BlueArchive:Arrive a DaemonSultan   作:シーフード梶木

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短くなってる?るせぇ、早めに出さないと読んでくれた人が離れてってしまうでしょうが…


ファースト・コンタクト

 

 

 

 偶然とは運命が引き起こした必然である……と、適当に騙っておくことにする。私は別に名言製造機でもなんでもないから。

 

 逆説的とはならないけど、そして必然とは、偶然が引き起こした運命なんだろう。

 

 三竦みで考えるなら、即ち運命とは、必然的に起こるべくして起こった偶然なのだ。

 

 

 

 そういう、奇跡の連続。

 

 

 

 ×××

 

 

 

 鳥のさえずりが聞こえる中で目が覚める。

 

 昨日は……あれ? 

 

「ッそうだ、あの人は!?」

 

 よく見ると服もいつの間にかパジャマになっているし、キッチンの方から何やら音がする……何か作ってる? 

 

 急いで起き上がって、リビングに移動する。

 

「貴女何して……え?」

 

「ん、起きたか」

 

 

 

 台所に居たのは、自分と同じ顔をした少女だった。

 

 

 

「……誰?」

 

「おっとスマン、姿を変えたままなのを忘れてたな」

 

 ポンッ、という軽い破裂音と共に煙に包まれると、少女の姿は梔子ユメになっていた。

 

「……貴女いったい……?」

 

「俺からも何をしたか話したいがその前に。服を着替えろ、そして座れ。朝飯をやる」

 

 何が起きたのか分からない。彼女は何をした? さっきの私の姿は何? なんで朝食を作っている? 何故? なんで? 

 

「……ホレッ!」

 

「ひゃっ!?」

 

 目の前で手を叩かれて意識が引き戻される。気づけば梔子ユメ? が機嫌の悪そうな顔で目線を合わせて、こちらを睨んでいる。

 

「考え事してる場合か。さっさと着替えて席に着く! ほら早く早く!」

 

「わ、分かった……」

 

 何度も手を叩いて急かされる。とりあえず促されるまま、寝室に戻って着替える事にした。

 

 

 

 ──-

 

 

 

 食卓にはバターを薄く塗ったトーストが2枚、スクランブルエッグ・トマト・ウィンナーと、オニオンスープが並べられていた。

 

「これ、全部貴女が作ったの?」

 

「おう。俺の偏見込みで典型的な朝食といったらコレだろ、ってやつを適当に作ってみた。なんだ、アレルギー的な何かで食べられないモノでもあったか?」

 

「い、いえ、特にアレルギーとかは……」

 

「無いならいい。ゆっくりでいいから食べろ。時間なら合わせる」

 

 自白剤かなにかが入っている……という訳でも無さそう。話をする前に食べてしまいましょうか。

 

「いただきます」

 

 

 

 少女食事中……

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「おう、お粗末さまでした。食器片付けるから、少し待ってな」

 

「えぇ」

 

 普通に美味しかった。それにしても、まともな朝食を食べたのなんていつぶりかしら。

 

「ほいほいほい、戻った戻った。で、話だったな」

 

 彼女が席に戻った。聞きたいことは山ほどあるけれど、最初に聞いておきたいことがある。

 

「……まず、貴女は誰? 梔子ユメではないの?」

 

「おうド直球に来たな。会った時に言ったように、俺が梔子ユメっていうのは半分正解で半分ハズレだ」

 

「……詳しく説明してもらえるかしら」

 

 

 

「了解した。まず梔子ユメは砂漠で干からびて死亡した」

 

「は?」

 

 

 

 死んだ? 梔子ユメが? 

 

「じゃ、じゃあ貴女は……」

 

 

 

「俺はトラックに引かれて死んだキヴォトス外の人間だ。魂だけこっちに来て、気づけば梔子ユメの体に取り憑いた悪霊状態って訳だ」

 

 

 

 この人は何を言っているの????? 

 

 

 

「んー、訃報とSFじみた話のダブルブッキングで宇宙猫になってしまったか……」

 

「冗談……ではないのよね?」

 

「俺は至って真面目だぞ」

 

 情報を噛み締めるのに時間がかかる。いや、どうやっても理解できない。今少し話しただけでも死者が2人も出てる? 

