落とし胤の一夏「今更会いたいとも思わない」   作:LN58

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第2話 学年別個人トーナメント・裏 -Wise Decision of Lord- Apart

 

――――――ある日の休日

 

弾「一夏、生きていたのか! 本当に良かったぜ…………!」グスン

 

蘭「一夏さん! 私は一夏さんが帰ってくることを信じていましたよ!」グスン

 

一夏「ああ……、兄妹揃って泣くなよ」

 

鈴「本当にベッタリなのね、あんたたち」

 

弾「おお、鈴も帰ってきていたのか!」

 

一夏「いや、中国の代表候補生っていうことで滞在しているだけさ。でも、3年間は昔のように一緒にいられる」

 

一夏「それでなんだが、――――――何も言わずに転校していったこと、本当にすまなかった!」

 

一夏「どうやって詫びればいいか、俺にはわからない……」

 

一夏「だから、煮るなり焼くなり殴るなり、好きにしてくれ!」

 

弾「バカヤロー! こうやって無事ってだけで俺はそれで満足だよ!」ポロポロ

 

蘭「そうですよ! どうして何も言わずに転校してしまったのかは気になりますけど、こうしてまた会えただけで本当に嬉しいんですからね!」ポロポロ

 

一夏「ありがとう。そう言われて安心できたよ。ずっと気懸かりだったからさ」フゥ

 

鈴「よかったわね、一夏」

 

一夏「ああ、本当に…………」

 

弾「でも、何というか変わったな。()()()()()()()っていうか、おどけた表情しかしていなかったのが嘘のように感じる」

 

蘭「そうですね。昔よりもずっと――――――」

 

一夏「そりゃ、どういう意味だよ? 俺はいつもまじめに取り組んでいたつもりだけど?」

 

弾「あ、本質的にはあまり変わってないのね」

 

弾「………………鈴も気の毒に」ボソッ

 

鈴「何か言った?」ニコニコー

 

弾「な、何でもありません……」ニコー

 

一夏「???」

 

 


 

 

山田「織斑くん、篠ノ之さん」ガチャ

 

箒「山田先生?」

 

山田「部屋の調整がついたんです。篠ノ之さんは別の部屋に移動です」

 

箒「ま、待ってください! それは今すぐ出ないといけませんか?」アセアセ

 

一夏「そうですよ。そういうことは早めに知らせてくれないと困ります」

 

山田「あ、そうでしたね。――――――ごめんなさい! 副担任の私のミスでした」

 

山田「とにかく、年頃の若い男女が同室で生活をするというのは、お互いにくつろげないでしょう?」

 

箒「そ、それはそうだが――――――」チラッ

 

一夏「山田先生、箒のルームメイトは誰です?」

 

箒「い、一夏?!」

 

山田「はい。鷹月 静寐さんですね」

 

一夏「ああ、『クラス一のしっかりもの』の彼女ですか。なら、安心だな」

 

一夏「箒。いずれはこうなることを重々承知していたはずだ」

 

 

一夏「環境は常に与えられるもの――――――そこから何を選ぶかは本人次第」

 

 

一夏「だから、環境に負けるな! 流され続けるな! 今のお前は“篠ノ之 箒”なんだから!」

 

箒「――――――あ。そうだな、わかったよ。おかげで目が覚めた」

 

箒「明日の放課後は暇をもらうぞ」

 

一夏「ああ、俺からも言っておいてやるから、しっかりとルームメイトと仲良くするんだぞ」

 

山田「本当に、織斑くんは素晴らしいですね」

 

山田「やっぱり、姉弟揃って似てますね」

 

山田「うん。きっと織斑くんなら問題ありませんよね」

 

 


 

 

――――――翌日

 

一夏「さて、今日で箒とのルームシェアも終わりか」

 

一夏「どうなることかと思っていたけど、楽しかった」

 

箒「ああ、私も、……楽しかったぞ」テレテレ

 

一夏「よしよし、恥ずかしがり屋の篠ノ之さん、よく言えました!」ナデナデ

 

箒「子供扱いするなぁ!」カア

 

一夏「ああ、……ごめん。俺の中で箒は小学生の時のまんまだったからさ……」

 

一夏「つい手が出てしまった…………紳士にあるまじき無礼、申し訳ありませんでした」

 

箒「あ…………」

 

一夏「さて、食堂に向かおう――――――ん、着信? こんな時に何だ?」ピピピ

 

一夏「すまない。先に行ってくれ」

 

箒「あ、ああ…………」ガチャ、バタン

 

一夏「ああ……、また呼び出しかよおおおおお!」

 

一夏「今度のはいつ? ああ……、また休日が潰れる…………」ハア

 

一夏「まあいい。腹ペコだし、早く食堂に行こう」

 

 

トントン

 

 

一夏「はい?(早朝から客人?)」ガチャ

 

箒「………………」

 

一夏「何だ? 忘れ物か?」

 

箒「……は、話がある」

 

一夏「それは、ここで言う内容か?(何だ、何故改まっている?)」

 

一夏「(――――――あ、なるほど! 今日で一区切りが付くことだから、それまでのお礼を言おうとしているのか!)」

 

一夏「(よかったよかった。恥ずかしがり屋の箒も成長しているんだな、うんうん)」ニコニコ

 

箒「来月の学年別個人トーナメントだが…………」

 

一夏「(――――――あれ?)」

 

箒「…………わ、私が優勝したら、」

 

 

――――――つ、付き合ってもらう!

