木の葉の摩利支天と呼ばれた忍    作:rOOd

14 / 14
№12 千手兄弟の戦い 前編

       【桜月 昼過ぎ】

    [木の葉隠れの里 修練所]

 

「うむ、皆そろったな」

 

 カガリの一件から数日後。  

 俺と縄樹は三代目の命により、才牙を披露する

ことになった。

 

「う〜む、注目されているな」

「派手にやったのは、りつ兄だ。かわいい弟を巻

 き添えているのもお忘れなく!」

「そんな嫌味っぽく言うなよ、縄樹くん」

 

 修練所には三代目火影のほか、仮面をつけた暗

部の精鋭たちが十名以上。

 さらに事件の関係者として、教頭先生、サトル

先生、南雲先生。

 そして事件の張本人であるカガリ。 

 あと、なぜか姉さんまでいた。

 

「つーか、なんで姉ちゃんがいるんだ?」

「『身内』だからという理論武装で強引に・・・・・・

 だろ?」

「姉ちゃん、以外寂しがり屋?」

「かもな。後で、報告とかはあるのになあ〜」

 

 姉さんは離れた場所から、ギロリとこちらを睨

みつけた。

 

「あ、睨まれた」

「さすが姉ちゃん。地獄耳だな・・・・・・」

 

 三代目は小さく咳払いをすると、才牙を用いた

忍び組手の開始を宣言した。

 

「おほん。それでは律樹、縄樹」

「「はい!」」

「見せてもらおう。お主たちの才牙を」

 

 俺たちは向かい合い、対決の印を結ぶ。

 一瞬だけ沈黙が流れた。

 

「・・・・・・ごめんな、縄樹」

「ん? 何がだよ」

「俺のせいで、お前までこんなことに巻き込んじ

 まった」

 

 縄樹は少しだけ目を丸くし、それから肩をすく

めた。

 

「今さらだろ。兄弟なんだから」

「・・・・・・縄樹」

「しみったれたこと言ってないで、せっかくの大

 舞台だ。思う存分戦おうよ」

 

 笑い合った俺たちは胸の前で掌を合わせた。 

 掌の間に集まったチャクラが激しく渦を巻く。

 

 圧縮。  

 

 収束。

 

 凝縮。

 

 高まり続ける密度に耐えきれず、空気が震え

地面の砂がふわりと浮き上がった。

 やがて凝縮されたチャクラの球体。

 

 律樹のは神々しい蒼茫。

 縄樹のは猛々しい黄土。

 

 それぞれ姿を変える。

 

 その輝きは、まるで夜空に浮かぶ小さな恒星。

 誰もが息を呑んだ。

 そして――。

 

「「これが俺たちの力」」

 

 俺と縄樹は同時に叫ぶ。

 

「「――才牙だ!!」」

 

 縄樹が先に、生成をした。

 

「拓け、埴山姫神!」

 

 縄樹の球体は眩い黄土色の光を放ちながら形を

変えていく。

 

 柄。

 

 刃。

 

 そして大地を掘り起こすための幅広い先端。

 

 凝縮されたチャクラは一振りの巨大なシャベル

へと変貌した。

 縄樹がそれを右肩に担いだ瞬間、足元の地面が

ずしりと沈む。

 

「これがオレの才牙ーー」

 

 縄樹は笑いながら叫んだ。

 

「――埴山姫神だ!」

 

 修練所にどよめきが広がった。

 

「円匙・・・・・・?」

「あんなものが武器なのか・・・・・・?」

 

 暗部たちでさえ困惑を隠せない。

 

 だが三代目だけは鋭い眼差しで縄樹を見つめて

いた。

 

「ばかもの!!」

 

 そして、配下全員に叱咤した。

 

「形に惑わされるな。見て分からぬか、あれはた

 だの農具ではない!?」

 

 三代目だけが気がついた。

 縄樹が持つあの武器の恐ろしさを。

 

 三代目は鋭い視線を俺へ向けた。

 

「では律樹」

 

 三代目の声が響く。

 

「お主の才牙も見せてもらおうか」

 

 俺は小さく笑い、蒼く輝く球体を掲げた。

 

「了解です」

 

 蒼い光が水のように揺らめく。

 修練所の空気が一変した。

 

「万水を統べよ――『水波能売命』」

 

 無数の水流が絡み合い、水龍の鱗に覆われた巨

大な盾へと変貌した。 

 

