異世界転生 作:魔導科学
「リョウ様、此方です」
何故か、ミリィさんが大食堂の入口で待っている。
あれ?リリーさんが、連絡したの?
ミリィさんに連れられてやって来たのは、いつものサイズのテーブルでは無く、更にデカいテーブルだ。
まるで何かの重大な作戦会議でも始まるかのような、不自然なほどに重厚で巨大な長机。
そして、どういう訳か河野さんが席に座っている。
河野さんは、テーブルの上に両肘を立てて、両手を口元で組んだ状態で待機している。
そのポーズは、前世の記憶にある某司令官そのものだ。
しかもメガネじゃ無く、サングラスになってる?!
「・・・待っていたぞ。座れ、座らないなら帰れ」
その重々しい声音に、俺は困惑を隠せない。
「は? あの、一体どうしたんですか?」
「・・・話は、全員集まってからだ」
「はぁ」
しかし、前世で見たアニメに出て来た雰囲気の、おっさんになってるな。
これ、俺はどう反応すればいいんだ?
『僕が乗ります!』とか、『逃げちゃダメだ』とか、言った方が良いのか?
そんな俺の混乱を無視して、次なる『出演者』が登場する。
「ただの人間には興味ありません。この中に、獣人・魔族・ドワーフ・異世界転生者がいたら、あたしの所に来なさい。以上」と、やって来て口上を述べたネアさんは、女子学生服だ。
何処の、憂鬱なお嬢さんですか?!
そもそもあんた、自分が獣人族だって忘れてないか?
「ざけんなよ! ヘイヘイ、オーライ! まだかよ? サッサとしねぇと、私のカトラスが火を吹くぜ?」と、口にタバコもどきを咥え、タンクトップにショートパンツ姿で、両脇のホルスターに拳銃を下げてやって来たゴモリーさん。
えっと、何処のラグ◯ン商会の方ですか?
ここは異世界のはずなのに、一気に硝煙の匂いが漂ってきた気がするぞ。
「リョウ〜、早く私を殺しに来なさい〜」と、物騒な事を叫ぶマリーさんは、貴族の様な白いスーツ調の華美な服装だ。
その台詞、完全にあのガン◯ムのヒロインじゃないか。
『お前を殺す』とか言って、自爆しないと駄目なのかな?
どんどん難易度が、上がっている気がする。
次にやって来たのは、黒い箱から手脚が突き出していて、箱の正面には赤い平仮名で『ぼいすおんりー』と書かれている。
・・・いや、もうツッコむのも疲れてきた。
「・・・お待たせ」と、リリーさんの声が聞こえる箱が席に着く。
このモノリスに、俺は何を言えば良いのか。
中身がリリーさんなのは分かっているが、見た目がシュールすぎて直視できない。
「恋も魔法も、ミリィーにお任せ! 魔法少女プリティミリィー、施設に代わってお仕置きよ!」
最後に登場したのは、いつの間にか着替えたミリィさんだった。
ミリィさんの姿はミニスカ衣装で、手には魔法のステッキの様な物を持っている。
・・・施設? 月じゃなくて?
あと、『セーラ◯ムーン』と『魔法少女プリ◯ィサミー』が、混ざってるよね?
どこまで混ぜる気だ?
混ぜるな危険と言うか、何も言わない方が安全か。
俺が唖然としていると、ミリィさんが咳払いして、「では、始めます」と席に着いた。
一体、何が始まるんだよ?
このカオスな格好のまま、一体どんな会議を始めるつもりなんだ。
俺の理解の範疇を、すでにこの場は超えていた。