記録No.1「最強無敵ブランコ」
「あっははは!!!」
「おーい危ないぞー…いや本当に危ないぞー!」
「キャハハハ!!そうだ世界を一回転させよう! すごい事になるぞー!」
「おーい! 止まれー! ちょ…あぶ…──おあー!!」
「よし、砂浜に着地したから無敵だった」
「はぁ、はぁ、二度と…二度とブランコであんな遊びするな」
「えー?」
「いいな?」
「はい!パパン!」
記録No.5「雪と車の世界」
「ねえ見て! 雪! 雪! 真っ白! しろー!」
「歩道から出ない様にねー」
ブゥゥゥゥン…!
「……そうだ車! 私の最強に大きくした雪だるまとお前の走りのどっちが強いか、お互いの世界をぶつけ合おうじゃないか!」
「ダメよー」
「よーし……丸まらない…!?」
「ふふっ雪を丸めるならね、最初は水をちょっと掛けて…」
「ママン最強か?」
「大人なら普通よー」
記録No.10「からかい」
「大きくなったな…」
「あんまりヤンチャしないでね…」
「もー、私はもう子供じゃないってば!」
「おお…食べ放題でピラビット作ったお前が…」
「うう…白線変えて垣根歩くミカが…」
「もしもしママンパパン? それおちょくってる?」
「「じゃなきゃなんだ」」
「よーし喧嘩なら買うぞー!」
記録No.31「親友 出会い」
「ご機嫌よう、後ろの席の人」
「おう、反応に困るキャラはやめて貰おうか」
「私はみかん。あなたはミカ。2人合わせてミカみかん」
「おう、ギャグかガチか言葉はやめて貰おうか」
「ん、そこはウィンガーディアム レヴィオーサと言うべき」
「どこネタ? 分かった。君さてはテンパってるな?」
「バレた。さてはニュータイプ?」
「女子でガンダム知ってる奴どれだけ居るよ」
「君は親友だね? 君は親友だ」
「やめろーパパンの受動喫煙でそんな知らないから!」
記録No.56「迷子の便り」
「あっはあ!よっしゃ帰って来れた!念の為助けの手紙出してて正解正解大正解!」
「…ん、一つ聞いていい?」
「どうぞ」
「なんで地元で迷子になっているの?」
「…べっつにぃ…そこに山が有ったから」
「そっか。これから一緒に帰ろうね」
「助けてくれてありがとう御座いましただからそんな年下の子供を見る目で見んなー!」
「ん」
「ぐわー!山盛り暖かい目!」
「私たち、ギャグセンスはイーブンだね」
「…はー? いや山で掛けたわけじゃねーよ言っとくけどこれマジだか
記録No.79「地図」
「だからさぁ、こうも昔と比べて街並み変わると迷子になるのが普通なんだよ。知ってる?ちょっと前までこの辺り木と林と森しか無かったんだよ?
「今年引っ越したばかりだから分からない」
「あ、そうなん? だからそんな手書きの地図描いてる感じ?」
「趣味」
「へーうわ絵が下手くそっ! 道は綺麗なのにホラーになってる!」
「…絵は描けない」
「ほーん。なら私が描こうか? みかんとミカでミカみかんの秘密地図〜って。どっ?」
「………よろこんで」
「あ、コイツ照れてやんの!やーい!
