エゴにまみれた危険な悪魔   作:名無しの位階1の虫ケラ六年生

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悪周期の入間くん編は完成されてて、つけいる隙がない

えー、生徒会メンバーが好きな方に先に詫びます。


第十七話 王の教室

 

 

解散選挙

 

 

アメリ会長は演説中に精神魔術が解けたらしい。

鬼軍曹のお帰りである。最後の声、軍隊生活を思い出した…

 

まあ、これが終われば軍隊ともおさらばなので、特になんの気持ちも沸きはしない。しかし、俺の隣にいる生徒会メンバーたちは涙を流して感動している。

 

はあ、場違いだな。俺が

 

周りの生徒の反応を確認するように見渡せば、アメリ会長の言葉に沸き立っているものばかり。

 

 

はー、こんなカリスマを持つやつは必要ない。求心力なんかを持ったやつがいて統制を取られたら、混沌にしたくてもならない。

 

ロノウェの注目(カリスマ)ではない、天然もののカリスマ。

 

俺が、目を奪われた。

 

紛れもなく、アメリ会長は輝いていた。

 

 

 

障害になり得るものは、壊さなければならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会解散選挙は乙女モードを解いたアメリ会長の圧勝で終わり、精神魔術をかけた犯人も無事特定され捕まえられた。

 

犯人は、アメリ会長の親衛隊隊長シネルと言う生徒だった。

精神魔術は素人らしく、()()()()()()()()()()()()とはいえ、よくアメリ会長に魔術をかけられたなと感心するばかりである。

 

「魔術開発師団と、遊戯師団から参考になるものをお借りして独自の()()を完成させたなり!淑やかなアメリ会長を拝めて本望!!使命を全うしたまでである!!」となかなか癖の強い発言をしていた。

 

ロノウェはこんなやつの策によって弱体化したアメリ会長をみて、好機と捉えてしまったのか。ああ、なんて可哀想なんだ。

解散選挙で敗れたロノウェは規則に則り、風紀師団を解散した。そしてアメリ会長の誘いで新生徒会に入ることとなった。

イルマも生徒会に入らないかと言われていたが、丁寧に断っていた。

ちなみに俺は誘われなかった。こんな生徒会の皮を被った軍隊組織こちらからお断りである。

 

 

「ロノウェ…」

 

 

「ロロ……ふ、ふれて」

 

 

「ゆっくり、慣れて俺と良いこと覚えような」

 

 

生徒会の研修から解き放たれた俺は、この数週間の溜まりに溜まった欲望を吐き出していた。

ロノウェに

 

 

「やめ、いやロノ、……ろ」

 

 

「いやじゃない。気持ちいいだろ?ほら、気持ちいいって。な?言ってみろ」

 

 

「き?きもちい、い?」

 

 

加虐心が煽られる。

ロノウェは思っていたよりも、極上の獲物だった。こいつ案外初心である。男とはあまり関わってこなかったのか、慣れない様子がこう、くるものがあるし、こうして教え込むように身体に覚えさせることをするのは、この年齢になってからは久しぶりの感覚で少し懐かしくも感じる。幼少期は同じ年のやつによくやったものだなと感慨深い。

 

この調子で、ロノウェの使用人にも手を出すぞー

 

 

勿論、ロノウェだけに俺の相手をさせると身体が持たないと判断し、生徒会メンバーに代わりに相手をしてもらっていたりする。

 

キッシュ先輩はそばかす顔でヨガるのがもう可愛いくて好きだし、サニー先輩は所謂ギャップ萌えというやつだった、名前が可愛いのも好きだ。スモーク先輩は、想定していたよりも上手で盛り上がってしまった。つまり皆エロかった。

極めつけは、ジョニー先輩である。いや、これはやられたよ。

「お前を疑って悪かった……会長を支えるべき時に、俺たちよりも新入りのお前が、治安を維持させて、役に立って……正直嫉妬していた……恥ずべきことだ。…改めて、すまなかった。」という謝罪からの仲直りセで絆が深まった感じがする。好き好きと連呼するジョニー先輩は、キャラ崩壊していた。元ヤンはかわいい。

