エゴにまみれた危険な悪魔 作:名無しの位階1の虫ケラ六年生
いっけなーい遅刻遅刻
お久しぶりです
一年生最終実技として
この行事は一年においての一大イベントの一つであり、活躍をするチャンスの場だ。収穫という言葉から、ただ食材を収穫するという緩いイベントに見えて、弱肉強食の魔界において食物の確保は苛烈を極める。
狩猟本能を呼び起こし、生を食らう姿こそが本来の悪魔の美しい姿。それを呼び起こすためのサバイバル試験である
生半可な気持ちで望めばそれは命取りになるであろう
『いや〜今日もやって参りましたね!収穫祭!!』
『こんにちは〜!!ふいっ今年もイベントに使うフィールドは私がご用意しましたよ!』
『よっ!植物の母!!』
大きなスクリーンに映し出された2人の教師。イベントの司会と解説のお馴染みになりつつある賑やかコンビのスージー先生とダリ先生であった
『バビルスの裏庭に巨大
『今回の試験は個人戦!皆さん特技を生かしてめざせ優秀!というわけでー…』
『一年生たちよ!!準備はいいかー!?』
2人の言葉は明るいが、過去の収穫祭全てにおいてこの行事は必ず死傷者が出る
「オオオオオオオ!!!!」
しかし、彼らは悪魔である
収穫祭が行われる試験会場の入場口前は、大勢の悪魔の熱気で溢れていた。自分たちの命に対してなにも危機感がない、いや、それ以上に楽しいが勝っているのだろう。
生き物の死が身近である魔界にとって、もはやその危険さえも娯楽の一種になりつつある。
顔は興奮で染まっており、今日のために準備してきたのか身体つきや特殊な武装をしている者も多く見受けられる。
力の入りようがわかった。収穫祭は一年生の総決算ともいえるイベントで、この試験での優勝という称号は他にない名誉なことであった。
普通の一位よりも遥かに重く輝かしい栄光
その称号は 若王
前年度の優秀者は、現生徒会長のアザゼル・アメリ。その他過去の優勝者もその後着実に位階を上げ魔界の英傑に成長している。
かの消失の魔王デルキラも若王という称号を学生時代に得ていることから、収穫祭はいわば、有名悪魔の登竜門ともいえるものであった
この行事に参加している全てのものに、平等に若王となれる権利が与えられている。
怪我するかもしれない、死ぬかもしれない、怖い、危険
そんなことは誰にも頭に無い。
そして、その中でもこの男は頭一つ抜けていた。勝利というものに固執し、高い意識ゆえに、変化した悪魔。
この変化は果たして良かったのか、それはこのイベントの結果でわかるはずだ。
「…勝つ。勝利を、一位を」
男の名前はオロバス・ココ
呼び名は、絶対に最良にはなれない男
可哀想な名前であるが、不思議なほどに彼が全てのことにおいて必ず一位を取れなかったことが所以となっている。
彼の面目を保つためにいうが、オロバスという生徒はとても優秀な男だ。座学も実技も普通よりも良くできる。全てのことでいい成績を修めることができる。
ただ、それ以上がいただけのこと
彼は秀才であって、天才ではなかった。いつも努力の先に結果があった。上と彼の間にあった差は、ほんの少しの天性的なセンスだけ。そしてそれは差を出す大きな要因であった
座学一位であるアロケル・シュナイダーに尊敬を抱いた
実技一位で入試首席のアスモデウスを何度も羨んだ
大勢の悪魔に囲まれる鈴木イルマに憧れた
注目を浴びる問題児クラスは彼の憧憬だ
憧憬は、嫉妬に変わり、そして恨むようになった。
劣等感しか感じなくなった
口から無意識に声が漏れ出ていた。その様子は何かに取り憑かれたように、瞳は光を失っている
彼は、いつも最良の次として評価された。気にしていないわけがなかった
上には常に誰かがいた。自分は、一番にはなれないのかと運命とやらを恨んだ覚えもある
勝てない。勝てない。不思議なくらいに勝てない
自分の努力が研鑽が足りていないのだと、追い詰め追い詰め追い詰めて…心がポッキリと折れて、彼オロバスは自分の家系能力に目を向けた
家系能力
対象の一番のトラウマを見せる能力
オロバスは今まで自分の能力を勝負ごとには使ってこなかった…負けて負けて負けて、心をボロボロに砕かれたことで思い至ったのだ。
オロバスの家系はとてもストイックな性分であった。正々堂々と勝負をして勝利を掴んでこその勝利であり。決して絡め手で勝利を得ることなど考えてこなかった。
もう、どんな手段も厭わない
オロバスの最良を邪魔する者は、敵だ。一位への障害は全て敵だ。障害は排除するものだ。
だから、問題児クラスはここで潰さないといけない
そうだ
お前は間違ってない
「勝つ」
オロバス・ココ。バビルス悪魔学校の一年生Aクラス在籍
腫れものが集められた問題児クラスなどではない、正真正銘の優秀な実力者が集められた優等生Aクラス
