BlueArchive:Arrive a DaemonSultan   作:シーフード梶木

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原神再開したらローエン君と餅武器を単発9連で揃えちゃいました。滅ッ


お前のミスでした

 

 

 

 

 理性や思考を無視した、本能と衝動のみによる直感的行動。

 

 それが彼にとって自負できる特性であり、解消すべき悩みの種だった。

 

 

 

 やりたかったからやった。

 

 自分でも何をしているか分からない。

 

 

 

 理屈っぽい父に、何かをしでかすたびに憤慨され問われればそう答えるしかなく。

 

 その答えでは納得されないであろうことを分かっていた彼は、黙ることしかできなかった。

 

 成人してからはそれが吉にまわるようある程度の制御が効くようにはなった。

 

 

 

 しかし、最後まで直ることもなかった。

 

 

 

 

 

 ×××

 

 

 

 

 

 夕日の傾く様が見える頃、連邦生徒会のビルのエレベーターが下に降りていく。何が、とは言わないが大きく、それなりに背も高いゲヘナの制服を着た少女が、エレベーターの階数の表示をぼーっと眺めていた。

 

「……般若波羅蜜多心経、観自在菩薩……」

 

 膝裏ほどまで伸びた深い黒色の髪。瞳孔が開ききり、青い虹彩が瞳の奥の深淵を際立たせる、ハイライトのない瞳。

 

 つい先程、連邦生徒会長との会談を終えたカネコだった。

 

 事の発端はカネコがヒナとの自己紹介を終えた頃に遡る。

 

 

 

 ~数時間前~

 

 

 

「ッスー」

 

「ちゃんと考えてると思ったら何処か抜けてるのね、貴方」

 

「困ったことに母親譲りだ」

 

 確かに『どこに住むか』は何も考えてなかったナァ〜……ん? 電話に……シッテムの箱に着信? ん誰かなぁ……アレ? 

 

 

 何者だ? 

 

 

 まだ誰とも電話番号もLINE……モモトークも交換してない筈だから着信なんてものはありえない。

 

 ポケットから取り出して確認する。当然の事ながら非通知設定か……出なきゃ分からんな。

 

「すまん、少し電話が」

 

「? えぇ、待ってるわ」

 

 

 

 玄関の方まで移動し、電話に出る。

 

「あー……もしもし?」

 

 

 

『もしもし。こちらシーフード先生のお電話で間違いないですか?』

 

 

 

 聞き馴染みのある声。しかしあまり聞き馴染みの無い声にも聞こえる。

 

「……俺は先生じゃないぞ」

 

『いいえ。貴方は確かに先生ですよ、シーフード先生』

 

 こちらの方が抑揚が取れてるし大人びてる感じがある。ウチのメインOSもだが。

 

 

 

「さいですか……じゃあ、要件を聞こうか、連邦生徒会長殿」

 

 

 

 

 

 ===

 

 

 

「というわけで」

 

「どういう訳なの、カネコ?」

 

「俺に菊名……とりあえず毎朝ご飯を作りにだけ来るので、毎日3食しっかり食べて風呂入って寝るように! 寝るように!! 寝るように!!!」

 

「は、はい……」

 

 大事なことなので3回言っておき、ヒナの家を出る。

 

 

 

「っふぅ〜……で、だ」

 

 ドアを静かに閉めて即魔王サーチ起動、連邦生徒会長の座標を特定。

 

検索結果

連邦生徒会のビル 連邦生徒会長室

 

 分かっちゃいたけど流石にそこにいるか。なんか『転移か何かで直接部屋に来てほしい』などと言ってきたのでワープで向かうことに。

 

 

 

 一瞬で景色が変わり、謎にだだっ広い部屋でクソデカ窓を背に椅子に座る少女が居た。

 

「っと。呼ばれた通り、確かに来たよ」

 

「やっと来てくれましたか、待ちくたびれましたよ」

 

「ついさっき電話したばかりでしょ」

 

「電話してすぐに来てくださいよ……ふふ、とりあえずこちらにどうぞ」

 

「うん、じゃあ失礼するよ」

 

 軽くお辞儀して、促されるままソファに座ると、テーブルには淹れたばかりのコーヒーと、個包装のクッキーが入ったカゴが置いてあった。

 

 連邦生徒会長が対面に……対面に座り、手に持っていたタブレット端末を一旦自分の横に置いた。

 