あの様子じゃワンナイトになる気はしないな、あの顔はまたする、確実に。というかさせる。

 

他のメンバーもこれっきりの関係にさせるつもりは毛頭ない。

 

 

 

 

 

唯一心残りがあるとすれば、アメリ会長が落とせなかったことだ。

 

 

乙女になる精神魔術が解けたアメリ会長だったが、以前乙女なのだ。

 

最後に、生徒会メンバーで記念に撮った写真。

中心にいるアメリ会長の目は、イルマを見ていた。どことなく顔も赤い。その顔はまさに恋する乙女。

 

 

イルマに乙女モードらしい(恋をしている)

 

 

「妬いちゃうなあ」

 

 

思わず、声が漏れ出た。

 

 

「ッー、」

 

 

俺の前で乱れているロノウェに視線が釘付けになる。

 

目がキラキラしてて可愛い。目から流れる涙も、顔から流れる汗もまるで宝石のようにキラキラ輝いている。

口に含むとちょっとしょっぱかった。

 

 

「……今、家系能力使っただろ。ごめんな、もうロノウェしか見ないから」

 

 

突然、ロノウェに目が釘付けにさせられたから驚いたが、どうやら最中に他の女のことを考えていたことに気づいたことからの行動だったようだ。

 

…可愛いかよ

 

ロノウェの家系能力注目(カリスマ)で自分だけを見るようにさせようとする可愛い行動にかなりグッときた。

つまりは俺のことを求めているという愛情表現。

この家系エロいかもしれない…

 

 

 

 

 

ちょっと、ここからは加減できない

 

 

 

 


 

 

 

 

 

イルマが悪周期になった。

 

雰囲気から口調まですっかり普段と逆転してしまったかのようだ。なぜかデジャヴを感じる。ああ、まさに先日までのアメリ会長のような状況ではないか。

 

まあ特に問題はないな。

普段はふわふわした可愛さが目立つが、今は色気があるような感じと表現するのが適切だろう。新しい一面を見れたようで、魅力的に感じる。

……言っていることが、どこぞの親衛隊長と同じなのが嫌なところだな。

 

 

 

「…気になるとすれば」

 

 

俺は空想生物学の本に目を通していた。

人間という生物は魔界では空想の部類に属されている。一応空想生物は魔界の歴史にも関わってくるし、当たり前だが授業でも習う。しかし重要度は低く、人気もそこまでない。人間を信じているなんて幼稚という空気が魔界にはあった。

しかし……やはり、どこにも書かれてないな。

 

人間と悪魔は違う生き物である。

 

人間には、悪周期というものは存在しない。

 

 

すると、今現在イルマに起きている現象の理由がつかなくなる。

……イルマは、人間のはずであるが。まさか、違う?いや、それこそまさかだ。イルマが、人間なのは状況証拠が揃っているため、確定。あんなに美味しい血が逆に悪魔ですなんて言われたら驚きだな。

 

ならば、魔術で、わざと悪周期にしたということか?

ここまで、普段との性格と変化が起きているということは、性格改変の魔術もかけられている可能性もある。アメリ会長の時のようにな。

しかし、そうなると誰が魔術をかけて、どんな理由で行ったのかが次なる疑問として上がってくる。

人間とバレないように、カモフラージュで魔法をかけたのか?意図がわからない。

 

 

悪周期になったイルマは、とても行動的であった。

だが、やはりというか、性格が変わってもイルマは、誰かのために行動する人間のようだ。

 

問題児クラスを取り巻く環境は悪い。

教室は地下、それもゴミ捨て場の近くで、寒い臭い遠いのバビルス最底辺の環境と言っていい。

基本的に、他生徒からも舐められている。集団というのは、好き勝手に噂を流し、評価づけするものだ。

 

 

問題児クラスは、一年にしては高位階のものが多いというのに、この環境。見合っていない、ふさわしくない。問題児クラスはもっと評価されるべきだと。

イルマはそう思ったらしい。

 