 

 

一夏「…………はい?(????????)」

 

一夏「(な、何の付き合いだって? まあ、俺は 結構 忙しいから、休日なんかは誰かと遊びに行くなんてことできなかったしな……)」

 

一夏「(それに、――――――『優勝したら』? 何故そんな条件をわざわざ付ける?)」

 

一夏「(ああ、そうか。条件付けすることでこのアポの申し入れの優先度を上げるつもりだからか。頑張るなあ…………)」

 

一夏「(それにセカンド幼馴染の鈴と前に出かけたんだから、このまま何もしてあげなかったらファースト幼馴染の箒が可哀想だしな)」

 

一夏「わ、わかった。考えておくよ」(アポの予約という意味で)

 

箒「そ、そうかぁ!」キラッ

 

一夏「お、おう(やっぱり、昔のまんまだな、箒。素直じゃないんだから……)」

 

箒「よし! では、行くぞ、一夏!(――――――よし!)」ニコニコ

 

一夏「(だけど、お礼を言われると思ったのにちょっと期待外れ――――――っていうのは無しにしよう、うん)」ニコニコー

 

一夏「さあ、今日も張り切って行こう!」

 

箒「おお!」

 

 


 

 

山田「今日はなんと転校生を紹介します!」

 

周囲「エ、テンコウセイ?」ザワザワ

 

一夏「へえ」

 

シャル「シャルル・デュノアです。フランスから来ました」

 

シャル「みなさん、よろしくお願いします」ニコッ

 

周囲「オ、オトコ?」

 

シャル「はい。こちらに僕と同じ境遇の方が居ると聞いて本国より転入を――――――」

 

周囲「キャーーーーーーー!」

 

箒「(――――――何!? それじゃ、私が部屋を追い出されたのは…………)」

 

シャル「え?!」ビクッ

 

一夏「…………?(何だ、この違和感は…………)」

 

千冬「騒ぐな! 静かにしろ」

 

千冬「今日は2組と合同でIS実習を行う。各人はすぐに着替えて第2グラウンドに集合」

 

千冬「それから、織斑」

 

一夏「――――――了解しました」

 

千冬「なら、いい。では、解散!」

 

 

シャル「きみが織斑くん? 初めまして僕は――――――」

 

一夏「挨拶はいい。女子が着替え始めるから、この場は早く移動しないといけないんだ」パシッ

 

シャル「うわっ」ドキッ

 

箒「………………」ジー

 

セシリア「………………」ジー

 

一夏「――――――痛かったか?」

 

シャル「……あ、ううん、大丈夫」

 

一夏「どんな生活をしてきたかは知らないけれど、人類の半分が経験し得ないヒミツの花園にようこそ」

 

一夏「俺たちは“世界で唯一ISを扱える男性”だから珍獣のように扱われるから、覚悟しておけよ」

 

シャル「あ、うん。そうだね」

 

一夏「…………ともかく、IS学園は実質女子校だから、男の俺たちには不便なところは多いけど、早めに慣れてくれよな」

 

シャル「うん。わかったよ、織斑くん」

 

女子「キャーー!」

 

一夏「みんな? これからIS実習だから道を開けてね」

 

一夏「そういうのは放課後にね」ニコッ

 

女子「ハーイ!」

 

 

一夏「問題なく到着できたな。更衣室が遠いから、実習がある日は本当に大変だ」

 

一夏「これから毎日、女の子に付きまとわれることになるから、ちゃんと自分の意思で受け答えするんだぞ」

 

一夏「付きまとわれて嫌なら、ちゃんと嫌だって答えるように」

 

シャル「うん。わかったよ」

 

一夏「それじゃ、これからよろしくな」バサッ

 

シャル「――――――一瞬で着替えた!?」

 

一夏「驚いたか?」ドヤァ ――――――早着替え!