……ふー。ちと暑いな」
記録No.100「サイクリング」
「ふぅ…やっぱいいよなあ遠出って。なんてったって夕日が心地いいんだわ」
「…………きれ…うっ」
「あっははゲロキツそうー。はいスポドリ」
「んっんっんっ…ぷはぁ!」
「そんな無理して来なくていいのに。いつもそうだったじゃん、珍しい」
「…今月中に引っ越すから。最後に一緒の思い出が欲しかった」
「………は? 聞いてない。あ、てか今日月末!」
「言いそびれた。それだけ」
「うわーくそなんでそんな……はぁー。何処引っ越すの?」
「……なんで聞くの?」
「あ"ー…! 手紙! それと偶にでも会いに行く為! それ以外ある!? そんな急にすっぱり別れるほど仲悪くないじゃん、私達さ!」
「……そっか」
「そうなの! あーくそこういう時いつでも話せる道具とかあればなぁ…!」
「ポケベルならあるよ」
「数字だけで何が楽しいんじゃわれぇ…それなら交換日記の方が言いたいこと伝わるわい!」
「記憶力ゼログラム娘」
「らんま1/2ネタやろそこは…あーもー調子戻ったんならいいや。別に今性の別れじゃないんだし、私達はいつも通り帰るのでしたー」
「恥ずかしがってる」
「………悪いか?」
「ううん。嬉しい」
「あーはいはいそうですかい」
記録No.114「交換日記」
「いやぁ夏休みの日記すら絶対書かなかった私が日記の為にペンを持つとは。こりゃよっぽどの事が起きたに違いないね」
「あら、彼氏?」
「親友。引っ越しても友情は引き裂かれませんってね」
「大事な友達かー。それは別にいいが…郵便代は大丈夫か?」
「……スーーッ。バイトって有りスか?」
「うふふ、くえしゅちょん! ミカは今何歳でしょ〜か〜?」
「はい! 16!」
「2年も高望みすんな14歳。来年の高校まで禁止です!」
「パパが出そッブゥ⁉︎」
「金銭感覚を養う為にもダメで〜す」
「トホホ〜…ママ〜ン、お手伝いさせて欲しいなぁ〜?」
「あら〜料理掃除洗濯買い出し近所付き合い色々あるわよ〜?」
「げぇ…」
「ママ…さてはこれを機に花嫁修行させるつもりか…頭良いなぁ〜」
「やだもうパパったら!」
「ぐふっこふっ力強っ…照れてるママもいぃブゥゥゥゥン!?」
「……あー、パパン吹っ飛ばされちゃった」
記録No.120「再会」
「ここがとある高校か〜。変な名前に惹かれて入ったけど案外普通そうだなぁ…あ?」
「ここがとある高校…幻想をぶち壊してそうなのに惹かれたけど結構普通……ん?」
「「………」」
「ふぅ…なんて言うか、あれだな。一年も経たずに再会するなんて腐れ縁って奴かなあ!あはは…はは……はは、久しぶり?」
「……会いたかった」
「ちょとやめてよガチな反応は! あーほら抱きつくな泣くな鼻水は流石に淑女協定違反だぞうおお"お"!!」
「んー! ぷは!…ふふ! ご機嫌いかが? Ms.ミカ。私の…親友!」
「お前見てない間に変なアニメでも見たか? 小っ恥ずかしいからやめて?」
「会いたかった」
「…っし、覚悟しろよ今から投げ技使うからよぉぉお!!」
「うごぉ……あっははは!……またよろしくね、ミカ」
「ああよろしく。Ms.腐れ縁」
「あ、私の真似」
「いいだろ久々なんだから」
記録No.137「ボール」
「おっさんぽーっと…ん? こりゃ…野球ボールかぁ」
「すみませーん! こっちでーす!」
「お。よーし…これが私の全力投球!」
パシッ。
「ありがとうございまーす!」
「へー、いい筋してんじゃん。中学ソフト行ってたの?」
「お? 君は…同じクラスのーぉ……ぉ、ぉ…」
「名前を覚えてないタイプのフリどうも。別クラスの水浦でーす」
「すま…けほん……ごめん普通に知らなかった。ソフトやってないでーす」
「それで取り繕ってるつもりなら皮が薄すぎだろ。いいよシラフで」
「どもーっす。水浦はどうしてここに?」
「本読んでた。この河川敷、いい感じに居心地いいから」
「へー何読んでんの? 私散歩」
「異邦人」
「なに…? 今日ママンが死んだ…?」
「えっ」
「……何その反応」
「いや、マジで驚いた。本気で驚いた。ミカはそういうの知ってるタイプじゃないと思ってたから」
「なんだとー? これでも夏の読者感想文の宿題の為に夏の思い出をフルで読むタイプだぞ私は」
「うわそうなの!? えっ意外。他に何読んでる? SFは趣味に入ってる?」
「SFはドラえもんと幼年期と電気羊しか知らーん! なんで読んでたかって言えば! みかんに合わせようとして検討違いな種類の本読んでた時期が有ったから! でも面白かったからオッケーです!
