異世界転生 作:魔導科学
「リョウ様、ちょっと宜しいですか?」
「何でしょう?」
セニョールさんの魔導通信機を登録し終わり、店の外に出た所でミリィさんに声を掛けられた。
「私も、魔導通信機の登録をして頂きたいのですが」
「そう言えばミリィさんとは、まだ登録してませんでしたね」
そう言って、ミリィさんはネックレスを出して、お互いに魔導通信機の登録する。
「ミリィさんに、施設ランドのお土産を渡してませんでした。此れ、どうぞ。シュウさんと、ミッシェルさん、ミラさんの分もあります」
「有難う御座います。リョウ様」
メガネをクイッと上げながら、無表情で俺を眺めるミリィさん。
演技の時は、割と笑顔を絶やさなかったけど、普段はあんまり笑わないよね。
「私が笑わないのは、特別な人にしか笑顔を見せたくないからです」
「あの、また心を読まれました?」
「私に、そんな能力はありません。可愛いですね」と、渡したぬいぐるみを眺めている。
「喜んで貰えて、良かったです」
「リョウ様。リョウ様は、優しい方だと思います。ですが、その優しさが時に人を傷付ける事を、覚えておいて下さい」
そう言ってミリィさんは、その場を離れた。
優しさが、人を傷付けるか。
俺は誰彼構わず、人に優しくする気は無いんだけどな。
そんな事を考えながら、シュウさん達にお土産を渡す。
「リョウ君、私とも魔導通信機の登録をして貰えないかな?」
「はい。お願いします。後で、弘崎君の所へ行きますので、お願いします」
「分かった、有難う。なかなかセンスが良いグラスだ」
「喜んで貰えて、良かったです」
「ミッシェルさんと、ミラさんには此れです」
「まぁ、有難う!可愛い置物ね」
「お兄さん、有難う!」
少し離れた場所に撮影スタッフが用意した椅子があり、リリーさんとマリーさんが座っている。
「リリーさん、マリーさん。施設ランドのお土産です」
「・・・有難う。可愛い」
「有難う〜、リョウ〜。今度、お礼するね〜」
「いえ、お世話になっているので、気にしないで下さい。ネアさんとゴモリーさんには明日、渡しますね。リリーさん後程、お願いします」
「・・・分かった」
河野さんに、お土産を渡そうとしたが見当たらない。
先に、ボア揚げ屋さんに行こう。
「いらっしゃい」と、店主が店の奥から挨拶する。
「すみません。お客さんじゃ無いんです」
弘崎君が、席に座ってお茶を飲んでいる。
「弘崎君も、一緒に居たんですね。丁度良かった、施設ランドのお土産を持って来ました」
弘崎君と、瑠璃さんにお土産を渡す。
「有難う御座います」
「可愛い!お菓子まで頂いて、有難う御座います」
「お菓子は、ご家族と召し上がって下さい。弘崎君、後で皆さんを連れて来ます」
「分かりました」
店を出て、河野さんを探すが見当たらず、辺りをウロウロしていると「ミリィ!」と、河野さんの声が聞こえた。
どうやら、ミリィさんと話している様だ。
今は、行かない方が良いな。
まぁ、急いで渡す事も無いし、明日の朝でも問題ないか。
カオリと珊瑚を迎えに行き、お土産を渡す。
「可愛い!リョウ、有難う」
「ピィ!」[カオリママと、同じぬいぐるみ!有難うパパ!]
