エゴにまみれた危険な悪魔 作:名無しの位階1の虫ケラ六年生
「
掲示板に貼られたやたらと派手な紙のクラスに名前が載っていた。
俺の疑問に隣に控えるメイが補足を入れる
「どうやら、入学式以降に問題を起こした生徒が集められたクラスのようですね」
「…なぜ、そこに俺の名前が入っているんだ?」
「坊ちゃん?自分の行動をよく思い返して見てください」
「?」
「………はあ、お忘れのようですので、お教えいたします。ああ、これから言うのは、私が把握している範囲のことですので、学校側が把握していないことまで、思い出していただけますよ。
女教師と寝る
使い魔を孕ませようとする
通りすがりの悪魔にセクハラをする
すぐ抱く
学校でヤる
学校で葉っぱを売る
暴行
家系能力の使用
なんですかこれ、最悪ですよ」
「売店でハリセンを買った時に、しれっとウチの葉っぱが売られててビビりましたよ。なんなんですか、学生を顧客にしようとしないでください」
メイが理解できないものを見るように俺を非難してくる。
いつも通りだ。
が、ここは少し弁明する必要があるな。
「大丈夫だ。葉っぱは魔関所からもOKが通ってる数少ないウチの看板商品だ」
「はあ…作る工程がほぼグレーじゃないですか」
「黙っときゃバレない。葉っぱは効果も薄いしな。幻覚作用もなく、ただ少し気持ちよくなれる依存性があるだけだ」
この葉っぱというのは、隠語でもなんでもなく、普通に緑の葉っぱだ。
そんなものに高値がつくのだから世の中不思議なものである。
我が家の広大な敷地のひとつで、農園をしている。食べ物は育てていない。葉っぱを育てている。ハウス栽培だ。
本当にただの葉っぱ、どこをどう見ても普通の葉っぱ
それが高い値のつく理由の秘密は、それを作る段階にある。
簡単に種明かしをするならば、まあ、家系能力である。
もともとその土地は大気中が家系能力の煙により長年汚染されていた。大気中だけでなく、土も汚染されてしまっているだろう。
長年その土地は家系能力の強化場所として使われていた。
汚染されていた理由は、毎日誰かしらが、煙を発生させ続けていたから
ある年の当主は、殺しの仕事だけでは、時期に家は廃っていくと考えていた。新しい稼業を探さねばならない。そこで、我が家の敷地について調べていると、長らく家系能力の練習場として使われていた土地が目についた。
その土地は、大して魅力なものも、資源になりそうなものもなかった。
ただ……葉っぱが生えていただけ。
その葉っぱはとてもイイ匂いがした。
当主が付き人として連れて行った者の1人がその葉っぱを千切って匂いを嗅ぎ、最高にハイになった。
そのまま正気に戻ることは無かった
その出来事を受け、当主は閃いた。
これをうまく使えば、稼げると。
我が家の歴史の書物では、この時の当主を尊敬をこめて智略の当主と記していた。
俺はこの話を読み、ただの賭けに勝ったギャンブラーじゃねぇかと思ったものだが、今現在まで葉っぱで儲けてきた事実は大きく、尊敬をしていないと言えば嘘になる。
「それに、葉っぱはもともと上流階級向けの高価な嗜みということで、売り出していたのに、学生に売ってしまっていいのですか?」
そんな偉大なるギャンブラーは、流通の拡大で危険性がばれ、魔関所にお世話になることを酷く恐れた。
そこに賭けるような玉は無かったということになる。
長らく、葉っぱは上流階級の間で嗜まれる嗜好品として扱われてきた。そのためブランドというものを確立していた。
偉大なるギャンブラーは賭け無かったことで、富を得た
が、俺としてはそろそろ新しいパンチが欲しいところだ。
「顧客の拡大だ、品質についてはきちんと区別するから、ブランドが傷つくことは最小限で抑えられる。収入も増える。最高だろう?」
俺は、学生でも頑張ったら買えるような、少しの贅沢品として葉っぱを売ることにした。
味を覚えさせる。
学生から親の手に渡れば、おのじといったところだ。
俺も偉大なるギャンブラーにあやかり、賭けに勝ちたいところであるが。俺は転ぶつもりもない。
魔王がいない今、我が家の家系能力に敵はいない。多少手こずるだろうが、魔関所など、どうとてもなる
転ばないことに越したことはないが。
「確かに…」
「わかったなら、もう良いだろう。ほら、クラスにいくぞ問題児」
「な、私が
「まあまあ、受け入れろ」
「断じて違う!!」
「俺、お二方と一緒で良かったっす!!一緒だと護りやすいので、俺に頼ってください!」
「「……良い子だ」」
メイと俺はコイツだけには、葉っぱなんて無縁の人生にさせてやろうと思った。
「ヒュウ……ゴミ捨て場の近くが教室とは恐れいった」
どうやら
あまりの環境の悪さに絶句することになる
「地下というだけで、立地が悪いというのに、臭いが最悪ですね。学校側に抗議しますか?
