エゴにまみれた危険な悪魔 作:名無しの位階1の虫ケラ六年生
投稿しろ!!ここは完全に包囲されている!!もう十話書いてしまったから、投稿するんだ!!
最近、クラスの雰囲気がソワソワとして落ち着きがない。
クラスメイトをみれば、皆が右に左にうろうろと落ち着きなく動いたり止まったりを繰り返していた。
落ち着きのない挙動不審な動作は見ていて見苦しい。
「……貴様ら、もう少し落ち着け」
そんなクラスの様子に見かねたカルエゴ先生が、指摘をする。
「だって、親が来るんですよ!」
「ドキドキするでござる!」
「うち両親来るんだ…」
「うち兄」
「うちは…ばあやが…」
「サブノックくんは?」
「フン、知らん!」
「うちも来るよ!ダディとマミーとウーちゃんとキー坊とカンとシンシンとランランと……あとねー」
皆が一様に喋り出す。
そう、皆がソワソワしている理由、イベントが近づきつつあった。
師団による発表会もとい、新入団員のお披露目会である。
催しや出店、なにより一年生の親が見学に来るイベントである。
所謂、授業参観の機能を果たしていた。
親が来ると決まれば、子供はどこか緊張してくるものである。
かくいう俺も、少し緊張して…
「こないな」
「旦那様と奥様のお二人が来られるそうです」
「そうか」
「……いいなぁ」
そして、メイとケイには縁のないイベントでもある。
詳しくコイツらのことを俺は知らない。書類上だとメイには両親がいるはずだ。母親の方は恐らく、一度会ったことがある。
現在母親は我が家の屋敷で働いているが、父親の方は分家の方で働いているらしい。
ケイに至っては、わからない。
ケイは代々我が家に仕えている家系ではない。自己回復系の護衛は今までうちの家系にはいないからだ。
書類上は、戦争孤児と書かれているが……。まあ、わかったところでどうしようもないだろう。
どのみち、ケイの両親は死亡している可能性が高い。
ケイに両親の記憶があるのかは知らないが、様子を見るに、両親という存在に憧れがあるようだ。
クラスメイトが家族の話をしているのを羨ましそうに見ている。
両親がいるかいないかに関わらず、我が家の使用人として入学している以上は、身内が見学に来ることはない。メイの両親が良い例である。
来るのは、仕事の上司だけである。
俺の両親が来るのは、俺の様子と俺の警護がちゃんと役割を果たせているかを確認するためでもある。
まあ、俺が馬鹿をやっていないかを確かめることの方がメインな気もするが。
「坊ちゃん、旦那様方がお越しになられるのです。本格的に師団でなにを披露するのか考えるべきではないでしょうか」
「そうだな……」
メイの言葉に、俺は真剣な表情に戻る。
両親に良いところを見せるためにも、少し頭を働かせる必要があった
香料研究師団
最近設立されたばかりの、一年生が団長で団員が数名しか存在しない師団。
もちろん出来たばかりなので、目立った活動実績もなく、多くの学生に認知されていない師団だ。
活動実績と団員数は、団費や師団室の大きさにも関わってくる。
なので、活動実績のない新米師団に割かれるものは少ない…のが普通である。
この師団を除いて
豪華な部屋に生徒が3人ほど、これまた豪華な椅子に座っていた。
豪華と言ってもただ派手というわけでもなく、品が兼ね備えられた、計算された空間がそこにはあった。プロの犯行である。
部屋に3人しかいないからか、その完成された大きな空間を持て余しているようにも見えた。
「ん、美味いな。新しいフレーバーか」
「はい、スパイスを少し変えてみました」
「美味しいっす先輩!!」
「ふふ、ありがとう」
この部屋は香料研究師団の師団室である。
バビルス悪魔学校に多額の寄付金があったということで、最近新しく作られた部屋である。元々使われていなかった大きな空き部屋を改装した形になる。
学生の師団室とは思えないほどに高そうな調度品やら絵画などが配置されていた。天井にはシャンデリアがぶら下がっている。
学生の範疇を超えていると言わざるおえないが、多額の寄付金があったので、バビルスは潤っていた。特別に少し奮発したのだろう。
団員は、3名。
一年生アバドン・マルスと、その
