エゴにまみれた危険な悪魔 作:名無しの位階1の虫ケラ六年生
「坊ちゃん、選択授業はどうされましたか」
選択科目というものがある。
座学などの知識を深めるものから、サキュバス先生による刺激強めの誘惑授業まで。
多岐にわたった授業の中から、皆1つ選ばなければならない。
「ああ、拷問学ですね。わかります」
その中には拷問学というものがある。
文字通り、拷問がなんたるかを学ぶ。知識だけではなく、実技もあるらしいので技術も学べるだろう。
俺が使ったことのない拷問器具まで、完備しているらしく、興味をそそられるが………
選択授業には、選ぶつもりはない。
「ッえ…!?坊ちゃん拷問学じゃないんですか……」
メイが口に手を当てて、大袈裟に驚いてみせる。
先程から、コイツは……まったく。
調子に乗る癖を直す様子が一切ない
頭を軽くチョップしてやる。
「俺は、薬学にするつもりだ」
「…では、私も同じのを」
俺は、役立ちそうな薬学を選択した。
こんなので忘れがちだが、メイは俺の
本当は、自分がやりたいものをやらせてやるのが良いのだろうが、仕事上そうもいかない。
「ケイは……実技あたりが、点を取れそうだが。
もう少し頭を使いものにするために、座学を取らせるか」
「……それが、よいかと」
ケイは身体能力だけをみれば、優秀だ。が、頭があまり、いやかなりよくない。
「坊ちゃん!これってなんて読むんすかー?占い星?術、?」
メイと俺は2人で遠い目をしたのであった。
知識以前に漢字の勉強だな
学校生活において、欠かせないものの1つとして挙げられるものが、団体活動である。
生徒の約6割が何らかの師団に所属しており、上級生とのコネクション作りとして活用されていたりもする。
例えば
共通の特技や趣味嗜好を持つものたちが集まり、交流の場として機能し、魔力・知力・体力の向上と統率訓練も兼ねている。
この師団を通して、位階を上げることが可能。ということが、悪魔的には最高の魅力かもしれない。
まあ、師団に入ったからというだけで、ポンポンと位階が上がるわけではないが、上がる機会が増えるというのは事実である。
位階を上げる方法としては、
師団で参加する団体昇級試験と個人の功績による昇級方法がある。
そう、忘れてはならない。
交流?コネクション?
否
悪魔とは、位階が全て。
全ては、位階で始まり位階で終わる。
とにかく、
すなわち多くの師団が、位階を上げるために有能な新人を欲しがる。
故に、新入生の位階が安定したこの時期に、解禁されるものがある。
「
「一年の師団勧誘にあたり、くれぐれも他の師団に迷惑をかけず!」
「場所を譲り合って!仲良く!」
「節度を持った行動をとる!と」
「…では、建前は以上!」
「邪魔者は潰して進め!」
悪魔に節度なんてものは存在しない。
強引な勧誘なんて当たり前、しつこく誘うし、暴力で脅すし、魔術を使って入団届けにサインをさせる。
まさしく、なんでもありの阿鼻叫喚となる。
師団所属の上級生による、
「坊ちゃんは、どのような師団にお入りになるのですか?」
メイが、ふと思いついたように聞いてきた。
メイの手には、何枚ものチラシが重ねられて置かれていた。いや、現在進行形で置かれている。
俺たちは現在教室棟に来ている。
もちろん、師団が目当てであった。
「今のところ、ピンとくるものはないな。」
意気揚々と来てみたものの、自分が入りたいと思える内容の師団とは出会えていない。
どれもこれも、微妙に違う。
例えば、使い魔師団というものがあった。
面白そうではあるが、俺は使い魔を解剖したいのであって、使い魔と交流して仲良くなりたいわけではない。
悪魔研究師団
悪魔を解剖したいのであって、決して論文を書いたり、発表したいわけではない。
薬学研究師団
合法であるものしか作ったり使ったりしてはいけない。
では、なにをすればいいのか
「どれもこれも、俺の趣味嗜好にあっていない」
「坊ちゃんが特殊だと言うことですね」
「坊ちゃん!俺飛行師団にスカウトされたっすよ。この前の飛行試験のことが噂になっているらしいす!