私が、私こそが最良であると、この場で証明する
勝利に取り憑かれたオロバスは誰から見ても
彼は、勝利しか頭に無い
そんなオロバス・ココは今回の行事の優勝候補であるが、もちろん彼の上がいるということは候補は他にもいるわけで…
授業に出ずに戦場で戦い続けて単位が取れなかった留年一年生の実力派ドロドロ兄弟、イチロとニロ。
卒倒すると噂の悪臭で周りを寄せ付けない、最も近づいてはならない一年生ナフラ。
実力は一年生の中でもトップクラス、由緒正しき文武両道のアスモデウス・アリス。
全ての物事は彼を中心に回っている、ウォルターパークでも活躍した期待のダークホース鈴木イルマ。
実力を備えた危険悪魔筆頭アバドン・マルス。
優勝候補はたくさんいる。もちろん上記に挙げた以外にも候補はあげようと思えばいくらでもいるが、特に有力なのがこの生徒たちというわけだ。
オロバスは考える。どうこの障害を排除するかを
最も警戒すべきはやはり、最近目立っている問題児クラスだろう。
手に持っていたノートを開いて中に目を通す。そこには、問題児クラスたちの情報が細かく記載されていた。彼はこの行事で問題児クラスを完全に潰すための準備をしてきていた
抜かりはない
オロバスの家系能力である
アロケルも、アスモデウスも、イルマも
あの、アバドン・マルスでさえ例外ではない
オロバスは、集まって会話をしている問題児クラスに目を向けた。その中の1人に自然と目が行く
風が吹いてオロバスの前髪が揺れた。一瞬視界を遮るが、彼は動じることなく目を離さなかった。
開かれたノートのページは風でパラパラとめくれ、数秒も経たない内に風は止み、あるページで止まった。
アバドン・マルス
身体能力魔術能力ともに優れている。
家系能力には注意が必要。密室と一対一は避け、能力を使われる前に気付かれず奇襲を仕掛けることを推奨とする。
護衛がいる。問題児クラスのメイとケイという生徒が従者であり、どちらか1人は必ず側に控えているため注意。
ケイ(男)はアバドン家の戦闘訓練を受けた者であるため、直接戦闘は避けるように。ケイは気配察知に優れているため、狙うならばメイ(女)が控えている時の方が良い。殺気や視線には注意。
対象のスペックは高いが、忍耐力や集中力といった精神的な能力はやや劣っているように見受けられる。疲れが見えてくる最終日に確実に狙う事を推奨する。護衛の存在は精神安定させるものになり得るので、排除するのが先決。
楽しそうな表情でクラスメイトと喋っているアバドン・マルス。
ニカっと笑いイルマの頭をガシガシと撫でてアスモデウスが怒りから襲いかかっているその光景からは、想像もつかない。あの日、あの時のアバドン・マルスとの衝撃的な出会い。
オロバスはアバドン・マルスをこの収穫祭で越えるつもりでいた。そのためにはどんな手段も厭わない
劣等感はもうあの時から充分と味わったのだ
「また……3位か」
この数字を見るのも最早いつものことのように感じる。
いや実際いつも2だったり3という数字はオロバスのそばにいた
それは一年生になる前の頃から始まる。最初は、入試の順位だった、3位。嬉しかったが、同時に悔しかった。一番には届かなかった
次に位階決めのための飛行
1位は飛行の推薦で入った男悪魔、2位は運動能力が高い後々飛行師団に入ることになる男悪魔。2位とのタイム差はごく僅かで、たまたまゴール間際で怪鳥に餌と間違われず襲われなかったらオロバスが2位になっていた可能性は高かっただろう。しかし1位のタイム差は大きく開いており、どのみち一番ではなかった
そして手に持つ紙を見る
終末テストの結果が書かれている。順位を見れば、3という数字。3位だ
学年163人中3位。これは世間一般では好成績あたる。それはオロバス自身も勿論わかってはいた、その上で悔しかった。
「オロバス君惜しい!!」
「いっつも3!3の男!」
クラスメイトの笑った言葉がオロバスの心を曇らせる。悪気はないのだろう。無自覚なのだろう。故にその純粋な言葉がよく心に刺さる。
寧ろ、わざと言ってくれていた方が良かった
「私は、好んで3を取っているわけでは……」
ない、と否定しようとして、言葉が出てこなかった。
クラスメイトはオロバスの様子に不思議そうに首を傾げて、興味を無くしたかのように別の話題へと移り変わる。
オロバスは黙り込んで、俯いて自問自答をした。
本当に、好んで3を取っているのではないと言えるのか?と
自分は一番を諦めて、甘んじて受け入れているのではないか?限界までの努力をして1を取れなかった場合の仮定の未来が怖くて、逃げてこの3を取っているのではないか?ない、と断言できるか?
