異世界転生 作:魔導科学
「お会いした方もいらっしゃいますが、改めて挨拶させて貰います。ユカです。施設ランドの職員で、ファム・ファタルをやっています」
「はじめまして、冒険者をやっているネアです。種族は、獣人族よ」
「こんにちは。私も冒険者で、ネアさんとマリーさんと共に、パーティーを組んでいるゴモリーです。種族は、魔族です」
「一昨日あったね〜。マリーだよ〜」
「・・・リリー、ドワーフ。一昨日、会った」
「一昨日ぶりですね、ユカ様。現在、施設管理者不在の為、私が代理で施設管理者になっています」と、ミリィさんはメガネを、クイッと上げながら話す。
「こんにちは、ユカさん。一昨日ぶりね。邪魔して、ごめんなさいね。リョウが、心配だったから」と、カオリがユカさんに挨拶する。
「ピピィ!」[こんにちは、ユカさん。一昨日の撮影の時に、お会いしましたね]と、ユカさんに挨拶した後、めぐりちゃんの方にもパネルを向ける。
[はじめまして。パパの娘の珊瑚です]
「珊瑚ちゃんって言うんだ〜。可愛い〜、お兄ちゃんの娘って、なんで娘なの〜?」
「めぐりちゃん、後で説明するよ。皆さん、此方の黒子豚がポポ、此方の白い烏が瑞です。二匹共、クレームゲームの景品で取った、魔導カプセルから生まれたばかりです。この娘は、囃子原めぐりちゃん。ユカさんと入った、ゾンビゲームの世界で知り合いました」と俺は、施設の皆に新たなメンバーを紹介をする。
「こんにちは、皆さん。囃子原めぐりで〜す。ついさっき、お兄ちゃんと知り合って、色々されちゃいました。エヘ」
「おい!?ちょっと待って、誤解が生じる自己紹介を・・・」
「「「「色々って、何かしら?」」」」
「リョウ〜、また、何かしたの〜?」
「・・・リョウ、何したの?」
「ピギィ!」[パパ、私とカオリママが居るのに、こんな少女にまで手を出すなんて、一体何したの!]
珊瑚の鋭い追及に俺は、冷や汗を流しながら言葉を絞り出す。
「な、何もしてないぞ・・・? ちょっと、お話をしただけだ」
しかし、その苦しい言い訳を遮るように、四人の声が完璧に重なった。
「「「「犯罪者は、皆そう言う」」」」
ネアさん、ゴモリーさん、ミリィさん、そしてカオリ。
四者四様の冷徹な視線が、逃げ場のない俺を串刺しにする。
「・・・お前ら、いい加減にしろよ?」
俺は次元収納からルシファーを引き抜き、その銃口をネアさん、ゴモリーさん、ミリィさん、カオリの四人へと向けた。
此方の話も聞かず、犯罪者扱いされる状態が頭に来た。
「・・・リョウ、暴力は良くない」
リリーさんが、銃口の先にいる四人を庇うでもなく、ただ静かに俺を諭す。
「そうだよ~。ちゃんと皆、分かってるよ~。リョウが、何かできるはず無いもん~」
マリーさんが、いつもの優しい声で追い打ちをかけた。
マリーさんは、俺が女性に対して乱暴なことをする人間ではないと、純粋な信頼を寄せている。
・・・あれ、マリーさん?
その言葉は、俺の潔白を証明してくれている。
けれど同時に、お前は女に対して何もできない腰抜けで、超がつくほどの奥手だと、全否定されているようにも聞こえる。
「これって、喜んでいい言葉なんですかね・・・?」
俺は力なく呟き、ルシファーをゆっくりと下ろして溜息をついた。
「ごめんね。リョウ。私は、貴方の分身みたいなモノだから分かってる。でも、どうしても構いたくなって、我慢できなくなるの」
「カオリさん、それ凄く分かります。リョウって、なんだか無性に構いたくなりますよね?」
「そうなんです。ネアさんの言う通り、リョウさんは放っておけないというか・・・。目を離すと、イタズラする子供みたいですよね」
さらにゴモリーさんが、夢見るような表情で追撃してくる。
「そして家庭を持ったら、子供みたいに甘えてくるんですね。うふふふ・・・」
ゴモリーさんが、また異世界へと旅に出られた様だ。
「申し訳ありません、リョウ様。皆様が仰る通り、リョウ様は放っておけない存在なんです。ですが先程の件は、深く反省しました。以前、同じ様な事があった際に、私がメガネを掛けた写真集を差し上げます。と、言いましたが、まだ差し上げていませんでしたね。今は以前と違い、生身の状態です。其処で生身の私が、メガネを掛けて写真集を作りますので、受け取って下さい」
ミリィさんはそう言うと、華が咲きそうな可憐な笑顔で、メガネをクイッと上げる。
「いや、それはそれで嬉しいですが、拒否権は無いんですか?」
「えっ?」
「・・・」
「・・・無い?」
「・・・」
返事の代わりに、ミリィさんはただ、どこまでも可憐な、そして一切の反論を許さない完璧なまでの笑顔を浮かべている。
「・・・そうですか」
「みんな、お兄ちゃんの事、詳しく知ってるんだね〜。でも、ボクも負けてないよ?みんなが知らないお兄ちゃんの顔を知ってるもん」
「「「「……ほう?それで、どんな顔なのかな?」」」」
カオリ、ネアさん、ゴモリーさん、ミリィさんの四人の目が、一斉にめぐりを見つめて答えを待つ。
「え〜、そんな事、恥ずかしくて言えな〜い!」
めぐりは両手で頬を押さえ、くねくねと身体を揺らす。
顔を真っ赤に染めながら、拒絶という名の色っぽい仕草を見せる。
頼むから、勘弁してくれ。
その声で、その台詞は非常に、危険が危ない。
話を変えよう。
「ネアさん、ゴモリーさん。ちょっと、宜しいですか?」
「な、何?わ、私は、そのリョウとなら別に・・・」
「リョウさん?ひょっとして、プロポーズですか?ずっと、待ってました!」
「とても、大切な話です。ネアさん、ゴモリーさん・・・俺は、異世界転生者です」
「・・・異世界転生者?プロポーズじゃ無くて?」
「リョウさん、酷いてす!私は、リョウさんが異世界転生者であっても、何時でもハネムーンに行けますよ?」
あれ?
ネアさんと、ゴモリーさんの反応が、やたらと違う方面に向かってないか?