異世界転生 作:魔導科学
「出て行ったって、どこにですか?」
「実家だ。ミリィから、メッセージがあった。彼女の実家は、世界的に有名な会社で、軍や国にまで影響力がある。ミリィは其処の娘さんなんだが、諸事情により俺の所で働いていたんだ。因みにミリィの身体は、家を出る時に作ったボディで、本来の身体は実家で保管されているのさ」
ミリィさんの生い立ちは初めて聞くが、そんな秘密があるとは驚いたな。
この世界は種族や性別、身体の一部のパーツや外見年齢まで、自由に変える事が可能だ。
とは言え、その人間の本来の情報は、書き換える事は出来ないから、年齢詐称は出来ないけどね。
「迎えに、行かないんですか?」
「俺は彼女の実家と、契約があるんだ。彼女の意志に、全て任せると。だから、連れ戻す様な事は出来ない」
「そうですか。河野さんは、ミリィさんを愛していないんですか?」
「愛しているさ!」
「じゃ、迎えに行った方が、良いと思いますよ?」
「簡単に、言ってくれる」
「まぁ、そうですね。詳しい話を知りもしない人間が、兎や角いうのは余計な事ですね。でも俺は、ミリィさんに此処に居て欲しいと思ってます。多分、他の人達も。それに、きちんと謝ったんですか?」
「謝ったさ、許してくれたと思っていた。だが、違ったらしい」
「で、諦めるんですか?」
話を聞いていたカオリが、割って入った。
「・・・諦めたく無い」
「じゃ、迎えに行きましょう」
「ピィ!」
カオリと珊瑚の女性陣及び俺は、迎えに行くのに乗り気になっている。
「支度する。ちょっと待っててくれ」
40秒で支度しな!とか言ったら、どうなるんだろう?と考えたが、口にはしなかった。
「魔導ジェット機を借りよう」
河野さんが、そんな事を呟いた。
レンタカー的な物かと思っていたら、違った。
「転移する」
そう言って、河野さんが転移した先は、カオリの元になった牛ロボットを購入したロボットメーカー。
河野さんが、1人の男性に声を掛ける。
「サミュエル、すまない」
「いえ、問題ありません。此方です」
そう答えたのは、社長のサミュエルさんだ。
案内された先に、見た目が『た○ごひこーき』的な小型の飛行機が設置されている。
此れ、全員乗れるのか?
「か、可愛い〜」
[可愛い〜]
カオリと珊瑚が魔導ジェット機を見て、感想を述べる。
「すまない、感謝する」
「いえ、お互いの利益の為です」
おっさん二人は、真剣な表情で握手し言葉を交わす。
言葉だけ聞くとビジネスライクな感じだが、ちょっと違う雰囲気があるな。
「お気を付けて、花嫁を迎えに行って下さい。先輩!」
「有難う。行ってくる」
飛行機に乗り込む際に、サミュエルさんが河野さんに声を掛ける。
飛行機内部は見た目と違い空間魔法で広くなっており、全員で乗り込み席に着いて、操縦桿を握る河野さんが俺に言った。
「サミュエルは、大学時代の後輩でね。お互いに、研究仲間でもあったんだ」
有事の際に、手を貸してくれる味方がいるのは、とても素晴らしいね。