それで…この行動力か。人間とは、面白い生き物である。

いや、イルマが面白いのかもしれないな

 

 

 

俺たち問題児クラス一同は、ボロい地下を飛び出して、一年塔にやってきていた。移動教室くらいでしか来ないので、他生徒は珍しそうな表情で俺たちを眺めている。

 

俺はナンパ目的でよく訪れるので、珍しくないと思うが。

それにこの前まで見廻りしていたからな。

 

 

悪周期のイルマを先頭に、行軍する問題児。

悪周期のイルマはとても堂々としているな、普段のイルマならば背中を丸めてビクビクと歩いているとこだろう。

 

 

「金獅子サブノックだ!でっけー!!!」

 

 

「アスモデウス様ー!!本物ー!!??美しいーー!!!!」

 

 

「ジャズくんって、なんか危ない雰囲気あるよね」

 

 

「それ言うと、イルマくんいつもと雰囲気違うくないか?」

 

 

俺が集団に耳を傾けると、チラホラそんな声が聞こえる。

 

 

「位階5のアバドンまでいるぞ、なんで問題児クラス全員が、一年塔に来てるんだ?」

 

 

「俺まだ、アバドン見ると壁に寄って道開ける癖が残ってるわ」

 

「あ、それわかるー」

 

「いや、怖かったよなあ。アメリ会長とはまた違った怖さ」

 

「本当、アメリ会長が戻ってくれて良かったよな」

 

 

 

……。

 

 

「なあ、メイ。突然そこら辺のやつを殴ったらおかしいと思うか?」

 

 

「?なにを当たり前のことを言っているんですか?」

 

 

「そうか…」

 

 

 

 

 

 

 

俺たち問題児クラスがやってきた先は、職員室。

 

 

 

 

 

 

「問題児クラスの教室移動を要求する」

 

 

「突然行軍してきたと思ったら、なんだその犯行声明文は…そしてなんだそのキャラは」

 

イルマとカルエゴ先生が机を挟んで向かいあっていた。

ニコーと笑うイルマと、眉間に皺を寄せイルマの突然の変化に寒気がするのか腕を抱えるカルエゴ先生の対比が凄い。

 

カルエゴ先生の顔にイルマが気持ち悪いとハッキリかかれていた。いや、確かに普段のイルマとのギャップが凄すぎてその反応はわからなくもないが。

 

少し、失礼ではないだろうか。

 

 

「うんうん、これまでの俺は少々無欲すぎた…」

 

 

あ、カルエゴ先生の反応をあっさりと受け入れるんだ。

…へえ

 

 

「カルエゴ先生もご存じでしょ?我ら問題児クラスの教室は実に酷い!」

 

 

「生徒の学習環境を整えるのは学校側の義務では?」

 

 

「はぁ?学習……?」

 

 

突然イルマが語り出したかと思えば、内容は割と真っ当な事を言っていた。

確かに問題児クラスの教室は、改修した方がいいと思うレベルのものであり、劣悪な環境と言える。

 

 

「そもそも!なぜ隔離する必要があるのか!?我々のどこが、問題児なんだッ!!」

 

あ、そこ言っちゃうか君。

入学式で禁忌呪文を唱えて、初日に決闘して校舎を破壊した君。

なるべくしてこのクラスに入ってると俺は思うよ。

 

 

「ハーー……」

 

 

イルマの言葉に思わずといったようにカルエゴ先生は盛大にため息をついて、頭痛を抑えるように頭を手で抑えた。

俺も今同じ気持ちである。

 

カルエゴ先生はどこからか分厚い本のようなものを持ってきて机にドスッと置いた。

 

それから粛々と事実が述べられた。

 

 

「鈴木入間、入学式における暴行行為と校舎の破壊ほか。共犯アスモデウス・アリス」

 

 

「まさしく!イルマ様との素晴らしい出会い」

 

 

「サブノック・サブロ、教師への暴力行為及び校舎の破壊」

 

 

「ムゥ…教師を倒せば位階が上がると思ったのだが……」

 

 

