異世界転生 作:魔導科学
レストランで食事が終わり、バスで戻って来たが、今度は一人増えている。
ファム・ファタルの中の人、本名はユカさん。
私服に着替えて、俺と遊んでいる所を撮影したいと監督に言われた。
ユカさんは監督から、恋する乙女を演じて欲しいと言われている。
もう切り替えているのか、バスで戻る際から俺の隣に座って、恋人の様な感じになっている。
「リョウ、分かってるわよね?」
「リョウ様、あくまでも演技ですからね?」
「ピィ?」[パパ、デレデレしちゃ駄目よ?]と、ミッシェルさんとミラちゃん以外の女性陣から、お言葉を頂いた。
「私、施設ランドの役者として働いてますけど、施設ランドで遊ぶのは、はじめてです!」
職場だから、休みの日とか来ないか。
「あっち、行ってみよう?」
「あぁ、分かった」
ユカさんに手を引かれ、俺は後を着いていく。
此処からは、皆と別行動だな。
監督曰く、施設ランド乗っ取りを企てる悪の組織アクラツー。その組織の女性幹部ファム・ファタルは異星人で、人に成り済まして行動するが、財布を落とした所で俺と出会う。
最初は、人間など下等な生物だと思い見下していたファム・ファタルは、俺に親切にされ恋に落ちる。と、いう設定らしい。
暫く二人で遊んでいると、監督が近付いて来た。
「役者が来たから、此方に来てくれ」
呼ばれた先には、世紀末のアニメで汚物は消毒!とか言いそうな感じの、棘が着いた服を着た人が数人いる。
「彼等が、君達に絡んで台詞を言う。其処で、ファム君が前に出て彼等を睨むが、リョウ君は彼等を止める。では、リハーサルしてみよう」
「よぉ!兄ちゃん、可愛い女連れてるじゃねぇか?」刺の付いた服のモヒカンが、俺とユカさんに声を掛けてくる。
「おいおい?ウチの兄貴が褒めてんだぞ?礼くらい言えや?ゴラァ?!」と、今度は隣に居た棘の付いた服を着た、スキンヘッドが言葉を発する。
「まぁ、落ち着けお前ら、俺は優しい人間なんだ。兄ちゃんよぉ、有り金と女を置いて行けば、怪我せず済むぜ?」と、モヒカンが言う。
「其処で、ファム君が前に出て彼等を睨む」
監督が、指示を出す。
ユカさんが、指示通り前に出てモヒカン達を睨む。
「次に、リョウ君が彼等の間に入って止める。台詞は、適当に言ってみてくれ」
俺は、ユカさんとモヒカン達の間に入り「止めたまえ!」と、言ってみる。
「リョウ君、台詞を言いながら、彼女を守るように手を広げてくれ」
「止めたまえ!」と、ユカさんの前に出て、手を広げる。
「その後に、私が登場して、私の台詞だな」と、監督が台本を見つつ周りを眺める。
「よし!此れで、一回通してみよう!」
その後、数回リハーサルをして本番となった。
本番終了後に確認の為、映像を監督と共に眺める。
チンピラ達の台詞の後、前に出たファムを守る為に「止めたまえ!」と、両手を広げてチンピラ達の前に出る俺。
「兄ちゃん、痛い思いをしたいらしいな?」と、威圧するチンピラ達。
「おいおい?どうしたんだ兄弟?大人数で集まって、何の催し物だ?」と、セニョールさんが台詞と共に現れる。
因みに、セニョールさんの役名はケーシー・ライマックだ。
「何だ!オッサンは、引っ込んでろ!」と言って、チンピラの一人がケーシーの胸倉を掴むが、胸倉を掴んだチンピラが、一回転して地面に転がる。
「テメェ!一体、何しやがった?!」
「オメェら、やっちまえ!」と、乱闘になる。
流石、合気道の達人。
殴りかかってくるチンピラを、綺麗に投げ飛ばし、時に腕を極めて他のチンピラにぶつける。
チンピラが次々に倒され、リーダのモヒカンが、ナイフを手に威嚇する。
「おいおい、どうした?来ないのか?」と、モヒカンを挑発するケーシー。
しかし、モヒカンは動かず警戒している。
「そうか!俺が立っているから、怖いのか?じゃ、座ってやろう」と膝立ちになるケーシー。
膝立ちになったケーシーを見て、好機だと思ったチンピラが、ナイフを逆手に持ち直し上から振り下ろす。
ケーシーの右腕がモヒカンの腕を流し、体制を崩させてモヒカンの顎の下に腕を持って行く。
モヒカンは頭を軸に、一回転して地面に伏せる。
綺麗な、入身投げが決まった。
此処で映像は終わり、最初のアクションシーンが出来上がった。