!
神楽坂さんを、彷彿とさせる人物だな?!
「あ、あの、俺の服を見に来た訳じゃないんです!彼女たちの服を、お願いします!」
「あらあら?それは失礼!そうねぇ、お嬢さん方なら、こんな服なんて如何かしら?」
この服屋は結構大きめの店舗で、見たところ大半が人間の店員だな。
この筋肉質なオッサンと、後は数人の若い女性店員やお姉さん店員たち。
そう、お姉さんな?
決して、おばち・・・、とか言ってない。
俺は店内に設置された、カフェテラスの様な場所に置かれた椅子に腰掛ける。
因みに、ちゃんとテーブルに『ご自由に、お使い下さい』って、表示がされてるのを確認してから座ったからな?
すると、奥から給仕ロボットがやって来て、光学パネルでメニューを表示してくれる。
なる程?
全ての飲食物が、サービスなのか!
素晴らしいな!
俺は、ウインナーコーヒーを注文して口をつける。
前世で俺が若い頃、ウインナーコーヒーって、コーヒーにソーセージが付いてくる物だと思ってたってのは、今じゃいい笑い話だな。
なんて、考えていたら「キャ!ちょっと、止めて下さい!」と、若い女性店員の声が店内に響き渡る。
何事かと声のした方を見ると、複数のガラの悪い連中が若い女性店員の周りを取り囲み、その一人が腕を掴んでいる。
止めに入るか?
そんな事を考えて、腰を上げようとしたが、どうやら必要なかったらしい。
先ほどの筋肉質の中年店員が、女性店員とガラの悪い連中の所に行ったからだ。
「お客様?ウチの店のコに、何かご用ですか?」
「アァ?!なんだテメェ?俺たちは、この姉ちゃんが可愛いから、此れから一緒に遊ぼうぜ?って話てただけなんだよ!」
「そうそう!ちょっと声を掛けたら『止めて下さい!』とか、どうなってんだよ?この店の接客態度は!」
「おい、オッサン!店長、出せや!お前じゃ話にならねぇんだよ!」
「そうだ、責任者出せ!」
「サッサとしろよ!お客様を待たせんじゃねぇぞ!ゴラァ!?」
・・・いかん、無性に腹が立つ。
ああいう屑どもを見てると、反吐が出る。
俺は立ち上がり、屑どもの方へ歩き出そうとした瞬間「店長は、私だけど?他のお客様のご迷惑になりますので、お引取り下さい?」と、筋肉質の中年店員が屑どもに言う。
「テメェが、店長だと!?」
「おい、この店は客を差別すんのか?」
「お客様は、神様だろう?」
「こんな店、潰しちまおうぜ?」
「そうだな!火ぃつけてやろうか?ギャハハ!」
「・・・もう一度、言うわよ?他のお客様のご迷惑になります。お引取り下さい?」
店長と名乗った中年男性は、毅然とした態度で屑どもに言う。
「あ゛ぁ゛!?舐めてんのか!ゴラァ!」
激昂した一人の屑が、店長を名乗る筋肉質のオッサンに拳を振り上げる。
「・・・仕方無いわね?正当防衛よ?」
そう静かにそう言い放ち、オッサンは相手の水月に素早く正拳突きを入れる。
「ゴフッ!!」
怒声を上げていた屑が膝から、崩れ落ちる。
どうやら、俺は必要ないな?
そんな事を考えて、俺は椅子に座り直そうかと考えたが、そうもいかなかった。
次々と、華麗に屑共を成敗していくオッサンだったが、一人だけ矢鱈と頑丈な奴がいた。
そいつは、やられた振りして倒れ込みながら、オッサンの後ろに回り込む。
俺は、それを見て即座に行動を起こす。
何故なら、そいつの手には鈍く光るナイフが握られていたからだ。
俺は男の後ろから、背中を蹴り飛ばし、うつ伏せにする。
そして相手をうつ伏せにさせた状態から俺は膝立ちで脚を開き、相手の右脇に自分の左片膝を深く差し込む。
もう一方の脚を、男の体と直角になるように外側へ大きく開いてしっかりと踏ん張り、相手の自由を奪う。
男が寝返りを打とうとしたり、起き上がろうとしたりするが、動きを完全に制止している為、全て無駄に終わる。
そして、伸ばした男の右手首を掴み斜め上に送り出す様にしながら、俺の左手刀で相手の肘関節の辺りに丹田を中心に重心を乗せて斬り込む。
「ひぃでででぇ!!痛い、痛い!や、止めて!?降参するから、止めてくれ!」
俺が組み伏せた男が、痛みに耐えられず叫び声を上げる。
「赦す訳ないだろう?そもそも、お前は物騒な光り物を握ってるよな?それから、此れは俺の個人的な感情だが、客だからって何を言っても、許されるなんて思うなよ?お客様は、神様じゃ無く、お客様なんだよ?」
俺は、更に丹田の重心を男の腕に乗せて手刀をギリギリと斬り込む。
「ギャーー!ご、ごめんなさい!本当、すいません?!調子に乗りました!?」
「そもそも、お客様は神様とか言って、何でもかんでもタダでサービスさせようとするクズが、俺は大嫌いなんだよ!お前のさっきの発言は、正にそれだ!」
俺は怒り心頭で、男の腕に重心を乗せる。
「お兄さん、有難う。でも、それ位にしてやって?」
そう言って、店長を名乗る筋肉質のオッサンが、俺の耳元で優しく声を掛けてくる!
「ウヒィィィ〜!」
俺は男の腕から手を離して、耳を抑えて脱兎の如く逃げ去る。
こ、このオッサン、俺の耳に息吹きかけながら喋りやがった!