オラリオの中に入った柩は街並みを眺める、中世に近い街並みと行き交う人々の多様さに面を食らう。
動物の特徴が混じった人、耳が長いエルフの様な人、更にドワーフの様な人に子供の様な人。
「どうなってるんだ、ここ」
「どうってこれがここの普通やで?」
呟いた言葉にある筈の無い返答が聞こえ思わず周りを見るとそこには赤い髪の糸目の人物がいた。
「あなたは…………………」
「うち?うちはロキ、【ロキ・ファミリア】の主神や」
「ファミリア…………主神…………」
「何や知らんのか?自分冒険者志望やろ?冒険者になるならどっかのファミリアに入って神から恩恵貰わななれへんで」
「………………………………」
「そして丁度ここに恩恵やれる主神がおる、自分ツイとるな」
「……………………そうですね」
「んじゃ取り敢えずうちについてきてな、あ!!自分の名前聞いとらんかったな」
「あ、はい、賽河 柩と言います。宜しくお願いします。えっと、ロキ…………さん?」
「何や他人行儀な、ロキでええよ、さ、こっちや」
ロキの後についていくと辿り着いたのは黄金に輝く館だった。
「ここが…………」
「そ、ウチら【ロキ・ファミリア】の本拠、まぁ家みたいなもんや、今度からは自分の家にもなるからよぉ覚え時」
その言葉に柩は嘗てのまだ暖かかった我が家を思い出す。まだ自分の運命を疑問にも思わなかった子供の頃、父と母と多くの使用人に囲まれた家庭。
(ここでもそんな物が築けるのかな)
「柩〜?どうした?はよきぃや〜」
「はい、今行きます」
ロキに促されるまま建物の中に入る。中も洋風ではあるものの豪華な作りをしており日本家屋に住んでいた柩は若干落ち着かなかった。
そのままロキについていくと辿り着いた部屋に入るとロキは備え付けてあった椅子に腰を下ろす。
「まぁ座りぃ、その背中の物騒なもんも降ろしてな」
「はい」
ロキに言われるまま背中の得物を下ろしロキの対面の椅子に座る。
「さて、んじゃあ早速柩に恩恵を与える、その為に」
ロキの言葉に何かあるのかと柩は身構えるとロキが次の言葉を発する。
「服脱いでな」
「へ?」
「いや〜恩恵は背中に刻むからな、服脱いでくれんと刻めへんねん」
「ああ成る程、分かりました」
柩は服を脱ぎその背中をロキに見せようとした所でロキが柩の手を取る、その目は先程までの糸目と違い開かれていた。
「柩、自分その胸どうなっとんねん」
ロキの目線の先にあるのは柩の顕になった上半身、その上半身には1枚の札が貼られそこから邪悪なオーラが立ち上っていた。
「これは、うちの家系の体質みたいなもので剥がさなければ害はありませんから」
「…………………………そか、それならええわ、んじゃ改めて」
ロキはそう言うとその背中に指を走らせた。