 

一夏「この学園の制服はカスタムメイドできるから、あらかじめISスーツを着ておいてすぐに脱げるように加工できるんだ」

 

一夏「いやー、こういうのには憧れていたからさ……」

 

一夏「あとはロッカーに畳んだ制服をしまってっと」バタン

 

一夏「それじゃ、遅れるなよ――――――って、シャルルもマスターしていたのか!?」

 

シャル「まさか、僕と同じことを考えていた人がいただなんてホント驚いだよ」

 

一夏「ほほう、お主、なかなかの腕前と見た。それじゃ、行こうか」

 

シャル「うん、織斑くん」

 

一夏「そういえば、フランスから来たってことはデュノア社からの後援を受けているのか?」

 

シャル「そうだよ。父がそのデュノア社の社長をしているんだ」

 

一夏「……へえ、デュノア社の御曹司だったわけか」

 

一夏「となると、『ラファール』乗りなのか?」

 

シャル「うん、そうだよ」

 

一夏「ここの学園も『ラファール』を採用しているけど、それとはいろいろ違うんだろうな」

 

一夏「楽しみだな。シャルルの拡張領域の多さを活かした『ラファール』乗り十八番の戦法『高速切替(ラピッド・スイッチ)』!」

 

シャル「楽しみにしててね。結構自信があるから」

 

 


 

 

――――――放課後

 

箒「それじゃ、一夏……」

 

一夏「ああ、今までありがとう。これは餞別だ。上手いことやっていってくれ」

 

箒「……一夏(やっぱり、引き留めてはくれないんだな……)」チラッ

 

 

シャル「おーい、織斑くん」

 

 

箒「…………シャルル・デュノア」イラッ

 

箒「ああ、ありがとう。それじゃ」

 

一夏「うん(何だ……? 少し苛立っていたな)」

 

シャル「さっきの人って、確か“篠ノ之博士の妹”の箒さん? IS実習の時、お姫様抱っこされていたよね」

 

一夏「ああ、そうだよ。俺とルームシェアしていた相手だ」

 

シャル「え!?」

 

一夏「(さて、コイツには俺が財閥総帥後継者であることを――――いや、デュノアと爺様がどの程度の面識なのか確認しておかないとな)」

 

一夏「それじゃあ、学園を案内するぞ。次いでに、ここでの女の子の扱い方を伝授してやるからな」

 

一夏「俺とシャルルはもしかしたら生涯に渡る付き合いになるかもしれないし、少なくともここでは俺とのペアは当たり前になるだろうから、」

 

一夏「ISドライバーとしての健全なお付き合い、よろしくお願いします」ニコッ

 

シャル「あ、うん。こちらこそ、よろしくね」

 

一夏「さて、もうそろそろ部屋の整理が終わる時間だし、軽く学園を見て回ろう」

 

シャル「うん」パシッ

 

一夏「………………?(今、自然と俺の手を掴んだよね? そういう子なのか?)」

 

一夏「(まあ、ともかく行ってみるか……)」

 

一夏「(だけど、セレブ出身だからわかるんだけど、デュノア社社長の御曹司にしては立居振舞が不自然なところがあるな……)」

 

一夏「(何だか社交界にデビューしたての自分を見ているようで――――――ん!?)」

 

 

――――――まさか、()()()()!?

 

 


 

 

――――――部活棟にて

 

一夏「一通り、部活動は見てこられたかな? シャルルは何か部活をするつもり?」

 

シャル「うーん、まだ決まらないかな? そういう織斑くんはどうなの?」

 

一夏「俺はその、無理だと思う。俺のスポンサー、結構 呼び出しかけてくるからさ」

 

一夏「今日もまた呼び出しを受けたよ。今度のは平日じゃないからいいけど、……大変だよ、本当に」

 

シャル「へえ、そうなんだ…………」

 

一夏「…………さて、ここは音楽部、かな? ――――――グランドピアノに社交ダンスするのに打ってつけの空間」

 

シャル「え? ――――――社交ダンス?」ビクッ

 

一夏「珍しくもないだろう? 俺は“世界のオリムラの弟”だから、千冬姉に連れられて社交パーティに行くことがあるんだよ」

 

シャル「あ、そういうこと……」

 

一夏「(もちろん、嘘だよ。俺は『あの日』までほとんど千冬姉の世界とは無縁の生活をしてきたんだから)」

 

一夏「さて、初めて来たけど、少し演奏してみるか」

 

シャル「ピアノ、弾けるの!?」

 

一夏「ははは、昔取った杵柄だから上手くいくかはわからないけど(――――――うっかりしてた。喋り過ぎたな……)」

 

一夏「よし、シャルルはそこに掛けて――――――」

 

一夏「では、聴いてください」

 

――――――チャイコフスキー作、『くるみ割り人形』より“花のワルツ”。

 

シャル「あ、聞いたことのあるメロディー」

 

シャル「へえ、これが『くるみ割り人形』が有名な理由か……」

 

一夏「(結構 憶えているもんだな。最初の頃ぐらいだよ、ピアノの演奏会なんて)」

 

