エゴにまみれた危険な悪魔 作:名無しの位階1の虫ケラ六年生
50と51巻を読んで復活して戻ってきたら、評価に色が付いてた。ありがとうございます
とある一室、3人の悪魔が楽しそうに画面を見つめていた。手にはマイクが握られている。
イベント事には、この2人の存在は欠かせないだろう
『始まりました!!収穫祭!』
『実況は私ダリと!』『スージーでお送りしますよ〜ふぃ!』
バビルスの賑やかし担当のダリとスージーのコンビだ。教師としての歴が長いほどはっちゃけているのがバビルスの常識であったりする。
あの孫バカ理事長をみてみろよ
『解説として、バラム先生にもお越しいただきました!』
『よ、よろしくお願いします…』
そして、バラムはまだ教師歴としては若い部類である。恐縮している様子からは、まだ正気を保っていえるといえた。
『おーっと!!真っ先に駆け出したのはアスモデウス・アリスとサブノック・サブロだ!』
『凄まじい勢いでジャングルを駆け抜けて行く!』
立ち上がるダリに続くようにスージーも立ち上がる。最初からテンションは最高潮だ。
3人が見つめる液晶には、美男子と逞しい大男がいた。アスモデウスとサブノックである。
実力者である2人が真っ先に頭角を表して、魔獣(食材)を狩っていた
『あ、あれ僕の弟子、ぼっ、僕の弟子です』
マルスとメイ、ケイの3人の特別講師がデンスであったように、アスモデウスとサブノックにも講師が当てられていた。
バラムは数週間特別講師として手解きをし、どうやらかなり入れ込んだようである。ダリとスージーに負けず劣らずとも、興奮が隠せていなかった
『お〜!足場の悪さをものともしない!ふぃ!優秀です〜』
『そして!早速レア食材をゲットだ!』
収穫祭のフィールドを用意したスージーは2人の動きに関心すると同時にダリは液晶の向こうで2人が屠った魔獣に歓声をあげた。
それもそのはず、たったいま画面内で倒されたのは危険度の高い魔獣。それをなんなく倒してみせたことは一年生の平均的な実力からは突出している。
『一番ブロックは良いスタートを切った生徒が早速出ましたねー!これは、優勝候補となるかー!?解説のバラム先生!』
『は、はい!僕の弟子たち、期待してます!』
『私情入ってますよ〜』
『あ、す、すいません…』
解説は、どうやら身内にポンコツのようだ。
『バラム先生の期待もかかる一番ブロック!では次は2番ブロックを見てみよう!』
ダリの言葉に反応するように、画面が切り替わる
画面は一番ブロックのアスモデウスとサブノックたちから、二番ブロックの開けた大地にピントが当てられた。
『あれ?生徒が誰もいないぞー?おかしいなー…』
『カメラは何か動きがあったところに行く設定でしたよね』
『ふぃっ』
3人は不思議そうな顔で見合わせた。しかし、答えは見つからない
今現在この画面を映し出しているのは、中継に使われるデビルくん。小型の魔獣で、生徒がいる場所やなにか大きな出来事が起こった場所に移動するよう指令が出されていたはずである。
だというのに画面には、開けた大地のみが映し出されていた
『んーあまりにも上空に中継デビルくんがいますね』
『もうちょい寄って…というか、こんな開けたフィールドありましたっけ?スージー先生』
『ふぃ……誰ですか?私が手塩をかけて作ったフィールドを早々に壊したやつは……』
スージーはダリの言葉にハッとしたような表情をし、顔を俯けた
声は震えて、身体もプルプルと小刻みに動いていた。バラムはそれにあわあわと目に見えて動揺する
『あ、そのダン!!ひぇ、す、スージー先生?』
スージーは綺麗な台パンを披露しバラムの身体を跳ねさせたところで、キラキラと輝いた瞳で画面を食い入るようにみつめた。
ダリが即座に反応して、マイクを持ち直す
『おおー!スージー先生が怒、いえ、…興奮しています!』
『ふぃ、かなり耐久性に強いフィールドですッ!これを更地にしてしまえる生徒は凄い!』
『スージー先生お褒めのお言葉だー!!』
『え?え?』
スージーとダリは納得したような顔をし、解説であるはずのバラムは困惑顔で、2人を見つめるばかり。
『中継デビルくん!もっと拡大を『うお!!城建ったーー!?』
『ふぃ〜〜!?』
収穫祭の狼煙の合図は、アスモデウスでもなく入間でもなく、第二ブロックに突如として出現した城だった。
1日目
「あれは一体なんなんですか……」