「アンドロ・M・ジャズ、生徒及び教師の金品盗難」

 

 

「ついクセで〜〜…」

 

 

「クロケル…はいいとして」

 

 

「…っ………」

 

 

「シャックス・リード、ともにギャンブルをした生徒6名が病院搬送」

 

 

「やーーちょっと遊びに熱中しすがちゃったというか…」

 

 

「カイム・カムイ、女性と及び女教師へのセクハラ行為」

 

 

「悔いはなし」

 

 

「ウァラクはウァラク」

 

 

「はい!元気!!」

 

 

「その他にも、器物破損、危険地帯への無断立ち入り、禁止薬の持ち出しなど。入学からクラス決めまでの短期間に起こした事件は数知れず…という報告だが……ッ、」

 

「そしてッ、キサマはッいつまでイチャつけば気がすむッ!!??」

 

 

突然カルエゴ先生が怒鳴ったので何事かと思い周囲を見回せば、皆の視線が俺に向いていた。どうやらカルエゴ先生が怒鳴った相手は俺であったらしい。

他の事に意識を向けていて途中から話を聞いていなかった。

 

 

「…なんだ?」

 

 

「ッ、お前は自分が今何をしているかわかっているのか?」

 

 

自分の状態を客観的に見てみよう。

 

職員室でとある教師のデスクの椅子に座っている。

膝の上に女教師を座らせて後ろから抱きしめている。

女教師の服は乱れて顔は赤く染まり息は常軌している。

 

 

「ん?教師の胸を揉んでいる」

 

 

俺は簡潔に答えた。

 

 

「…わかっているのなら、今すぐやめろ」

 

 

「減るもんじゃないだろ」

 

 

「ッ、……」

 

 

カルエゴ先生の肩が震える。そろそろ怒りが爆発しそうな雰囲気であった。まずいな

 

 

「ん、っアバドンくんそろそろ、ね…先生も恥ずかしいし、カルエゴ先生も怒ってらっしゃるから……っぁ」

 

 

すると良いタイミングで俺の手によって乱れた女教師が助け船を寄越してくれた。

 

 

「可愛い。わかった」

 

 

了承しながらも、最後にちょっとイタズラをしたいのが男の性というものだろう。

 

 

「きゃっ、……もう、いじわる」

 

 

「先生が可愛いのが悪いな」

 

 

名残惜しいがここは職員室、これ以上するのは得策ではない。

残りは後のお楽しみだな

 

 

「……もういいか」

 

 

「ああ、悪い。」

 

 

「そういうのは卒業してからやれ。今の状況はかなりアウトなんだぞ、立場上問題がある」

 

 

「……カルエゴ先生は、俺が卒業したら抱かせてくれるか?」

 

 

 

「……は?」

 

 

「つまりその反応がそういうことだ。学生の頃に好意を伝えていた方が、将来的にやれる可能性の方が高いだろう?」

 

 

まあ、この女教師とは一線をすでに越えているが

 

 

 

「………行動は慎め」

 

 

「わかった」

 

 

 

イルマと目があった。なにか言いたそうな表情を一瞬見せたが、すぐに顔を逸らされたので、それがなにかは掴めなかった。

 

 

「…確かに、問題がありますね。…まぁ隔離は納得しましょう」

 

 

改めてカルエゴ先生に向き直ったイルマが重く言葉を発した。

なぜか、俺に対して棘が含まれているような気がするのは気のせいだろうか。

 

 

「だが、それにしても、待遇が悪すぎる。クララ地図を頼めるか」

 

 

ほいさ、とクララが元気よく返事をしてポケットからなにかゴソゴソと取り出す。

家系能力 呼び出し(トイトイ)

見たことがあるものなら、なんでも出せるという魔術。使い方によっては危険な能力である。使い勝手がよく便利。

アバドン家にひとつ欲しいところである。

 

 

クララから手渡された地図を机に広げて、イルマは一点を指し示した。

 

 

「問題児クラスは、ここ」

 

 

「授業の移動も学校の登校さえも苦労する。ゴミ捨て場も近いし、校舎が古いから寒さも暑さもしのげない」

 