一夏「(懐かしいな。最初に爺様や千冬姉に聞いてもらった時は、必須スキルじゃないと言ってはいたけれど、二人共 褒めてくれたっけなぁ)」

 

一夏「(小学校の時、ピアノの稽古に行く連中を少し小馬鹿にしていたけど、やってみると凄く楽しい!)」

 

一夏「(――――――フィニッシュ!)」フゥ

 

一夏「……よし」ニコッ

 

 

パチパチパチパチパチパチ・・・

 

 

一夏「おお……いつの間にかギャラリーが」

 

シャル「…………感動した。凄いよ、一夏」グスン

 

女子「オリムラクン! オリムラクン!」

 

一夏「ありがとう、ありがとう!」

 

一夏「ふう…………」

 

女子「オリムラクン! コンドハオドッテー!」

 

女子「ワタシガカワリニヒキマスカラー」

 

一夏「え? 社交ダンスをするって?」

 

女子「オリムラクン! ワタシ、ワタシ!」ギャーギャーワーワー

 

一夏「さすがに、この数のお相手はキツイな…………」

 

一夏「申し訳ありません! さすがに全員のお相手をするのはキツイです」

 

女子「エー! ジャア――――――」ジー

 

シャル「え?」

 

女子「デュノアクン、オネガイ!」

 

シャル「ぼ、僕……?」

 

一夏「ははは、何かごめんね?」

 

シャル「だ、大丈夫だよ! 僕もそれなりに社交ダンスできるから!」

 

一夏「あ、ああ…………(あれ――――――?)」ガシッ

 

一夏「それじゃ、軽くロール…………」

 

シャル「う、うん」ドキドキ

 

一夏「(あれ? 今さっき、()()()()俺の左手を掴んだよな?)」クルクル

 

一夏「(しかも、これは明らかに言い逃れできないぐらいのレベルだぞ!?)」クルクル

 

一夏「はい、ポーズ!」

 

シャル「ど、どうだったかな、みんな?」ドキドキ

 

女子「キャーーー! ステキー! サイコー!」

 

女子「オリムラクントデュノアクン、ビケイガフタリ!」

 

女子「IS学園に入ってよかったー!」ワーワー

 

シャル「よかった」フゥ

 

一夏「………………(間違いない。やっぱり…………!)」

 

 


 

 

一夏「ふぅ、男同士っていうのはいいものだな」

 

一夏「やっぱり、人間というのは不便なもんだよな。ずっと“ある”ことの偉大さを噛み締めていられればいいのに」

 

シャル「紅茶とはずいぶん違うんだね。不思議な感じ。でも、美味しいよ」

 

シャル「そういえば、織斑くんは放課後にISの特訓をしているって聞いたけど、そうなの?」

 

一夏「ああ。けど、俺はISドライバーを本業にするつもりはないから、ISよりも剣の稽古がしたいな」

 

一夏「でも、クラスメイトが頑張っていることだし、今のところはこうやって戦術論の研究をしているんだけどな」

 

シャル「僕も加わっていいかな? 型は古いけど『ラファール』だからいろいろな戦術の研究に役立てると思うんだ」

 

一夏「…………ああ、ぜひ頼む。ここの専用機持ちは万能型がいないから」

 

シャル「うん、まかせて」

 

一夏「それじゃ、今夜はおやすみなさい」

 

シャル「うん。今日はいろいろとありがとう。明日からもよろしくね」

 

 


 

 

――――――真夜中の屋外

 

一夏「やっぱり個人情報が…………」プルル、カチャ

 

一夏「――――――爺様? 今日、フランスのデュノア社から代表候補生が転校してきたんだけど」

 

――――――

爺様「ほう?」

――――――

 

一夏「名前はシャルル・デュノア。デュノア社社長の息子らしいんだけど、何か知らない?」

 

――――――

爺様「ほう、あのデュノアに息子……」

――――――

 

一夏「どうにも釈然としないんですよね」

 

一夏「まず、転校してきた時期――――――」

 

一夏「“世界で唯一ISを扱える男性”を擁するメリットはデュノア社ほどの大企業ならばデメリットを考慮してもお釣りが来るぐらいだ」

 

一夏「こういうのは話題性を考えても2番じゃダメなんだ。先手必勝――――先駆者になることで主導権を握らないと意味が無い」

 

一夏「それが何故“俺が現れた後”に出てきたのか?」

 

一夏「次に、学園が管理しているはずのプロフィールに()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

一夏「もうこれだけで疑わしい…………」

 

――――――

爺様「ふむ」

――――――

 

一夏「――――――決定的な証拠が欲しい。例えば、デュノア社からIS学園への投資金が増えたとか、そんな感じの」

 

――――――

爺様「……今、デュノア社は経営危機に瀕しているいるからな。なりふり構わず打って出たというところだろうな」

 