もしや語り合い希望か!? 良いよ、私の考察とお前の考察、どっちが本質に触れ作者の世界を理解しているかぶつけ合おうじゃないか!」
「マジで結構語れるタイプじゃん! あ、ならさ、日本文学とかも……─!」
記録No.151「ストライク」
「卒業かあ。あっという間だったなあ」
「ん、楽しい思い出は一瞬」
「そっかあ? そうかもなあ!」
「お、ミカー! 第一ボタン交換しようぜ!」
「───ッ!!!!」
「あっ水うわっ!?」
「ミカ。あの人だれ?」
「え、水浦。散歩中に会ったら話す感じのダチ」
「惚れた。告白手伝って」
「は?マジかよ。卒業初対面でそれは難易度ベリーハードだぜみかん」
「分かった。玉砕してくる」
「あー待て待て分かったやるだけやろう! 死出の旅路にゃ付き添いが居た方が心強いだろ?」
「よし、ごー」
「好きだミカ。付き合ってくれ」
「は?マジかよ。卒業別れ際にそれは気を見るに遅すぎナンセンスだろ」
「ミカ……」
「そうだった面倒な事態だなーアーーっ!!?」
「……ちょっと待った。本当にミカが好きなのは私」
「みかーーーん!!!? テンパったのガチなのどっちなのよ!?」
「いや、本当に好きなのは俺だ! 随分と言うのが遅れちまったけど、俺と結婚を前提に付き合ってください!」
「適応はえーなーオイ!?」
「ん!」
「どさくさに紛れて直角のお辞儀してる水浦の手を握ろうとすんなよりややこしくなるわ」
「よし2人とも正座したね? 今から高校卒業なんて大事な日にバカみたいな青春の圧縮行為に対する反省を実施する。生きて帰れると思うなよバカ2人」
「「ごめんなさい」」
「はっはーどっちかと言うとそれ言うの私なんだわ。謝罪じゃなくて拒絶の為にな」
記録No.152「低望み」
「なんか…あの時は色々ごめん、ミカ」
「ぶい」
「誇るなー?みかーん? 水浦はいいよ謝罪なんて。みかんに泣き落としは勝てんのはよく分かる」
「それはそれで男心複雑…」
「正直ミカが水浦タイプじゃなかったのが勝因の全てだった。この世の全てに感謝を」
「ぐはっ!」
「めんどくさーなお前ら。ま、末長くお幸せにな」
「にしても結婚か…結婚か……大学興味ないし嫁ぎたくはあるけど、私ったらガサツだからなぁ。水浦はその点惜しかったかも…」
「悩んでるな、ミカ」
「そりゃ悩むよ。女の子の1番の分岐点なんだから。そうだ、パパンはこう私のお見合い相手に覚えとかない?」
「娘を渡したくない」
「パパ〜?」
「冗談抜きで相応しい相手はいない」
「あら…本当にそうなのね。うーんだとすると困ったわ、私もミカに相応しい男の子って知らないのよね」
「…あーパパンママン、私をどれだけ高く見積もってる?」
「「最低でも金持ちで心から愛すタイプの同い年」」
「最高レベルを高望みするなよ中流家庭。生々しい王子様を求めてたら行き遅れだよ?分かってる? 今時流行りの波に乗った恋愛結婚のお二人さん」
「でもすっごく器量がいいじゃないミカは。誰とでも仲良くなれるのは才能よ? 愛想も良いし」
「ママに鍛えられて家事も人付き合いも出来るし、友達のお陰かやろうと思えば気品のある立ち振る舞いだって出来るじゃないか」
「……もー分からずやの実親なんて嫌い! 私はそこまでじゃないもん!」
記録No.153「芸術家志望」
「勢いで出ていっちゃった…どうしよ」
「随分と悩んでるね、君」
「わ、急に話しかけるなんてナンパ?」
「残念、道に迷ってる人を助けようと思っただけの親切な人さ」
「親切な人は自分を親切と呼ばないってツッコミは無し?」
「全然アリ。でも、本当に危ないよ? 最近この街はどんどん開発されってるからか、悪い人も相応に入って来てるみたいでね。女の子1人じゃ拐われるかもだ」
「ええ? 私ずっとこの街で1人で散歩したりしてますけど…平気ですよ?」
「おお、生存者バイアス。そう言って消えた可愛い女の子がどれだけいるか…」
「だったら余計に大丈夫! 私はそこまで可愛くない!」
「あ、ふうん」
「なに今の間」
「いやね? 君は確かに図書館の片隅に居そうな地味な見た目ではあるけど、顔のパーツは整ってるし、そばかすやシミもないだろ? しかも化粧も大してしてないのにそれだし、クラスで2番目に可愛いって言われるタイプじゃないか」
「急に褒められた! こわい!」
ドン!