「あれは!一体!なんなんですか!!!!」
「女王落ち着いて!」
第二ブロックでは、ケロリとカムイによる獣の王国が築かれていた。しかし、今まさにその王国は傾きそうなイレギュラーに見舞われていた。
第二ブロックのエリアの一部が、更地になったというのだ。
カムイの家系魔術の
ケロリにはごく一部の者にしか明かしていない秘密があった。それは、今魔界で大人気のアクドルクロムちゃんであるということ。
普段は認識阻害のメガネで溢れ出る可愛さを抑えていたが、今日の彼女はどこか雰囲気が違った。そう、この数週間の過酷な特訓で可愛さを捨てた彼女は、究極の美に達したのだ。
つまり、彼女は美しい
魔獣の統率には意思疎通だけでは足りない。悪魔でもそうだ、会話ができた程度では多くがついてくることは無い。
彼女の美しさには多くを求心するだけのなにかがあった。
つまるところ彼女には、カリスマがあった。
なるべくしてケロリは女王というトップに着いたのである
そんな女王はただ今ご乱心のようだ。
遠くにみえる建造物の出現に対して
《伝令!城を中心にして自然の消滅を確認!》
《民たちから、不安の声が上がっています!》
《女王!我らをお導きください!》
カムイの
突如として自然が消えた。それは自然界を生きる獣たちにとって身を休める家が失われたのと同義であり、困惑や不安な精神状態になるのも無理は無かった。
《女王!!》
「落ち着きなさい」
ケロリは一つ深呼吸をして、目を瞑り目頭を抑えた。
そして目を開く、そこにはもう先程までの動揺は無かった。
「まだ全ての植物が消えたわけではない。事実私たちの周りには緑が多く残っている」
心配の顔が残る獣たちにケロリはそれに、と付け加えた
「私は、この現象を引き起こした者に心当たりがあります」
《誰なのですか!?》
《家を破壊するなんて…許せません!!》
「その者の名はアバドン・マルス。強敵ですが……我らを脅かすかぎり彼との敵対は免れません」
「女王お美しいッ!!!!」
「このライブ勝つのは私です!!」
《女王!!!》
《我らが女王!!》
そして場所は変わって同時刻
突然出現した城とはまた違う方角に、また城があった。前者の城との違いを挙げるなら、周りに自然が残っていること規模がひと回り小さいこと、そして中にいる人数の多さであった
「どんだけ連れてきてんだ!ばかガープ!!」
「お仲間が増えて賑やかで嬉しいでござるな!」
「このあほーーー!!!!」
問題児クラスのガープ・ゴエモンとアガレス・ピケロであった。
この2人もケロリ、カムイ同様に同じ講師に特訓を受けた2人であり、この収穫祭でチームを組んでいるのであった。
のだが、どうやらアガレスが作った拠点には多くの悪魔が集まっているようであった。
「お前はほんと!お人好しすぎるんだよ!」
「友達100人作るでござる!」
いつも寝ていて騒がしいことが大嫌いなアガレスと皆で楽しくすることが大好きなガープは相性が悪そうに思えた。
実際アガレスはガープに対して文句を絶やさない、がしかしそれだというのに雰囲気は険悪というわけでも無かった。
こういう距離が彼らにはあっているのかもしれない
「いや〜ッほんとッ助かったガープくん!それにアガレスくんもありがとな!!」
「いや、俺らまじしぬかと思ったな」
「ほんとな。1日目でリタイアは勘弁してほしいぜ…」
言い合い?をしていたアガレスとガープの元に大勢の生徒が押し寄せてきた。彼らはこの拠点の外でガープに助けられた者たちであり、安全な場所に身を置かせてもらっていることに礼を言いに来たようであった。
「ほんとうに、ありがとう!」
「休んだらとっとと出てけよな!」
「そんな寂しいこといわないでござるよ!アガレス殿!」
「それにしてもお前ら……あんまり怪我もしてなさそうだし、魔獣に襲われたってわけでもないんたな」
「あぁ、俺たちが逃げてきたのは……あの城、からだ」
「城?」
アガレスの口から疑問が溢れる。なんてたって自分たちが今いるのも城だからだ。
「ああ、まだ知らないのか…なら、みて貰った方がわかる。」
男子生徒に促されて、連子窓の隙間から外を眺めた。アガレスは寝ることが好きなので、眩しいのはあまり好きでは無い。
アガレスの目は、明るい外の光とともに遠くに聳え立つ城を捉えた。
「あれは…」
