木の葉の摩利支天と呼ばれた忍    作:rOOd

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№10 三代目火影

       【桜月 早朝】

 

    [木の葉隠れの里 木の葉病院]

 

「・・・・・・・・・いひゃ、い」 

 

 今朝、俺は病室で目覚めたカガリに顔の原形が

分からなくなるほど殴られた。

 

「・・・・・・うげっ。・・・・・・あがっ!」

 

 ベッドの上で体育座りをするカガリは、昨日の

出来事を思い出し、顔がトマトのように真っ赤に

している。

 

「・・・・・・キスされた。・・・・・・キスされた。・・・・・・

 キスされた。・・・・・・キスされた。・・・・・・キスさ

 れた。・・・・・・キスされた。・・・・・・キスされた。

 ・・・・・・・・・・・・キスされた」

 

 頭から湯気が出そうなほど知恵熱を出し、ぶつ

ぶつと呟いていた。

 

「・・・・・・律樹、自業自得だ」

 

 サトル先生は床に転がる俺の隣に膝をつき、俺

の肩へ手を置いた。

 

「まず謝れ」

「ひゃや、あえはたしゅけるぅため、しきゃたな

 く〜」 

 

 呆れたように額を押さえたサトル先生は医療忍

者を呼んでくれた。

 腫れ上がった俺の顔を喋れるぐらいまで治療し

てくれた。

 

「お〜、サトル先生。ありがとう」

「あのままだと話しづらいからな」

 

 サトル先生は小さくため息をつくと、ちらりと

カガリを見てから口を開いた。

 

「改めて聞く。なぜカガリにキスをした?」

「いや、カガリを一刻も早く救うには、ああする

 しかなかったんですよ」

「事情はわからんでもないが、女の子の唇を奪う

 など最低だぞ」

「うぐっ」

 

 反論の余地もない正論だった。 

 

「まったく、病院でも騒ぎを起こすな。お前らは

 患者なんだ。おとなしくしていろ」

 

 うっ!?それも反論の余地もない正論。

 

 そう。俺も今、入院している。

 なぜかと言うと、カガリを止めた俺もチャクラ 

の枯渇で倒れてしまったからだ

 

「ったく、ぶっ倒れるまで戦うな!」

 

 すぐにサトル先生たちが俺たちを木ノ葉病院へ

運び込んだ。

 担ぎ込まれた俺もカガリも『チャクラの使い過

ぎによる全身疲労』という診断で急遽、入院する

ことになった。 

 

 今朝方、目を覚ますと俺は病室のベッドで寝か

されていた。

 とりあえずカガリの様子を見ようと、重い体を

引きずりながら病室を出たところでサトル先生と

鉢合わせし、そのままカガリの病室へ案内された

 

 病室へ入ると、カガリはベッドの上で上半身を

起こしたまま、呆然としていた。  

 

 そして俺と目が合った瞬間――。

 無表情だった顔がみるみるうちに、般若のよう

な形相へと変わった。 

 

「待て、話せば――」

 

 最後まで言わせてもらえなかった。

 怒れるカガリはベッドを飛び降り、そのまま俺

へ襲いかかってきた。

 昨日の件で完全に後ろめたかった俺は抵抗する

こともできず、押し倒された。

 そのまま、馬乗りになったカガリの拳をまとも

に受けた。

 乙女の怒りが乗った拳は想像以上に重かった。

 

 結果――

 現在、俺は床の上でピクピクと車にひかれたカ

エルのように痙攣している。

 

 正論を言われ続けて、俺はぐうの音も出ない。

 その時――。

 コンコン。 

 

 病室の扉が軽く叩かれた。

 

「失礼するぞ」

 

 聞き慣れた穏やかな声だった。

 扉を開けて入ってきたのは、白い火影羽織を纏

う中年男性と仮面の忍者二人だった。

 

「ヒルゼン様!」

 

 サトル先生が慌てて姿勢を正し、朝のあいさつ

の言葉を口にする。

 

「おはようございます」 

「うむ、サトル。昨日は大変であったな」

 

 そう、この人こそが木ノ葉隠れの里の長。

 三代目火影・猿飛ヒルゼン。 

 

「しかし、朝から賑やかだな」

 

 三代目は長い髭を撫でながら微笑む。

 だが、その視線が俺へ向いた瞬間、笑顔が僅か

に引きつった。 

 

「律樹よ」

「はい?」

「その顔はどうした?」

「カガリに殴られました」

「なるほど」

 

 三代目は一瞬で事情を察したような顔をした。

 

「うむ、若いな」

「三代目!? そこは俺を庇ってください!」

「無理だな」

 

 即答だった。

 サトル先生まで頷いている。

 

 ひどい。

 

 俺が床で打ちひしがれていると、今度はカガリ

へ目を向ける三代目。

 

「カガリ、体の具合はどうじゃ?」

「・・・・・・問題ありません」

 

 カガリは恥ずかしそうに視線を逸らした。

 三代目は安堵したように頷く。 

 

「そうか。ならば良かった」

 

 その表情は里を統べる火影ではなく、子を心配

する父親のようだった。

 

「しかし、今回の件は見過ごせん」

 

 穏やかな空気が一変する。

 病室の温度が下がったような錯覚を覚えた。

 

「その年齢で万華鏡写輪眼の開眼。さらに禁術 

 スサノオの暴走か」

 

 先ほどまでの穏やかな父親の雰囲気は消えた。

 そこにいるのは数々の戦乱を生き抜いた忍の頂

点――三代目火影だった。

 

「詳しい話を聞かせてもらうぞ」

 

 病室に緊張が走った。

 

 三代目は今回の一件について話し始めた。

 

 「まず、カガリの万華鏡写輪眼についてだ」

 

 それはうちは一族でも数えるほどしか現れなか

った伝説の瞳。

 ましてや、カガリは開眼直後に禁術 スサノオ

を発現させたなど・・・・・・前例がない。

 

「本来であれば、里の上層部も動く案件じゃ」

 

 三代目の言葉に病室の空気が再び張り詰める。

 

「昨日の一件は、それほど重大な出来事だった」

 

 カガリは唇を噛み締めた。

 

「だかな、カガリ。儂は今ここでお主に責任を追

 及するつもりはない」

 

 三代目は静かに首を振る。

 

「まず理解せねばならぬのは、なぜあの力が現れ

 たのか。そして――」

 

 三代目の視線がゆっくりと律樹へ向く。

 

「なぜ、お主がその暴走を止められたのかだ」

 

 病室の全員の視線が俺に集まった。

 そして三代目は鋭い眼差しで告げる。

 

「律樹よ・・・・・・話してもらおう、お主の力につい

 て」

 

 俺はどう反応していいかわからず頭を掻く。

 

ーto be continuedー

 

 

 




次回 魂の力
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