「……ひゃぁ」
「そんな子がこんなに男と話してたら気があるって思われるのは全然ある訳。分かる? 天真爛漫な子が迫られると急に縮こまるのだって寧ろ煽りなんだ」
「ひぃ…ナンパだったぁ…」
「──ま! こんなふうになるからこれからは気をつけてね! 人通りが少ないとこんなフリじゃなくて本物の狼さんが来ちゃうかも!」
「おぉ…はいぃ…」
「それで、家に帰れそう? 迷子じゃないよね?」
「あ、そこは本当に心配してたんですね?」
「勿論。今だってフリで警告しただけだし、俺が優しいのはほんとの話」
「実は結婚相手が居なくて困る余りふらついてました」
「うん、寧ろ食われて欲しかったりする? 今その話題出すのはそういう意思と看做すよ?」
「のー!」
「うーん所作が一々かわいい」
「ま、モノは試しかな。俺は遊大
「うーん…お試しなら…」
「…君ホントチョロいのね!?」
記録No.167「支える者」
「君商才がすごいってよく言われない?」
「なんでも80点出せるねとは言われる」
「あーじゃあ器用万能なんだ……だから俺にも出来るような仕事なんて持ってられる訳だ。いや可笑しい可笑しい可笑しい絶対可笑しいって」
「なんか話してたら渡されちゃった☆」
「普通無理だよ? 分かってる? 俺大学生、未熟、相手社会人、他にちゃんとした仕事相手いる! というかなんで頼まれてるの!? 受けてるの!? まだ恋人だよね俺たち!? 恋人歴一月未満!」
「何故か頼まれたから仕方ない」
「何故だ……なんで他人に興味の薄い人間がこんな特技持ってるんだ…友達じゃないと名前も覚えられないのに…!」
「ともあれ仕事が入ったらやるしかない! 手伝うのでデッサン頑張って!」
「ぐっ……でも実践経験は確かに成長出来るしな……分かったよ、やるだけやるさ! やればいいんだろ!!」
「そうと決まれば──
記録No.170「育む者」
「なんで上手くいっちゃうかな俺達」
「頑張ったからだよ」
「不思議だ、君の手に新しい仕事の工程書が見える」
「言っとくけど夢じゃないから」
「いい経験にはなるけど授業との兼ね合いがあるんだよ……」
「ところで私のこと好きになった?」
「仕事仲間なら歓迎かなぁ…俺、自分だけの最高の作品を創る為に美大行ってるからさ、お金は勿論大事だけど、自分の時間が確保出来ないのはちょっと…」
「じゃあお別れ?」
「や…なんだかんだ一緒に居て楽しいのは確かだし……だからそんな悲しそうな顔しないでよ」
「わっぷ……えへへ、ならもうちょっと続けてみよ? 私達、じっくり愛を育めそうだしね?」
「……今の、かなり効いた。ここがドキッとしたわ」
記録No.215「双子」
「「おぎゃあ! おぎゃあ!」」
「ぜえ…ぜえ」
「双子ですねー」
「さて…案外……出来る…もんだな…私にもさ…」
「どっちも男の子ですよーお母さん。抱きますか?」
「ぜえ…抱く…私の子……産まれてくれてありがとう」
「ミカ! 俺達の子! うわあ!本当に産まれて…! おおっ…名前は!?」
「まだ早いっての……はは、ちゃんとこの子達らしい名前…うん、直ぐには決められないな」
「だったら俺が」「はいお父さん時間でーす退出してくださーい」「もう!?」
「……いや、決めた。
