異世界転生 作:魔導科学
弘崎君の店を後にして、次は量販店にやって来た。
広い店内にはあらゆる商品が並んでいるが、俺の目的はハッキリしている。
プレゼント用の箱の購入と、ラッピングをして貰わないと。
幸い、この店にはプレゼントコーナーと言う、プレゼントに特化した商品を扱うコーナーがある。
そこへ行けば何とかなるだろうと楽観視していたのだが、現実はそう甘くはなかった。
あちこちの棚をひっくり返すように探したが、しかし、モンスターフィギュア100個が、入りそうな箱が無い。
一つ一つは小さくても、百個となれば相当な体積になる。
どうしよかと悩んでいると、店内のディスプレイに、箱作成可能という文字を発見する。
「此れだ!」
思わず声が出た。
オーダーメイドならどんなサイズでも自由自在だ。
俺は、モンスターフィギュアを100個入れられる箱を注文し、フィギュアを納めた後、綺麗にラッピングして貰う。
これで俺の分の準備は完璧に整った。
一息ついた俺に、隣で様子を見ていたカオリが不安そうに声をかけてくる。
「リョウ、私達のプレゼントどうしよう?」
「そうだな。何が好きか、聞いてくれば良かったな」
そもそも、年齢も分からない。
女の子と言う事しか、分かってないんだよな。
そんな手探りの状態で、贈り物を選ぶのは至難の業だ。
そこで俺は、唯一の連絡手段を思い出す。
そうだ!
河野さんに、聞いてみよう。
河野さんの連絡先を、登録しておいて良かった。
『リョウか?どうした?』
「河野さん、ミラさんの年齢と好きな物を教えて欲しいのですが」
『ミラちゃんの歳は、確か今年で13だったと思う。好きな物は、正直分からん』
「有難う御座います。プレゼントを、どうしようかと思いまして」
『よし、分かった。俺もそちらに行くから、まだプレゼントを買うなよ?待ってろよ?で、現在地は何処だ?』
俺が量販店に居る旨を説明すると、5分程で河野さんがやって来た。
「ハァハァ、久しぶりに走ったな」
全力疾走してきたのだろう、日頃の運動不足か、かなり疲弊しているな。
膝に手をつき、肩で息をしながらも彼は真剣な顔で言った。
「プレゼントに、何を選んで良いのか分からん。だから、俺も一緒に選ばせてくれ」
「分かりました。リョウは、フィギュアをプレゼントするし、問題は私とピィちゃん、河野さんの分ね」
カオリが、店内のディスプレイを眺めて試行錯誤している。
「ピィ!」
珊瑚が元気よく鳴いて、俺たちの視線を釘付けにした。
[カオリママ、私はポーチにしようと思う!]
「ポーチか。流石ね、ピィちゃん!」
「カオリ君、何を選べば良いか、アドバイスをくれないか?」
河野さんは、困り果てた顔で、カオリに頼んでいる。
エリート然とした彼がここまで弱気になるのも珍しい。
「そうですね、年頃の女の子だから、アクセサリーとかどうかしら?」
「アクセサリーか!それなら、髪飾りをプレゼントしよう!」
カオリの助言に救われ、河野さんは意気揚々と売り場へ向かった。
「さて、私はどうしようかしら?」
カオリは、店のディスプレイを眺めて何やら探している。
真剣に品定めをする彼女の横顔は、いつになく大人びて見えた。
「これ、可愛いわね!此れにするわ」
カオリが選んだのは、綺麗なネックレスだ。
繊細なチェーンの先に、透き通るような石が揺れている。流石カオリ、大人っぽいプレゼントだな。
ミラさんも、きっと喜ぶに違いない。
なんて考えていたら、「此れで、護身用具は大丈夫ね!」と呟く。
耳を疑った。
護身用具?
此れって、ネックレスじゃ無いの?
目の前にある美しく輝く装飾品と、彼女の口から出た物騒な単語。
そのギャップに、俺はただ困惑するしかなかった。