「初めと言ってはなんですが……突然の申し出にも関わらずこうして来てくださったこと、誠に御礼申し上げます」

 

「いやいや、まだ今後の予定も組めてなかったからね、タイミング的にはバッチリだったかも」

 

「……なんか喋り方変じゃありません?」

 

「なるべく先生っぽい喋り方を心がけたらこうなった」

 

「似合いませんね」

 

「だろうな、丸い口調はなんか性に合わん……

 

 

 

 ──それでアロナ。俺の事をどこまで知っている?」

 

 目の前の連邦生徒会長は本物である、とサーチは答えた。しかし余計に、何故俺をシーフード先生と呼んだのか、この名を知っているのかが分からない。

 

「貴方の持っているスマホ端末……シッテムの箱に今居る私と、情報を同期したんです」

 

「……なるほど、ウチの青封筒しか出さねェ木っ端役人が『誰が木っ端役人ですか!? あと多分木っ端役人の使い方間違えてますよ!』……ウチのアロナが知ってることは全部把握済みな訳だな」

 

検索結果

・木っ端役人

下級の取るに足りない役人や

権力を持たない下っ端の役人を指す言葉

 

 間違えていた。

 

「えぇ。体操服のユウカさんを初手の10連ガチャの先頭で出したこととか、5周年で虹封筒を5枚抜きしたこととか」

 

「待って、四次元先から謎の殺意が飛んできてるから。やめて、マジで。やめてくださいお願いします」

 

「ニコさんを40連で当てたこととかドレスのハルカさんを無料10連チケットで当てたこととか!」

 

「ミ゚ッ」

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

「それで、話か」

 

「はい。今回呼び出したのは、貴方にしか頼めない事があるからです、先生……いえ、カネコさん。貴方なら先生と違って、何度でも違う選択をすることが出来る」

 

「……先生は同じ選択しかできないんだったか」

 

 俺は先生であると同時に今、生徒でもある(多分これから編入する)。先生の『何度でも同じ選択をする』とかいうアレを無視できるわけか。

 

「はい。私からのお願いはただ1つ。どうか貴方の思うままに、このキヴォトスで過ごしてほしい。ただそれだけです」

 

「……ん? いずれ来るだろう先生と協力して〜とか、なるべく未来が変わらないように〜とかではなく?」

 

「先生と同じですよ。助けたいと思ったモノを助けて、守りたいと思ったものを守るだけ。それだけでいいんです。

 

 今の貴方は生徒であり、大人であると同時に先生でもある。2年後、私はシッテムの箱に籠ることになりますが……貴方ならきっと、何も言わなくても先生を助けてくれるでしょう?」

 

「んまぁ、そうだけども……キヴォトスに来て1日目にして大層な依頼でもされるのかと思って身構えた意味……あぁ」

 

 身構えている時ほど。そうだったな、南瓜も言っていただろうに。少し忘れかけてたな。

 

 

 

「私の方で最大限サポートをさせてもらいます。例えば……私、連邦生徒会長直筆の署名付き編入推薦状とか」

 

「それ多分今1番欲しいやつですね」

 

「カネコさんの事ですから、自分で捏造なりなんなりしようとしてたんだと思いますけど、結果だけを手にするに等しい貴方の能力だと、不確定要素が多いはずです」

 

 確かに言われてみればそうか。違和感無いようにって魔王パワーに放任したら、よく分からん経歴が生えてきそうだしな……

 

「そこで、コレの出番という訳です」

 

 ソファに置いていたタブレット端末をこちらに差し出したので、手に取って見る。画面には、1枚の資料が表示されていた。

 

「なるほどこれが……」

 

「はい。私の署名付きの推薦状です。どんな権力者の推薦状よりも効力を持つでしょう、提出するだけで即編入できるレベルの代物ですから」

 

「強っ」

 

 高校入試の時に欲しかったやつ。いや、俺は普通に推薦入試自体は受かれたけど待ってる期間が心穏やかじゃないんだよアレは……仲間が落ちた報告受けると尚更、次は我が身と身構える羽目になる……

 

「それで、どの学園にしますか?」

 

「んー? ……んー⤵︎ ︎」

 

 よく見なくても推薦先を入力する部分だけ空欄になっている。

 

「ゲヘナに行こうと思ってたところだけど……トリニティとミレニアムも捨て難いか」

 

 ストーリーを捻じ曲げてでも回避したいシナリオが幾つかある。エデン条約編のミカの裏切り、最終編のケイの消滅、デカグラ編のアイン・ソフ・オウルの犠牲……

 

 

 

「なら複数の学園に同時に編入したらいいじゃないですか」

 

 

 

「What did you say?????????」

 

 コイツぁ何を言ってる? 1人で2つ以上の学園に同時に通えとか過労死させる気かね? 