 

「こんな軽く話してもだろ……スマン、俺の悪い癖だ。端的に言うなら、肉体は梔子ユメのモノ、精神は別人のものって解釈してくれたらOKだ」

 

「貴女は……どうやって魂だけキヴォトスに来れたのかしら?」

 

「あー、それな。実は俺もよく分かってないんだ。どうして死んだ後こっちに来れたのか、何故ユメ先輩の体に憑くことになったのか」

 

「……そう、なのね」

 

 話を飲み込むことはできないけど、理解することはできた。

 

「改めて自己紹介しておくか。俺は降島カネコ、20歳独身男性、一般通過社会人だ」

 

「大人だったのね……ん?」

 

 男性? 今確かに男性って

 

「はい男性って言いました」

 

「えっ、ぇあ」

 

 しれっと心を読まれているけどそれ以上に家に男性が上がっているという事実に思考ががががが

 

「おおお落ち着けェ!! 何もやましい事は考えてないしする気も無ぇから!」

 

 

 

 ===

 

 

 

「落ち着いたか」

 

「え、えぇ。ごめんなさいね」

 

「こちらこそスマン。あー、でも、先に言っとかないと後で困るしな……」

 

 俺には姉貴によるスパルタ教育『女性の接し方 幾ヶ条』が刷り込まれているのだ。一部抜粋すると

 

 1.優しく丁重に扱わなければならない

 女性とは、ダイヤモンドと同じである。美しい反面、非常に脆く、壊れやすい。身体的にも精神的にも、不安定になる時と場合がある。花を愛でるようにやさしく接すること。

 

 2.嘘をついてはいけない

 自身の隠さなければならない秘密に関しては良いが、話しても問題ないこと、その人に関わることに関して平気で嘘をついてはいけない。今はまだ話せない、話すと長くなる等で誤魔化すのはOK。

 

 3.変化に気づいてあげること

 服装や髪型の外見的な変化はもちろん、精神的に傷ついている時にはフォローしてあげること。恋愛ソングでよく聞く「あなたに気付いてほしい」はコレ。

 

 姉貴、雑なところ多い癖にこういう所は謎に細かく、俺に対するマナー等の注意が凄かった……なんか恋しくなってきたぞ。

 

「んとぉ───……りあえず別の話に切り替えるか。他に聞きたいことは?」

 

「そうね……貴方が昨日の昼頃から、私を眠らせてから何をしたのか……教えてくれるかしら」

 

「OK。ところで前提の話だが……」

 

「?」

 

 

 

「俺が君を眠らせたのは5日前だ」

 

「え?」

 

 そう、俺がヒナを眠らせたのは5日前である。

 

 

 

 ~5日前~

 

 

 

「なるほど、仕事を奪えばいいんだな?」

 

 

 

 とまぁ5日前にそう思い至って考えた作戦を実行した。

 

 の前に俺の能力……神秘を掻い摘んで話すがアザトースという神の『夢の中で世界を想像し作る』権能である。全知全能、チート、OIG(Oh, I'm God)

 

 まぁ文言……テクスト? を書き換えて『ユメの中で世界を想像し作る』といった感じかな? 恐らくユメ先輩に憑いてる今の状態じゃないと使えないんだと思う。

 

 で、何をしたかと言うと

 

Play the role of Hina(ヒナを演じろ)。それが俺のミッションだ。

 ……I'm on it(さぁ、やろうか)

 

 ボンッと変身して、ヒナの姿になったわけですね。初見、ヘイローの造形凄くてホントニビクリシタ記憶。

 

 ところで、セリフ真似たはいいけど、どっからどう見ても体型の都合上でゼッツドライバーは装着できないんだよなユメ先輩。何がとは言わんがデェッッッッ

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 えー、ヒナに変身した後、予定とかエミュレートとかを魔王サーチでラーニング。あとうっかりボロが出ないように口調とかを矯正。

 

 ヒナの疲れが取り切れるまである程度 睡眠時間……日数を延長する状態にしておく。

 

 情報局に潜入してヒナの代わりにお仕事してたんだが全然目ぇ覚まさないから……結果、目が覚めない5日間の間ずっとぶっ通しでヒナの業務を通常通り実行した。凄いぞ仕事量、一般女子高生が一人で処理しきれるもんじゃねぇだろふざけとるんけ。

 

 疲労度を数値化してみたぞ。1日で平均2日3日分くらい溜まっとるがな。で、ヒナさんブッ通し2週間仕事したんでしょ? 単純計算2×7と3×7で14~21日分か。頭イカレてるんとちゃいます? 

