血で血を洗う戦国の世に秩序のくさびを打ち
込み、平和を築いた兄弟。
その再来と人々から言わしめる千手の兄弟
千手律樹と千手縄樹。
不安定な忍界に新たな秩序のくさびを打ち込む
ことができるのか。
激動の時代が今開幕する。
【西暦21世紀】
[日本]
気づいたら、なぜか白い世界にいた。
まるでアニメやマンガに出てくる死んだ人間が
立ち止まる空間の狭間のようだ。
・・・・・・これって俺は死んだのか?
・・・・・・まあどうでもいいか。
平凡で童貞な俺が世界から居なくなっても・・・
・・・・・・モーマンタイだ。
・・・・・・居なくなるか。NARUTOファンの俺から
すれば、IFの世界線で生きてほしいキャラは・・・
・・・千手縄樹だな。
◇千手縄樹
・木の葉隠れの初代火影の孫にて千手綱手の弟
・第二忍界大戦中、敵の起爆札の罠により戦死し
原型がとどまらない遺体は身内にすら判別が不可
能だった。
・姉の綱手は弟の死から木の葉の医療改革の第一
前任者となり、以降の忍界大戦で忍びたちの生存
率を向上させた
悲惨な縄樹だが、もしも生き残れば面白い。
う~む、死んで時間はたっぷりあるんだ。
暇つぶしに考察してみるか。
◇縄樹の戦死の原因
・アカデミー卒業したての下忍で戦場での判断能
力がない
・負けず嫌いの性格なので視野が狭く、周囲の警
戒を怠った
・ナルトと違い、初代火影の孫として木の葉の大
人たちからチヤホヤと育ったから危機察知が疎い
などがあげられる。
よく忍者はチャクラを極めれば強くなると言う
けど、どんな世界でも人には得手不得手がある。
縄樹はおそらくナルトと同じで身体チャクラ体
質で生まれ持ったチャクラ量が普通の忍と比べる
と多い。
予想だとカカシの4倍以上チャクラ量があるは
ずだが、使いこなせなければ宝の持ち腐れ。
ゆえに、ナルトやマイトガイ、ロックリーみた
いな力任せの体術メインの戦闘スタイルが一番だ
と思うが、問題は縄樹のチャクラの使い方だ。
下忍時代のナルトは忍術が下手でも九喇嘛が
いたから無謀な戦いを生き抜けたんだ。
なら、縄樹も人柱力にする・・・・・・無理か。
縄樹の時代の九喇嘛の人柱力はクシナさまだ
他の尾獣を縄樹にわざわざ封印するのも現実
的じゃない。
うーん、せめて自分のチャクラ五大性質を忍
具に具現化できないか?
うーん、うーん、うーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あっ!?
そうだ、才牙!
ビィトのような才牙を持ち、使いこなせなけ
ればが縄樹は非業の死から回避できるよ。
くそ〜、俺が縄樹の兄弟ならば、教えられる
のにな!?
そんで、縄樹と一緒に忍界大戦を暴れ回って
名を挙げるんだ!
「承りました。あなたの転生先をそのように
設定しいたします」
『へ?』
背後から声が聞こえたので振り向くと美少年
が立っていた。
『あ、あなたは?』
「神様です。では転生を開始します」
神様がそう言うと俺の足元に円が形成していき
ぽっかりと穴が空いた。
「現世は私のせいで申し訳ありません。来世を
頑張って生きて下さい」
『ちょ、ちょっと待てーーー!!!?』
文句の言う暇もなく、俺は転生させられた。
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【秋風月 夕暮れ】
[火の国 木の葉隠れ里]
「・・・・・・まだ?」
私は分娩室の廊下をウロウロと歩いていた。
お母さまが分娩室に入って三時間ぐらい経って
るのに産声を聞こえない。
ソワソワと落ち着かない私に猿飛先生が声をか
けた。
「綱手よ、少し落ち着け」
5カ月前、二代目火影である大叔父さまが雲隠
れの金角・銀角兄弟の陰謀で急死した。
その後釜で新しく火影に就任したばかりの猿飛
先生が多忙の中で顔を見せてくれたから私は少し
ホッとした。
「難産か・・・・・・」
「うん、ビワさまも苦しい顔で私にもう少しだか
らねと言い、お母さまのところに戻った」
「・・・・・・ビワが手こずるか。じゃが、致し方ある
まい」
「・・・・・・双子だから?」
お父さまが敵地で戦死して落ち込んでいたお母
さまは双子がお腹の中にいることがわかって泣き
ながら喜び、私も12歳も年が離れたの兄弟がで
きたと喜んだ。
けれど、出産日が過ぎても生まれる気配がない
ので猿飛先生の奥さんのビワさまがこれ以上長引
けば母子の身体に危ないと判断して急速遂娩した
しかし、先ほど分娩室から出てきたビワさまが
これから帝王切開をすると言い残して再び分娩室
に戻っていった。
それを聞いた猿飛先生は私の肩を掴み、真剣な
顔でこう言った。
「綱手。子どものお前には残酷じゃが、覚悟をし
ておきなさい」
私も医療忍術を学んだ身だから命の重さを知っ
ていると思っていた。
しかし、猿飛先生の言葉で身体中がガクガクと
震えだして膝から崩れ落ちた。
「綱手!?」
「さ、猿飛先生!?」
私は猿飛先生にしがみつく。
わなわなと身体を震わせながら必死に家族を失
う恐怖に抗う。
「スマン、綱手」
「・・・・・・・・・・・・」
涙で視界がボヤける。
怖い。家族がいなくなる。
お父さま・・・・・・・・・。
絶望の闇に染まりそうになった私の耳に入るの
は廊下の壁の時計の規則正しい音のみ。
だが、突然赤ん坊の産声が聞こえた!
オギャー!!オギャー!!!
オギャー!!オギャー!!!
産声を聞いた私は分娩室に駆け寄り、ドアに耳
をつけた。
オギャー!!オギャー!!!
オギャー!!オギャー!!!
オギャー!!オギャー!!!
オギャー!!オギャー!!!
聞こえる。
赤ん坊の泣き声が二人。
う、生まれた。
私の弟たちが!
「綱手」
「猿飛先生」
「おめでとう、お前もお姉さんだな」
優しい笑みの猿飛先生に祝いの言葉をもらった
私は満面の笑みでこう言った。
「はい、必ず自慢の姉になります」
その後、分娩室から出て来たビワさまがお母さ
まの死を告げられた。
お母さまは自分の命よりも弟たちを優先させて
旅立った。
全てを託された私は弟たちのためにどんな苦難
でも笑顔で立ち向かう忍になると誓った。
ーto be continuedー
次回 千手家の朝