4月々日
今日はJRGを訪問した。個人ではなく企業に営業を掛けるのは緊張したが、うまく交渉できたと思う。今日は性格の主成分が私よりだから、そのおかげかな。
流石は日本と言うべきか、何度も話がなあなあになりかけたが、コチラは値段交渉以外大した興味は無かったのでその辺りは飛ばして話を纏めた。
結果としてJRGだけで約10億の収入になった。
これだけあれば店長のスキルも成長したりするかも知れない。
店長のスキルは未だ分からない部分も多い。スキルと金の売買に強制力を持たせたり出来るが、金を使ってスキルをどうこうは出来ないからだ。
可能性とか、出会いとか、概念とかを買ったりは全然出来ない。
なので私は集めたお金の貯蓄に応じてか、スキルに投資して成長させられると睨んでる。
今日中に確かめておこう。
最初に。
私がJRGに売ったのは情報嵐から連なる異世界関連の情報とスキル10個だ。
今日はその代金の回収。さっき書いた通り10億ちょいの金銭、国税である。
災害対策や国防に有用な情報としてそれだけはあると考えた適正価格だ。
相手が高いと思ったか、安いと思ったかは興味がないので無視する。
誰も分からない以上私の提示が適切だ。そうに違いない。
お昼を食べている時に臨時ニュースが流れた。
転移ポータルが経年劣化と時空間の異常で異空間に飛ばされる懸念があるから、3日後に全門を一日中一斉点検、設備更新するらしい。異空間に行きたいならこの3日間利用してても良いよってJR代表は言ってた。
うーん。直ぐに止めると問題はあるし、危険性を言わないのも責任問題になるよね。
その間はポータルは使えないと大騒ぎだったけど……多分私が提供した情報が原因かな。
隠蔽された事故報告は前に意図を探る時に確認したからね。
異相牢に度々繋がってるみたいだし、大方それを無くす為にポータルに管理人のブラウザを接続したいのだろう。
もう用意はさせたからいつでもどうぞ。その内異相牢に攻勢に出れるようにしてね。
ん? そういえば3日後って…ポータル点検と私も転校日が一緒だ。
そういえば書き忘れてた。なんで日記なのに業務記録になってたんだろ。
シャンデリア…じゃなくて、ミッション系の女子高なんだよね。
遂に決まったって感じだけど、割と妥協した結果だったりする。
K教は知らない訳じゃないけど、私としてはもっと偏差値も低いいつ休んでも出席になるタイプの高校が良かったんだ。
結果は徹底管理の真逆の学校になったけどね。
あの2人の大人が精神病だからこうなったのかな。
そのおかげで嵐から生き延びた私が言う事じゃないけど、悪魔じゃない私の存在って殆どイマジナリーなんだよね。
イマジナリー娘っ子。ただし
空白と言うか、余白と言うか。
そういう隙間を作ってくれればちょっとだけ現実に出て来れるけど、そういうのが無いと私は決して認知されないんだ。これは私の存在感の法則性と言うべきかな。
敢えて誰でもない名前を呼んだり、余分に1人分用意したり、そこに誰か居るかも知れないと思わない限り認識されない。だからこそ日の当たる表通りに私の居場所はない。
不確かな混沌だけが、人としての私の居場所だった。
だから……おや?
となると寧ろ、しっかり管理してる高校の方が私は認知されないのでは?