「今度は盾?」

「なぜ、あんなものを・・・・・・」

 

 暗部たちが再びざわつき始めた。

 それも無理はない。

 

 機動力を重視する忍びにとって、防御に特化し

た大盾など鈍重なだけに見えるからだ。

 

 だが、サトル先生たちの表情には余裕の笑みが

浮かんでいた。

 

「暗部も大したことがありませんな」

「うむ、確かに。見かけで判断するとは」

「ええ、あれでスサノオを止めたのは知っている

 はずですがね」

 

 一方、カガリの反応は意外なものだった。

 

「あれが・・・・・・才牙」

 

 カガリは俺たちの才牙をじっと見つめていた。

 その瞳に宿るのは警戒ではない。

 憧憬にも似た羨望だった

 

「・・・・・・今さらながら、縄樹も律樹もあんなこと

 を」

 

 綱手姉さんは、自分だけ才牙のことを教えても

らえなかったことに少なからずショックを受けて

いるようだった。

 

 三代目は、俺たちが才牙を顕現させたのを確認

すると、忍び組手の開戦を告げた。

 

「二人とも、準備はよいな?」

「「はい!」」

「うむ。それでは――忍び組手、始め!」

 

 三代目の号令とともに、俺たちの戦いが始まっ

た。

 

「行くぜ、りつ兄!!」

「来い、縄樹!!」

 

 先手を取ったのは縄樹だ。

 相棒たる埴山姫神を大きく振りかぶり、俺にめ

がけて叩き下ろした。

 

「でやあ!!」

 

 轟音とともに迫る一撃。

 

 俺は迷わず水波能売命を構え、その斬撃を真正

面から受け止めた。

 

「ふん!?」

 

 激突。

 

 だが次の瞬間――

 ドゴォォォンッ!!

 

 俺の足元の地面が大きく陥没した。

 

「なっ!?」

「たった一振りで!?」

「あの盾で受け止めてなお、あれほどの衝撃だと

 いうのか!」

 

 暗部たちはようやく理解した。

 

 俺たちの才牙が、決して見かけ倒しではないこ

とを。

 三代目は感心したように頷き、教頭先生は確認

するようにサトル先生たちへ問いかけた。

 

「サトル先生。今の縄樹の一撃をどう見ます?」

「・・・・・・おそらく上忍であっても、、純粋な腕力と

 忍具だけであれほどの破壊力を生み出すのは至

 難でしょう」

「ええ、サトル先生の言う通りです」

 

 流石は木の葉隠れの先鋭たちだな。

 縄樹の一振りだけで才牙の力の一端を見抜き

その危険性を理解し始めている。

 

 縄樹は俺が防御したのを見て、大きく飛び退

いた。

「へへっ。どうよ、りつ兄。オレの一撃は!」

「とんでもない一撃だったよ、縄樹」

「だろ!」

「なら、今度は俺の番だ!」

 

 俺は『水波能売命』を構えた。

 

「おっ、律樹のやつ仕掛けるか?」

「あの盾はなかなか厄介ですからな」

「うむ。今度はどんな姿を披露するのか、

 楽しみですな」

 

 教頭先生たちは俺の才牙の能力を知っている。  

 だからこそ、次に何を見せるのか待ち遠しそう

な表情を浮かべていた。

 

「あの盾は定まった形を持たぬと聞いているが

 果たして次はどうする?」

 

 学者気質の三代目は、ギミック満載の俺の才牙

に強い興味を抱いているようだった。

 

「行くぜ、縄樹!!」

 

 俺は『水波能売命』の持ち手を外し、盾だけを

投げ放った。

 

「はっ!?」

「な、投げただと!?」

 

 暗部たちが一斉にざわつく。

 

 なぜなら、盾を投げるなど愚行にしか見えなか

ったからだ。

 

 だが、縄樹だけは違った。

 

「へっ・・・・・・あれをやるのか」

 

 律樹の戦い方を、誰よりも知っているからだ。 

 投げられた盾が縄樹へと一直線に飛ぶ。

 

 その時、縄樹はカガリと綱手の様子をチラリと

見た。

 

「あんな攻撃、誰でも避けられる。綱手姉」

「そうだね、カガリ。何を考えているんだ?」

 