 

「そんな顔をされましても……ほら、今のカネコさんなら分身できるでしょう?」

 

「……なるほど言われてみれば」

 

 魔王パワー……ネーミングがダサいしやっぱ普通にアザトースと言うことで。コレを使って分身するのは考えていなかった。

 

 えっと、たしか両手の人差し指と中指を交差させて……

 

「影分身の術! ……手の組み方合ってる?」

 

「増えてるから問題はないとおもうぞ」

 

「一気に3体の自分だと!? 来るぞ遊作!」

 

「なんか違くない?」

 

 オリジナルである自分を含めて4人に増殖した……コイツらにはヘイロー生えてないのね。

 

「よーし役割分担するぞー」

 

「了解した」「オゥッケェ〜イ」「Don't来い」

 

 それぞれにクトゥルフ神話に因んだ神秘と……別界隈要素で各学園用に盛るか。俺……というかユメ先輩の姿の人間が丸まんま増えてるのはなんか嫌だ。

 

 

 

 1人目  ミレニアム担当

 神秘は「イスの偉大なる種族」。足した要素は「素敵なご友人」と「1人目の天才」と「Lv999のウルフロード」と「可能性の獣」。正直初めてだったから盛りすぎた。

 髪の色は白、瞳はデザインをアリケイと同じにして緑色にしたゾ。オリジナルのプロトコルを内蔵したアリスと同じロボ人間にした。詰め込みすぎた。なお自重はしない。

 

 

 2人目  トリニティ担当

 神秘は「クトゥグア」。足した要素は「理性の学者」のみ……それはそれはもう、ストレートに出来上がった。

 瞳は瞳孔を赤くして虹彩を青に……まぁまんまですね。腰から一部が焼き焦げた赤い翼を一対生やした。

 

 

 3人目  百鬼夜行担当

 神秘は「ハスター」。足した要素は「永劫不変の天下人」と「自滅者」。完全に(友人の)趣味。「無」を内包した刀も贈呈しておく。

 髪と瞳は紫と黄のどちらにするかで物凄く悩んだ。雷電のお二方と黄衣の王が頭の中で喧嘩を始めたので……結局髪は暗い紫色、瞳は赤い輪郭の金色にした。ハスター要素ドコ。

 

 

 ……これほぼスタレじゃねーか。

 

 

「と、いった感じで3人用意出来たので4校への編入手続きの方は任せた」

 

「任されました。あと、皆さんの顔写真を撮ってくれませんか?」

 

「書類用ね、隠者の紫(ハーミット・パープル)

 

 念写で撮影した4人の顔写真データをアロナを介して連邦生徒会長の方に転送してもらった。のだが……

 

「あそういえば、俺の見た目一つも変えてないじゃん」

 

「今気づきました?」

 

「今気づいた。撮り直すわ……服とか色々変えないと。ゲヘナの制服……」

 

 サーチでゲヘナの制服を検索してコピー&ペーストの要領で立体化。無難なカッターシャツとスカ……スカートかぁ……スースーするので未だに慣れぬ。

 

 ゲームのクローゼット機能を再現した長方形の鏡を創った。見た目は完全にヘルタの第4の鏡。なお別に喋りはしな『普通に喋れますよ〜!』シャァベッタァァァァァァァ!!! 