「喜んで貰えて、良かった。此れから、リリーさんと弘崎君、シュウさんの会談を始めるよ。行こう」
カオリと珊瑚と共にリリーさんとマリーさんの所に戻り、シュウさん達を迎えに行ったが、ミリィさんは居らず、まだ河野さんと話をしている様だ。
先に、ボア揚げ屋に入って待っているか。
「いらっしゃいませって、リョウさんでしたか」と、瑠璃さんに言われる。
「度々、すみません。今度は、お客として来ました。弘崎君、リリーさんとマリーさん、シュウさん御一家です」
「はじめまして、弘崎京です。転生者です」
「・・・リリー、妹のマリー。話はリョウから聞いてる」
「こんばんは〜、弘崎君も〜、お姉ちゃんと同じこと言ってる〜」
「こんばんは。シュウ・アスナだ。妻のミッシェルと娘のミラだ」
「こんばんは、ミッシェルよ。転生者って、面白い事を言うのね」
「はじめまして。ミラです」
挨拶が終わり、席に座ると「こんばんは。いらっしゃいませ。貴女がリョウ君?」と、綺麗な金髪で耳の長い女性が、店の奥からやって来る。
「はい、リョウです」
「はじめまして。瑠璃の母のソフィです。お菓子、有難うね」
「いえ、とんでもないです」
「お礼に、デザートを御馳走するわ。ゆっくりしていってね」
「有難う御座います」
「リョウさん、ソフィさんがデザートを作って出してるんですけど、此れが絶品なんです」と、弘崎君が解説してくれる。
「それは、楽しみですね」
そして、会談が始まった。
「俺は、この世界に転生してずっと転生者を探していました。でも、今まで誰とも会えず諦めていた所に、リョウさんと知り合いました」
「・・・うん、同じ状況」と、リリーさんが相槌を打つ。
「・・・」
シュウさんは、黙って耳を傾けている。
「転生者って、ゲームか何かの話ですか?」と、ミラちゃんが問い掛ける。
「ミラ、信じられないかもしれないが、パパとリョウ君、そしてリリーさんと、弘崎君は転生者なんだ」
「・・・貴方、やっぱり」と、ミッシェルさんは、大して驚いていない。
「すまない。隠す気は無かったが、こんな事を言えば、笑われて終わると思っていたんだ」
「私は、貴方を笑ったりしないわ。でも、やっぱりそうだったのね。時々、面白い事を閃くなって思っていたのよ。ごめんなさい!話の途中だったわね」と、弘崎君の方を見るミッシェルさん。
「いえ、転生者同士で何か活動する訳じゃ無いですが、顔合わせをしたいと思って、リョウさんにお願いしたんです」
「・・・うん」
「お姉ちゃんは〜、口数が少ないけど〜、怒ってる訳じゃ無いからね〜」
「お待たせしました!」と、瑠璃さんがデザートを持って来る。
「美味しそうね!」
「ピピィ!」[うん!色合いが綺麗]
運ばれたデザートは、アイスクリームの乗ったパフェ風の物で、果物がふんだんに使用されており、とても色合いが綺麗だ。
シュウさんは、デザートを食べながら、フィギュアについて話をしたり、アニメになった某少年探偵と黒い組織は、どうなったか等の質問をしている。
某少年探偵の話は、俺が転生する直前ですら、未だに決着が着いていないと説明した。
確かアニメは、30年以上続いていたよな。
驚いた事に、リリーさんはアニメだけで無く、特撮も結構知っている様だ。
マリーさんは、リリーさんが話しているのを楽しそうに眺めており、ミッシェルさんとミラちゃんは、転生者である俺達に、様々な質問をしてくる。
「いらっしゃいませ!」
「リョウさん、此処に居たんですね?」と、ユカさんが店に入って来た。
「ごめんなさい。お邪魔ですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。どうされましたか?」
「今後の事で、話をしたくて・・・」
「分かりました。ちょっと、俺は離れますね。カオリ、頼む」
そう言って俺は、ユカさんと二人で違う席に座り、俺はコーヒーを頼み、ユカさんは俺達が食べていたデザートを頼む。
「ごめんなさい。邪魔しちゃって」
「いえ、大丈夫ですよ。それで、今後の事でしたね?」
「はい、監督から話を聞いて、もっとリョウさんと、仲良くならないと駄目だと思ったんです」
セニョールさんから言われたのは、ファム・ファタルは人間であるリョウと出会い恋に落ちる。
悪の組織の幹部として、地球を征服する為に来たが俺と出会った事により、それが正しく無いと考える様になって行く。
そんなファム・ファタルの思考と恋心を強調して、物語を進めて行くそうだ。
「だから、もっとリョウさんの事を知りたいんです」
「なる程、とは言え生まれたのは、つい最近でして・・・」
「つい最近?」
「俺はクローン人間で、生まれたばかりなんです」
「そうなんですか?でも、長く生きて来た様に見えますね」
「よく言われます」
「ふふ、面白いですね。そうだ!私と魔導通信機の登録して下さい」
「分かりました」
魔導通信機の登録が終わり、談笑しつつデザートを食べ終えたユカさんが口を開く。
「後、ファム・ファタルはリョウさんに惹かれて、好きになってしまう。なので、お互いを知るために、私とデートして下さい」