……なぜ、私はこうまでして、弱い
よくわからなくなってきた。自分はなんのために頑張っていたのか、努力は本当にしても意味はあるのか。天才には勝てないのではないか
「おい、入試テストで同率一位だったアバドンいるぞ!」
「すげー!生で初めてみたデッカいな」
「きゃー!!マルスさま〜♡かっこいいい!!!」
「女子が黄色い悲鳴あげてるよ」
「いいなーイケメンは。なにをしても許される所あるし、なんたって今ホームルームだぞ?なんでAクラスの教室いるんだよ」
「わかんね」
「そんなこといいでしょ男子!かっこいいマルス様のお姿が見れるんだから有難いと思いなさい!!」
「うわ、出たよ。マルス様強火ファンクラブ」
「面倒くさいし関わらんとこ」
「ちょっと!聞こえてるわよ!!」
ホームルームでテストの成績結果が配られていたため元々騒がしかった教室が突然の登場人物により爆発的にうるさくなった。
どうやらその人物は人気のようで、Aクラスの半分以上の生徒が取り掛こむようにして集まっている。
「一体なんなんだ?」
「えぇ…」
「こわ」
席に座ってそれを眺める生徒は突然の変化に困惑を隠せないでいた。そしてオロバスもその1人である。
取り囲み騒ぐ生徒の中心に、男子悪魔が見えた。ひとつ頭の抜けた高身長、逞しい骨格と整った顔。
バビルスに通っているならば一度は必ず見たことがある、よく学校新聞にも取り上げられ、前まで生徒会で業務までしていた。入試テスト同率一位、実技では二位であったアバドン・マルスだ。
オロバスは無意識にガリッと歯軋りをした。心の中に広がるのは強い悔しさ、テストの学年順位が発表された直後の事で余計に感情が駆り立てられた。
「こ、困りますよマ…アバドンくん!!」
「せんせー見て一位取ったぞ。勉強会のおかげ」
「んんっ!アバドンくん!そういう話は後でね!今授業中だから…」
一応今はホームルームであり、授業の範囲にあたる。授業妨害のため見かねた教師が輪を掻き分けて注意しに行った。
なぜか、アバドンと教師の間が近い気もするが、そこまで気にすることでもない。教師と生徒の関係が良いことには越したことはない、注意されて反発する悪魔はよく見かけるからだ。
それにしても…やはり、アバドン・マルスは噂に聞いていた通り、成績優秀な問題児だな。力を持っているのに、それに相応しくない態度。……気に入らない、私の上にいるというのにその立場に相応しくない浅はかな行動を取る。…許せない
黙って見ていたオロバスは席から立ち上がってアバドンの方へと歩き出した。教師は輪に掻き分けて入って注意しに行ったものの一向にアバドンは帰らないし、周囲の騒ぎはおさまらない。教師の顔が赤いが怒っているのだろうか、アバドンはそれでも帰らないとは…なかなかに問題児だな
「そこを退いてくれ」
「え、あ。」
「は、はい」
「ちょっとなにすんのよあんた!マルス様と握手しようとしてたのにぃ!!」
「異様な雰囲気だし、大人しくしとけ」
「アバドン・マルス。今はホームルーム中だ、この教室に来るのは構わないが後で出直してはくれないだろうか」
「お、オロバスくん…!!」
オロバスの言葉に反応して輪が崩れて道が開き、オロバスはマルスを正面から見つめ、当然の注意を言った。
教師がオロバス神!!のような顔をして助け船が来たというような表情を浮かべているが、教師としてそれでいいのだろうか。生徒の1人の手綱も握れず、プライドはないのだろうか
マルスは教師に向けていた視線をオロバスに向けた。
一瞬目を見開いたかと思えば、その瞬間に凍てつくような鋭い衝撃がオロバスの身体を襲い、気づけば地に膝を折っているではないか。
必死で自身に起きた事、今の状況を理解しようとして、できなかった。
