エゴにまみれた危険な悪魔   作:名無しの位階1の虫ケラ六年生

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アメリ会長視点があります


第十四話 会長の思惑

 

 

前夜祭、本祭、後夜祭と3日かけたイベントは幕を閉じた。

後夜祭では、優秀師団(バトラ)表彰式というものが行われた。表彰される師団は、教師の評価と生徒の投票によって決まる。

なので、当然のごとくインパクト、話題性、華やかさ。とりあえず、目立ったもん勝ちというわけである。

表彰されたのは、サプライズイベントやトラブルの対応に貢献した放送師団。魔術体験や新魔術の発表なとで注目された魔術開発師団。華やかさと色気で悪魔を魅了したサキュバス師団。

そして最後に、今回新しく追加された賞に、イルマが所属する魔具研究師団が選ばれた

 

俺たち香料研究師団は普通に選外であった。

やはり、体験型や視覚的にとても印象が残る出し物の方が有利である。飲食物の出し物で入賞できたら、それはかなりの快挙ではなかろうか。

 

 

「悔しいっすね」

 

 

「…まあ、予想通りです」

 

 

メイとケイは多少落ち込んでいるな。

俺は最後まで、集客のために煙を使わなかった。最初から最後まで正々堂々勝負して負けたのだ。

 

悔しい、か。

 

こういう気持ちも、楽しいものなのだろうな。

 

おそらく

 

 

 

俺は2人の頭を頑張ったなと、撫でてやる。ケイは嬉しそうに、メイは不服そうに俺の手を受け入れている。

 

悪くない気分だ

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔界には、アクドルというものがある。

 

悪周期

悪魔が精神的ストレスが抑えきれなくなったときに、一時的にワルくなる期間のことを指す。

悪周期は自我や衝動を抑えられなくなり、周囲に少なからず迷惑をかけることが多々ある。

それを防ぐためにアクドルは存在している。

 

 

アクドルの語源は、悪を取る。

 

可愛いアクドルをみて、ストレス発散をする。魔界において重要な役割を担っていると言っても過言ではなかった。

 

 

 

『いくよ!!』

 

 

「クロムー!!!!」

 

 

 

俺は自室に設置された高画質のテレビで、アクドルのライブ配信を視聴していた。

自作のうちわを持って、応援はバッチリ。画面越しだが、相変わらず顔面が良いなと思う。

 

俺が最近推しているこのアクドルの名前は、クロム。

キラキラの目をした、とても可愛い女悪魔である。

 

自分に自信のある顔をしているのが、好きなポイントだ。絶対的に自分の顔が可愛いと思っている表情と行動。

元がよくて、それ以上に可愛くなろうと努力する姿勢。

俺の好きなタイプである。

 

可愛い

 

 

「坊ちゃん、お茶を……」

 

 

「ああ、ありがとな」

 

 

「………キモい」

 

 

 

「は?」

 

 

部屋にメイが入ってきたと思えば、突然真顔でこの発言である。

コイツ、メイド教育で何を習ってきたんだ?主人に失礼な態度をとってはいけませんと、習っていないのか。

 

 

『♪あくまたるもの 油断は禁物!』

 

 

『♪ある日 とつぜん ハートを うばわれる』

 

 

「ズッキュン!!!!」

 

 

「……ッ」

 

 

「おい、嫌悪を隠せ」

 

 

プルルルルプルルルル

 

 

『♪ああ あの娘は可愛い KOAKUMA』

 

『♪髪先さわってみる? スルリとエスケープしてあげる』

 

 

 

「坊ちゃん、お電話が」

 

 

「ああ、わかっている」

 

 

『♪話したい? さわりたい?』

 

 

ちょうど、俺の好きな曲だというのに、タイミングの悪いことだ。

 

 

「もしもし、」

 

 

『例の男だが、後ろ盾の候補がついた』

 

 

「……ほう」

 

 

聞き慣れた低い声、電話をかけてきた相手は父さんだった。

 

電話内容は、アミィ・キリヲ関係である。電話のタイミングが悪いことに一言文句を言ってやろうと思っていたが、元々俺が情報が分かり次第連絡しろと言っていたのもあるので、父さんを悪く言うわけにもいかない。

 

 

『♪好き? どうかしら 見抜いてみてよ』

 

 

 

メイにテレビの音量を下げさせて、仕方なしに電話に集中することにした。

 

 

 

 

 