場合によっては寄付金と称して金に物を言わせて改修させるのも手かと…」
落書きが描かれた壁、扉、どことなく隙間風が入りそうなほどに扉はボロい。1−危と書かれたクラスプレートは今にも落ちてきそうであった。
「俺、こういうの懐かしいっす」
「「…………」」
俺とメイが、これは酷いと話していると、ケイがぽつりと声を溢した。
「訓練とか、こういう場所が多かった、ということですか?」
メイが恐る恐るといった風にケイの方をみる
ケイはあっけらかんと笑った
「あ、はい。どんな環境でも耐えれるようにって教えられたっす。ここは、まだ全然マシじゃないっすか?壁もありますし、」
「そっか」
「はい!俺授業凄い楽しみっす!!」
「俺たちが文句を言うべきではないな」
「そう、ですね」
俺たちは顔を見合わせて、寄付金をバビルスにすることをやめた。
「俺!俺先入っていいですか!?」
ケイは学校生活に憧れでもあったのか、教室に興奮を隠せないでいた。こんなボロボロの教室扉にはしゃぐなど、今までの生活レベルが垣間見える。
教室に誰が先に入るかなんて、争うことでもない。
そんなことで喜ぶのなら、先に行かせてやろうと思った
「ああいいぞ」
「ありがとうございます!じゃ、じゃあ…開けるっす!!」
ケイは喜んだかと思うと、今度は緊張し始めた
その様子がおかしいので、メイがくすくすと笑いを隠せずにいた。
「これが、教室ッ……」
ケイが一歩足を踏み入れた瞬間だった、刀が飛んできたのは
訓練を受けているケイは当然、反射的に飛んできた刀を掴んで受け止めた。素手で
次々と飛来する剣や斧や矢、変わり種だと手裏剣まで
その全てを最初に飛んできた刀で弾いて地面に落とす
「お見事!まさか、全部落とすなんt
「坊ちゃんを狙ったやつはどいつだ?……あ"?」
ケイの目が血走る。男にしては少し高い声が、いつもとは違う、低く唸るように口から吐き出された。
とても見覚えのある。ああ、やはりケイは純粋でも、生粋の我が家の護衛だなと感じた。
攻撃してきた不届きものを絶対コロスマン
通称全殺しモードに移行していた。
我が家の護衛名物である。
やはり、ケイからは、血のにおいがする
「えっ、と?」
金髪の青年がケイの普通ではない様子をみて、戸惑っている。
それが良く無かった。ケイが最初のターゲットに決めてしまう
「お前か?コロ
「まあ待てケイ。止まれ」
流石にマズイと思ったので、ケイの学生服の首後ろを掴んで持ち上げる。
俺の声で、正気に戻ったようだ
「ッあ、…坊ちゃん?今から俺、坊ちゃんを害そうとした不届き者たちを殺すので、あの」
「やめろ」
「良いのですか?…坊ちゃんのご命令であれば」
ケイは不思議そうに、だが、殺すことをやめた。
目の血走りも、低い唸るような威嚇する声も無くなり、いつもの明るい様子になる。
「あー……その、だな。自己紹介といこうか。
俺はアバドン・マルス、コイツはケイ、後ろにいるのがメイ。
この2人は俺の
ただ、俺が関わっていないケイ自身は良い子なので、相手してやってくれると嬉しい。
よろしく頼む」
出だしは、あまり良いスタートとは呼べそうになかった
その後、イルマが教室にやってきて、飛来する武器を全て避けるという回避力を発揮し、関心することになった。
ケイも俺の隣ですげーー!!と褒めていたほどだ。
避けることだけに関しては、プロだな。
「外へ出ろ!アホども。授業を始める!」
カルエゴ先生がやってきたところで、クラスは落ち着き
学校初めての授業が始まる。