人である内はリストを創れば当然外れるし、寮に寝る場所は用意されない。
だからこそ、人の身体に戻れば在籍した事実は勝手に消されていく。完全フリーだ。
里親、悪く言ってごめんなさい。結構お願い伝わってたね。
歌いながら言ったのが良かったのかも知れない。
でも私を娘と認知してるって事は、そこに娘の幻覚がなきゃ私を認知出来ないから間違いなく病気だよ。だから自分の身を思うなら何回でも脳の検査を受けるべきだ。
ほんと人魚がどうの言ってるのはそろそろやばいと思う。幻覚が本物だったってオチ一本で食い繋いでるようなのが私なんだから。あ、これ、スキル屋のバイトでも言ったな。
結論。
私が生きてるのは大体そんな不幸の奇跡が噛み合わさった結果だ。
幸せで健康な人は決して私の姿を見ない。
逆を言えば、人の私が見れるのは「誰か」を求めてる証拠だ。
そこに収まって認知されるんだから、私の影の薄さは特定条件下では薄く無いと言える。
何処にでもいる誰か。何処にでもいる人。
個人を示さない普通の中。何処にでもある。
或る人。
時間が余ったのでSR社も行ってきた。
赤い警報と銃撃で歓迎されたくらいで、結果として100万ドルが支払われた。
今回はお客様が相応だと思う値段での販売だ。英語に詳しくないから其処は適当に済ませた。
売ったのはスキル10個とJRGと同じ情報。過去…歴史諸共消える事実を中々受け入れて貰えなかったけど、アメリカで起きた情報嵐の跡らしきものを指摘したら黙って払ってくれた。
日本が1番多いけど、外国にも痕跡はあるんだよね。
歴史を閲覧し人の流れを追えば不自然な未開拓地帯は割と見つかるし…今なら、夢を通して異相牢として再形成された空間から、都市の名前くらいは汲み取れる。
例えばワシントン とか、ニューヨーク とか、ハリウッド映画 とか、大統領制なのにかなりの間大統領が不在のまま国が動いてたりとか。なんで人口が一億も居ないしょぼくれた国なのに先進国で大国って評価なの…とか。
あの国は嵐の数は少なくても、一度に消えるものが多そうなのが痕跡から読み取れるんだ。
今私が住んでいる街だって固有名詞を何処かに忘れてしまっているし。
夢の中で異相牢を巡ってると結構あるんだ、こうやって余白に消えたものが。
でも気にする人は居ない。元からそうだった事になるから。
そうやって消しゴムで消された跡はどれだけ書いても勝手に文字が消えていくし、自然と忘れる。
静かに、始まることすら出来ず消える。唯一遺せるのは遷遺者か、異相牢か。
全人類8億人。
確実に嵐の中に溶けていった人の方が多いに違いない。
どれだけ消えたかはもう分からないが、スキルの原材料がそこら中にあるということは、つまりそういうことである。
まだ時間があったので団体の方にも行った。日本刀を向けられたのは初めての体験だった。
売ったものは例の如く他と同じだが、1億の代金は10年ローンを組む事になった。彼らに払える程度だと思ったが、どうやら存外金回りは余裕がないらしい。
代わりに他と違ってこれからの方針を伝えてくれた。
昨日の吸血鬼の人と比べて信用出来そうなんだとか。なんかつべこべ言ってるな。
消えた歴史と人を取り戻したいとの事なので頑張って欲しいものである。
成果を出すにはもうちょっと時間が必要だろう。
まだ時間があったのでゲーム会社にも行ったが、滋賀県の本社がある筈の住所は真っ白な湖と化していた。ここ異相牢だったっけ。
何事かと思ったが、どうやら現実と完全に適応した異世界であるらしい。
つまり私の元通学路の異相牢が更に現実に寄り添った姿。どこが。
調査を行った結果、ここは乳海だと分かった。ヒンドゥー教の逸話のそれだが、元は琵琶湖であったらしい。どうにも情報嵐によって変わり果てたとみえる。
ギャグみたいな話だが、元々湖ならどうやって本社が立っていたのだろうか。
海上ならぬ湖上都市? なんだ出島か?
本来の姿が分からないのでその辺りは放っておくとして、どうやって活動しているのだろう。
メールが来て事実特許が認められてるという事は何処かにある筈だ。
更に調べた結果、物理的に存在してないだけで情報的には存在しているらしい。
どういうことかと言うと、スマホのバーコード読み取り機能越しならARで湖上都市を確認できたからだ。私に手を振る人も何人かいる。なに、待ってたの?