香料研究師団だからなのだろうか、とても良い香りが部屋に漂っていた。
全て完成させられている。
不正の匂いがした。
多額の寄付金の名義はアバドン。
現在、俺たちは今度の
ただ、話し合うのもよくないと思い、メイが淹れた紅茶とこの頃気に入っている茶菓子をお共に机を囲んでいる。
メイの特技は紅茶を淹れることだ。温度操作の家系能力と相性がよく、つくづく良いメイドだと実感する。
紅茶を淹れることがただの仕事から趣味になりつつあるようで、香料研究師団を作っていらい、余計に精が出ているように感じる。
この師団で一番活動しているのは、メイだろうなと思った。
ひと口紅茶を口に含み喉を潤してから、カップをソーサーに置いた。
「師団披露についてだが、ひとつ決定したことがある。他の師団との共同披露だ」
「いつのまに、凄いっす!流石坊ちゃん!!」
ケイが俺のことを尊敬の眼差しで見つめてくる。
コイツの反応にはいちいち照れるな
「まあ、共同披露と言っても、俺たちの師団は香りを提供するだけだが…」
「香りが需要になる師団……サキュバス師団ですか」
俺の少ないヒントだけで、メイは直ぐに正解にたどり着いた。
頭の回転というか、察する能力が本当に高い。
隠すつもりもないので、メイの言葉に頷き、詳細を簡単に説明する。
「メイの言う通りだ。サキュバス師団に試作で作っていた香水を試しに使ってもらってな、かなり好評で今度の師団披露で使いたいとのことだ。」
「サキュバス師団は毎年接客ですから、呼び込みが大事。香りも重要ということですね」
「ああ」
メイとの会話はとてもスムーズに進む。やはり幼少期から付き合っている関係というのも大きな要素だろうが、メイ自体が優秀なのが一番大きいだろうな。
確認に取る時間が少なくていつも助かっている
「ちなみに、最近新しく作られたオトモダチにサキュバス師団の団員が数名おられますが、計画的な犯行でよろしいですか?」
「…可愛いだろう」
「そうご報告しておきますね」
ニッコリと含みのある笑顔で笑いかけてくるメイ。
察しが良すぎるのも、困りものだな。
相変わらず、メイと正反対にケイは察しが悪く。キョトンとして俺たちの様子を窺っていた。
お前はそのままでいてくれ。もう一人増えたら俺がしぬ
「で、だ。話を戻すぞ」
「…本命ですね」
話が少し脱線してしまったため、本来話すべきことに軌道を修正させる。
流石はメイ、切り替えがはやい。
「ああ、香水の提供はあくまでオマケ。師団披露で活躍するためにも注目されるような出し物をしたい」
「なにか、良い案を出せ」
香りを中心とする出し物。
目に見えないもので活躍するというのは、難しい。やはり視覚で楽しめる、わかりやすいものがウケやすい傾向にある。
出し物を俺なりには考えてみたが、全て黒よりのグレーの方向にしか進まず二人に案を出させることに決めた。
「俺は、店番やってみたいです!!なんで、出店がいいっす!!」
「そうですね、ケイの言うように販売は多少稼げますし、いいかと。ですが、話題性という点では弱いですね。お祭りという要素が強いので、出店で言えばやはり焼きそばやチョコバナナと言った軽食の方が好まれるかと」
ケイの案に、補足でメイが付け足す。
やはり出店を安易に選択すると、他の師団に負ける可能性が高い。
飲食物の良い匂いと俺たちの品物の良い香りが混ざって異臭になる恐れもある。これが特に問題だな。
「ここは俺の家系能力の出番か」
「なにかあれば、家系能力に頼るの良くないですよ」
「よくないっす!!」
家系能力に頼れば、物事は解決する。
煙で思考や行動を誘導してやれば、一瞬である。
が、二人から当然のように止められる。
「…そうですね。お祭りという要素が強い。ならあえて、他とは違う、異質さで勝負するのもいいかもしれません」
「異質?」
メイが、ぽつりと声を溢した。それから、芯を持った言葉になった。これは、メイの案で決まりだな。
ケイは首を傾げるだけである。
「そういう手もあるな。他の師団とは区別をしたいとも思っていたし、丁度いい」
「今回私たちは、喫茶店をしましょう。うんと上品なやつです」
ここからはプロの犯行である。
そして、俺が金をたくさん寄付するだけだ