爺様「――――――だが、織斑一夏」

――――――

 

一夏「何、爺様?(この声色は――――――)」

 

――――――

爺様「これでお前は、デュノア社、そしてシャルル・デュノアの命運を握ることになった」

 

爺様「お前はそのことをどう受け止めるつもりだ?」

――――――

 

一夏「……え?」

 

――――――

爺様「デュノア社はどのみち破滅する運命にあるのは確実だろう」

 

爺様「“たまたま”『ラファール・リヴァイヴ』というベストセラーが出ただけで、その上で胡座をかいていたのだからな」

 

爺様「滅ぶべくして滅ぶというわけだ」

 

爺様「だが、――――――それでも、だ」

 

爺様「“今”滅びるか、“後”で滅びるかで状況は必ず変わっている」

 

爺様「そのことをよく考えた上で、そういうことは行いなさい」

 

爺様「お前の要求は受け取った。ではな」ガチャ

――――――

 

一夏「………………あ」

 

一夏「……そうだった。俺は財閥総帥後継者だ」

 

一夏「爺様が俺にしたように、――――――誰かの環境を変えられる存在」

 

一夏「自分がしようとしていたことの意味を――――人の首を切ることの意味を軽く捉えていた…………」

 

一夏「胡座をかいていたのは俺だった…………」

 

一夏「俺は無自覚のうちに多くの人の人生を――――――人殺しをしようとしていたのか…………」ゾクッ

 

一夏「この手で身近な誰かを救ったことで思い上がっていたのか…………」ブルブル

 

一夏「これは重要な案件だな…………俺が財閥総帥後継者に足るかを問う――――――」

 

一夏「………………」ヨゾラヲミアゲル

 

一夏「焦ることはない。しっかりと考え抜こう…………」

 

 


 

 

一夏「うんと、月末に学年別個人トーナメントがあってだな……」

 

一夏「俺自身のISドライバーとしての箔は 非公式ながら あの襲撃事件で付いたことだし、」

 

一夏「――――――()()()()()()()

 

一夏「こちらとしてもお呼び出しで忙しいしな」

 

一夏「財閥のIS部門は、俺がISドライバーでいられるうちに直接的に多くのミッションをしてデータをとっておきたいって考えだしな」

 

一夏「さて、行こうか。今週から、大会に参加する面々のサポートも本格化させていかないとな」

 

一夏「で、休日は楽しい楽しい本格サバイバルゲーム…………」トホホ

 

 


 

 

――――――アリーナ

 

一夏「効率良く勝つんだったら、『打鉄』の特性をよく把握すればいいのです」

 

一夏「その点、射撃武器が搭載されている機体は有利ですね」

 

一夏「私の見立てだと、セシリアさんと鈴さん――――専用機持ちの独壇場になっちゃうかなー」

 

セシリア「当然ですわね」

 

鈴「格の違いってやつよね」

 

セシリア「まあ、たとえ専用機持ちでも私の足元には及びませんけどね」

 

鈴「はあ? あの時、横槍を入れられなかったら勝ってたのは私なのに?」ゴゴゴゴゴ

 

セシリア「そうだったかしら? 自分から撃たれに来ていたように思いましたけど?」ゴゴゴゴゴ

 

一夏「はい、そこまで」

 

箒「く……(――――――確かに、専用機は強い。しかし、山田先生がやってみせたようにやりようはあるはずだ!)」

 

一夏「だけど、接近戦に持ち込めれば箒さんの技量なら独壇場になるはずですから、箒さんも諦めずにいきましょう」

 

箒「ああ、もちろんだとも!」

 

一夏「セシリアさんも鈴さん。今はISに不慣れな初心者しかいないけど、来年になったらわかりませんから、気を抜かずに研鑽してくださいよ」

 

セシリア「あ、はい!」

 

鈴「って、言われなくてもわかっているわよ、一夏!」

 

一夏「なら、いいのですが……」

 

シャル「織斑くん!」

 

一夏「お、シャルルか。デュノア社ご自慢の『ラファール・リヴァイヴ』か」

 

一夏「なるほど、軍用機とは違って純粋に競技用としての性能を重視した感じか」

 

シャル「うん、そうだよ。『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』――――それがこの機体の登録名称」

 

一夏「シャルルは大会に出るのか?」

 

シャル「うん。そのつもりだよ」

 

一夏「そっか。それじゃ、優勝はシャルルで決定だな」

 

シャル「そ、そうかな…………」

 

一同「――――――!?」

 

セシリア「そ、それはどういうことですか!?」

 

鈴「専用機だからって、――――――第2世代型ISよ、それ!」

 

箒「そうだぞ、一夏! 何も知らないのにどうしてそんなことが言える!」

 