 

 そういえばロブロックスのアバターの肩の装飾って両肩ある時片方しか付けられない時あるよね、アレちょっとイライラする。

 

 姿見でパパっと操作するとアビドスの制服から一瞬でゲヘナの制服に着替えることができた。サイズ? 自動的に合う仕様にした。何がとは言わんがデカイと服が入らなかったりでやっぱ困る。

 

「髪色黒くして〜。目は〜、ぁー、青でいいな……ぅぉ怖」

 

「あカネコさん、どんな感じに」

 

「ん?」

 

「ピェッ」

 

 元から瞳孔が開ききってるせいで完全にキマってるようにしか見えず、かなりホラー。これは連邦生徒会長とて鳴き声が出る。

 

 ……にしても瞳孔が開いたままなのは何でだ? サーチで検索してみるか。

 

 瞳孔 開いたまま 何故

 あと今の俺に該当する要因に星マーク付けて。

 

検索結果

主に以下の5つが要因とされる

・瞳孔を開く点眼薬(散瞳薬)を使用した

・目に強い衝撃を受け、瞳孔の大きさを調節する筋肉がダメージを受けた

・瞳孔の動きをコントロールする動眼神経に麻痺が起きている

・脳動脈瘤や脳梗塞、脳腫瘍などの影響で神経が圧迫されている

☆死亡し全身の筋肉が弛緩すると瞳孔が大きく開いてしまう

 

 

 

 

 ……し……

 

 ……し、し……

 

 

 

…………死んでいるッ!? 

 

 

 

 みゃ、脈はどうだ……!? 首……いや手首の方が早い! 筋の横……

 

 ……っ………………。

 

 

 

「無ァァァアアアアアイ!!?」

 

「「「「『!!?』」」」」

 

 

 

 

 

「アロナァァアアア!! 俺 脈無ェぞォォォォオオオオオオオ!!?」

 

 

 

 

 

「「「「『!!?!?!???!?!!?』」」」」

 

 

 

 

 

 ===

 

 

 

 

 

「即説呪曰、羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦……」

 

 ……と、いうことがあって俺ことカネコはエレベーターを降りつつ般若心経を唱えている。

 

 ところで般若心経とは神様から生きてる人に向けての助言らしいぞ。決して死にゆく人、死んだ人に手向ける詩などではないので履き違えぬように。

 

 つまり俺は「生゛き゛た゛い゛!!」と叫ぶ代わりに、墓参りの度に唱えまくったお陰でサーチに頼らず暗記できた般若心経を延々と呟きまくっているというわけだ。

 

 というかなんだったのだ、あの連邦生徒会長。

 

 

 

『他のカネコさんの方は私の方で衣食住を用意させてもらいますので、ここに残ってもらいます』

 

『え? 自分の衣食住も提供してほしい? 貴方に関しては持ち前の神秘で何とでもなるでしょう。何とかしてください』

 

『あと食がなくても今のカネコさんなら何とでもなるでしょう? ていうか動く死体ですし食料は無くても大丈夫では?』

 

 

 

 失礼すぎるし毒舌で笑うしかない。大人の責任どうのこうの話してた時が1番マトモだった気がするぞ。

 

 それで、ユメ先輩の身体についてだが。

 

 サーチ君に聞いたらトンデモな解答が飛んできましたコチラをどうぞ。

 

検索結果

・死後1時間程度の状態で肉体を時間停止している

・肉体を動かす為にアザトースが自動で発動した

 ・身体には梔子ユメの魂が宿っている

 

 なんか無意識に発動していたらしい。ご都合主義ってホント素晴らしい。

 

 心臓が動いていないので脈は当然無い。なんなら息を止めても苦しさはなく、呼吸をしなくても大丈夫な様子。

 

 とはいっても生物学上、声を出すには声帯を震わせるための空気が必要なので、いつも通り呼吸していなければならない。

 

 最悪、斉木楠雄のΨ難の如く“(コイツ直接脳内に……!?)”をすれば何とかなるが。ファミチキください。

 

 あと飯は食ったらそのまま神秘に還元するっぽい。まぁ積もった砂山の上からいくら砂を掛けても同じようなモン、と表せるくらいには俺の神秘量はイカれてるのでどうにも。

 

 ついでほどでもないけど、触覚はあるけど痛覚が無い。銃社会のキヴォトスでは非常に助かるが、辛いモノ好きの俺には必要なので舌だけ痛覚を戻しておいた。コレ1番大事。

 

「……というかエレベーターから降りる必要無かったのでは?」

 

 降りている最中だが座標を指定してワープ。場所は……

 

 

 

 至る所に並ぶ違法物品の売店! 学籍を剥奪された、不良達の巣窟! 連邦生徒会の手の届かぬおぞましき闇! 何故か居るトリニティ総合学園に進学予定の中等部生徒! 

 

 ブラックマーケットである! 

 

 

 

「あはは……」

 

 なんでヒフミ居るのぉ? 

 

 

 

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