黒い金を洗って、こういう時のために使うんだな
俺たちの方針が決まった
慌ただしさがあり、イベント開催までの時間に追われる日々。
だが、生徒の顔はとても楽しそうであった。
準備も行事事の楽しみのひとつである。
師団披露準備会場
「なんか…めっちゃ大きいすね!!俺らの師団!!」
普通ならばもっと小さいはずであった香料研究師団に割り当てられる敷地。
目の前には、人気師団の魔術開発師団やサキュバス師団に割り当てられているものに勝るとも劣らない広い敷地が確保されていた。
「やはり世の中金だな」
「ですね」
「使えるものは使う。せっかくここまで学校側も環境を整えてくれたんだ。絶対に成功させるぞ」
「もちろん!!」
「はい。」
3人で目標を再確認し、早速作業に取り掛かることにした。
開催日まで時間があまりないので、突貫工事にはなるが、クオリティを下げることはしたくない。早めに建物の建設に取り掛からなければならなかった。
「業者に頼めれば一番良かったのですが……」
メイが弱音を吐く。
それもそう。プロに頼んでしてもらうのがなんでも手っ取り早い。
金もあることだし、頼めるなら依頼をしたかった。
しかし、流石に師団披露。学校の行事であることには変わりないので、基本生徒の力でやらなければならない。
なので、設置からも俺たち3人で行わないといけなかった。
はっきりいって、人手が足りない。
そんなときは、魔法に頼るのが一番である。
「建設系の家系能力を持ったやつは、いないのか」
「いたとして他の師団に所属していた場合、助力を求めるのは厳しいかと。敵に塩は送りませんし、準備でどの生徒も忙しいです。」
メイの言う通りである。
もっと早く師団を設立して、優秀な団員を確保するべきであった。
後悔しても遅い。これは来年への課題としよう。
「仕方ない。俺が自力で魔術を習得するか。付け焼きばになるだろうが、そうだな。一週間…いや、3日あればできるようにする」
「流石坊ちゃん。そこまで豪語できる高スペックな才能に憧れますよ」
「だから、そうだな。俺が習得できるまでの間、お前たちには商品開発をして貰うぞ。とりあえず、飲食物はメイ。ケイは…、資材購入と運搬だ。買い出しにも行け」
俺は本屋に行き、とりあえず使いそうな魔術の本を購入した。
あとは、ひたすら読んで覚える。
ヤる間も惜しんで、ひたすら勉強した。ノイローゼになりそうだった。
そして
「ふぅ、……完璧だ」
俺は3日で建築系の魔術を網羅した。
体力も魔力も全て注ぎ込んで、俺の目の前には、立派な喫茶店が建っていた。
設計、デザインは、メイと一緒に考え、品と落ち着きのある洒落た喫茶店が完成していた。
体力のあるケイが運搬を頑張ってくれたおかげで、一日で建築自体は済んだ。魔力と集中力がゴッソリと持っていかれたが…
今年も良い1年が入団してくれたわぁ〜
フッそれはどうかな
ハッ、どういう意味ですか
うちの
なら勝負しますか!?
いいでしょう、しかし、どうやって!?
そうだ!
そうだ!
師団披露とは!入団した1年生のお披露目会!
期間は前夜祭、本祭、後夜祭、の3日間!
会場は1〜3年塔と中庭
参加は師団員に関わらず全学年・全校生徒OKですが、4〜6年生は実習などで忙しいので1〜3年生が活躍するお祭りだねぇ
そして主役は1年生!なんたって親御さんが観にくるからね!
子供の成長を観るには丁度いい行事ですからね
うんうん1年生は親にいいところを見せよう!
でも2〜3年生にもちゃんと旨味はあるよ!
そう!優秀な披露をした師団には豪華商品が贈られまーす!
努力賞!豪華師団室!
凄いで賞!団費増額!加えて希望の商品なんでも1つ贈呈!
そして特賞!!団長の位階2位階UP!伴って団員の位階も1位階UPさせる!!
とワクワクドキドキの師団披露!前夜祭は明日から!
賞狙いもいいけど、とにかく楽しんでね!
生中継で、師団披露について教師によるおちゃらけた説明が行われた。
生徒はそれを観て興奮が高まったのか、バビルスの熱気は最高潮に達した。
さあ、いよいよ
出店とか、文化祭だな。と思ったので、王道の喫茶店を選択いたしました。
メイドだよ、おかえりなさいませご主人様。もえもえきゅん♡(大嘘)