何がおきた?いや…コレはなんだ。この心臓を鷲掴むような寒気は
この教室にいる誰もが動けないでいた。マルスに近いオロバスと教師は勿論。近くで見守っていた生徒たちも、遠目で観察していた生徒たちも、みんな。
全員が、固まって動けないでいた。いや、動かないでいるというのが正しいか。今動いたら殺されると本能が身体を固まらせ、息の音すらも殺させる。
原因は間違いなく、目の前でオロバスを見下ろす男アバドン・マルスであった。
「………」
「ッ、」
気づけばオロバスは首筋から冷や汗が流れ出ていた。それを追うように、マルスの凍えるような冷たい視線は値踏みするようにオロバスの頭からつま先まで見て、足で止まった。
視線の先には地に折れてもなお、震え続けているオロバスの足があった。マルスのナニカによって屈した足があった
すると興味を無くしたのか、マルスはふいと目を逸らし、教師に「またな」と言い残して教室を出て行った。
ドアが閉められた瞬間、部屋にいる全員の生徒が倒れるように地面に身体を投げたした。
「なんだったんだ…今の」
「お、おれ…死んだかと思った」
「…私、トイレ行ってくる」
「お、おれも」
「オロバスくん…大丈夫ですか?」
教師が未だに膝を折って俯いているオロバスに心配したように声をかけてくる。
「感じたことのない強い殺気にみんな身体がびっくりしてしまったようです。先生も驚いて動けませんでした…体調が悪いようなら保健室に行きましょうか」
「……」
「オロバスくん…?」
「ッ…大丈夫、です。私は、なんともないので、」
なにもできなかった。ただ動かないようにすることだけがあの空間の中での精一杯だった
マルスがオロバスに向けた視線。冷たくて、オロバスを捉えているようで見ていない。
お前のような弱者など、眼中にないということかッ……
その日から尊敬だったり憧れだったりというものは、オロバスを苦しめる劣等感へと変化した
勝利に固執するようになった
「フー!なんとか間に合ったネ!」
「緊張するわぁ…」
「大丈夫よぉ!荒削りだけど、私たちがみっちりしごいて仕上げた弟子のお披露目よ。楽しみじゃない!」
収穫祭スタート前、ゲートの前にはたくさんの生徒たちがいた。その中には勿論問題児クラスもいる。それを面白そうに上から眺めている者たちがいた。
この数週間問題児クラスを指導した講師陣である。錚々たる顔ぶれであった
フルフル軍曹、ウェパル嬢、ライム先生、ミスターハット、そして…
「どうやら、まだマルス様は来られてないようだな…」
アバドン・デンス
「おッ!クソガキんとこの」
「……フルフル軍曹、マルス様をクソガキ呼ばわりはやめていただきたい」
「エークソガキにクソガキって言ってなにが悪いネ。…それにオマエもあれはクソガキだって思うだろお?」
「…」
「沈黙は肯定と受け止めるよ!正直なのは嫌いじゃないネ!!」
雰囲気は険悪ではなく、寧ろ良好といえた。
「あら、師弟そろってイケメンじゃない。あなたのとこの弟子に私の師団の教え子たちが毒牙にかかって良い迷惑してるのよーー彼が関わると女の魅力度が上がるのもまたもどかしいのよねぇ……」
「マルス様の気の多さには、私は何もすることはできません。」
分家であるデンスは本家に口出しできるような立場にはいない。今回たまたま本家の子供の教育係に選ばれただけであり、本来は関われるような立場にはいないのだ。
デンスの反応のよろしくない言葉にむふーっとライム先生は頬を膨らませて不満を露わにした。とてもあざとい
「噂をすれば、来たようですよミスターアバドン」
ミスターハッドが目で指す先に、つられて講師たちは向く。
そこにいたのは、異様なオーラを放つ3人の生徒。