嬉しかったすけど、坊ちゃんと同じ師団に入りたいんで断りました!!」
あれから、すっかりいつも通り元気になったケイ。
いつものように、犬の尻尾が生えている幻覚が見えるくらいに、俺に懐いている。周りまで元気になるような明るさであった。
「ケイには、悪いが…あまり、師団に入るのは乗り気ではないな」
ケイが、一緒の師団で活動したいと嬉しいことを言っているというのに、俺は全く師団に入ろうと言う気持ちが起きなかった。
これも、現在存在している全ての師団が面白味のかけらも無いのが悪い。
「坊ちゃん…ご自分で師団を作られるというのは、どうでしょうか?それであれば、坊ちゃんの嗜好にあったもので活動できるかと」
俺が悩んでいると、メイが名案を提案してきた。
自分がしたい師団を自分で作るというのは、とても良い考えである。が、一つ問題として上げるのならば、俺の学年と団員数だ。
団員数は、魔術で無理矢理入団させれば、なんとでもなるが、学年は誤魔化しようがない。
団長が一年で、設立するというのは少々難しいだろう。
「坊ちゃん。私に良い考えがございます」
「言ってみろ」
「金で黙認させましょう。それに坊ちゃんは学生の身分では、かなりの
「天才か」
俺は次の日、師団設立用紙を学校に提出した。
もちろん寄付金もした
なんて素晴らしい学校なのだろうか
使い魔解剖師団
は、魔獣愛護団体に訴えられる恐れがあったので、香料研究師団と紙に書いて提出した。
許可された
これで、正式な手続きを踏み、晴れて師団になったのだ。
今のところは合法であるが、今後の活動次第で、生徒会に目をつけられる可能性がある。
生徒会は権力が大きく、特に絶対な権力を持つのが生徒会長。
教師からも信頼が厚く、生徒会に目をつけられブラックリストにでも乗ってしまえば、師団解体という危機に瀕する可能性が大いにある。
活動については、細心の注意を払わなければならない
限りなく白に近いグレーでの活動をする必要があった。
「真っ白な活動をする気は無いのですね、坊ちゃん」
選択科目の他に、必修科目というものが存在する。
その一つに使い魔交流、というものがある。
「なんだ、使い魔の授業と期待してみれば、なぜ解剖できない?」
「坊ちゃん。特殊性癖を開示しなくて結構です」
「は?」
「坊ちゃん!!見てください!俺の使い魔っす、カッコイイすよね!?」
使い魔授業というのは、文字通り交流して仲良くなるという内容であった。良い点を挙げるのならば、他生徒の使い魔を把握できることだ。
例えばケイは、狼の魔獣を使役している。
「ホワイトウルフっす!!」
どうやら、契約者に似て好奇心旺盛のようで、周囲を世話しなく走り回っている。尻尾は左右にぶんぶんと揺れていた
「坊ちゃん!俺みたいにコイツにも名前を頂けないすか?うんとカッコイイの!!」
ケイがキラキラした目でお願い事をしてくる。
名付けか……自分の使い魔にすら名を付けていないというのに、それに今後も付けるつもりもないが。
そんなに、呼び方は重要か?まぁ……適当でもいいのなら、名付けてやってもいいか。ケイの頼みだしな
改めて、ケイの使い魔の狼を見る。
ケイの脇にじっとしているようにと抱えられて、俺の方をキョトンとしてみている。知性はあまり感じなかった。ますます契約者に似ているな
だが、顔は凛々しく眼光も鋭い。
毛並みは真っ白で、一つの汚れすらも許さないと言わんばかりだ。とても立派な姿であった。
「そのままシロでいいだろ」
我ながら捻りもなに一つない安直な名前。
が、ケイは気に入ったようだ。