アガレスが建てた城を和と表現するなら、あの城は洋であった。岩で作られた堅牢そうな要塞だ。
「あそこの周りには、不自然に植物が無い。魔獣もほぼいなかった」
「…ほぼ?」
「ぁ、ああ、あそこには恐ろしい白いオオカミがいるんだよ!!思い出すだけで恐ろしい!図体は俺たちの数倍はあった。あんなのフェンリルだ!学校側はあんな化け物を学校の行事に出して何を考えているのか!?」
「……なぁ、ガープ」
「なんでござるか?アガレス殿」
「自然破壊を片手間にやってあんなデカい城を建てれるやつなんて限られてる。…そして、白いオオカミ、ときたらあいつらしかいない」
アガレスには苦手なものがある。
それは眠りを邪魔する、うるさいもの、うるさいもの、そしてうるさいものである。
「アバドン・マルス!あの気色悪い男!!」
あれは、何気ない日のなんてことない授業中であった。
アガレスはいつものように愛用のアイマスクをしてふわふわのししょーのベットですやすやと眠っていたのだ。その時の授業は良い眠りに誘ってくれる子守唄をする当たりの教師だったので、いつもよりアガレスは快適に過ごしていた。
はずだった
授業の終わりを告げるチャイムで目が覚めた。いつものアガレスなら、ガープの声に叩き起こされて次の移動教室に向かうのだが…今日はチャイムで目が覚めてしまった。
そしてその原因はすぐわかることになる。
目を開ければ、いつもより視界が眩しかった。目につけていたはずのアイマスクが無い。そして、横向きで寝ていたアガレスの顔を真正面から覗き込むようにみている男。
いつもより眠りが浅かったのも、アイマスクが無いのも、この目の前の男が原因であることは先程まで寝ていたアガレスでも容易にわかることであった。
「お前、美しいな」
アガレスを見て美しいと溢した男もまた、息を呑むほどに美しい容姿をしていた。
それがアバドン・マルスという最低な悪魔との出会いだった。
「はあ……なんであいつら、よりにもよって二番ブロックにくるんだよ!!あのクソ男!いつもみたいにサブノックの尻でも追いかけとけばいいのに!一番ブロックにいけよ!」
「アガレス殿…そんなにかっかしなくても」
「落ち着いていられるか!あのクソ男にはあのうるさいやつが一緒にいるんだぞ!!」
アガレスは収穫祭が始まってから一番取り乱していた。
それは、マルスが二番ブロックにいるという事実があったのだが、重要なのはそれによって付いてくるある生徒のことだった。
アガレスには苦手なタイプというのがある。アバドンは「お前の寝顔が好き」だとかキショいこと言ってくるが、寝具とかちょくちょくプレゼントしてくれるのでまだ良いのだ。
問題はその隣によくいるケイという悪魔だった。そしてそのケイの使い魔である白いオオカミだった。
今でも思い出すだけでゾッとする。ケイに遊ぼうと言われて振り回されて、白いオオカミに追いかけ回された挙句によだれでベトベトになるまで舐め回されたことを。
「俺はお前らのおもちゃじゃない!!」
アガレスは籠城を決め込んだ
ここ第二ブロックにて、問題児クラスの勢力3つがそれぞれの思惑を持ちながら、静かに動き始めていた
いや訂正しよう4つだ
収穫祭一日目の夜は今後の活動を左右する重要な分かれ道となる。
一日目に体力を消費しすぎず、拠点を確保して休息をとる。それが重要なカギになるのだ
そして、この男は誰よりもそれを実行していた。
「いや、なにしてんの」
ベットの上でゴロゴロと右左に無意味に動いて、男は止まった。
「休憩だ」
「休むようなことなにかしてた?」
「してるぞ」
「絶対してない」
ここは城の最上階の部屋。広い部屋には2人の悪魔がいた
アバドン・マルスとプルソン・ソイだ。
「プルソンーおいで」
「い・や・だ」
「ケチだな」
ベットの上でうつ伏せになって腕枕をしてプルソンの方を見るマルスは絵になるほど魅惑的だった。
プルソンは一瞬息を呑むが、落ち着くようにすぐに息を吐き出した
「はぁ…こいつ前から思ってたけどクソ男だ」
「はっきりいうな」
「サブノックへのセクハラ紛いの視線をやめてから言ったら?」
「…そんな俺はわかりやすいか」
「まあ、僕はよく観察してたから。今日喋って視線の中身を確信した感じ」
「それは、しくじったな」
収穫祭一日目にして2人は打ち解けていた。変な方向に
それから、2人は男子特有の下らない会話をした。気になっている異性、クラスの可愛い女悪魔、いかにサブノックの尻が魅力的なのか(プルソンはドン引きした)