平均的なものよりも丈が短いメイド服に身を包んだ女子生徒。戦闘することを考えて着てきたのであろう黒い服を着たどこか幼さを感じる男子生徒。最後に、これから本当にサバイバルをする気があるのかと勘繰ってしまう高級そうなワイシャツとズボンを見に纏った男子生徒。
メイ、ケイ、マルスの3人であった。
上から眺めていると、先程まで統率のとれていなかった人混みがその3人のためだけに示し合わせたかのように道を作るように割れた
「ん〜アレ、ヤバいネ。」
フルフル軍曹はニコニコしていた目を細めて、観察するように3人を見る。その視線は鋭い
その反応を見て、面白そうにデンスは笑った。
「わかるか?」
「やばいヨ。クソガキの目、あれ相当本気だネ殺す目してる。後ろの2人もなかなか良い、戦場で通用するネ。良い殺気だヨ」
フルフル軍曹に褒められて気分が良くなったデンスはニヤリと口元を綻ばせた。
「俺のお気に入りだ」
「うんうんわかるヨ。…下腹部がズシリと重くなるネ」
「…お前、趣味悪いぞ」
デンスはメイとケイの2人は気に入ってはいるが、マルスのことが嫌いだった。
フルフル軍曹のことは趣味の悪い変人だと認識した
そしてそんな講師陣から注目を浴びる3人はなにやら下で騒いでいた。いや、問題児クラスのほぼ全員が騒いでいた。
なにやらしょうもないことで争っているらしい。
「いーや、だから!僕が1番なんだって!!」
「我らが、最たる地獄!!」
「おいおい笑わせてくれるぜ!俺らの特訓が1番辛かったに決まってるわ!!」
「リードはゲームしてただけでござろう!?」
「ッはあ〜?ちがうし〜!!そっちの水遊びよりよっぽどキツい訓練してましたけどーー!!」
「あ、君たち生きてたんだね」
「とりあえずメール無視した奴こっち来ぉい!!」
「そちらはまた…女子会ですか?楽しそうで」
「ふふ、そちらこそ動物たちとサーカスでもしていらして?」
「あら面白い」
「ふふふふふふ」
「坊ちゃんレスバで負けてますよ!応戦しなければ!!」
「いや、いい「行きなさい!ケイ!」話しをきけ」
「っす!先輩!えっと……え、あー俺、上空から叩き落とされて骨折ったす!!」
「あの急に重いの入れてこないで貰えます?」
「その後放置されて、死ぬかと思いました!」
「ニコニコした笑顔で怖いこと言うのやめて、お願いだからっ!!」
「よし!勝った!」
「メイ、今のはどうみても反則負けだ」
リードがお前んとこの特訓どうなってんの?とケイを怖がりながらも頭をヨシヨシして慰めている。その後ろでメイとマルスによるレスバが行われ、やや不利を悟ったメイがハリセンを持ち出し互角の争いが繰り広げられていた。またその横ではアスモデウスが特訓を経て成長したイルマの姿に感銘を受け、素晴らしさについて延々と語り続けるというカオスな空間が出来上がっていた。
収穫祭が開始する前、早くも問題児クラスは分裂していた。
皆、数週間の特訓を頑張ったのであろう。
それぞれが自分の特訓に自信を持ち、成長したと感じていた。俺が私が僕が、1番キツくてそして頑張ったのだと…自信はぶつかり合い、最終的に争いへと発展することになった。
いや、収穫祭という競い合うイベントを行うため、こうなることは必然のことといえた。
イルマが息を吸って、吐いた
「足引っ張たら、ぶっ飛ばすぞー!!!!」
「「「上等じゃおらあぁぁぁぁ!!」」」
問題児クラスは円陣を組み、大声で叫んだ。一致団結しているようで、していない。なぜ喧嘩越しなのか、それは自分の特訓が一番だという自信を持っているからである。
「足引っ張るか」
「これぞ外道クオリティ!!」
「うるさいぞ」
そして、マルスは嫌がらせが好きだった
波乱の展開が予想される収穫祭が今、幕を開けた
好きな子に意地悪しても可愛いのは小学生までだ!