異世界転生 作:魔導科学
「行きましょうか!」と、ユカさんが優しく微笑んでいる。
それに対して「はい」と返事したが、俺は生まれて此の方、行ったことのある場所なんて限られている。
こんな事なら、事前にデートスポット等を調べておくべきだったな。
「リョウさんは、生まれたばかりでしたよね?」
「はい、そうです。だから、折角デートに誘って頂いたのに、何も考えていなくて・・・」
「大丈夫です。誘ったのは私だし、色々と考えて来たんですよ?だから、今日は私に着いてきて下さいね?」
「はい、宜しくお願いします」
「では、ゲームセンターに行きましょう」
「ゲームセンターですか?」
前世の俺は、UFOキャッチャーやメダルゲームが好きで、たまに行っていたが、此方の世界では初めてだ。
「楽しみですね」
「きっと、喜んでくれますよ!」
施設ランドから歩いて数分、デカいビルの前に到着した。
普段、素通りしていて何のビルか分からなかったが今、判明した。
前世の地元にあるイオ◯よりデカい商用ビルって感じなんだが、中に入って驚いた。
このビル全て、ゲームセンターだと?!
かなりの規模で、ビルの中に車やバイク、その他多数の乗り物がズラッと停めてある。
どうやら、この乗り物はゲームに使用されるらしい。
「私が子供の頃、このゲームセンターは無かったんですよ。昔あったのは、もっと小さいゲームセンターで、でもとても楽しかったんです。だからって、このゲームセンターが楽しく無い訳じゃないんですよ?」
ゲームセンターは不良の溜り場ってのは、俺の持っている昔のイメージだな。
最近のゲーセンは、明るくて綺麗だ、昔の薄暗くて汚れたイメージが今は全く無い。
素晴らしい時代だな。
と考えるのは、中身がオッサンだから仕方無い。
そんな事を考えながら周りを見ると、UFOキャッチャーのコーナーがあるじゃないか。
「ユカさん、UFOキャッチャーがしたいです」
「分かりました。行きましょう」
まるで、安◯先生、バスケがしたいです的な感じで言ってしまったが、俺的には久しぶりのUFOキャッチャーに、ウキウキしている。
様々なクレーンゲーム機が設置されており、拳大の球体カプセルやお菓子が川の様に流れていて、それを掬う場所がある。
「ユカさん、コレは何が入ってるんですか?」
「カプセルの中に商品が入っていて、取れればハズレ無しですよ」
1回100円か、ちょっとやってみよう。
腰程の高さの台に手を翳すと自動で精算されて、台から新たに軽快な音楽が流れ始める。
カプセルやお菓子が川の様に流れる中に俺が操作するスコップが、お菓子を大量に拾い上げ投入口に落とす。
残念ながら、カプセルは一つも取れず、お菓子だけだったか。
うん?
紙切れが数枚、混入しているぞ?
「リョウさん、その紙、抽選券ですよ!」
「抽選券ですか?」
「はい!抽選券をカウンターに持っていくと、何かしら貰えるんです。過去にあった高額商品は、アスナ社製の限定プラモとかあったんですよ!」
マジか?
シュウさんの会社って、玩具も扱ってたの?
今度、会ったら聞いてみよう。
前世からそうだったが、熱中すると周りが見えなくなって仕舞う。
大量のお菓子と複数個のカプセルを袋に入れて、ユカさんが隣に立っている。
やべぇ、また悪い癖が出ちまった。
熱中し過ぎて、2000円も使ってしまった。
「す、すみません。集中し過ぎると、つい周りが見えなくなってしまって」
「うふふ、大丈夫です。私も見ていて、楽しかったですよ?それより、カプセルの中身を見てみましょう」
フードコートの様な場所に移動し、お菓子を二人で山分けにした後、お茶を飲みつつカプセルを開ける。
最初に開いた拳大のカプセルから、一回り小さい黒い球体と紙が出てきた。
何だコリャ?
紙を見ると、取扱説明書と書かれている。
〜取扱説明書〜
この商品は、魔導機械生物です。
アナタの魔力と、生体反応を読み込む事で起動します。
何が生まれるかは、アナタ次第!
メンテナンスフリーで汚れても水洗いでOK!
常時魔力充填機能付き。
食事はしなくても問題ありませんが、食品であれば何でも食べれます。
食べた物は魔力に変換され、充填される仕様です。
リセットは魔導カプセルに入れて、リセットプログラムを起動すれば完了します。
リセット後は、魔導機械生物の種別が変わる可能性があります。
警告!!魔導機械生物は、食べられません。
と、書いてある。
俺は、ユカさんに紙を渡してユカさんにも読んで貰い、黒い球体を手に持って眺めてみる。
一見すると、切れ込みすら見当たらない完全な球体だ。
軽い金属の様な質感で、冷たくも温かくも無い不思議な感じだ。
「何が出るか、分からないんですね」
と、ユカさんが俺の掌の上の球体を眺める。
俺の身体から、スナック菓子と同じ名前のガンダ◯の主題歌が流れる。
音なしに、してなかったな。
どうやら、メッセージが届いた様だ。
「綺麗な歌ですね」
「すみません、魔導通信機を音なしにするのを忘れてました」
「今の歌、私の魔導通信機にも移して貰えませんか?」
「はい。では、魔導通信機を・・・」
ユカさんから腕時計型の魔導通信機を受け取り、歌をインストールしていると、右手に持っていた球体がゆっくりと姿を変え、テーブルの真ん中に移動する。
俺の魔力を感知して、カプセルが起動したらしい。