エゴにまみれた危険な悪魔   作:名無しの位階1の虫ケラ六年生

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キリヲ!!お前セリフ無いやんけ!!


第十二話 花火で本祭開始!

 

 

俺たち3人は他の悪魔と比べるとかなり遅めに中央広場のゴール会場、避難場所へとやってきていた。

 

魔獣師団による曲芸サーカスなどが披露されており、中庭はそれはもう盛り上がりを見せていた。

 

 

前夜祭から、本祭に替わるカウントダウンが始まる。

バリアに覆われたまま

 

異常を異常とも思わずに、集団は笑っている。

危機感の無い盛り上がりを見て、メイが硬い表情でいる。

ケイは何かあっても俺を守れるように隣に静かに控えている。

 

 

「坊ちゃん…本当に大丈夫なのですか」

 

 

俺は集団の1人であった。

お気楽な思考でメイに笑ってやる。

 

 

「5!」

 

 

「4!」

 

 

 

「大丈夫だ。あのイルマだぞ?」

 

 

「3!」

 

 

「坊ちゃんが、イルマさんをそこまで特別視するのは、私にはよくわかりません」

 

 

「2!」

 

 

 

「ははは、お前にもわからないことがあるのか」

 

 

「1!」

 

 

 

ヒュルルル〜〜〜ドッパアーーン!!!!

 

 

 

大きな音と共に空に咲いた火の花。

それと同時に、バリアが砕けた

 

 

 

 

「な、……」

 

 

 

「言っただろ?大丈夫だと」

 

 

 

本祭スタートだ

 

驚愕した目をするメイを横目で一瞥し、空に鮮やかに咲き誇る花を見上げた。キラキラ光輝いて、明るい。それと同時に……熱そうだ。

 

花というのは、咲き誇れば次に枯れて花弁が散る。

目の前で、まさにそれが起こっていた。

花弁…いや、そう見えていた炎が、空から降り注いだ。

 

 

「坊ちゃんッ、イルマはとんだ考え無しのバカですよ!!全く大丈夫では無いではないですか!?」

 

 

「……どこか抜けているよな」

 

 

「抜けてはいけないところが、抜けているようで」

 

 

「とりあえず坊ちゃんは、俺の後ろ「その必要はない」

 

 

ケイが、魔術で盾を出現させ、俺を守る態勢になる。ケイの盾であれば、炎くらい簡単に防げるだろう。が、今回はそれは必要なさそうであった。

 

バビルスのマップに、新しい光がひとつ増えた。

どの光よりも強く輝いている。

 

理事長サリバンのお帰りだ

 

 

 

上空に理事長の姿が視認できた。

 

すると、今にも中庭にいる生徒たちに襲い掛からんとする炎が不自然に止まった。空間に固定されているようにも見える。

 

理事長が魔術を行使したのだろう。流石は高位階といった手際だ。普段の孫バカとの温度差で風邪を引いてしまいそうであった。

 

 

「高位階ねぇ………」

 

 

 

 

キリヲが引き起こしたであろう事件は、結果的に生徒に異常や危険を与えることなく終わった。

イルマの魔術でバリアが砕かれた瞬間ではなく、イルマがキリヲという悪魔と出会った時点で、キリヲの計画は失敗に終わると決まったのであろう。

あんな、強大な魔力を見せられてしまったらな、そりゃ大丈夫なわけだと認めるしかない。

イルマが、バリアを砕くために使った魔力は異常な量であった。それこそ、高位階に匹敵するほどの量。

流石、サリバンの孫といったところか。で片付けたいところであるがそうもいかない。

 

なにせ、サリバンには子供すらいない。

 

 

「……指輪か、」

 

 

俺は、ふと思いだす。飛行試験の位階を授けられたあの日の出来事を。

イルマが、袋鳥(ふくろう)から授けられた指輪を。右手にはまっていた黄金の指輪を。

あれは、悪食の指輪だった。

 