『丁度、事件の起こる師団披露の前を狙ったかのように、()()()への不正渡航の令状が三傑サリバンに出ていたらしい』

 

 

『情報の出所は、いろいろと垂れ込んだものがいたようだ。この令状の真実はわからんが、とにかくタイミングが良いことは確かだ。

垂れ込んだ側のメリットを事件と結びつけて考えるのであれば、メリットは事件の成功確率を上げること。

悪魔学校バビルスでテロのような行為を行うには、高位階であるサリバンは目の上のたんこぶでしかない。ならば、取り調べで身柄を拘束するのが手っ取り早い。高位階でも、魔関所を無下には扱えないからな。

おそらく、垂れ込んだ中に、実行犯と繋がっているやつがいる。』

 

 

 

「で、絞れたんだろう?」

 

俺が、答えを急かすように言うと、電話の向こうで父さんの溜め息が聞こえた。

 

もう、曲はサビに突入してしまっている。

 

 

『……ああ、リークした中に、バビルス卒業生で、魔具研究師団に過去所属していたやつがいた。』

 

 

 

『13冠、雷皇バール』

 

 

その言葉は、ハッキリと聞こえた。

一瞬、頭が真っ白になる。テレビから流れる小さな音楽も耳に入ってこない。

 

ありえない、まさか、そんなことがあって良いと。

 

 

 

 

 

「………バールって、あのバールか」

 

 

俺は、なんとか声を絞り出した。

自分の耳を疑うわけではないが、現実を信じられなかった。

バールのようなものではない、正真正銘13冠のバールだぞ?

 

 

 

『ああ、お前の()()なバールだよ』

 

 

父さんは、俺の気持ちをお構いなしに、現実を突きつけてくる。

 

 

まさか、そんな、バール。

 

 

 

バール

 

 

 

「ッ、おいおい最高だな。愛してるぜ父さん」

 

 

キスしたいくらい嬉しかった。

 

 

 

『気色悪い、父さんをそういう目で見るな。母さんにも手を出したら殺すからな』

 

 

「家族愛だ家族愛。アホか」

 

 

 

雷皇バール。

そりゃ有名だ。エロいとな

顔も髪も身体も全部エロい。サブノックとタメはれるレベルでエロい。実はいうと、バールはサブノックの叔父だったりする。

つまりあの血筋はエロいのだ。

 

サブノックの父親もエロいはずだ。サブノックの家系は武器を作る家系なので、発注もしているのだが、なかなか面会させてくれない。

貢いでも、プライベートは許してくれないのだ。

俺はプライベートに踏み込むために、武器を買っている。買い過ぎて、戦争ができるレベルに揃っている。

 

この頃、家の敷地に入りきらなくなってきたので、土地を買って、そこにしまうことにしている。

魔関所に怪しまれていて困る。

そんなに、俺の行動は怪しいか…

ただ、俺は貢いでいるだけなのに

 

それもこれも、全てサブノックという家系がエロいのが悪い。

これをメイに言うと、ゴミを見るような目になる。

誰も共感してくれなかった

 

 

サブノックの家系は欲しい。能力も、身体も、心も全て欲しい。家系ごと愛してる。これが、アクドル(魔界のアイドル)で言う、箱推しというやつなのだろうか?

ちなみに、もう一つ推している箱がある。

ナベリウスしか勝たん。あの家系、みんなエロい。エロすぎてやばい。カルエゴ先生はエロいし、カルエゴ先生の兄にナルニアという男がいるのだが、噂ではめっちゃエロいと聞いた。もうこれはエロい(語彙力低下)

 

 

 

「坊ちゃん、ご連絡は終わりましたか。ライブ配信も、終わってしまいましたね。」

 

 

「ああ、」

 

 

「とても興奮されているご様子ですが」

 

 

「大丈夫だ」

 

 

「今にも、誰かに襲いかかりそうな目をしています、大丈夫では無いと思います。」

 

 

「そうか、」

 

 

「私の半径3メートル以内に近づかないでください、いや…ッ」

 

 

 

 

俺は今、物凄く取り乱している

 

キリヲの後ろ盾が、13冠かもしれない?