学校裏高台にて
「前回の召喚試験とこの授業の結果で、貴様らの
カルエゴ先生がデコボコとした巨大な岩山たちを背にし、授業の概要を説明していた。
後ろの景色からも見てわかるように、今から羽を使い、誰が速いか競走するのだ。
面倒な
カルエゴ先生の横にスタート地点からゴールまでのわかりやすい簡単な地図が置いてある。
経路は大きく2つのコースに分かれており、
地図の絵から見る限り、囀り谷コースは岩山が少なく飛行が簡単そうなコースだが、同時に遠回りなコース。金剪は岩山の数が多いため、障害物が多いコースと同時に、囀り谷と比べると最短経路で進めるとみた。
当然選ぶなら前者の囀り谷コースだろう。
競走にこれっぽっちも興味はない
「はい!使い魔先生!鳥への攻撃はアリですかぁ?」
「構わん。殺しすぎは減点だかな、あと次、使い魔先生と呼んだら殺す」
金髪のおちゃらけた生徒が質問し、カルエゴ先生が物騒な発言をする。
「加えて、今年は囀り谷のみをコースとする」
「待てい!金剪の谷も通過コースだろう!!」
「なぜか、金剪の長の気が立っていてな。今、金剪は立ち入り禁止なのだ」
「ぬっ、
「知るかっやかましい!!コースに変更はない、総員準備!!」
ギャーギャーと騒ぎ立てるうるさい大男がいた。
確か名前は…サブノックと言ったか、
大柄に見合った、大きなプライドを持ったような生徒だ。
ふむ
「坊ちゃん視線がキモいです」
「黙れ」
実はいうと好みだ
「坊ちゃんって、守備範囲広いですよね。当時10歳くらいでしたか?30後半の勉強を教えてくださる教師の方に、逆に気持ちいいことを教えていたじゃありませんか。ドン引きしましたよそれはもう」
「お前、変なこと覚えてるな」
「いや、普通にトラウマものですよ」
サブノックの荒ぶる姿を遠目に、メイと昔話と洒落込む。
コイツは記憶力が人一倍良いため、俺は言われて、そうだったななどと思い出すことが大半である。
「坊ちゃんが覚えていないだけですよ」
「お前、エスパーか?」
「顔に出てるんですよ」
皆が次々に翼を出していく。
はあ…気が重い
「坊ちゃん、そろそろ」
「ああ」
メイが翼を出し、ケイもそれに続く。
仕方がない、と俺も翼を背中から出した。
「エギー先生は?」
「私は後から追う」
ウァラクが、カルエゴ先生に元気よく話しかけた。
ウァラク……変な悪魔として有名な生徒だ。
家系能力もなかなかに面白い。が、阿保でうるさい。
別に気にかける生徒でもない。が
隣のケイをチラッと見る
ウァラクを見ようとしない、意図的に視界に入らないようにしている。
ふむ……関わるなと言ったが、どうしたものか。
どことなく、顔は暗い
この調子でずっといると、こちらの調子まで悪くなってくる。
「坊ちゃん」
「わかっている。この試験が終わってからだ」
メイが俺に判断を急かすように言ってくる。
はあ…速いところ試験を終わらせるべきか。
「ケイ、試験が終わったら話したいことがある。いいか?」
「では、只今より、
カルエゴ先生の声を尻目にケイの方に向く
「坊ちゃん?」
「そうだな、競走するか。どちらが速いか。速ければ速いほど、その分たくさんゆっくりと話せる。…な?」
「は、はい!!負けないすよ!!」
「望むところだ」
「翼を広げろ!!位置について用意、スタート!!!」
俺は好スタートをきった
一瞬の地面の蹴りと羽ばたきで、全てを突き放す。
久しぶりに運動といこう
一巻読み返してて、金剪のヒナが可愛くてよお
ヤバい