 

改めて聞くと、酷い環境だ。

ゴミ捨て場が近いせいで、他クラスの連中が面倒くさいからと、以前までは問題児クラスの教室の前にゴミを捨てて帰っていたし、壁に落書きを書いてそのまま放置するしと、治安が終わっていた。

 

過去形なのは、俺がお話をして解決したからである。清掃活動をさせたので少しは綺麗になったと思いたい。

しかし、ボロボロなのは掃除をしてもどうしようもならなかった。

 

 

「他に隔離できる教室がないのだから仕方ないだろう」

 

 

俺たちの割と真剣な願いはカルエゴ先生の冷たい声にピシャリと切り捨てられた。まあ、想定通りである。

まーたこの学校は、俺に寄付をしろと言っているのか……鴨がネギを背負ってきたとでも思っているのなら、一発殴りたいところではあるが。

 

はあ、でいくら欲しいんだ?え?

 

 

俺が懐から小切手を出した時であった。

 

 

イルマが、言葉を放った

 

 

「オイオイ、あるだろう?王の教室(ロイヤル・ワン)を開けろ」

 

 

特に勿体ぶるわけでもなくさも当然のことのように軽々しく出されたその言葉。

 

教室の空気が一段下がった。

 

 

 

カルエゴ先生が、ケロベロスを出現させる。バチバチと威嚇するような魔力と圧が職員室を支配する。本当にイルマはいつも俺の予想を上回ってくる。

 

 

 

王の教室(ロイヤル・ワン)

 

本来、一生徒が軽々しく口にするべきではないものである。

しかも、王の教室を使うなんてこと、不敬以外のなにものでもない。

 

 

王の教室、それはかつて魔王が使用したとされる教室だ。

 

学校に徹底保全され現在は使用されておらず、扉は魔術で固く閉ざされていると聞く。

 

 

「一年塔も校門も近い。なんたって王の教室って格がいい」

 

 

これは、大きく出たな

 

 

「あそこは我が校が誇る名誉教室だ。貴様らごときが使用するなど身の程を知れ」

 

当然だが、イルマの言葉をカルエゴ先生は認めることなどできなかった。

まあ、そうだな。魔王、だからな。ただの生徒に過ぎない悪魔が使うことは、本来許されない。

 

「今こそ、カルエゴ先生オコですの出番だメイ。行け、かませ」

 

「私は死にたくないので、坊ちゃんがどうぞ」

 

「いや、ここはメイが行くべきだな。」

 

「だから、嫌です。ケイ代わりに言ってくれませんか?」

 

「先輩の頼みでも、嫌っすよ。カルエゴ先生…怖いので」

 

 

「ククク……ごときねぇ、なら証明しよう。俺たちが王の教室を使用するに足る生徒だと」

 

 

イルマが机に足を乗せた。それに合わせるように、指に嵌められた指輪から黒いモヤが発生する。

これは、明確な煽りだ。

 

 

「悪魔学校教員、過半数の移動許可書を2週間以内に集める。いかがです?」

 

 

カルエゴ先生は口を開いた

 

 

「教職員全員の許可書を3日以内」

 

「加えて王の遺産に手出しする以上、それ相応のリスクも覚悟して……」

 

 

「はーい、交渉成立」

 

 

どうやら、イルマは賭けに勝ったらしい。条件を先にふっかけて、相手にもっと厳しい条件を突き出させる。

最初の話しもできないような状態がいつのまにか交渉の場として出来上がっていた。

うん、荒っぽいが嫌いじゃない。わかりやすくて好きだ。

 

俺はイルマの評価を一段階上げる。イルマの評価が鰻登りなのは気のせいではないだろう。

 

 

「約束破るなよ。先生」

 

 

これで話しは終わりと言わんばかりに、イルマはそう一言告げて出ていく。

その背中にアスモデウス、ウァラクが続き、その他のメンバーも続々と職員室を出ていく。

 

 

残ったのは、俺とメイとケイだけになった。

 

 

 

「カルエゴ先生、イルマに勝てると思うか?」

 

