忍とは耐え忍ぶ者と悟った豪傑がいた
前者は力。後者は心。
忍者の生き様とは自己犠牲と定めた老獪がいた
忍の死に様とは継往開来と託す賢者がいた
前者は過去。後者は未来。
ゆえに忍とは悲惨な昨日を乗り越え、明日へ
と変えられるのだ。
【桜月 早朝】
[木の葉隠れ里 アカデミー]
「へぇ~、これがアカデミーか」
前世見た漫画やアニメの校舎とは違う。
かなり古びた木造で2階建てか。
考えてみれば時系列だと今の木の葉隠れの里は
創立三十年ぐらいしか経ってない。
たぶん、どの里も人口爆発したのは第一忍界大
戦の終結して少し経った頃かな。
人口増加で建物を新しくするのは当然だし、ア
カデミーも俺たちが卒業した後で建て直すかもし
れないな。
チラッ左右を見ると懐かしそうな顔で笑う姉さ
んと目をキラキラ輝かれて“ここが火影へのスター
トラインか”と言いそうな顔の縄樹。
まあ、スタートラインであるのは俺も同じか。
卒業条件は一般企業と同じらしいし、なんとか
なるか。
「姉さん、入学式は校庭だったよね?」
「ああ、そうだ。それから組わけで別れるんだが
お前たちはずっと同じだろうな」
確かに。
わざわざ、双子を分けるなんて面倒なことしな
いか。
俺たちは校庭に向かっているとアカデミーの教
師らしい人が声をかけてきた。
「やぁー、綱手」
「あら、先生!」
「おはよう綱手。久しぶりだな元気そうだな」
「私を誰だと思ってるんですか、先生」
「・・・・・・飲んだっくれのギャンブる〜ー、アタタ
タッ!!!?」
「あんたは一言多いんだよ、律樹」
姉さんが俺の右肩を掴んで、いや握り潰される
〜!!?
あんた、誰もが知る“伝説のカモ”だろうが!!
しかも負ければ酔っぱらってあちこちで暴れま
くるし〜!!
どれだけ俺と縄樹が謝りに行ったと思ってるん
だ〜このナメクジ姫が〜〜!!
「・・・・・・あ、相変わらずだな、お前は」
「ハハハッ、自来也も大蛇丸も昔のままですよ」
「あのスケベ小僧の噂も耳に入れるよ。今はあち
こち旅をしながら物書きをの真似事をしている
らしいな」
「ええ、任務の時は帰ってくるんですが、なんせ
あいつは風来坊だから」
「アハハッ、確かにな」
懐かしくて会話が弾んでいるな。
姉さんのアカデミー時代の恩師っぽい。
しかし太ってるな、この先生。
この体型で忍者なのか?
あ、もしかして怪我で任務ができない身体とな
って後方で指導の方面に従事するってやつ。
だから、修行をあまりせずにこの体型になった
のか。
「その点、大蛇丸は三代目のご指導のおかげで誰
よりも忍術に研究熱心だ。
あいつは昔から天才として功績を挙げてきた。
やはり、次の火影は大蛇丸だな」
「・・・・・・そうなるといいですね」
この悲しそうな顔・・・・・・やっぱり姉さん、この
頃から気づいていたのか?
大蛇丸さんの歪んだ欲望に・・・・・・。
「まあ、お前たちは三代目の教え子だ。あの方の
火の意志を受け継ぐと私は信じているよ」
「・・・・・・そうですね」
姉さんは恩師に俺たちを紹介した。
「先生、こいつらが私の弟たちです」
「ああ、聞いているよ。二人ともこれからよろし
く。私は教頭のサンヌだ」
教頭?いやそれ以上に名前が・・・・・・。
俺は必死に笑いを堪えながらあいさつをする。
「千手律樹です。よろしくお願いします」
「おれは千手縄樹。よろしくお願いします」
「千手!?綱手?」
教頭先生驚いているな、当然か。
千手の名に冠する業は忍の世界において重い。
ゆえに俺たちは一族の業を背負うと誓い、この
名を名乗るのが俺たちの覚悟だ。
覚悟を固めた俺たちの後ろ姿を見る姉さんは俺
たちの頭に手を乗せてこう答えた。
「こいつらの覚悟なんです」
「・・・・・・そうか。君たちがそれほどの覚悟を持ち
忍を目指すのならば私は何も言うまい」
「ええ、二人とも火影を目指す者です」
いや、俺は目指しないから。
目指してるのは縄樹だけ。
でも、ここで否定すると姉さんの面子を汚すの
もアレだし、しゃーない適当なことを言って誤魔
化すか。
「二人ともどんな火影になりたい?」
最初に縄樹が答えた。
「おれはじいちゃんを超える火影になる!」
「ほう、それはだいそれたことを・・・・・・・・・」
「な、なんだよそれ!最強のじいちゃんを超える
って悪いかよ!!」
「いや、え~と。ハハハッ!」
薄笑いする教頭の態度が気に入らなかった縄樹
は下を向いて拗ねた。
「縄樹、笑われて下を向くなら夢を捨てろ」
「な、なんだとーりつ兄!?」
「たとえどんな夢でも・・・・・・夢に命をかけたやつ
が本物だ。
俺たちのお爺さまも恥も外聞も捨て、木の葉隠
れという夢に命をかけた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんなお爺さまの後ろ姿にあこがれて火影を目
指すんだろ」
「・・・・・・そうだよ。なら、律樹はどんな火影にな
る気なんだよ?」
縄樹は俺の目をジーッと見て聞いてきたので俺
は目を閉じてこう答えた。
「みんなに認められる火影になりたい」
「みんな?里のみんなにか?」
俺は首を横に振り、空を見上げてこう言った。
「みんなとは世界中の忍たちにさ」
「どういう意味だよ、それ?」
「いいか縄樹。今の忍の世に必要なのは・・・・・・
友好の鎖と結束のくさびだ」
かつて、千手柱間は忍の一族同士で争う乱世に
友好の鎖で数多の一族を囲い、いがみ合う一族同
士の間に結束のくさびを打ち込んで戦国の時代を
終わらせ、木の葉隠れという秩序を築いた。
だからこそ、今の忍の世にもその二つが必要だ
そして、火影と受け継ぐ者の条件とは。
「それを実現できるのは優れた者でも秀でた者で
もないんだ。
火影になったから認められるのではない・・・・・・
みんなに認められた者が火影となる。
俺はそれこそ火影なんだとそう信じるよ」
俺は熱弁を終えて周囲を見渡すといつの間にか
人だかりができていた。
そんでなぜか、その場の全員から拍手喝采が送
られた。
「いや〜感動した。流石、柱間様の孫!?」
「木の葉は綱手様や自来也様、大蛇丸様だけじゃ
ない。次の世代も安泰だな!」
「ああ〜、律樹様が初代様、二代目様のように里
を導いてくれるさ!?」
「ええ、律樹様ばんざい!」
「ばんざい!ばんざい!」
な、なんで〜!?
なんで俺の演説が大人たちにウケてるの〜!?
みんなで万歳三唱するの〜!?
や、やめて〜〜!?
恥ずかし〜〜〜い!!?
今のセリフは四代目火影、及び火影にもっとも
近い男のパクリだから〜〜!
羨望の眼差しを送らないで〜!!?
そうだ姉さん!?あれ!?姉さんはどこ!?
ああ、あんな遠くに〜!
ちくしょう、縄樹を連れて俺を置き去りにしや
がった!?ひでえ〜!!?
その後、俺は30分ぐらいアカデミーの入学者
の保護者や教師から羨望の眼差しを送れた。
ーto be continuedー
次回 クラスメイト