一夏「おいおい、シャルルが転校してきた初日の合同練習で二人掛かりで挑んで山田先生の『ラファール』にまとめて撃ち落とされたのは誰と誰ですか?」

 

セシリア「あ、あれは、その――――――」

 

鈴「……偶然よ、偶然! 次は負けないんだから!」

 

一夏「理由は言わない。それを言って、戦意喪失してもらっては困るからね」

 

一夏「むしろ、食って掛かるぐらいの勢いで戦力差を埋めて欲しい」

 

一同「………………」

 

シャル「ところで、織斑くん? 僕、『白式』と戦ってみたいんだ」

 

一夏「え? 私は大会には出ないつもりだよ?」

 

箒「一夏、たまに全力を出してみたらどうだ? 私との朝稽古の時のように」

 

セシリア「そうですわ! これだけ長い付き合いですのに、『白式』がどれほどの性能なのかまったくわかりませんし」

 

鈴「そうね。たまにはコーチの実力というものを見せて欲しいわね」

 

一夏「いや、戦うまでもないだろう? 相手は万能型――――――いや、何でもない(ここで逃げたら、みんなに悪影響だな)」

 

一夏「わかった。では、模擬戦を開始するので、安全な場所に退避してください」

 

 

 

シャル「じゃあ、いくよ、織斑くん」

 

一夏「ああ、来い!」ジャキ

 

セシリア「え? 何ですの、あの不思議な構え方は? まるでサムラーイのように剣を腰に下げるように……」

 

箒「――――――居合の構え? IS用の太刀で抜刀するつもりなのか、一夏!?」

 

鈴「あ、量子化しちゃったわよ!? 丸腰じゃない!」

 

シャル「え、織斑くん?」

 

一夏「大丈夫だ。それじゃ、カウントスタートだ」

 

 

3,2,1,パーン

 

 

両者向き合って、最初に接近戦に持ち込んだ。

 

だが、次の瞬間――――――、

 

 

シャル「行くよ――――――は、早い!?」

 

一夏「――――――」ズバン

 

シャル「(シールドエネルギーが一瞬で半分も無くなった……!?)」

 

一夏「――――――」ドカッ

 

シャル「うわあああ!(え、ここまで押し飛ばされるなんて…………)」

 

一夏「――――――終わり」ズバン

 

シャル「え!?」(戦闘続行不能)

 

周囲「――――――え?」

 

箒「…………は」ポカーン

 

セシリア「へ」カオヲミアワセル

 

鈴「ええ!?」カオヲミアワセル

 

 

それはまさに一瞬だった。

 

試合時間わずか5秒にも満たない一瞬だった。

 

自分が推した大会優勝候補をまさかの秒殺である。

 

これには誰もが目を疑った。何かの間違いなんじゃないかと。

 

何が起きたのか、対戦相手であるシャルルでさえ一瞬のことだったので理解できなかった。

 

誰もがこの一瞬に慄然とする中、織斑一夏は周囲の驚愕をよそにいつもの表情を絶やさなかった。

 

そして、さらりと言うのだった。

 

 

一夏「――――――わかった? 一瞬でも気を抜くと誰でも敗けるってことがさ」

 

 

読者のために、あの一瞬で何が起きたのかを説明すると、

 

開始直後にまず互いに接近戦を挑もうとしたわけだが、

 

一夏の『白式』はイグニッションブーストで急接近して、シールドを貫通する単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)『零落白夜』による居合斬りを放ったのだ。

 

シャルルは認識できなかった。気づいたら、押し飛ばされて それで負けていたのだ。

 

最初の接近で、予想接触時間を遥かに超えたスピードによって不意を突かれて――――――、

 

接近してからどうしようかと遅れて考えているうちに――――――、

 

突如としてシールドエネルギーが半分無くなり――――――、

 

次の瞬間には居合斬りを終えてそのままの勢いで体当りしてきた『白式』に押し飛ばされ――――――、

 

そして、状況の整理が付かないうちに押し飛ばされて更に混乱しているうちに――――――、

 

一夏は再び距離を詰めて神速の居合斬りを放ったわけである。

 

 

次の展開を思考→超スピード→驚く→エネルギー半分消失→動揺→押し飛ばされる→混乱→とどめ→ポカーン

 

 

この早業は織斑 一夏と『白式』だけが使える単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)『零落白夜』によって初めて実現された恐るべき殺陣であるが、

 

 

――――――“それだけではない”ことはご理解いただけるであろう。

 

 

織斑 一夏としては、これ以外勝てる方法が無かったので非常に手に汗握っていた。

 

それだけに闘志をみなぎらせていた一瞬だった。

 

剣道には、次のような考えがある。

 

 

――――――鍔迫り合いの前後が一番に気が緩む。

 

 