友達の家に泊まりに行ったような日の感覚で2人は夜更かしした。
パジャマで同じ年代の男同士で下らない事を話す。2人ともそういったことは家庭の都合上無いに等しい経験だった。
プルソンはこういうのが青春なのかな…と心の中で思って口には出さなかった。おそらくマルスも言わなかったがそんな事を思ったことであろう
2人はいいところのご子息であった
次の日、裸のマルスの腕の中で目が覚めたプルソンは宇宙猫になった
そして状況を30分後に察したプルソンはふるふると身体を震わせた後、スヤスヤと眠るクソ男に目覚めの平手を喰らわせた
「ーだな、エリザベッタはやはり魅力的な悪魔だが俺はケロリもなかなかに……プルソン?聞いてるか?ー…流石にもう寝たか」
時刻は深夜の3時と言ったところだ。プルソンは深夜テンションというやつで饒舌になり好きな女悪魔のタイプを披露してくれたが、眠気は勝てずにとうとう寝てしまったようだ。
隣で寝息をたてるプルソンを起こさないようにマルスはベットから起き上がった。
窓の側まで歩いていき、カーテンを開けると外は深い闇に包まれていた
「なんだ、呆気ないほど簡単だな。それも仕方ない、か…」
収穫祭1日目夜、皆が寝静まる中マルスは起きていた
それと同時に、
「さて、ひと仕事するか。」
数多くの生物の命を感じる
「このジャングルは広い」
マルスは収穫祭が始まる前からこの行事をどう攻略するかを考えていた。
この広大な大自然という環境を収穫祭の約4日間で踏破するのは大変だとマルスは考えていた。
起伏のある地形、立ちはだかる食虫植物、危険な魔獣。
しかしそれらを普通に攻略するならばという話である。
「全てが見える」
「生命の鼓動が、手に取るようにわかる」
眠気などないのか、目の瞳孔は開ききってていた
マルスの元々の美貌がソレをゾッとするような光景にへと昇華させていた。この男は悪魔だと言われれば誰もが納得するほど悍ましいものを瞳の奥に宿していた。そして実際に悪魔だ。
マルスはこの試験が始まってからずっととある魔術を発動し続けている。
試験会場である森林一帯を覆うように満遍なく、特殊な煙を動かしていた。それがたった今完了したのだ
「メイもケイも……そしてクラスメイトたちがこの数週間を経て成長を遂げたのだろう。そして、それは俺も例外では無いということだ」
窓の外はやはり、深い闇に包まれていた。
そして、その中に小さい光があった。それも数個ではない、膨大な量の光だ
それは夜に光る無数の魔獣の目だった
全てのエリア。第一、ニ、三、四ブロックの魔獣が移動していた。
ここ、そうこの城にへと。
植物が消え、城を中心にするようにできた空白地帯に、大量の生命たちが一斉に集結していた。
「少し集中して頑張ってみれば、案外簡単だ。流石にこの量をまとめてというのは経験が無かったから、どうなるかと思ったが…杞憂だったな」
森林の夜は本来静かである。しかし、今日の夜は何かが違った。
森は静かだ。だがどこか木々は落ち着きなく葉を揺らして、地面はどこかざわめいている。
魔獣たちが静かに声を鳴らしていた
低く唸るような声だ。一つの声だけなら響くようなものでは無いソレが植物の間わすり抜けて、森林全体にへ確かに響いていた。
「全ての生命は俺に跪くために生まれてきたのだと」
つくづく思うな
マルスの口角がニヤリと上がった。笑った姿でさえ相変わらず美しさを感じさせるその美貌が返って酷く恐ろしかった
生まれ持ったものが違う、というのだろうか
「後は、この魔獣を報告塔に持って行ってポイントとして提出…はぁ、考えただけで骨が折れるな」
一日でこの男は、森林を支配した
「最悪だ。これだから森林を歩きたく無かったんだ。今すぐにでも風呂に入りたいが……どうやって沸かすんだコレ?まあ魔術でなんとかするか」
「なんか、自分で身体洗うのも変な気分だな、まあ魔術だが。あの生徒会の地獄の日々を思い出す。」
「髪は乾かすのは…魔術でどうにかなるとして。櫛でとかすのも…魔術でやればいいか。あと、は…」
「?パジャマは先程まで着ていたのが一つだけ…換えはどこに置いてあったか………わからん。自分で着るのも面倒だこのまま寝るか」
なにとは言いませんが、51巻の最終ページはもうテンション爆上がりですよ。絶対それまで書く