「カッコイイ響きっす!シロ良かったな。今日からお前も坊ちゃんの盾だ。一緒にお護りするんだぞ」
シロも自分の主人であるケイが喜んでいるのを見て、なんのことかはわかっていなさそうだが、尻尾をぶんぶんと振り喜びを表していた。
とても良い子そうだ
「坊ちゃんは、ご自分の使い魔になんて名付けられたんすか?」
シロをひとしきり撫でて満足したのか、ケイがふと気になったというように、問いかけてきた。
目を輝かせて聞いてくるところ悪いが、生憎そのようなものは無い。
俺が、どうケイにそれを伝えようか悩んでいると、メイがフォローに入ってきた。
「ケイ、坊ちゃんはあまり名付けをされたがらないので、おそらく名無しだと思いますよ」
「え、可哀想じゃないすか!!使い魔なのに……」
「だそうですよ、坊ちゃん。」
メイはどうやらケイの味方のようだ。俺のフォローではなく、ケイへのフォローだったようだ。
このようだと、名前を付けるしかなさそうである。
「で、お前はどんな名がいい?」
「ぁあ、ぅ」
使い魔授業は基本的に、野外で行われる。多くの生徒が地面、芝生に座って使い魔と交流しているが、俺は地べたに座る趣味はない。
メイがどこからともなく持ってきた椅子に俺は座り、自分の使い魔と仲良く交流していた。
もちろん使い魔の椅子はない。
「なんだ、ハッキリと言え」
「ぅぅ」
やはり、悪魔と同じ器官を持っているとはいえ、魔獣は魔獣。突然悪魔が使う言語を喋ろと言われても、無理がある。
使い魔召喚とは血を使った濃い契約だ。
使い魔は召喚時に、元の姿とは違い契約者に影響された姿になって呼び出される。
元の姿から変化が大きければ大きいほど、身体の動かし方の違いで能力を発揮できなかったり、精神的にまいってしまうことが多いらしい。
良い例としては、イルマがカルエゴ先生を使い魔として召喚した際に、カルエゴ先生がふわふわのモフモフの姿になったことが挙げられる。
イルマの使い魔になったというショックと、使い魔時の自分の姿に精神がやられて、数日カルエゴ先生は寝込んだらしい。
このように、姿が変わるというのは精神にかける負担も大きいということ。
では、俺の使い魔を見てみよう。
カルエゴ先生とは逆、魔獣の姿から悪魔の姿になっている。
四足歩行からの二足歩行への変化はかなり不便なようで、走ることはまだできない。歩くことが精一杯であった。
元々この使い魔はグリフォンである。その巨体と鋭い爪が特徴的で、圧倒的な巨体で真上から放たれる凶悪な爪の攻撃が強みであるが、この姿では全く生かされないということは、言うまでもなくわかる。
召喚の儀で命令した時のように(翼や尻尾)、部分的には元の姿に戻すことができるようだが、完全に元の巨体に戻ることは無理だという。
試しに命じてみると、頑張っていたが、最後までできなかったので、戻るのは無理なのだろう。
そう、言語を介して意思疎通ができないので、多分こうだろう。としか判断できないのが傷だ。
悪魔の姿だというのに
言語を話せる使い魔はもの凄く珍しい。
この授業を受けている生徒の内喋れる使い魔は、イルマの使い魔のカルエゴ先生(元々悪魔だから)と、謎生徒ウァラクの使い魔、謎生物ファルファルだけだ。
羨ましい限りである
「ぅ、うぅ」
相変わらず、俺の使い魔の口から出るのは言語にならない音。
「うう、しか言えんのか。そうだな、ウウで良いか名前」
面倒なので、先程から連呼する「うぅ」というのを名前にしてやることにした。今日からお前はウウだ。
少し呼びにくいな
契約者ガチャ失敗したね