葬 オラリオ   作:寝心地

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転生

とある建物の屋上で2人の少年が向かい合う。1人は白い衣服を纏い、片方は対照的な黒いスーツを着ている。彼らの周りにあるのは血、肉片、骨片そして幾つかの死体。

 

「カル…………マ…………」

 

白い衣服の少年は相手の名を呼ぶ、同時に黒いスーツの少年は嬉しそうな悲しそうな顔を浮かべる。

 

「済まない、随分と待たせてしまった。だが時間が無い、薬の効果はすぐに切れる。だから1言だけ言わせてくれ」

 

スーツの少年はそう言うと同時に武器を構える。

 

「俺は、お前を殺す」

 

本来なら死を告げる言葉に恨み言や恐怖の言葉を1つでも言うのが普通なのだろうが、白い服の少年は涙を流し1言返すだけだった。

 

「ありがとう」

 

その言葉は感謝だった。

 

感謝の言葉を聞いたスーツの少年は涙を流しながらその心臓を貫いた。

 

そうして少年はこの世を去った。

 

(ああ、漸く終わる。この苦しみも辛さも全部全部)

 

意識が溶けていく中で少年は尚も恨み言を吐くことはなく安らかにこの世を去る、筈だった。

 

「ふざけるなふざけるな!!これで終わらせるものか!!終わって良いはずがない!!ふざけるな!!お前はこれからも苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しみ続けろ!!!!」

 

漆黒の世界で怨みの権化が消え行く少年に手を伸ばす。

 

(ああ、やっぱり僕は許されちゃいけないのか)

 

少年が最後に思ったのは自分は永遠に許されない事への納得だった。

 


 

(…………………………………………???)

 

少年の魂は大いなる流れに乗って何処かへ向かう。ソレだけは理解出来たが何処へ向かっているのかは分からなかった。

 

しかし抵抗する事も出来ないのでそのまま流れに身を任せた。

 

(………………………………え?」

 

どれほどの時間そうしていたか気が付くと少年は肉体を得て世界に立っていた。自分の知っている世界とは違う世界に、あの時のまま、あの時の姿・格好のままで。

 

「………………………………」

 

何が何やら分からない少年はひとまず地面の感触を確かめる。間違いなく土の感触と臭いが手と鼻から伝わる、目からは草の緑や木の茶色が伝わり周りが森である事を推測する。間違いなく生きている事を知らせる五感に感動しつつ足を進めると巨大な街と思わしき物が現れる。

 

「……………………何だこれ?」

 

少年がそう言うのは街を囲む外壁、ではなく街の中心と思われる場所に建つ天を突く巨塔。

 

「よぉ坊主、ようこそオラリオへ、冒険者志望か?」

 

何はともあれ待ちに入ろうと壁門に向かうとそこで門番らしき男に声をかけられる。

 

「冒険者?」

 

「何だ違うのか?冒険者ってのはダンジョンでモンスターと戦う奴らの事だ」

 

「オラリオ…………モンスター」

 

「ん?もしかしてそれも知らないのか?」

 

「いえ、それは知ってます」

 

「そうか、んじゃ取り敢えず簡単な検査をするから此方に来てくれ、まずは名前を」

 

「はい、賽河 柩です」

 

こうして少年、賽河 柩は迷宮都市オラリオの中へ入った。

 

未だに自分のやるべきことが見えないまま。

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