悪食の指輪とは、持ち主の魔力を溜めておくことができる魔具である。

他にも特徴を挙げるのならば、中身の魔力が少なくなると無差別に魔力を食べてしまうこと。

悪い点を挙げるのなら、一度はめたら外せないこと。

 

イルマは、悪食の指輪にサリバンの魔力を溜めている可能性がある。

あの孫バカの理事長のことだ。無理矢理「おじいちゃんの魔力をあげるよーーイルマっくーーん」とでも言いノリノリで魔力を入れているに違いない。

 

普通の学生からすると、なんだソレずるいとなりそうなことである。

まあ、特に俺は悪いとは思わないがな。良い手段のひとつとも言ってもいいとすら思う。

自分を補助するための魔具やら武器やらをずるいと言い出してしまえば、キリがない。

普通の生徒はSD(セキュリティデビル)はいなくて、俺はいる。これもズルになってしまう。そもそもの生まれた家庭や環境、最終的には才能までもズルと言い出せば終いだ。

世の中、公平や平等を訴えるものもいるが、生まれた時にもう決まっているものである。よく時間は平等であるというが、否、時間は同じ流れでも使える時間は違う。

 

魔界が、位階というランクで身分が決まる仕組みのうちは、平等なんてものには程遠いだろう。

 

 

話が逸れたな。

 

 

 

 

まあ、なにが言いたかったかというと、イルマは力ある悪魔で、キリヲはそれよりも下だったということだ。

結局、キリヲがこの学校にバリアを張った理由は分からずじまいであった。

学校は、事件をサプライズイベントと処理していることもあり、なにも説明は最後までなかった。

カルエゴ先生に聞きにいくのも手だが、はぐらかれそうであるし、詳細を知らない可能性もある。なんせ、この事件は最初から最後までイルマが深く関わっているからだ。

なので、イルマに聞くのが、手っ取り早いのだろうが……

なにやら、俺はアスモデウスとウァラクから警戒されてしまっている。

俺がなにをしたというのか(普段の発言)

 

アスモデウスとウァラクは俺からイルマを守る防壁となり、徹底的な防御態勢をとられていた。

ウァラクから「シャー!!」と威嚇された。言語を介さないのが、アホといったところである。

アスモデウスに炎で焼かれかけた。野蛮だ。

 

そんなわけで、俺はイルマと喋ることができない。

だから、家系能力でイルマの行動をなんとなく把握するしかないのだ。

 

 

 

 

 

カラン、コロンという音で思考をやめた。

 

 

そう、夜が明けて今は朝、本祭である。

昨日の騒動は全て前夜祭で起こったことに過ぎない、本祭がイベントとしては本番である。

 

 

音の鳴った方、店のドアの方に向く。

覚えのある馴染み深いにおい。

 

 

 

「いらっしゃいませ、ようこそ父さん、母さん」

 

 

本祭は、親が観に来るのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高身長のプラチナ髪の美丈夫の男と、微笑みを絶やさない美しい女。

 

派手に着飾っていない、子綺麗な身なりをした若い男女の2人組。

 

男の方は、誰かと顔が似ている気もする。

 

 

 

そう、俺の両親であった。

 

 

 

「来たぞ、マルス」

 

 

「聞いたわよーメイちゃんから。サキュバスの子たちとやったんだって?ん?」

 

 

「まあまあ、落ちついて母さん。とりあえず、席に着いて話そう」

 

 

「あらー、弁明なんて聞きたくないわね」

 

 

 

この行事は三日間かけて行うため家には2日ほど帰っていなかった。学校にお泊まりというわけである。

なので、両親と会うのはほんの少しぶりだ。

 

母さんは、微笑んでいるときはなにか怒っているときである。

 

母親は笑って相手に圧をかけるタイプであった。

 

 

 

 

 

店の入り口でずっと話し続けるのも良くないので、テーブルに案内する。

注文はと聞くと、オススメと言われたので一番人気を提供することにした。メイに両親が来たと伝えると、少し引き締まった顔で紅茶を淹れ始めたので、笑ってしまった。

メイからすれば、一番上の上司。会社でいう社長のようなものだから無理もないか。

 