聞いてないぞ、これは、かなりヤバい案件かもしれない。今なら、まだ引き返せる。

 

 

「ッ……坊ちゃん、おやめくださ」

 

 

誰に、何を言われようとも、

 

 

やめる気持ちなど、到底わかないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣ですやすやと寝息をたてるメイを横目に、俺は携帯を手に取った。

 

キリヲの件も重要ではあるが、それとは別にやらなければならないことができてしまった。

 

 

プルルルルプルルルル 

 

 

『…もしもしどうしたんですか』

 

 

電話の向こうから、可愛いらしい声

 

 

「イルミちゃーん、明日の学校楽しみにしてる♡」

 

 

え?』

 

 

「可愛かったぞ、女装姿も」

 

 

『な、ッ』

 

 

「俺にも見せてない姿を生中継で魔界に発信するなんて……悪い子だなぁ。イルマ」

 

 

 

俺は驚いた。

 

俺の推しのクロムの隣で、女装したイルマがキラキラに踊っていて。

 

俺は、たまらなく興奮した。

 

父さんとの電話で、お前が、人間だという確証が得れて。

 

 

 

 

サリバンが"人間界へ不正渡航"をしたという令状

 

 

驚いたと同時に、やっと、パズルのピースが全て嵌ったような気分になった。今までは、確証までには、いかない。少し、悪魔(普通)とは違うなという程度であった。

それが、どんどんと疑問になり、証拠を得て、今日確信した。

 

 

俺のイルマ(人間)

 

 

 

 

電話越しにイルマのか細い悲鳴が聞こえる。

明日が楽しみで、興奮が止まらない。

 

 

どうやって、この人間を俺のものにするか。

 

 

 

サリバンが邪魔だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、全て欲しい。

 

 

全て壊したいんだ。

 

 

 

 


 

 

悪魔学校バビルス

全6学年在校生666名

 

数多の悪魔が共存する学内でその秩序を保ち監督する集団こそ

高潔にして冷血、悪魔のエリート生徒会である。

 

 

「ふむ、」

 

 

 

生徒会長アザゼル・アメリ。

彼女は椅子に座り、生徒会室にて一つの資料に目を通していた。

 

 

[アバドン・マルスについての報告書]

 

 

 

・男女問わず生徒へのセクハラ行為の被害

・教師と関係を持っている噂

・特定の生徒への暴行

………

 

 

「最近、目に余る行動が多すぎる」

 

 

この生徒の問題行動を挙げるとキリがない。

 

 

 

「この頃、1()()()()()で師団を結成したと報告が上がっている」

 

 

 

そう1年生のみでだ。

()()は師団の設立、活動は3年生一名以上かもしくは位階4以上の団員三名以上が必須である。

 

 

[香料研究師団]

 

 

これが、この師団には適応されていない。

 

 

[一年生の団員二名が位階5であるうえに、教師からの推薦が多数、理事長の許可も出ているため、特例での師団設立を承認した]

 

 

 

先日、バビルスに多額の寄付があったと聞いた。

師団設立と、空き部屋を師団部屋に改装工事する計画が出たのがほぼ同じタイミングであった。

寄付の名義は一生徒の立場上確認できなかった。

 

 

しかしこれは、確定だ。

 

 

「アバドンの家系は、かなり財産を溜め込んでいると聞く。お父様もこの家には気をつけろと言っていた」

 

 

アバドンは、有名な家系だ。

上流階級の貴族であり、社交界でもよく耳にする家名だ。

 

なぜなら、アバドンは富裕層に向けた香水や、煙草を主に取り扱っているブランド商会である。

"香り"を商品として提供することを掲げ、その業界はアバドン商会であると言わしめるほどに有名だ。

貴族の間でアバドンの品を贈り物などで使うことが多く、煙草は高価な嗜好品でとても人気が高い。女性悪魔には入浴関連のものも人気が高いときく。

 

そのため、魔界でもかなり儲かっている家系だ。保有する財産も多い。

アバドンは他の商会に比べると、まだ創設されてからまだ年が浅い方である。それが今やトップを争う商会にまで成長している。

もちろん最初は大きな商会から目をつけられてもいたそうだが、それら全てを倒して、今現在まで上り詰めている。

 

それには、大きく家系能力が関係していた。

 

 

過去、この家系は魔王に反逆した大罪人でもあった。

アバドンの家系は、その凶悪な家系能力で恐れられている。

反逆の130日、魔王に反逆行為を130日もの間行うことができた恐ろしい能力。

文献に、最初の戦況はアバドンが魔王軍よりも優位に進めていたとも書かれている。

その能力は煙生成。煙に特殊な効果をつけられる魔術だ。その能力は多岐にわたるが、戦争でも使われた有名なものが、洗脳。

または、把握能力。

 