「「オギャア! オギャア! オギャア!」」
記録No.666「サプライズ」
「ままーお人形さん!」
「あ…? あー!?懐かしい!昔パパンに貰った奴! なんかのゲームキャラだったよね確か!」
「お、それかあ……あ、そういえば…薬、ジジに頂戴な」
「どうぞ!」
「いい子だねぇ!……よし取れた」
「パパン何それ? 透明な飾りボタン…あれ違うな何これ…いやなんか見た事あるような…」
「いやあジジも忘れてたんだけど…じゃーんサプライズー。ミカの人生のここぞって場面だけ自動的に記録する全自動成長記録で確か…「*|青葉卒停《6才以降のご利用は犯罪なので止めましょうの意》*」だ! ミカが産まれる前にぬいぐるみと一緒に福袋に入ってたから付けてたんだよなー」
「は? 今私の赤裸々なあんなことやこんなことを実は全部記録してたって言った?」
「やあごめんごめん。後半の記録は消すから許しッブゥゥゥゥン!!」
「はぁ…はぁ…鉄拳制裁!!」
「あはは! ジジとんだー!」
「……ま、観てやるか。それが役目なんだし、早めの正月の夜に丁度いい」
うわあマジで私の事全部記録してんじゃん…。
わー懐かしー。この時のミカ雪だるまと車をぶつけ合おうとしてるの、止めるの大変だったのよ?
もうやめてよー! 昔のことじゃん!
うわ、みかん! 若いなー私ら!
みかんおばさん! きのうお菓子くれた人!
そうだよ、この子みかんちゃん。あっはは、今見ても全然話あってねえ。でも気は合うんだよな、不思議とさ。
ママ達なにしてるの?
んーバカとバカとバカで馬鹿やってる感じ。
へんなのー。
でも楽しかった。だからいい思い出。
へー。
はいやめ! やめやめ! ここからは息子も親も全員視聴禁止!
お風呂! I字バランス! よっ体操選手!
せっ! せっく! せせせせ!
黙れクソ親情緒教育の敵! 洒落臭いわ! ほら出てった出てった!
ママなにしてるの?
声大きい!
はーいあっちお菓子あるからいこーねママンとの約束だよー?
はーい!
はい!くすり列車しゅっぱーつ!
きゃははは!!
ふぅ…不思議だ。結局1人で最後まで観ちゃった。
異世界観測かぁ…や、これはこの世界の私しか観れない安物だけど…高い奴だと並行世界も観れるんだからすごいよねぇ。
いや、もしかしたら金持ちの私がこの私を観てるかも。そうだったら夢あるな。そうなりたい訳じゃないけど、なんだかウキウキと楽しくなる。
……でも不思議だなぁ。こんな技術があれば幾らでも発展に使えそうなのに。遊び以外に使っちゃダメなんて。別世界の自分を取り出せたら幾らでも最高の瞬間を味わえそう……。
あ、だからかな。
ここにいる私を見捨てるようなもんか、そりゃ。下手に使って掴めた筈の未来を歪めちゃったら世話ないや。
鏡は見て使え。昔の人はよく踏みとどまったなー…神のお導きでも受けたかな? 無いか。
……さて、捨てるには惜しい。しかし私以外に渡せるほど需要もない。
異世界観測機ってどれだけ安物でも壊れないしずっと使えるしなぁ…廃棄物としてこれほど厄介なのもそうそう無いぞ?
…そうだ。確か…あったあった。"世界外廃棄センター"。超厳つい名前だから覚えてたんだよな。
まあ家に戻る途中に寄ればいい……ふむ、"因果輸送サービス"?