 

「俺は、無理だな。あいつは、いや、あいつがすることを俺は見てみたいと思ってしまう。イルマは輝いている、見ていて面白く楽しい。飽きる未来が考えられない。あれは可能性の塊だ」

 

 

「……えらく気に入っているんだな。」

 

 

「ああ、お気に入りだ。だからこそ、俺はできるだけ関わらないようにしているんだ。うっかり興奮して壊してしまいそうだからな」

 

 

「それを、俺に言ってどうする」

 

 

「いや、俺は欲張りだからな。お気に入りはたくさんいるという事を知って欲しかった。」

 

 

「……なに?」

 

 

「じゃ、そういうわけで言いたいことを言ったので帰る」

 

 

「あ、待って下さいっす!坊ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自己中自己満男ってキモいですよねカルエゴ先生」

 

 

「……お前も苦労してるな」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

なんとも幸先の良いことで、早速モモノキ先生から許可書にサインを貰えたらしい。あるものがキーになったということだ。

活躍したのは間違いなくジャズである。

 

 

 

「相変わらず()()()()()()()()()、ジャズ」

 

 

「んー、まあ」

 

 

モモノキ先生といえば、カルエゴ先生に好意を寄せていると一部の生徒の間では有名な話である。とにかくモモノキ先生はカルエゴ先生関連に弱い。

とりあえず、カルエゴ先生の名前を出しとけばなんとかなる。

そんなモモノキ先生に、カルエゴ先生の私物を賄賂として渡せば、許可書なんて一発OKであるとイルマは考えたわけである。

 

なんて、悪い子なのだろうか。使えるものは使うその姿勢は好感を持てる。

 

 

「ふむ…で、カルエゴ先生からなにを盗ったんだ?………興奮しているようだが」

 

 

目の前の男子生徒。金の指輪を全ての指に付けた、どことなく危ない雰囲気を纏った男、名前はアンドロ・M・ジャズ。

 

家系能力は盗視(ピット)

 

相手の隠し持った物を見抜き、盗むための最短ルートを示す目を持つ能力だ。

 

 

限界まで開いたそれぞれの指が、一匹の蛇であるかのように自在に動くアンドロ家、伝統の技。そこからついた異名は蛇使いの盗族(サーペントサーフ)、だったか……

 

アンドロ家は白に近いグレーといった家系だ。

 

表向きは、代々続く宝石商の家系。しかし本当に受け継がれてきたのは気高き「M」の称号。

初めてこれを知った時、Mって…そっちのプレイかなとドギマギした思い出がある。若かったな…

 

Mとは、伝説の大怪盗「M(マリウス)・ファントム」の名。

 

歴代のM(マリウス)・ファントムは誰1人として盗みに失敗したことはなく、アンドロ家の悪魔の中でもM(マリウス)を引き継げるのは最も盗みの能力が高いと家長に認められた者だけであり、その名を望むも引き継げずに生涯を閉じたいちぞくは多くいる……

 

だったか。

つまり、歴史のある盗みが稼業の家系だ。

 

 

先程から、だったか。が続いているのは、別に知識として知ってしまっただけであり、関わりも興味もあまりないことが関係している。

 

 

俺は、男女問わず容姿が良ければすぐに好きになる。

今までの交際関係は数知れず、俗にいう一夜の過ちなんてことは経験上少ない。俺は身体だけでなく、心も欲しいタイプである。

 

なので、一緒に出かけたり、連絡を取ったり、贈り物を贈ったり。それはもう付き合っていると錯覚するくらい仲良くする。

贈り物というのは、いろいろと悩ましい問題であったりする。普通のカップルで贈るには少し重いものを俺は贈る。例えばそう、宝石なんかがそうだ。

俺はこう見えても、上流階級の悪魔。貴族である。

下手な贈り物はできないわけだ。身分が許さない。

 

そこで、よく俺が世話になっていたのが、アンドロ宝石商である。お得意様だから、所謂VIP待遇で貸し切りだったり、個室だったりいろいろあるが、とにかくアンドロの家系と関わることが多かったのだ。

