木の葉の摩利支天と呼ばれた忍    作:rOOd

6 / 6
子は親を選べない。

そして、人は血縁から逃れられない。

それを運命というのならば、選択は二つ。

従うか抗うか。

どちらもたどり着く先は同じでも後者を

選んだ者は己の意志で歩くことができる。

それこそ、何かに変わることができる。

そう人の特権だ。






№5 委員長

       【桜月 昼過ぎ】

 

    [木の葉隠れ里 アカデミー]

 

「さすが、あの綱手の弟だ。入学早々問題を起こ

 すとはな!」

 

 俺はカガリと決闘した後、教官室の床で正座し

て椅子に座るサトル先生から三時間ほど説教を受

けていた。

 サトル先生の隣には教頭が同席して呆れたよう

な顔で俺を見ていた。

 

「ったく、律樹もカガリも大した怪我がなかった

 が、一歩間違えれば殺し合いだったぞ!?」

 

 確かに・・・・・・やらかした俺が言うのもなんだが

今回のケンカは殺し合いに等しかったな。

 

 俺の渾身の一撃で身体がまともに動かないカガ

リはサトル先生に止められても戦おうとするから

先生が後頭部に手刀を当てて気絶させて保健室送

りだったし。

 俺の顔をジーッと見るサトル先生に、今回の決

闘の理由を問われたので俺はこう答えた。

 

「律樹、なんであんなことをした?」

「それはカガリの胸の内に溜まった鬱憤を晴らす

 ためです」

「鬱憤?」

「あのまま溜め込んだら、爆発すると思い、多少

 暴れさせてガス抜きしました」

 

 俺の答えを理解できないサトル先生がどういう

ことだと聞き返す。

 俺はカガリの心情を話し始めた。

 

「おそらく、カガリは父親のせいで一族と里との

 板挟みなんですよ」

「板挟み?」

 

 そう、今のカガリは父・カガミの善行によって

一族から厄介者扱いされている可能性がある。 

 

 うちはカガミは一族のしがらみを越えて千手扉

間の側近として里のため尽くした。

 けど、その行為はうちはの者からすれば一族へ

の裏切り・・・・・・許しがたいことだ。

 親の罪を子に背負わせる習わしは世界共通。

 だから、カガリは千手の末裔である俺を憎しみ

の目で睨みつけた。

 

「・・・・・・と俺は思ってます」

「つまり、カガリの憂さ晴らしのためにケンカし

 たと?」

「そうです」

 

 俺の考察で、サトル先生と教頭先生はため息を

はいた。

 

「律樹の言う通りかもしれないが・・・・・・。うーん

 教頭先生、カガリはアカデミーでやっていける

 でしょうか?」

「正直難しいな。大人たちのせいで常に疑心暗鬼

 なら同年代とうまくやっていけるか・・・・・・」

 

 ベテランの教官たちはうーんと考え込んだ。

 そこで俺は一つの提案をした。

 

「あの、サトル先生。俺に妙案があります」

「律樹、また良からぬことを考えていないか?」

「違いますよ。俺とカガリを委員長に指名して下

 さい」

「? 委員長?」

 

 俺の案とは、委員長の立場を利用して学校での

交流を強制的に増やすことだ。

 

「カガリは同年代との付き合い方が分からないん

 です。

 なら、委員長としてみんなの前に立たせれば嫌

 でも人と関わることになります」

「なるほどな・・・・・・」

 

 教頭先生は腕を組みながら頷いた。

 そこにサトル先生が疑問をぶつけた。

 

「だが、それなら律樹だけで十分ではないか?」

「それじゃ意味がありません」

 

 俺は首を横に振る。

 

「今のカガリは、周囲の人間を信用していません

 だから、多少因縁のある俺や縄樹が近付いても

 限界があります」

「それで二人とも委員長か」

「はい。俺が表、カガリが裏方です」

「裏方?」

「プリント配り、出欠確認、教材運び、掃除当番

 の管理。委員長の仕事を半分に分ければ嫌でも

 クラスメイトと話す機会が増えます」

 

 サトル先生と教頭先生は顔を見合わせた。

 

「それにーー」

 

 俺は少し笑った。

 

「アイツ、根は真面目ですよ」

「「・・・・・・・・・・・・」」

「今日だって、父親を侮辱する俺に本気で怒って

 いた。どうでもいい相手なら、あそこまで感情

 を出しません」

 

 サトル先生は俺の顔を見つめた。

 

「律樹」

「だから大丈夫です。時間は掛かるでしょうけど

 きっと馴染めます」

 

 しばらく沈黙が続いた。

 やがて教頭先生がため息を吐く。

 

「問題児が問題児の面倒を見るという訳か」

「失礼ですね」

「否定できるか?」

「できません」

 

 即答すると二人は呆れたように額を押さえた。

 

「はぁ・・・・・・ほんと綱手の弟らしいな」

「褒め言葉として受け取っておきます」

「褒めておらん」

 

 教頭先生はそう言うと席を立った。

 

「サトル先生」

「はい」

 

 教頭先生は今後の方針について語った。

 

「律樹の案を採用しましょう」

「教頭先生・・・・・・」 

「まずは、うちはカガリ本人の意思も確認したう

 えで、試験的に二人を委員長に任命します」

 

 教頭先生の言葉に、サトル先生は頷く。

 

「この件については、私から三代目にも話を通し

 ておきます」

「分かりました」

 

 おっ、予想以上に話が進んだな・・・・・・。

 そう思っていたら、サトル先生がジト目で俺を

見る。

 

「ただし律樹」

「はい?」

「次に問題を起こしたら委員長どころでは済まん

 ぞ」

「善処します」

「善処ではない。起こすな」

「はい・・・・・・」

 

 教官室に重いため息が響いた。

 

 ――次の瞬間。

 

 バンッ!!