鍔迫り合いというのは一種の膠着状態を生み出し、互いにとって攻撃されづらい()()()()()()()()()()()一時となってしまう。

 

剣道のみならず、至近距離での掴み合いはクリンチと呼ばれ、ボクシングやK-1など投げ技が認められない格闘技では見栄えが悪いので制限されている。

 

そういう側面があるために、休憩や時間稼ぎの鍔迫り合いとみなされた場合、剣道では反則となるのだ。

 

特に、ISは絶対防御が働いている上に一撃で戦闘不能になることはまずないので、

 

しっかりとした装備で臨んだ上での試合開始直後の接近戦では心の何処かに大きな隙が生まれているものである。

 

織斑 一夏が最初の一合に全てを賭けたのは、相手の方から距離を詰めてくれる以上に、

この奇襲が確実に成功するのは試合開始直後のみと踏んでいたからである。

 

 

――――――そこにしか勝機がないからである。

 

 

だが、おそらく単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)『零落白夜』による規格外の攻撃力がなくともこの戦法で確実に出鼻をくじいて追い詰めたことだろう。

 

それだけの力量を備えていたということである、この織斑 一夏は。

 

なお、ISバトルにおいて一撃必殺に等しい威力を持つ単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)『零落白夜』はそれこそ“ブリュンヒルデ”織斑 千冬と専用機『暮桜』が発現して第一回世界大会『モンド・グロッソ』で優勝に導いているため、公式戦で使用が認められているものとなる。決して反則技ではないのだ。

 

 


 

 

――――――食堂にて

 

シャル「いやぁ、あれだけ強いなら大会に出たらいいと思うんだけど……」

 

女子「モッタイナイナー」

 

一夏「私は代表候補生じゃなくて ただのテストパイロットなので、私自身はそこまで強さは求めていないんです」

 

一夏「それにスポンサーの意向が強くて、いつ呼び出しが来るかわかりませんし」

 

一夏「それで、私の当面の目標は、代表候補生が無事に代表操縦者になれるように同じ目線に立って指導することなんですよ」

 

鈴「それじゃあ、あの一件の時と言い、先生たちの立場がないじゃない(でも、それはそれでカッコイイじゃない!)」

 

箒「そうか。相変わらず大変だな、一夏は(知ってはいたけれど、改めて聞かされると、一夏は本当に別の世界の住人になってしまったように感じられる…………)」

 

セシリア「残念ですけれど、しかたがありませんわね(ああ……、また私と踊ってくださらないかしら…………)」

 

一夏「悪いね。今週の休日もお呼び出しだ」

 

シャル「そうなんだ…………」

 

一夏「(そう、これが俺がIS学園で目指す実績――――――というより、人の上に立つ者として必要な指導力を得るための練習台だがな)」

 

一夏「(そして、スポンサーの方針で極力『白式』の戦闘は抑えるようにも言われている)」

 

一夏「(俺が“特別”でかつ立場上扱いやすいテストパイロットだから、そのデータをスポンサーが独占したいわけだ)」

 

一夏「(だから、お呼び出しが他よりも多いわけで――――――はっきり言えば、別にIS学園に在籍する必要は全くない)」

 

一夏「(しかし、ここで得られる人脈は魅力的というわけで、俺は社会勉強も兼ねて在籍させられているわけだ)」

 

一夏「(この辺が、開発国の優越だな)」

 

一夏「(他国が 遠路遥々 代表候補生をIS学園に送り込んで必死に新技術の運用データを収集しているところを、俺はコーチングを理由にじっくりたっぷりとやすやすとデータを共有して、)」

 

一夏「(俺は 国内のスポンサーとの提携を深めながら お呼び出しを受けて、運用データを外部に漏らすことなく、質の高い短気集中訓練でパワーアップしている)」

 

一夏「(つまり、俺と『白式』のデータを欲しがっている連中に吠え面をかかせているわけだ)」

 

一夏「(そして、――――――代表候補生ではないことがミソだ)」

 

一夏「(代表候補生は代表操縦者への登竜門なので、操縦技術の高さを競う必要があり、必然と公の戦闘実績が必要となってくる)」

 

一夏「(しかし、ただのテストパイロットなら戦闘実績は求められていないので、必然と武功の箔をつける必要がなくなってくる)」

 

一夏「(それに戦闘実績の箔はあの襲撃事件のおかげで付いたし、今回のシャルルとの模擬戦で不動のものとなった。これでもう、俺の評価と信望がどん底に落ちることはない)」

 

一夏「(それに俺自身が個人の強さの限界を噛み締めているからこそ、マンパワーを活かす立場を選んでいるんだ)」

 

一夏「(頭を悩ませることが多いけれども、財閥総帥後継者としてバッチリ捌いてみせる!)」

 

一夏「(それが、俺が関わる人全てを守ることに繋がるのだから――――――!)」

 