あなたと縁のある何処かへと向かい続けます。見知らぬ誰かの人生を少しだけステキにしたい時にどうぞ……いいじゃん。映像が観られる事はないだろうけど、この観測機はロマンチックで素敵な旅を送れるって訳だ。
ただ世界の外で寂しく過ごすより、そっちの方が趣きがある。
「世界外廃棄センターにようこそ。本日はどのようなご用件で?」
因果輸送サービスを。この観測機に。
「コチラは…旧型の「覗き窓」シリーズですか。当時のベストヘラーですね。最小サイズなので料金は500円です」
500円かあ。まーこのくらいならいいかな。
じゃあ頼みます。ステキな旅を送らせてやってください。
「かしこまりました。こちらレシートとなります。ご利用ありがとうございました」
……さようなら。今まで見守ってくれてありがとね。私の……いや。
「何処にでもある覗き窓さん」
・何処にでもある怪奇
「ん…」
「珍しい怪奇でも居たか」
「…何でもない。ただ、古い鏡があるだけ」
「そうか。害があるなら言え」
「大丈夫……もう私の手には届かない物があるだけだから」
・何処にでもある死に戻り
「そうか」
「お祭りの時にどうしたのサーシャ?」
「目線に気付いた。ただの鏡だった。必要ならこれ以上の物を創るだけ」
「へー。そんなことよりさ! あれやりたい!」
「分かった。行こうリーロ」
・何処にでもある魔法
「の・ぞ・く・な・っ・ス! この耳障りな不協和音ミラーが!」
・何処にでもある魔法少女
「……」
「どうしたのかしら?」
「変な音がこっちに飛んで来たなって」
「そんな事より会議に集中してくれる? アイツらと戦うのよ?」
「ごめん」
・何処にでもある寓話
『やーーーーっと分かった。妾が死んでないのお前のせいか。
はぁ…覗き見の罪は赦してやる。もうどこへなりとも行け。しっし。
全く……作品は観る者が1人残らず消えて漸く死ぬのだ。人以上に淡くもしぶとくもなる。
……はぁ。
ようやく、眠れる』
・何処にでもある遊戯
「あれ? まだ配信してないのに1人だけ観てる人が居る…?
まあいいや、ブロックで! 運営チャンネル待機モードぉ…はっちゃ!」
・何処にでもある楽園
[宇宙に行く準備してたらなんか見つけましたね。害は無いようですが、邪魔なので消します。
・何処にでもある呪い
「──ごめんね、ここはあの世だから、もう何処にも行けはしない。
君の記録はどれも厄介だったけど、これでお終いだ。どうか花と共に散ってくれ。
ふぅぅ……巡る呪いに、決着を」
・何処にでもある残骸
「……ほう? 気まぐれに拾ってみたらこれまた随分と長生きな鏡だ」
「世界が崩壊しもう何もかも終わって、暇つぶししかない余生だと思っていたが……どれ、最後の輝きを私に見せてくれ。まぁ、私の人生は最初しか見せてやらないがな?」
「どんな支離滅裂でも、阿鼻叫喚の地獄だろうと構わんよ。最後から最初まで、逆順に、何度だって振り返って……いや、いや、敢えてこっちの身で言ってやろう」
以上、私が観てきたお話はこれにて終了となります。
永らくお付き合い頂きありがとうございました。
席を立つならばさようなら、まだ何か見えそうならもう暫くお座りください。
さて、私を通して私が見た物を観た世界の皆々様。
今作はこれにて終わりとなります。
普通を求め、役目を求め、刹那を歩んだこれが私の終わりです。
もう私の世界すら包む何か…今回限りの呼称でいうなら「シリーズ」でしょうか。
連綿と歩んだ記録は語り終えました。もうこの法則に従った世界群はあなた方の前に出ないでしょう。ですが、寂しくはならないでしょうね。記憶は死ぬまで残っているものだ。
ではご機嫌よう。
忘れ去るまで、またいつか。