異世界転生 作:魔導科学
「河野君、何か言う事は?」
「申し訳ありません、奥様」
只今、河野さんは土下座中だ。
何故、ミリィさんが怒ったのかという話を俺やカオリ、珊瑚も交えて話をした。
「悪いのは、誰かしら?」
「わ、私です」
「そうよね?リョウ君は、別に悪い事はしてない。確かに、リョウ君は女心が分からない唐変木かもしれないけど、今回の件は河野君、君よ?」
ヤベぇ、俺の評価だだ下がりだ。
「それで、あの娘はあんなメッセージを書いたと、私は母親だから娘の肩を持つのは当然としても、ミリィもちょっとイジワルね。まぁ、ミリィが帰って来たら、話をしなさい。夕方には、戻るわ」
「はい、分かりました」
土下座中の河野さんが、立ち上がったのを見て俺は話し掛ける。
「河野さん、一端戻って準備しましょう」
「そうだな。色々と、誤解があったから、サミュエルにも謝らないと」
「ミッシェルさん、夕方にお伺いします」
そう言って、俺は頭を下げる。
「待ってるわね?珊瑚ちゃん、またね?」
ミッシェルさんが、笑顔で手を振って見送ってくれる。
そして俺達は、サミュエルさんの会社に戻った。
帰って来て、サミュエルさんに事情を説明しているのを眺めていたが、河野さんは平謝りしてサミュエルさんは、光学パネルを電卓にして料金を請求している。
サミュエルさんの笑顔が恐いのは、気のせいじゃないよね。
電卓の数字を見た河野さんの表情が、かなりヤバい状態になってるな。
まぁ、放っておこう。
俺は、魔導通信機を起動し弘崎君に連絡する。
『私だ』
「こんにちは、弘崎君。ちょっと、話をしても大丈夫ですか?」
『リョウさんでしたか!すみません、また組織の連絡かと思って』
魔導通信機は、登録してあれば必ず誰からの通信か分かる筈なんだが、敢えてツッコまないでおこう。
「実は弘崎君に、お願いがありまして」
『お願い?何ですか?』
「モンスターガチャのフィギュアを、生産している場所を教えて頂きたいのですが、出来れば全部揃った状態で購入したいと思いまして」
『なる程、それなら店に来て下さい。用意しておきます』
「本当ですか?有難う御座います」
カオリと珊瑚を連れて、弘崎君の店にやって来た。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
弘崎君は、今日は黒い眼帯をしている。
「リョウさん、フィギュアは用意してあります。持って行って下さい」
「有難う御座います。お幾らですか?」
「魂の盟友から、お代は頂けません」
「いや、あれは芸術作品です。それを、タダで貰い受ける訳にはいきませんよ」
「店の地下に工房があって其処で制作した物で、自販機は知り合いから安く使わして貰っているんです。だから、経費はそんなに掛かって無いんで、気にしないで下さい」
「なら、ガチャガチャ100回分の代金で、どうかしら?」と、カオリが言うと「ピィ!」[カオリママに、賛成!]と、珊瑚がパネルを見せる。
「弘崎君、パートナーのカオリと娘の珊瑚です」
「リョウさんの奥さんですか?娘さんて、ドラゴン?この間のネックレスは、娘さん?のプレゼントだったんですね」
「奥さんだなんて、もう恥ずかしい!リョウ、弘崎さんて、いい人ね!」
「ピピィ!」[綺麗なネックレスを作って頂き、有難う御座います]
「弘崎君、俺は未婚です」
俺は弘崎君に、カオリと珊瑚に出会った経緯を簡潔に話した。
「そうだったんですか!そんな事があったんですね」
「人生は、何が起こるか分からないですよね。今の所、楽しい事ばかりだから良いですけど」
俺は弘崎君に、モンスターフィギュアの代金を支払いながら言った。
「そうですね。俺も異世界に転生するとは、思って無かったですからね」
弘崎君は、眼帯を弄りながらそう言った。