 いつの間にか、あの跳ねっ返りだったカガリは

姉ちゃんに懐いていた。

 そんな風景を見て、オレは心から安堵した。

 もともと、面倒見の良い姉ちゃんのことだ。

 一人ぼっちだったカガリをなんとなく放ってお

けなかったのだろうな。

 今では二人で観戦しながら感想を言い合うほど

の仲になっているし。

 

 ――って、感心している場合じゃない。

 勝負に集中しないと。

 

「ふんっ!」

 

 縄樹は迷わず『埴山姫神』を手放し、その場か

ら大きく飛び退く。

 

「えっ!? なんで武器を捨てるの!?」

「・・・・・・なるほど」

 

 綱手姉ちゃんは目を細める。

 

「律樹の本命は――あの盾そのものじゃない」

「えっ!?」

 

 この後に続けるなら――

 

「来るぞ!」

 

 縄樹が叫んだ瞬間、投げられた『水波能売命』

は宙に浮かび、龍の鱗が一斉に剥がれ落ちた。

 

「なっ!?」

「盾が分解した!?」

 

 龍の鱗は放たれたクナイのように、全弾が縄樹

へ襲いかかる。

 

「閻水――龍鱗舞華!」

 

 さらに盾そのものが真っ二つに割れ、無数の蒼

い鎖を解き放った。

 

「閻水ーー鎮魂封鎖!」

「やっぱ、そう来るか!」

 

 四方八方から迫る鱗と鎖。

 だが縄樹は怯まない。

 

「なら――まとめて相手になってやる!」

 

 丸腰の縄樹は全方位から襲い来る攻撃を真正面

から迎え撃った。

 

ーto be continuedー

 

 

 

  




次回 才牙の本領
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

NARUTO 〜渦巻く団扇の物語〜(作者:セイヴァー)(原作:NARUTO)

 神様のミスにより亡くなった主人公。▼ お詫びとして転生した世界は、他作品のキャラも登場するNARUTOの並行世界▼ 転生先の世界で新たに ゛うずまきヒスイ゛ として生きる為に今日も奮闘する。▼どうも、おはこんばんにちわ、初めましてセイヴァーです。▼この度、読み専から一転して作品を投稿することにしました。▼誤字脱字や設定の矛盾点等かあるかもしれませんが生暖か…


総合評価:96/評価:-.--/連載:9話/更新日時:2026年06月27日(土) 21:25 小説情報

忍の世界とか割と詰みである(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:NARUTO)

面白いからを理由に転生させられる極々普通の転生者の話。▼それはそうとこの世界線、アニナルっぽいので割と手厳しいと言うかNARUTOの世界ってチートを貰ってようが普通に厳しくね?な話▼ヒロイン?最終回発情期とかあるし息子世代の話もあるし、まぁ、500話以上あるアニナルを見てどうすんか考えるっぺ。


総合評価:1927/評価:7.31/連載:9話/更新日時:2026年06月27日(土) 17:56 小説情報

アンタッチャブル(作者:アポロ魔王)(原作:ONE PIECE)

ロブ・ルッチ成り代わりモノ。▼


総合評価:1596/評価:7.18/連載:7話/更新日時:2026年04月12日(日) 12:49 小説情報

悟空の兄、バーダックの息子(作者:MAX666)(原作:ドラゴンボール)

多分百回くらい煎じられてるラディッツ二次。▼ノリと勢いで始めたので今後の展開も書き置きもほぼゼロ。▼完全不定期で更新していけたらないいな。▼タグは雰囲気。▼色々と齟齬が出てくると思うので、バンバンご指摘頂けるとありがたいです。▼もしよければお気に入り登録、高評価、通知をオンにしてお待ちください()


総合評価:48/評価:-.--/連載:1話/更新日時:2026年02月05日(木) 09:31 小説情報

下剋上が征く(作者:アポロ魔王)(原作:ダイヤのA)

ダイヤのAの下剋上大好きな狂犬リーゼントに転生した男が好き勝手に野球を遊び尽くす。▼狂犬リーゼント君の才能は本物。センスもピカイチ。▼ダイヤのAは最高。異論は認めない。しかし、転生したならもちろん回避できる悲劇は回避するに限る!!▼熱い少年たちによる熱い勝負と熱い青春をぜひお楽しみ下さい。▼


総合評価:645/評価:8/連載:15話/更新日時:2026年03月25日(水) 22:22 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>