異世界転生 作:魔導科学
飛行場の建物内に案内され、奥の方に整備途中の飛行機や車等が、数台置いてあるのが見える。
「此方に、どうぞ」
地面から、丸いテーブルと椅子が数脚現れ、俺達は席に着いた。
「お茶を用意します。少々、お待ち下さい」
淡々と仕事を熟すサリーさんに、河野さんが問いかけた。
「ミリィは、何処に居ますか?」
「私からは、申し上げられません」
取り付く島もないとは、こう言う事か。
暫く沈黙と、お茶を用意する音以外、聞こえなくなる。
非常に、気不味い。
「あの、突然押し掛けてしまい、申し訳ありません」
「それは、私ではなく奥様に仰って下さい」
俺の言葉にも、淡々と返事する。
「ごめんなさいね。サリーは、真面目なのよ」
奥からラフな感じのプリーツスカートに着替え、綺麗な銀髪を靡かせながら、ミリィさんのお母さんがやって来て言った。
「家には、お客さんが滅多に来ないし、話し相手が多い方が楽しいわ。だから気にしないで」
ミリィさんのお母さんは席に着いて、俺にそう言ってくれる。
「有難う御座います」
俺はそう言って、頭を下げた。
「さて、珊瑚ちゃん。いらっしゃい」
そう言って、両手を広げるお母さん。
カオリの腕に抱かれていた珊瑚はピィと鳴いて、お母さんの元へ飛んで行く。
「可愛いわね〜」
「ピィ!」[有難う御座います。奥様]
「あら、奥様なんて、ちょっと悲しいわね。私はミッシェルよ、珊瑚ちゃん」
[ミッシェル様、有難う御座います]
「もう、珊瑚ちゃん、堅苦しいわね。ミッシェルお姉さんって呼んで?御両親の躾が、厳しいのかしら?」
そう言って、俺とカオリを見るミッシェルさん。
「リョウ君とカオリさんね?ミリィから、話は聞いているわよ?私の事は、珊瑚ちゃんと同じ様に呼んでね?そうそう、私にもフィギュアを見せてくれる?」
「モンスターガチャのフィギュアですか?」
「そう!娘が写真を送って来てね。私にも見せて?」
「はい、此方です」
そう言って俺は、テーブルの真ん中にフィギュアを出す。
「可愛いわね〜!」
珊瑚を抱っこしながら、フィギュアを眺める。
「もし宜しければ、差し上げます」
「良いの?有難う!お願いなんだけど、サリーと旦那、もう一人の娘の分も貰って良いかしら?」
「はい、どうぞ」
「サリー、貴女は何が良い?」
「奥様、私は結構です」
「あら、そんなこと言って、ミリィが送って来た写真を見せた時、貴女も可愛いって燥いでいたじゃない?」
「奥様、お客様の前です。お止めください」
「ご迷惑で無ければ、選んで頂けると、此方としても嬉しいのですが・・・」
なにせ被ってる物だしね。
「有難う御座います。それでは、選ばせて頂きます」
そう言って、お茶の用意を終えたサリーさんは、ミッシェルさんと共にフィギュアを眺めだした。
女三人寄れば姦しいと言うが、この場に女性は4人居る。
珊瑚は俺の娘だから、4人で間違い無い。
「カオリさんのお気に入りは?」と、ミッシェルさんに聞かれ「私は、此処に無いですけど、『闇の化身、ホーンラビット』が、お気に入りですね」とカオリが答える。
「カオリさん、それはどんな感じのフィギュアですか?」と、サリーさんが聞いている。
「珊瑚ちゃんは、どれが好きなの?」とミッシェルさんが珊瑚に話し掛けると[私は『破壊大帝、エント』です]と、答える。
いや〜、さっきは取り付く島もない感じだったけど、喜んでくれてるみたいで良かった。
俺と河野さんは、黙ってお茶を飲んで待つ事になった。