異世界転生 作:魔導科学
「私は、此れを貰うわ!旦那の分は此れ」
ミッシェルさんが手に取ったのは、【完全武装、ミミック】と【赤い水棲、レッドドラゴン】だ。
レッドドラゴンは、決して水中では生活しない。
珊瑚が此のフィギュアを初めて見た時、微妙な表情で見ていたな。
しかし、此の【赤い水棲、レッドドラゴン】は、赤い潜水用の魔導アーマーに身を包み、水中で生活していると言う設定らしい。
魔導アーマーに角が一本生えているが、3倍の能力が出せるのか?
因みに、魔導アーマーからレッドドラゴンのフィギュアを取り出す事が可能で、レッドドラゴンのフィギュアはサングラスを掛けている。
なかなか手が込んでいる。
弘崎君は、作る時に試行錯誤したんだろうな。
「私は、珊瑚ちゃんと同じレッドドラゴンのフィギュアにしたの!旦那は、こう言うのが好きなのよね」と、言って【完全武装、ミミック】眺める。
「リョウ様、私は此方を頂きます」
と、サリーさんが手にしたのは【風林火山、フェアリーペンギン】だ。
フェアリーペンギンと言えば、前世ではオーストラリア南部、タスマニア島、ニュージーランドに棲息している小型ペンギンだが、此方の世界のフェアリーペンギンも棲息地は同じで、保護対象のモンスターだ。
因みに、体長は40センチ程で大きさは前の世界と変わらないが、此方の世界のフェアリーペンギンは、背中に妖精の様な羽根が生えている。
羽根が生えているから、飛べるのかというと、飛ぶのではなく滑空する。
高所から滑空して、海に魚を捕りに行く姿は、見応えのある風景だ。
性格は臆病で縄張り意識が強く、縄張りに入ると攻撃される。
しかし、小型で見た目が可愛いペンギンなので、密猟者に乱獲された事が過去にあり、保護対象のモンスターとして登録されている。
サリーさんが手にした【風林火山、フェアリーペンギン】は、甲冑姿で風林火山と書かれた旗が付属品だ。
「喜んで頂けて、良かったです」
「リョウ君。お願いついでに、もう一つ良いかしら?」
珊瑚を隣の席に座らせて、お茶を飲むミッシェルさんが俺に言う。
「何でしょう?」
「実は今日、娘の誕生日なのよ。それで、貴方達にも誕生会に参加して欲しいの。良いかしら?」
「分かりました。しかし、今日がミリィさんの誕生日だったんですね。プレゼントを用意してないな」
「違うわよ?ミリィじゃなくて、ミリィの妹のミラよ。プレゼントは残りのフィギュアを1つ、プレゼントしてあげて?」
「ミリィさんに、妹さんが居たんですか?」
そういえば先ほど、もう一人の娘と言っていたな。
「ミラちゃんの誕生日だったんですか?」と、河野さんがミッシェルさんに聞いている。
「そうよ?だからミリィは帰って来たんだけど、河野君にメッセージは行ってない?私は、てっきりミラの誕生会に、参加してくれる為に来たと思っていたんだけど?」
おいおい、オッサン!
話が、おかしな方向に向かってないか?
「メッセージは、有りました。帰ると」
「河野さん、差し支えなければ、メッセージを拝見させて貰えませんか?」
「あぁ、構わんよ」
そう言って、河野さんが光学パネルを出してミリィさんからのメッセージを見せてくれる。
(実家に、帰ります)
うん?
メッセージ欄の横の方に、小さい縦線が入ってるんだけど?と思い、上にスライドさせてみる。
すると、かなり下の方に(P.S.妹ミラの誕生会に行くので、暫く帰りません)と、書いてある。
「おい、オッサン!何で、ちゃんとメッセージを確認してないんだよ!?」
「いや、此れは分からないだろう?俺は、ミリィが実家に帰るなんてメッセージを見て、凄くショックだったんだぞ?」
「そもそも、アンタがミリィさんを怒らせた事に、問題があるんだろう?」
「それは確かに、その通りだが、その発端は君だろう?」
「河野君?ミリィを怒らせたって一体、何をしたの?」
ミッシェルさんの笑顔が恐い。
「さて、どんな話を聞かせてくれるのかしら?」
ミッシェルさんが、口元にカップを持ち上げ、河野さんを眺めている。