 

 

「ふぅ……良い香りね。うん良いお茶だわ」

 

 

「ああ、この茶菓子も美味い」

 

 

メイが全神経を注いで作った紅茶は普通に美味しいで済まされた。

両親にとって、出し物より重要な本題というのがあるのだろう。

 

 

「で、どう?学校生活は……見る限り上手くやっているようだけど」

 

 

思った通り、早速切り出してきた。

母さんが店内を見渡してから、俺の顔を見て微笑んだ。

 

俺は微笑み返すだけにとどめる。

 

 

「…相変わらずのようだな。」

 

 

父親が、呆れたように俺をみた。

 

 

「ああ、おかげさまで快適だ」

 

 

 

「この建物も立派よねぇ、マルスが作ったと聞いたわよ。本当に行動が速い!プロ顔負けの完成度!いつからやり始めたのかしらねぇ。母さん誇りに思うわあ」

 

 

「そうだな、こういう行事で子の成長を観れるのは嬉しいものだ。やはりバビルスを選んで正解だったな、空気も良いしな」

 

 

「……はぁ、そうか?入学式で理事長は孫の写真を見せて挨拶終わるわ、孫バカすぎるわで、ゆるゆるだけどなぁ」

 

 

「へぇ…キュートな理事長さんね」

 

 

「まあ、そういうこともあるか」

 

 

「それよりも、昨日の事件について……

盗聴防止(パーフェクトスピーク)わかったことがあるんだろう?」

 

 

俺の言葉が、消える。ここは喫茶店で、客足も多い、少しでも耳に入る可能性は潰すべきであった。

わざわざ俺が、ケイだけに仕事を任せて両親と喋っているのは単にサボリのためではない。キリヲについて、知るためであった。

 

 

「盗聴防止(パーフェクトスピーク)……せっかちねぇ。」

 

 

両親は呆れた様子で、魔術を発動させた。

このようだと、情報は入手できたらしい。

 

 

「そうね、アミィ・キリヲだったかしら。彼は魔界警備局で取り調べを受けているはずよ。有益な情報は今のところ無し。1人で計画したと言っているようだけど……位階が伴ってないわ」

 

 

「アミィ…実家との関係は限りなく薄いだろう。後ろに他の協力者がいると見ている。キリヲとやらを捕まえて家系能力で自白させるのが手っ取り早いのだが、魔関だからな。お前の頼みとはいえ目をつけられるわけにはいかん」

 

 

両親の口から語られるのは、どれも予想していた特に面白味のない情報。アミィ家が、悪魔学校バビルス=サリバンに敵対したなんて筋書きを期待していたのだがな。

まあ、あの頭の硬そうな家に限ってそんなことは起こらないだろうが。

 

アミィから、キリヲなんていうイレギュラーが生まれるなんてなぁ

 

これを大事にしてアミィ家を貶めてやるのも楽しそうだが、未遂で終わっているし、大した傷にもならないだろう。それに、

 

 

「この件は、おそらく内々で処理されるだろう。実家が名家ということもあるが、どこからか圧力がかかっている」

 

「十中八九、後ろにいる協力者。それもかなりの立場」

 

 

やはり、なあ。

キリヲというやつ、臭うんだよ。適当にこのまま処理したくない。

ケイの重複強化でびくともしなかったあのバリア。どれだけ魔力を込めたのか。人物像と噛み合わなくてきな臭いにおいがプンプンする。

 

 

「魔関所にいる子飼いの部下からの情報だから、信用していい。コイツが言うには、近いうちにウォルターパーク(監獄)にぶち込まれる予定だ」

 

 

「キリヲの身辺調査は?友人関係、性格、行動、習慣、好みは」

 

 

「……それについては、特にわかってないわよぉ。実家は魔力の少ない不出来な子供を隠しておきたかったらしくて、あまり無いのよ。

強いて言えば、小さい頃に園(その)に入れられていたことが、書かれているくらい」

 

 