 

 しかもコレ自分で仕事取りに行ってるせいですよねヒナさん? 自分の仕事終わってるのに『時間があるから』って余分な仕事いっぱい拾ったせいで評価も爆上がりして、余計に仕事が舞い込んできてのループ……バブル崩壊じゃないんだからさぁ……

 

 

 

 ~現在~

 

 

 

「とまぁ、勝手に2日間の休暇申請と業務量の削減の申請もしといたから。なんなら上司の方「なんで早く言わなかった?」的な顔してらっしゃったからね? てか心の声で言ってたし」

 

「は、はい、ごめんなさい……」

 

(なんか叱ってるみたいだな……)

 

(なんで私叱られてるのかしら)

 

 叱っている判定でした。

 

「……何でも出来るなら……いえ、なんでもないわ」

 

 なんだ、なんでもないことあるか? と思って心の中をまた覗いたが……それはちょっと過ぎた願いだった。

 

 誰もが幸せな世界。ゲヘナとトリニティが手を取り合うとか、日々が戦闘もなく平和なままであるとか。

 

 でも、それは。

 

「……それは、俺でもできないぞ。何でも出来るってタカくくってるけど、俺にだって出来ないことは多くある。だけどそれはな、ヒナ。皆それぞれ考えが違うからだ。全ての人間がたった1つの考えを尊重しようとしても、結局誰か1人は必ず不満を漏らすから、何をどうやっても難しいんだよ」

 

「…………」

 

「できないことも無い。キヴォトスに存在する全ての存在の思考・願いの方向性を一貫して同じ方向にすればいいからな。それはできる。でもそれは、人から自由意志と本来持っていた夢を奪うものだ。そんなもの、幸福とは呼ばん。平和ではあるだろうが……」

 

「………………」

 

「……全く、聞いてない事まで答えるのは俺の悪い癖だな……話を戻そう。他に聞きたいことないか?」

 

 大事かと言われたら大事だが、今こんな話しても意味ないだろ、馬鹿だな俺は。

 

「……その……」

 

「ん?」

 

「貴方は死ぬ前……前世だとどんな人だったの?」

 

「ぇ、あ、俺の話? 前世の俺か……」

 

 どう話したもんか……特に変わったことも無い普通の……何の変哲もない凡庸な生き方ではあった気がする。

 

「企業の下請けの製図業やってる会社で働いてた普通の社会人だったな……話すの面倒臭いし俺の記憶見る?」

 

「……うん」

 

 あ見るのか。えーっと……

 

「えー、俺の人生全てを丸々俯瞰的に見た映像か、俺を語るに必要な記憶だけの映像のどっちが見たい?」

 

「じゃあ前者で」

 

「ッスー……了解した。ほな、負荷がかからないようにプロテクトしつつ超高速で脳味噌に直接流しますね……」

 

「頭に直接……!?」

 

「あ! ゴメン! こっちの方が映像見せるより早いかなと……いや変な事とかしないから。したら死刑なのよ俺」

 

「死刑……?」

 

「エ駄死というものがあってな……」

 

「?????」

 

 

 

 ~ヒナの脳内に流された“存在する記憶”~

 

 

 

「大体分かったわ」

 

「それ言う人大体何も分かっとらんのですよ」

 

 このキヴォトスの未来に関わる部分、要は俺がブルアカでメインストーリーを読んでる部分やストーリーについて友達と話してる部分等には規制を掛けた。展開変わったら困るからね。

 

 あと自我に影響しないように多少感受性の制御とかしたのだが、それはそれとしてディケイドのミームを学習してしまわれたか……

 

「それで……貴方はこれからどうするの?」

 

「ふーむ……折角だしゲヘナに入学しようかな。生徒である必要は無いが何かと都合がいいし、多少髪色とか変えたらユメ先輩との関連性について他人の空似で誤魔化せるし、経歴は捏造できる上、違和感を感じさせないように出来るからな」

 

「……情報局の人間に話すような事ではないわね」

 

「それぁ、失敬。考え事を喋る癖があってな。黙ることを意識しないと自然と口から漏らしかねん」

 

「致命的欠点よね?」

 

「致命的欠点だな。別に矯正する予定も無いけど」

 

 直せるだろうが、ある種の個性潰しみたいなものだからそういうことはしないと決めている。

 

「とまぁ、まだ訳の分からんことが多いかもしれんが、よろしくお願いします」

 

「……えぇ、よろしく」

 

 互いに礼。とまぁ、俺とヒナのファーストコンタクト大体はこんな感じだったのでした。

 

 

 

 

 

「……あ、カネコ、貴方何処に住むの?」

 

「あ」

 

 

 

 何も考えてませんでした。

 

 

 

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