 


 

 

――――――休日の訓練:要人護衛ミッション

 

一夏「なんて理不尽さ――――――!」

 

一夏「ヘリに向かって発射されたスティンガーミサイルを撃墜しろとか…………俺はいつSPの仕事人になったんだよおおおお!」

 

一夏「くそ、こんなミッションは万能型の『ラファール』でやればいいんだよ!」

 

一夏「拡張領域がゼロのこの機体じゃあ、誘爆覚悟で斬り落とすしかないじゃないか!」

 

一夏「だけど、こういうのは『白騎士事件』を思い出すな…………」

 

 

一夏「部分展開、部分展開、部分展開…………高速展開、高速展開、高速展開…………」

 

 

敵役「死ねえええええ!」ダダダダダ

 

要人「うわ!? テロリストが銃を乱射してきたぞ!」

 

一夏「専務!」バッ

 

一夏「シールド展開範囲を拡大!」

 

SP1「敵グレネード!」

 

一夏「グレネードなんか! 雪片で軽く弾く!」

 

一夏「弾いた――――――今です! 迎撃してください!」

 

SP1「おまかせを!」パン

 

SP2「狙いは外さない!」パン

 

敵役「うわああああああ!」(死亡判定)

 

SP1「ターゲットの撃破を確認!」

 

SP2「クリアー!」

 

一夏「その他の反応なし!」

 

一夏「これからどうします? このまま展開していきますか?」

 

SP1「目標地点まであとわずか――――――」

 

SP2「若様、シールドエネルギーはどれくらい残ってます?」

 

一夏「99%残ってます。レールガンやアンチマテリアルライフルでもない限りは致命打になりません」

 

要人「た、大切なのは私を五体満足で送り届けることだぞ!?」

 

一夏「ただ送り届けるだけなら『白式』のシールド展開範囲を最大にして一点突破を図ればいいけど……」

 

SP1「そこまで実戦は甘くない」

 

SP2「第一、シールドの範囲を広げても絶対防御の範囲までは変えられないから、抱え込んだ要人がビビってオモラシする可能性もある」

 

一夏「『白式』に拡張領域があれば、後付装備で部隊の目や盾になれるのにな…………」ハア

 

要人「全くその通りだ! 飛び道具が主役の現代戦で格闘戦しかできないなんて、ただの的じゃないか!」

 

SP1「ボヤいてもしかたない。最高精度のライフルが競技で華々しい戦果を挙げても、実戦で役に立たないように――――――」

 

SP2「『白式』は 元々 欠陥機だったからな…………競技用としてまともな性能を発揮できていること自体が奇跡みたいなものなんだし」

 

要人「贅沢は言えんか…………拡張領域ゼロの機体などすぐにでも初期化(パーソナライズ)して最新鋭気にコアを回したいところだが、単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)を発現してしまってはな」ハア

 

一夏「では、行きましょう」

 

 

一夏「無事に要人護衛ミッションが終わったと思ったら、ISで射撃訓練…………」

 

一夏「トリガーガードを外しているからガントレットでも銃爪をちゃんと引けるけれど、使う機会は一切無いだろうな…………」

 

一夏「でも、こうして展開している状態では生身の時と撃ち方が変わってくる」

 

一夏「ISはPICで空中静止しながら撃つことができるから銃床や銃架が要らないし、」

 

一夏「反動を抑えこむのが容易だから、アンチマテリアルライフルも楽々撃てる」

 

一夏「さすがパワードスーツだ。生身ではできないことを容易にやってのける」

 

主任「そろそろいいでしょう。次はこの装備を試してくれ」

 

一夏「ようやく、IS用装備か」ジャキ

 

一夏「…………使いづらい! 照準器すら入っていないから、それを前提にしたレーザー誘導式じゃまるでダメだ!」

 

一夏「それに、マニュアル射撃しようにも人間用のに慣れていたから、でかくて取り回しが悪い!」

 

主任「なら、このデバイスを」

 

一夏「なるほど、照準器が入ったデバイスゴーグルなら――――――ってこれ、同期が上手くいってませんよ!」

 

主任「誰だ、こんなものを造ったのは!」

 

一夏「結局、『白式』には旧来のマニュアル射撃が有効ということなのか……」

 

一夏「量子化できないなら、IS用の装備は『白式』には無用の長物だな……」

 

主任「しかし、今回の運用データから人間・IS両用デザインの開発の目処が立ちましたよ」

 

主任「純粋なパワードスーツの装備を前提としたものよりは威力や照準精度は落ちますが、汎用性は今まで以上に上がることでしょう」

 

一夏「爺様は、俺がトニー・スタークを演じることを望んでいるのか……」

 

一夏「とにかく、それを訓練以外で使うような状況がこないことを祈ります」

 

 

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