一応9章ネタバレ注意
捏造100%
口調、キャラ崩壊注意。
薬指的表現の薄さ
〜会話ログ開始〜
「私をもっと知りたいの?」
「ふふ、嬉しいわ。」
「この辺りで泣いてしまったり、怒ってお話しできない人も多いんだもの。」
「じゃあもっと前の話…」
「蜘蛛の巣に来る前の話をしましょう」
「B」「C+」「B」「B-」「C」「B-」…
冷徹に評価する声にコツコツサラサラと淡々と評価を記録する手の音と歩く音が響く
今回はどうだろうか、きっと良い評価を貰えるはずだ。
淡い期待を打ち砕くように
「…C」
評価が下された
「…ほう!スチューデントにしては見どころのある作品じゃないか!」
「此処には〜の〜を?」
「はい!〜様に憧れその意匠を自分なりに〜の形へ〜」
ドーセント様の賞賛の声を受け輝く笑顔のスチューデントを見て
ドロドロとした劣等感や承認への渇望、苛立ちに耐えきれずに私はその場を走り去った。
「A+!」
背後で響き渡る拍手の音がノイズの様に聞こえた
美術学院生だったスチューデント達が私を追い越して高い評価を貰らいリングが増えていくのを見て焦燥感を募らせる
両親を美しく惨殺した芸術に惹かれ薬指に入ったもののどの作品も評価は酷く及第点以上の物は作れなかった
自分でも原因は自覚していた
自身には生涯をかけ創り続けたいと言えるような題材が無かったのだ
着想を求めて 時には裏路地を 時には巣を探し求めた
様々な派閥のスチューデントとも交流をした
しかし点描派の様な点の美しさも野獣派の様な獣と原色の美しさもしっくりとは来なかった
着想を得ようと幾つもの派閥の展示会を観て回っていた
そんな最中の天啓のような出会いだった
他のマエストロ様よりは幾らか隅の方向にそれは並べられていた
引き締まった筋肉や弾力ある膜の造形美
脈動する血管の生命力を余す事なく使った躍動感
無駄なく削ぎ落とされた幾つもの堅牢な骨の曲線美
それらが組み合わせられる事で幾つもの人体が一つの作品として纏め上げられている
…なんて美しいのだろう
魅入られた様に見つめていた
「おい、あそこにいるの万年スチューデントのアルビナじゃね?」
「身体派なんて時代遅れの流派を見て何が良いんだかね。」
そんな嘲笑が聞こえたが私は最早気に留めることは無かった
この浮かび上がる着想を少しでも目に、脳に、留め続けたい。
焼き付けんばかりに見つめる中コツコツと近づく足音がした
「その様に熱心に作品を見られるのは…少々久しぶりですね」
全身が義体化された長身に指に嵌められた三本の指輪
ほとんど直感だった
「カリスト…様?」
「おや!私を知っているのですか!感心ですね」
「この展示場に人が来ることも久々ですし…気に入られたならば私直々にキュレーションして差し上げましょうか?」
望外の幸運であった
震えだしそうな喜びを抑えて頷いた
それからは夢の様な時間だった
身体派の理念
肉体に宿る美しさとそれを活かす方法
如何に素材の感情とそれに反応する肉体を表現するか
それらの技法をカリスト様がどう作品で使っているか
余す事なく頭に叩き込みメモに書きつけた
「以上で案内は終了です」
「どうでしたか?」
「大変勉強になりました!」
「ええ、それならば良かったです。」
「…そうですね、あなたは見込みがあります。」
「よろしければ明日も来ていただけますか?」
「はい!」
これがカリスト様との出会いだった
それからしばらく私はカリスト様に師事し蜘蛛の巣(とカリスト様は呼んでいた)のアトリエで身体派の芸術を学んでいた
そんなある日大事な話があるとカリスト様が切り出した
「これは…極秘の計画なのですが」
「この蜘蛛の巣では五本指がヨシヒデ…一つの美しく鋭い刀を造るべく共に作業をしています」
「しかし刀の使い手たる我々の弟子は今蜘蛛の巣を離れていまして…」
「そこで、彼女が帰ってきた際学んだことをもう一度思い出して、更に磨きをかけられる様に共に学べる…そうですね…子方と呼びましょうか、それを作ろうと思っていたのですが…。」
「どうです?アルビナ、挑戦してみますか?」
「はい!」
「では、試験を致しましょう…期間を暫し与えます」
「一つ、作品を創り出して見て下さい。」
「及第点であればあなたを私の子方として受け入れましょう」
そして私は作品作りに取り掛かった
カリスト様に教えられた通りに素材は時に繊細に繋ぎ合わせ時に大胆に削り出す
素材の出す最期の断末魔を余す事なく作品に留める
神経の連なりと反応する四肢の動きを計算し組み合わせる
テーマにするものは決まっていた
薬指に入る事を決めたあの日
両親が美しく無惨に殺された様を
あの時私が感じた恐怖も絶望も憤怒も憂鬱も悲しみも悦びも全ての感情を
そうして美しく悍ましい作品は出来上がった
幾つもの骨の手に支えられた男女の死体が怯えや憤怒を顔に貼り付け螺旋を描いている
その中心には喜悦の表情に満ちた赤子の剥製が座っていた
「いかがでしょうか、マエストロ様。」
「ふむ…素晴らしいですね、アルビナ。」
「私が教えた事を余す事なく実践し…自らの表現へと昇華しています」
「合格と致しましょう、これからもよろしくお願いしますね。」
「ありがとうございます!」
「これが私がカリスト様の子方となりファシアを創り出す前の話よ。」
「いつかは私もファシアを完成させて、カリスト様を超えた最高のマエストロになるの!」
「これで私の思い出と夢は話したわ」
「あなたの物語ももっと聞かせて?」
「…友達にならないと、素材が上手く取れないもの。」
〜会話ログ終了〜
マエストロリングはアルビナの加入後に作品にしたのでまだ着けていた(という妄想)
隅っこでも作品があったのは時代遅れでマエストロ剥奪されてても一個の潮流だったしちょっとくらいは作品展示してあるやろというこじつけです