 

 教官室の扉が勢いよく開き、一人の教官が飛び

込んできた。

 

「大変です!!」

「どうした?」

 

 教頭先生が眉をひそめる。

 

「うちはカガリが・・・・・・」

「カガリがどうした?」

「保健室からいなくなりました!」

「「なにっ!?」」

 

 サトル先生と教頭先生が同時に声を上げた。

 あー・・・・・・。

 やっぱりか。

 俺はなんとなく予想していたので、そこまで驚

かなかった。

 

「いつだ!?」

「つい先ほどです! 目を覚ましたと思ったら窓

 から飛び出し・・・・・・」

「なんで見張りを付けなかった!」

「付けていました! ですが、少し目を離した隙

 に・・・・・・」

 

 その教官は申し訳なさそうに頭を下げた。

 教頭先生は額を押さえる。

 

「ハァ・・・・・・。今日だけで何回問題を起こすんだ

 あの子は・・・・・・」

「まあまあ、教頭先生」

「笑い事ではないぞ、律樹」

「いや、たぶん大丈夫ですよ」

「なに?」

 

 俺は立ち上がった。

 

「アイツが行きそうな場所に心当たりがあります」

「本当か?」

「たぶんですけどね」

 

 あの手のタイプは人目を嫌う。

 それに今のカガリは感情がぐちゃぐちゃだ。

 だったら行く場所は限られる。

 

「どこだ?」

「慰霊碑です」

「慰霊碑?」

「はい」

 

 俺は頷いた。

 

「アイツ、自分でも気付いてないでしょうけど

 ・・・・・・父親のことが好きなんですよ」

 

 教官室が静まり返る。

 

「憎んでいるなら無関心になればいい。

 でも、アイツは違う」

 

 今日の決闘を思い出す。

 あの怒り。

 あの必死さ。

 あれは本当にどうでもいい相手に向ける感情じ

ゃない。

 

「だから、自分の気持ちを整理したくなったら父

 親を考える場所へ行くと思います」

 

 サトル先生はしばらく考え込んだ後、立ち上が

った。

 

「では我々も迎えに行きますか」

「うむ」

「はい」

 

 サトル先生は教頭先生と教官にそう言うと俺を

見る。

 

「律樹、お前も来い」

「えっ?」

「原因のお前が一番適任だ」

「それはひどくないですか?」

 

 サトル先生と教頭先生は冷ややかな視線を向け

 

「「ひどくない」」

 

 と即答。

 

 ゔ〜〜、反論できない。

 仕方ない、俺も行くか。

 それに確認したいことがあるし。

 こうして、カガリ捜索隊は現場に急行した。

 

 

ーto be continuedー

 

 




次回 慰霊碑
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

NARUTO 〜渦巻く団扇の物語〜(作者:セイヴァー)(原作:NARUTO)

 神様のミスにより亡くなった主人公。▼ お詫びとして転生した世界は、他作品のキャラも登場するNARUTOの並行世界▼ 転生先の世界で新たに ゛うずまきヒスイ゛ として生きる為に今日も奮闘する。▼どうも、おはこんばんにちわ、初めましてセイヴァーです。▼この度、読み専から一転して作品を投稿することにしました。▼誤字脱字や設定の矛盾点等かあるかもしれませんが生暖か…


総合評価:79/評価:-.--/連載:7話/更新日時:2026年04月01日(水) 23:28 小説情報

Re:術式が百式観音ってマ?(作者:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ)(原作:呪術廻戦)

過去作のリメイクです。▼書くだけ書いてみて、投稿するか非常に迷った末に供養。▼人気が出るか気が向いたら続きを書くかも


総合評価:280/評価:7.67/連載:4話/更新日時:2026年05月08日(金) 08:36 小説情報

ダンまち世界に闇の福音に転生して人類を導くのは間違っているだろうか(作者:魔法少女(偽))(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかだ)

令和を生きたアニメやマンガが好きで多少の武道の心得がある社会人がトラ転して前世の武術やアニメの技術を教えたりして色々やらかしたり助けたりして超有名人になっていく


総合評価:136/評価:-.--/連載:3話/更新日時:2026年06月05日(金) 12:44 小説情報

1万の竜に滅ぼされる世界に転生した。(作者:絶望の未来)(原作:FAIRY TAIL)

▼フェアリーテイルをエクリプス編の途中まで見ていた少年がフェアリーテイルの世界に落とされる話。


総合評価:641/評価:7.69/連載:5話/更新日時:2026年03月29日(日) 14:42 小説情報

アンタッチャブル(作者:アポロ魔王)(原作:ONE PIECE)

ロブ・ルッチ成り代わりモノ。▼


総合評価:1539/評価:7.18/連載:7話/更新日時:2026年04月12日(日) 12:49 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>