木の葉の摩利支天と呼ばれた忍    作:rOOd

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№26 VS大蛇丸さん 後編

        【桜月 昼前】

 

    [木ノ葉隠れの里 アカデミー]

 

 

「ねぇ、律樹くん。そろそろ、才牙で戦り合いた

いんだけどね」

 

 俺の忍術を見ることにも飽きたのか、大蛇丸さ

んが才牙を使った実戦を申し出てきた。

 

「・・・・・・そうですね。では!」

 

 俺は胸の前で合掌する。

 

「おお、とうとう才牙だ!」

「ああ、やっと拝めるぞ!」

「なんでも、水遁系で変幻自在だって聞いている

 が・・・・・・」

「うおっ、俺、なんか緊張してきた!」

 

 教官たちから、期待と興奮の入り混じった声が

次々と上がる。

 

「キャー!? 律樹くん、スゴい!?」

「イヤー!? 律くん、ファイト~~!?」

「なんて人なの! あの大蛇丸さん相手に、あそ

 こまで!」

「さすが、初代火影の孫ー!」

 

 いつの間にか、俺の周囲に集まった女子たちも

大いに騒ぎ立てている。

 

「・・・・・・皆、ギャーギャー騒いで大げさ」

 

 カガリが不機嫌そうに呟く。

 その隣では、縄樹がニヤニヤと笑っていた。

 

「なんだよ、旦那を独り占めできなくなるのが嫌

 なの? お義姉さ――ぶおっ~~!?」

 

 煽った瞬間、閃光のような正拳突きが縄樹の顔

面に直撃した。

 

「愛の鉄拳よ、義弟くん」

 

 余計なことを言った縄樹は、最近ますます綱手

姫に似てきた未来の義姉から、容赦のない制裁を

受けていたが、巻き添えはごめんなので、俺は見

て見ぬふり。

 

 それでは本日の目玉――才牙の実戦披露へと意

識を切り替える。

 

「それじゃ、始めます」

 

 周囲の喧騒が、徐々に静まっていく。

 やがて、その場にいる全員の視線が俺へと集中

した。

 俺は両手をゆっくりと離す。

 すると、その掌の間に蒼いチャクラの球体が生

まれた。

 

「大蛇丸さん。才牙の力。とくとご覧あれ」

 

 蒼い球体が、急激に輝きを増していく。 

 

「ふふふっ……」

 

 大蛇丸さんが興味深そうに目を細める。

 俺は球体を見つめ、静かに告げた。

 

「万水を統べよ――『水波能売命』」

 

 次の瞬間。

 蒼い光が弾け、一瞬にして巨大な蒼い盾が姿を

現した。

 

「おい、本当に何もないところから忍具が!」

「ああ。正直、半信半疑だった」

「すげえ……これが才牙か」

「バカ、まだ戦闘もしてねえだろ」

「そうだ。風の噂によると、型にとらわれない戦

 いをすると聞くが・・・・・・」

「お手並み拝見だな」

 

 才牙の姿を目の当たりにした観戦者たちは、こ

れまで以上の熱狂に包まれていた。

 

「では、いきます。大蛇丸さん」

「ふふふっ。時間が惜しいわ。遠慮せず、かかっ

 てきなさい」

 

 俺は才牙を構える。

 その瞬間、場の空気が一変した。

 

「――閻水、鎮魂封鎖!!」

 

 言葉と同時に、『水波能売命』が眩い光を放つ。

 

 蒼い波紋が周囲へと広がっていく。

 それは、静かな湖面を思わせる神秘的な光だっ

た。

 

 ――次の瞬間。

 

 波紋の中から、無数の蒼い鎖が出現した。

 

 蒼い鎖はまるで生き物のように宙を駆け、次々

と大蛇丸さんへ襲いかかる。

 

「なっ!?」

 

 流石の大蛇丸さんも、驚愕の表情を浮かべた。

 

「これは・・・・・・うずまき一族の血継限界!?」

 

 冷や汗を浮かべながら、大蛇丸さんは無数の鎖

を紙一重で躱していく。

 

 その隙に印を結ぶ。

 

「風遁――圧害!」

 

 瞬間、口から放った風遁が圧縮され、目に見え

るぼどの風の壁が生み出し、俺へと襲いかかった

 

「水遁――水龍陣壁!」

 

 俺は才牙を前方へ掲げる。

 

 すると、盾から無数の水龍が飛び出した。

 

 水龍たちは互いに絡み合いながら巨大な壁とな

り、大蛇丸さんの風遁を包み込む。

 

 ――ドォォォン!!

