機動戦士ガンダムUC 〜人工姉妹の絆〜   作:りょカッス

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初投稿なのでお手柔らかに
原作設定と乖離している箇所があれば優しく指摘していただけると嬉しいです

マリーダさんを呼び捨てしない人のみこの先にお進みください


機動戦士ガンダムUC 〜人工姉妹の絆〜

U.C.0088年12月。

アクシズの残骸が地球圏に降り注ぐ、終わりの始まりだった。

宇宙は炎に染まり、砕けたモビルスーツの残骸が無数に舞っていた。

崩壊するアクシズから、幾つもの脱出ポッドが慌ただしく射出されていた。

 

そのうちの一つに、幼い二人の少女が必死にしがみつくように身を寄せ合っていた。

「ねえ……12番目……怖いよ……息が、苦しい……」

震える小さな声が、狭いポッド内に響いた。

プルトゥエルブは、隣で縮こまる妹の冷たい手を、痛いほど強く握り返した。

「大丈夫、13番目。私は絶対に離さない。……絶対に、約束する」

 

二人は同じ顔、同じ遺伝子、同じニュータイプの因子を持っていた。

ただ、製造番号が一つ違うだけの、人工的に生み出された存在。

グレミー・トトが最後に作り上げた「プルトゥ」シリーズ。

12番目は戦闘適性と冷静さを、13番目は感情適応力と感応範囲の広さを重点的に調整された、戦争のための人間。

姉妹と呼ぶには残酷すぎる「同じ顔の他人」。

それでも彼女たちは、互いを「姉妹」と呼び合っていた。

それが、彼女たちに許された唯一の温もりだったから。

 

ポッドの小さな窓の外では、アクシズの破片が火の雨のように降り注いでいた。

ジオン残党と連邦軍の最終決戦は、すでに混沌の極みに達していた。

そんな中、二人は「余剰実験体」として捨てられるはずだった。

しかし12番目は、最後の瞬間に13番目を引きずり込み、この脱出ポッドへ飛び込んだ。

「私は……あなたを守る。お姉ちゃんだから」

幼いプル12の声は、まだ震えていた。

NT能力が未熟だった彼女にとって、それはただの自己暗示に過ぎなかったかもしれない。

それでも13番目は、それを信じた。信じるしかなかった。

 

大気圏突入の激しい炎がポッド全体を包み込む。

重力の波が二人をシートに叩きつけ、視界が真っ赤に染まった。

13番目は泣きじゃくりながら、姉の胸に顔を埋めた。

「お姉ちゃん……離れないで……ずっと、一緒にいて……」

「うん。一緒だよ。ずっと……」

その幼い約束は、しかし、地上に落ちた瞬間に無残に引き裂かれた。

 

激しい衝撃の後、ポッドはアフリカ大陸の辺境、乾いた草原に激突した。

12番目は意識を失い、13番目は辛うじて這い出すのが精一杯だった。

燃え上がる残骸を背に、13番目は必死に姉の名を呼び続けた。

だが、近づいてくる連邦軍残党狩り部隊の気配に恐怖し、森の奥深くへと逃げ込んだ。

 

それが、二人の九年にわたる別離の始まりだった。

 

 

13番目を保護したのは、辺境の小さな村に暮らす老夫婦だった。

彼らは血と泥にまみれた少女を「ミオ」と名付け、孫のように慈しんだ。

 

学校に通い、友達と笑い、川で魚を釣る。

普通の少女として過ごす日々は、確かに優しかった。

だが夜になると、頭の中に「声」が溢れた。

遠くの誰かの悲しみ、怒り、死の恐怖。

人工的に埋め込まれたニュータイプの因子は、決して彼女を解放してくれなかった。

 

時折、激しい頭痛とともに姉の姿が蘇る。

長い栗色の髪、蒼い瞳、優しかった手の感触。

「……お姉ちゃん、どこにいるの?」

ミオは布団の中で膝を抱え、静かに泣いた。

自分が「作られた人間」であることを、誰にも言えなかった。

言えば、きっとこの温かい日常が壊れてしまうから。

 

一方、プル12は地獄の中で生き延びた。

連邦の捕虜収容所での尋問と実験、脱走、再捕獲。

やがてジンネマンに拾われ、「マリーダ・クルス」という偽りの名前を与えられた。

 

緑のクシャトリヤを駆り、戦場を駆け巡る日々。

妹の記憶は、胸の奥深くに封じ込めた。

「私は一人でいい」

そう繰り返し、感情を殺し続けた。

 

 

U.C.0096年

工業コロニー「インダストリアル7」外周部。

緑の閃光が宇宙を切り裂いていた。

クシャトリヤが、赤く輝くユニコーンガンダムと死闘を繰り広げている。

サイコフレームが全力で発光し、赤い輝きが暗い宇宙空間を不気味に染め上げていた。

 

その少し離れた位置で、もう一機の淡いラベンダー基調の機体が静かに待機していた。

量産型キュベレイの改修機――袖付きが保有していた予備機を、ミオのために急遽調整したNT専用機。

白を基調に薄紫のグラデーションを纏った、軽快で高感応のファンネル搭載機。

人工の少女に相応しい、儚くも美しい輝きを放つ機体だ。

 

コクピットの中で、少女はヘルメットの内側で唇を噛んだ。

「……お姉ちゃん?」

九年間、抑え込んできた感応波が、突然、鮮明に胸を貫いた。

姉の孤独、後悔、そしてほんのわずかな温もり。

すべてが、洪水のように流れ込んでくる。

 

プル13――ミオ。

袖付きに再び引き取られ、戦場に放り出された人工の少女は、操縦桿を強く握りしめた。

「お姉ちゃん……私、あの時の約束、ずっと忘れなかったよ。

胸の中で、ずっと大切に……守ってきたよ」

涙が頰を伝い、視界を滲ませる。

 

淡いラベンダーのキュベレイは加速した。

戦闘空域に向かって、まっすぐに。

九年ぶりの姉妹の再会は、

残酷な戦争の渦中で、

今、始まろうとしていた。




プルサーティーンってなんか言いにくいですよね

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