異世界転生 作:魔導科学
俺は、カツ丼が好きだ。
卵綴じのカツ丼やソースカツ丼も好きだが、タレカツ丼は更に好きだ。
しかし玉ねぎ、お前は駄目だ。
俺は、玉ねぎとネギが大嫌いだ。
どれくらい嫌いかというと存在自体が許せず、某黒い仮面ライダーの主人公、南光◯郎の『ゆ゛る゛さ゛ん゛』という台詞が、素で出てくるほど嫌いだ。
で、出てきたのがラーメン丼に、小山盛りになったボア揚げ丼で上にデカいボア揚げが、3枚乗っている。
そのボア揚げの下を確認すると、玉ねぎ等の邪魔者は居らず、ホッとする。
食べていくと、下の方にボア揚げが2枚敷いてある。
ご飯とボア揚げの段々仕込みか。
此れで、800円って安くない?
味も素晴らしいし、ご飯の量も多い、ボア肉も全部で5枚だし、サラダと味噌汁付き。
「結構なボリュームと素晴らしい味で、この値段は安いですね。余計な心配ですが、お店の経営は大丈夫なんですか?」
赤字じゃないかと心配になり、渋い中年の店主に聞いてみた。
「ハハハ!褒めてくれて、更に心配までしてくれて有難うな!ジャイアントボアは、今は瑠璃が狩りに出てるし、1頭獲れればかなりのもんだ、米も自家製だから、あの値段でもやっていける」
いい店を、紹介して貰ったな。
「弘崎君、素晴らしいお店を紹介して下さり、有難う御座います」
俺が礼を言うと、「魂の盟友に、紹介する店ですからね!へなちょこな店なんざ、紹介出来ませんよ!」と、言ってくれた。
店を出た俺達は再会を約束して、それぞれの帰路につく。
魔導通信機を、お互いに登録した。
此れで、いつでも連絡がつく。
途中でリリーさんの所に行こうと考え、店に寄る事にした。
「フシュー、またのお越しを、プシュー」
どうやら、お客さんが来てた様だ。
団体の若い娘達が、燥ぎながら店を後にする。
「フシュー、いらっしゃい、プシュー」
「すみません。お客じゃなくて」
「フシュー、どうしたの?、プシュー」
「実は・・・」
俺は、リリーさんに弘崎君との話をした。
「フシュー、で、ボア揚げは、美味しかった?、プシュー」
「え?はい、美味しかったですよ?」
「フシュー、分かった、会う、プシュー」
あれ?
俺、転生者の弘崎君の話をしてたよね?
何で、ボア揚げの話?
いや確かに、ボア揚げの話もしたよ?
連れて行って貰った店の話をしたけど、転生者に関してはでは無く、料理の方に反応してない?
「フシュー、マリーも連れて行く、プシュー」
「あの、マリーさんは、リリーさんが転生者である事は、ご存知なんですか?」
「フシュー、マリーに昔、話した事はある。けど信じていない、プシュー」
「そうなんですか?では俺も含め、話をしても問題ないですか?」
「フシュー、構わない、いつもの冗談が始まったと、そう思う、プシュー」
「分かりました。・・・リリーさん、答えたくなければ、答えなくて結構です。リリーさんの前世についてなんですが、宜しいですか?」
「フシュー、大丈夫、プシュー」
「俺の前世は、碌でも無い人生で、親や周りの人間も碌でも無い屑でした。リリーさんの前世は、如何でしたか?」
「フシュー、リョウと同じ、プシュー」
「有難う御座います。嫌な事を思い出させてしまい、申し訳ありません」
「フシュー、構わない、今はとても幸せだから、プシュー」
転生者には、共通点がある。
前世で恵まれない生き方をして、それを辛いと思っていた事、俺の予測が正しければ転生者は皆、同じ様な境遇で過ごして来た人間だ。
それが分かったからと言って、だから何だと言う話になるが、今が幸せならそれで良いか。