多分嵐でネット関係が変な形で残ったのだろう。謂わゆるサイバー空間のように形成されて。
人の方はネットに残った個人情報に人の精神要素が結び付いた結果か。
なるほど、2要素なら私より存在として確立する可能性は高いが、こういう人モドキが各地に点在してると思うと心穏やかにはなれないな。
それ以上相手に干渉は出来なかったので、そこは管理人の成長と交流できる機能の追加に期待する事にした。
どうあれ災害地への救助は企業としての努力義務がある。今後は様々な観測機器を用意しよう。ネット以外の要素と繋がり、こういう変な状態で生きている人が居るかも知れない。
彼ら一先ず「電波人間」と呼称。スキルを持てば人になれるかも知れないが、肉体が欠けてるのでどうにかそれを用意する必要がある。
つまり再生か。
まだ時間があったので桜笛教の聖人を連れて来た。回復で肉体を生やせないかの検証だ。
結果から書こう。出来たが、出来なかった。
聖人は対象をスマホ越しに視認。
「あなたは誰ですか!?」「そのケモミミは一体…?」「いや尻尾ありますよね!?」
などと寝ぼけたことを言う本人の意思は無視し、無理矢理借りて来たからか私の命令には従わなかったので夢を経由……は何故か出来なかったので教祖の皮を被って啓示を偽装し、聖人は無事啓示に従い対象の肉体を再現。
肉体は電波人間を受け入れず肉体単独で活動を始めた。対象は電波人間として活動している際の記憶を保持。しかし再生対象である電波人間はスマホ越しに困惑していた。
結果として同じ人物が2人増えた。
原因として、あくまでも肉体の回復であり電波人間を基点にしたりは出来ないスキルであるからだろう。
しかし性能は足りてるせいで思考能力を有した肉体を完全に回復。
この現象に当て嵌まる呼称は「クローン生成」である。
肉体…クローンはコチラで引き取り入社させた。
対象は自身の名前を持っていたが、将来的にオリジナルとこんがらがりそうなので「複製体1」略して「フクイチ」と命名。
イセカイゲェム社ではシナリオとイラストを担当していたそうなので、管理人が個人的に制作を開始したブラウザゲームなどを担当。主な業務は雑用である。
尚、オリジナルとはネットを通じて連絡出来る様なので個人的な問題は本人に任せる事にした。
まだ時間が合ったが、流石にあり過ぎるので私自身の活動履歴を振り返ってみた。
その結果同じ時間に最大三人の私が別の場所にいたので、何かしらの影響を受けたと思われる。
心当たりが有ったので「D因子」に居る人格を全員呼び出した所、案の定2名欠けていた。
暴走か。
違った。前に通学路の夜の遷遺者……名前が無いのが不便なので異相牢「マイゴ幹線路」と呼称。
夜のマイゴの遷遺者、窓から転移出来る奴を利用したせいだった。
どうも本人に自覚させずに通る度に肉体を増やす…謂わば「ドッペルゲンガー」を創るようだ。
あの夜はコレを何回か利用した。そのせいだろう。
本来なら本人と同じ性格になるのだろうが、私の場合人格が8つあり、その上全ての人格が繋がっている。
結果として無自覚に4つの身体で活動する私になっていた訳だ。
他の身体はサキュの私と違い吸血鬼、人魚、人狼が主軸だった。
其々の種族の使いこなし振りは、スキルを手にした時にサキュではなくその姿だった場合の私と言える程度に熟達していた。吸血鬼は血の記憶を辿って音を調律し、人魚は人に好かれ易く、人狼は化けの皮を被れていた訳だからね。そういう点が「ドッペルゲンガー」と呼称する理由だった。
まるで並行世界の私みたいだ。精神が繋がっているので同一人物なのは間違いないが。
そしてサキュの私はJRGの交渉から帰ってからは転校の準備を終わらせていた。
便利なので増えたら利用する程度に活用しよう。
積極的に使わない。最大8つも身体が必要だとは思えないから。
夢で作った身体よりも自然に扱えるし、暫く様子を見る方向で良いだろう。
何より専門分野が違う。
サキュは夢、吸血鬼は血、人狼は皮、人魚は歌。
使える力が違うし、応用すれば大体似た様なものだが特化してる部分がある。
見た目だって変わっているし、場合によって使い分けたりもするかも。
いや…しないかも。どの力も大体応用すれば大抵のことは出来るし、結局私だ。
無理に分けようとしたが面倒なのでやめた。
私は4つの身体がある。それでいいだろう。
そういう世界で生きてるのだから、このくらいのノリでいい。
……訂正。四人じゃ部屋が狭いから割と困る事になりそうだ。
大丈夫だった。人魚以外小さくなれたのでなんとかなった。
マスコット化、幼児化、小狼形態。コレが…悪魔の力…!
お休みなさい。