悪魔の思考回路をいじることができる。

頭の中を覗くことも可能、情報を抜き取られる。

 

戦争で猛威をふるった能力が、販売業に用いられれば。

それはもう恐ろしいだろう。当時の商会たちは、新規のアバドン商会に生きた心地がしなかったではなかろうか。

 

もし、私がアバドンと対峙しろと言われたら、それはもうゾッとすることだ。この能力が凶悪なのは、どんなに身体を鍛えても、魔術を使っても抵抗できないこと。煙と言うので、吸わなければいいと考え挑んだものが過去に何人もいたが、皆、等しく死んだらしい。

 

生き残ったものもいたが、それは死人といわれた。

生きているのに死んでいる。矛盾を感じるが、それはとても的確であった。

 

なぜなら、煙で洗脳されたものは、自分がよもや洗脳されているなどと認識できないからだ。

操られる人形と化す。それはもう、生きてはいない。

死んでいるのだ。

 

 

狙われたら、逃れることはできないと言われる恐ろしい能力。

 

 

それが、この学校(バビルス)にいる。

背筋が凍るような話だった。

 

 

 

「危険だ。」

 

 

現在のアバドンは、昔よりも家系能力が退化していると世間的には言われているが、鵜呑みにするわけにはいかない。

それが、彼らの操作による情報ならば、危険だからだ。

 

 

アバドン……接触するのは危険な綱渡りになるだろう。

しかし、バビルスの秩序を守る生徒会の会長として、この男を見極めないといけないこともまた事実。

この男を"悪"と判断したときは、それ相応の対処が必要になる。

 

 

「ふむ、」

 

 

できれば、密室で2人きりの接触は控えたい。

 

アバドンがどれだけ家系能力が使えるかはわからないが、一年生の時点で位階5の悪魔だ、警戒はするに越したことはない。

 

 

「それに、どう呼び出すかも問題だな」

 

 

下手に相手を悪く言って呼び出してしまえば、反感を買う恐れがある。

 

 

悩ましく思って、他の書類を数枚手に取ってみる。なにか、いい方法はないかと考える。

 

 

そこで、ある書類に目が止まった。これは、…

 

 

 

[魔具研究師団]

 

 

イルマが所属する師団である。

先日の師団披露では、表彰もされ活躍を納めた師団であったが、団長のアミィ・キリヲが自主休学しているため、師団活動の条件を満たせなくなっていた。

条件を満たしていないと、正式に活動を休止させるのが、本来である。

活動を再開させたいのならば、研修を受けて生徒会の認可を得る必要がある。

 

なので、これからイルマ、他魔具研究師団の団員たちには、他の師団で数週間受けた活動し、その師団の団長から推薦文を貰わせようと思っていた。

 

アスモデウスは、総合力から魔術開発師団へ。

 

ウァラクは発想の豊かさから遊戯師団へ。

 

そして、イルマを生徒会で活動させる。

 

 

予定であった。

 

 

 

が、そうだな。

本来は、香料研究師団もこれに当てはまるのだ。

 

研修をさせよう。

 

…そして、あの2人の腐った性根を叩き直してやる!!!

 

 

 

あれは、見回りをしているときであった。

校舎裏で、1人の男子生徒が、女子生徒を押し倒しているところを目撃した。

否、訂正しよう。

 

男子生徒が、男子生徒を押し倒していた。

 

否、もっと具体的に言おう。

 

アバドン・マルスが、女装をしたイルマを押し倒していた。

 

 

「や、やめっ……」

 

 

イルマの艶かしい声が耳からこびりついて離れない。

嫌がっている様子のイルマを慌ててアバドンから引き剥がしたが、イルマの表情は赤く、目もどこか熱を帯びていた。

 

なんなんだ。

アバドンと、イルマは、そういう関係なのか?

だが、男同士で……、だがイルマは女装を……、イルマは女の子なのか?

 

頭が混乱すると同時に、胸がなぜか苦しかった。

イルマがアバドンに向ける表情は、なぜか、私の胸を締め付ける。

 

 

 

 

私は、イルマのことが………

 

 

 

 

 




アメリ会長の家系能力は、思い込みで自分を強化する魔術ですので、オリ主の強さを怖がった時点で、敗北者なんですね。


次回は6巻の生徒会解散選挙に突入します。乙女アメリとロノウェが初登場です。

ロノウェにボディタッチして、ロロロ……させましょう。
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