 

 風と水が激しくぶつかり合い、轟音を響かせた

 

 鎖を躱しながらその光景を見ていた大蛇丸さん

は、思わず目を見開く。

 

「・・・・・・脱帽ね。私の術を、あんな風に抑え込ん

 でしまうなんて」

「油断している暇はありませんよ」

 

 俺は鎖を操りながら、不敵に笑う。

 

「――お返しします」

 

「あら?」

 

 俺の言葉に、大蛇丸さんは口角を上げた。

 

「ふふっ・・・・・・そういうこと」

 

 大蛇丸さんは素早く印を結ぶ。

 

「颶風水渦の術!!」

 

 次の瞬間、大蛇丸さんの風遁と、俺が放った水

遁が渦を巻きながら融合する。

 

 

 

 巨大な水の渦が猛烈な勢いで膨れ上がり、凄ま

じい轟音とともに俺へと迫ってきた。

 

――ズドンッ!!

 

 大地を揺るがすほどの衝撃が校庭を駆け抜け、

土煙が一気に舞い上がる。

 

「・・・・・・大蛇丸さん、人外者だからな。この程度

 屁でもないよな?」

「誰が人外者ですって〜!!」

 

 大蛇丸さんは腕を組み、額に青筋を浮かべてい

た。

 

「いや、その、え~と」

「まあ、いいわ。少しだけ見えてきたわ。才牙の

 特徴が」

 

 大蛇丸さんは舌をちらりと覗かせ、不気味な笑

みを浮かべた。

 

「・・・・・・あの攻防だけで分かるんですか?」

「ええ。まだ仮説の段階だけど、弱点は三つほど

 あるのでしょう?」

「・・・・・・・・・・・・正解です」

「まあ、長所がそのまま弱点になることは、珍し

 くないものね」

 

 その言葉に、周囲で見守っていた観戦者たちが

ざわめき始める。

 

「才牙の弱点とは何じゃ、大蛇丸?」

 

 三代目が大蛇丸に問いかける。

 

「あら、三代目はお分かりにならなかったんです

 の?」

「持続時間が短い以外にもあるのか!?」

「それも弱点の一つよ。けれど、残りの二つも、

 才牙の性能が強力すぎるが故のものですよ」

 

 大蛇丸は、クスッと笑みを浮かべ、指を一本立

てる。

 

「まず一つ目。三代目の言う通り、具現化できる

 時間が短いこと」

 

 うん、その通り。以前、俺が説明したように

才牙は自分の魂と直結している。

 そのため、忍術や幻術とは比較にならないほど

の精神力を消耗するのが原因だ。

 

「二つ目は、五大性質変化のうち、一系統の力し

 か扱えないこと」

 

 そう言い、二本目の指を立てる。

 

 才牙は水遁なら水属性、火遁なら火属性という

ように、自らが持つ性質の力しか具現化できない

 

「そして三つ目。これがもっとも重要ね。才牙を

 使用している間は、他の忍術や幻術が使えなく

 なることよ」

 

 大蛇丸さんは指を三本にする。

 才牙は自分の魂と直結している。 

 だからこそ、発動中は莫大な精神力を才牙に集

中させなければならない。

 

 大蛇丸は俺へ視線を向ける。

 

「つまり、才牙と他の術を同時に扱うことはでき

 ない。才牙を使うか、それとも他の忍術や幻術

 を使うか。そのどちらかを選ぶ必要があるとい

 うことね」

「・・・・・・・・・なるほど」

 

 三代目が顎に手を当て、考え込む。

 

「才牙は強力な力を得られる反面、使用中は他の

 術を封じられるというわけか」

「ええ。これもまた、才牙の強大な力ゆえの制約

 でしょうね」

 

 大蛇丸はクスリと笑った。

 

「強力すぎる力には、それ相応の代償があるもの

 よ」

 

「その通・・・・・・あれ?」

 

 急に視界が揺れた。

 身体から、力が抜けていく。

 

「律樹?」

 

 大蛇丸さんの声が、遠く聞こえる。

 膝から崩れ落ちる。

 

「あら、限界みたいね」

 

 その声を最後に、俺の意識は闇へと沈んだ。

 

ーto be continuedー

 

 

 




次回 うちはヒカク
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