 

そこで、偶然にも知ってしまった特に使い所の無い情報。

安易に頭の中を除いたのが良くなかった。

 

出てくる出てくる、代々隠し通してきた歴史があるらしい別に欲しくもない情報。ただ宝石買いにきただけなのに、盗みを専門としている方から情報を盗んでしまった俺の心境よ。

盗まれたことにも気づかずに、俺に宝石を売りつける姿はまさしく道化。ちょっと面白かったのは内緒だ。

 

そんなわけで複雑だが、俺はアンドロ・M(エム)・ジャズという悪魔を少し知っている。

アンドロ家の家訓は、卑しいことこそ美しく。

お金と盗みに興奮する家系だ。

それはジャズにも当てはまることらしい。

 

 

「カルエゴ先生の手帳盗ったんだけど……めっちゃ気持ちよかった……」

 

 

「興奮した?」

 

 

「興奮した」

 

 

「勃ったか?」

 

 

「……ちょっと勃った」

 

 

「ほう」

 

 

思春期男子のノリみたいなテンションになっているが、普通に共感しにくい特殊性癖だな。流石に、盗んで興奮は……いや、俺も寝取る時は興奮するか。

 

 

「まあ、盗るのもほどほどにしとけよ。この前は、俺がカバーしてやったが、いつか痛い目に遭うぞ」

 

 

「う、それはわかってるよ…。つい癖で生徒会長の私物盗っちまった時は流石に焦った」

 

 

「よかったな、アメリ会長が乙女モードの時で」

 

 

「本当な……アバドンにも感謝してる」

 

 

俺がアンドロ家を知っていたため、一方的にジャズのことを知っていただけだったのが、先日の解散選挙あたりでグッと距離が縮まった感じはする。

 

ゲームでいう好感度イベントのようなものが発生したわけだ。

 

 

「俺も驚いたぞ、お前が「なんて書いてあるかわかんねーけど……会長から盗っちまった……どうしよ、返した方がいいよな。でも、こえー」とぶつぶつ言いながら生徒会室の前をうろちょろしててな。」

 

 

「え、めっちゃ声マネ似てる」

 

 

「だろ?」

 

 

「アバドンが会長に返してくれて助かったわ。…そうだ、ちなみにあれって結局なんの本だったんだ?俺勉強そこまでできないし、そんな詳しくないからなんて書いてあるか読めなかったけどさ」

 

 

「アバドンは()()()()()()?」

 

 

 

 

「んー…恋愛の本だな。」

 

 

「っえ、れ、恋愛?あの会長が!?」

 

 

「マジだ。ここだけの秘密だぞ」

 

 

「うへぇー…いや、別に誰かに喋るようなことでもないけどな。あの厳しそうな怖いイメージの生徒会長さんがねぇ、へぇ」

 

 

「おい、笑うな」

 

「いや、アバドンも俺のこと言えねーだろ」

 

 

「面白いだろ普通に」

 

 

 

いや、これは実際面白いぞ。

イルマは人間で、アメリ会長はイルマ(人間)に恋をしている。

アメリ会長はこの魔界で、人間の文化物(漫画)を持っている。

アメリ会長は、人間を知っている。

アメリ会長は、イルマと定期的に読書会をしている。

アメリ会長は、イルマ(人間)だと知っている。

 

アメリ会長は、()()()()・アメリである。

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 





まきの回です。しれっと生徒会メンバーとやりました。できるだけ直接な描写を避けましたが、ヤリチンがごめんね。
特にロノウェには謝るよ。でも、君の家系能力も悪いと思うんだ。

今回は全体的にキモい回だと思ってます。


なんでこんな早くに、40巻代の情報が飛び出しているわけ……。こんな早くに大怪盗の話を書くと思ってませんでした。どんどん当たり前のようにネタバレしていきます。そして原作に存在しないイベントが発生していきます。しかし、原作内の設定に沿った形でのものとなります。
書きたいことがありすぎて、どんどん文数が多くなっていく。ゆっくり読んでください
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