悪童(あくどう)の園というものがある。

幼少の悪魔を徹底管理し育成する矯正教育初等学校。

スパルタ指導で厳しいと有名だ。

 

俺も一度入っていた時期があったが、あまりの環境に根を上げて逃げ出した。

あの教師たちときたら、可愛い子を囲うと凄い剣幕で叫んでくるからな。あんなクソみたいな環境生きた心地がしない。

思い出しただけで、嫌になる。

 

両親は俺の気の多さを矯正したかったのだろうが、あの環境でよりそれに拍車がかかった感はあるな。誰しも縛られた環境にいると、爆発するものである。

同年代のガキにイイことを教えてやるのも楽しかったが、年上の方が魅力は備わっているなと当時は思っていたものだ。

 

懐かしい

 

 

「交友関係も特にめぼしいものは無かったが……あるとしたら、所属していた魔具研究師団だな。この師団、キリヲが団長になっていた時には置物師団と化していたらしいが、一時期は悪名高い噂もあったらしい」

 

 

あれから、メイに調べさせてアミィ・キリヲの顔写真を確認した。

おとなしそうで無害そうで、弱っちいメガネ。交友関係は決して多くなさそうであったし、ガラの悪い連中ともつるんでなさそうにパッと身は、見えた。

 

 

「危険な魔具を作っていたという噂もあったようだし、実際に今回の事件でバビルスが確認していなかった部屋が見つかっている。隠れていろいろと昔はやっていたらしい」

 

 

キリヲが元々、そういう危険思考であったのか、師団に入って危険思考になったのか。キリヲの後ろにいる人物、あるいは勢力にも関係してくるかもしれない。

 

 

「まあ、悪名高かった時期とのキリヲの接点が今のところないから、ひとつの推測として、頭に入れておけ」

 

 

「私たちが、約1日で調べたものはこのくらいよ。あまり、有益なことは無くて悪いわね。家系能力が便利だとはいえ、多用し過ぎて過去のようなことを犯したくはないのよ」

 

 

「……それで、私たちに頼んでまでなぜ、この男を調べる?」

 

 

 

「そんなの、気になるからとしかな。あとは……アミィだから」

 

 

「それは、諦めろと何度も」

 

 

「俺が聞くとでも?」

 

 

 

アミィ家の能力は防御である。

 

我が家の家系能力からすれば、アミィ家の断絶(バリア)というのは障害というのも烏滸がましいレベルの能力である。

煙のひとつからも守ることができない防御能力。攻撃力のない能力。

だが、世間の評価は高い。

 

アミィ家は鉄の防壁と言われる。

普通の魔術は傷ひとつ付けることさえできない、まさに鉄壁。普通の悪魔からすると、その防御に特化した能力は相性が最悪である。

 

だから、俺は欲しかった。

俺を守る道具として、その能力が、アミィが欲しかった。

だが、アミィは有数の名家

立場の弱い家を吸収するのとはわけが違う

かと言って協力関係に持っていくのも、難しかった。

 

一度能力目当てで、アミィの女悪魔と仲良くしようと思ったことがあったが、矯正された堅苦しい女で、面白くなかった。

手を取り合えるような関係に慣れはしないと悟った。やはり、こういう手合いは道具として使うのに限る。

 

 

どう壊して、吸収するか。

自分のものとするか、

 

どんな手段も厭わない。

それが、俺のやり方だ

 

 

「お前は、なぜそこまで防御にこだわる。今の盾では満足できないのか」

 

 

「攻撃している時は、防御が疎かになる。」

 

 

悪魔とは、生まれながらの悪である。

常に争い、奪い、欲は止まることを知らない。その過程で多くの血が流れようとも、悪魔はそれを厭わない。

 

 

 

 

 

「俺は全部欲しい。欲深いんだ」

 

 

 

両親が静かになった。

 

メイが、隣にいたら、キモいとか言って来るんだろうな

 

 

多分俺は悪い顔をしているだろうから

 

 

 

 





キリヲ!!お前一度も会話したこと無いやつに尻狙われてるぞ!!
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