【晩夏 早朝】
[木ノ葉隠れの里 千手家]
〜律樹&縄樹 四歳〜
「ダメ〜、降参!!」
「へっへ〜!また俺の勝ちだな」
俺と縄樹が一緒に修行を始めてから、約一年が
経った。
負けず嫌いな縄樹は、最初は俺がやっていた座
禅をまったく続けられなかった。
そのため、今では俺と座禅勝負をするのが毎日
の日課になっている。
「くそ〜! なんでだ!? なんで、りつ兄に勝
てねぇ〜!悔しいっ!!」
「ふふふっ。根気の違いだよ、縄樹くん」
「でもよ、いつも疲れ切った直後の座禅だぜ。
普通、集中力が続かねぇよ」
「アホ、それでも三十分以上できるじゃねぇか。
俺たちは実戦式の修行してんだからよ」
そう。俺たちは、毎日ランニングから一日を始
める。
その後は筋力トレーニングと組手を繰り返し
体力を極限まで削った状態でチャクラコントロー
ルの修行に取り組む。
さらに、その締めくくりが互いが限界まで続け
る座禅だ。
「・・・・・・オレたち、忍者というより修行僧なんじ
ゃないか?」
愚痴をこぼしている縄樹がふと疑問を口にした
「そういや、今さらだけどさ。なんで、りつ兄は
座禅なんて始めたんだ?」
「・・・・・・・・・それ、今さら聞くのか?」
「まあ、今さらだけど」
「そうだな・・・・・・。俺が座禅を始めた理由は、一
言で言えば『魂』を掴み取るためだ」
縄樹は『何言ってんだ、こいつ』と言いたげな
顔で、冷ややかな視線を向けてきた。
「・・・・・・それ、どういう意味だ?」
首をかしげる縄樹に、俺は静かに答える。
「力には必ず根源がある。忍ならチャクラ、その
さらに奥にあるのが魂だ」
「魂?」
「ああ。その根源に触れ、使いこなせるようにな
れば、今よりもっと強い力を引き出せるはずな
んだ。
だから俺は、その第一歩として座禅をしている」
「・・・・・・なるほど。つまり、強くなるための修行
ってことか」
「簡単に言えば、そういうことだ」
俺は小さく息を吐き、苦笑した。
「・・・・・・・・・でも、やっぱり上手くいかない。
何度座禅を組んでも、魂なんてものは掴める気
がしないんだ」
縄樹は腕を組み、「ふーん」と考え込む。
「・・・・・・・・・ならさ」
「ん?」
「二人で魂を掴み取ればいいじゃん」
「・・・・・・・・・えっ?」
「一人でダメなら、二人でやればいい。俺ら双子
なんだからさ。
一緒にやればさ、掴み取れるかもしれないだろ
?」
予想もしなかった言葉に、俺は思わず目を丸く
した。
「縄樹・・・・・・」
「それに、りつ兄一人だけ強くなるなんてズルい
しな! 俺も負けるつもりはないぞ!」
縄樹はニカッと笑いながら拳を突き出す。
俺も自然と笑みがこぼれ、その拳に自分の拳を
軽くぶつけた。
「・・・・・・そうだな。一人じゃ無理でも、二人なら
辿り着けるかもしれない」
その瞬間、縄樹の言葉が俺の中で一つの答えへ
と結びついた。
「・・・・・・そうか」
「どうしたの?」
「なら、『共鳴』を試してみよう」
「えっ?」
「俺たちは双子だ。同じ血を引き、同じ日に生ま
れた俺たちなら、チャクラの『共鳴』ができる
かもしれない」
縄樹は首をかしげた。
「けどさ。『共鳴』って、どうやるんだよ?」
俺は縄樹の前に座り、両手を差し出す。
「まずは互いの両手を合わせる。そして、お互い
のチャクラをゆっくりと相手へ流し込むんだ」
「それだけでいいのか?」
「ああ。ただし、無理に流し込むんじゃない。
相手のチャクラを感じ取りながら、自分のチャ
クラを少しずつ同調させる。
焦らず、じっくりとな」
「なるほど・・・・・・。やってみようぜ!」
縄樹は力強くうなずき、俺たちは静かに両手を
重ねた。
その瞬間、俺は静かに目を閉じた。
「・・・・・・いいぞ、縄樹。そのまま力を抜け」
俺は縄樹のチャクラを拒まず、まるで温かな水
を受け入れるように、ゆっくりと自分の中へ迎え
入れる。
縄樹のチャクラは力強く、真っ直ぐだった。
多少荒々しさはあるものの、不思議と嫌な感覚
はない。
同じ血を分けた双子だからなのか、俺のチャク
ラは自然とその流れを受け入れ、拒絶反応はまる
で起こらなかった。
「・・・・・・・・・すげぇ」
縄樹が驚いたように目を見開く。
「俺のチャクラが・・・・・・りつ兄の中に入っていく
のがわかる」
「ああ。でも、無理に押し返そうとするな。その
流れに身を任せろ」
今度は俺も、自分のチャクラをほんの少しだけ
縄樹へと流し始める。
二つのチャクラはぶつかり合うことなく、まる
で一つの川へ合流する支流のように、穏やかに溶
け合っていった。
その瞬間――。
二人の身体を淡い青白い光が静かに包み込む。
「「・・・・・・・・・っ!」」
俺と縄樹は同時に息をのんだ。
互いの鼓動が、呼吸が、そしてチャクラの鼓動
までもが、まるで鏡合わせのように重なっていく
双子だからこそ生まれた、完全な同調。
俺は確信した。
「成功だ・・・・・・・・・。縄樹、俺たちのチャクラは
共鳴を始めている」
俺たちはほんの一歩だけ前に進んだ。
けど、この一歩が必ず、大切な者を守る力を得
られると確信した。
ーto be continuedー
次回