木の葉の摩利支天と呼ばれた忍    作:rOOd

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望みを叶えるため、人外の力を・・・・・・王の力を
得る。

だが、得た者に必要なことは孤独を受け入れる
覚悟。

王の力は人とは違う理で生きることを強いる。

異なる摂理。
異なる時間。
異なる命。

力に酔い、破滅に進むか。
力にて望みを掴み取るか。

それこそ、人が変わる意味だ。



№6 写輪眼

       【桜月 夕方】

 

     [木の葉隠れ里 慰霊碑]

 

 「あれ?」

 

 俺たちはカガリが父親の眠る慰霊碑に向かった

と考えて駆けつけたが、そこにカガリの姿はなか

った。

 

「おい、律樹」

「いや、その、え~と」

 

 言い出しっぺの俺は頭を掻きながら苦笑する。

 教頭先生が小さくため息を吐く。

 

「まぁ、律樹の勘を頼りに慰霊碑に来てみたが・・・

 ・・・」

 

 そう言いながら歩き出した教頭先生は、慰霊碑

の前に立ち止まった。

 

「カガリがここに来たのは間違いない」

 

 教頭先生は膝をつき、周囲とは色の違う地面を

指で触れた。

 指の先についた粉をこすり合わせ、匂いを確か

めた。

 

「やはり線香か。それに、この花もまだ新しい」

 

 言われてみれば、かすかに線香の匂いが残って

いる。

 お供えの花も、それほど時間が経っているよう

には見えなかった。

 

「じゃあ、カガリはこの近くに?」

「ああ、おそらく、ここからそう遠くに行ってな

 いと思う」

 

 教頭先生は確認するように頷き、立ち上がった

 

「手分けしてカガリを探しましょう」

 

 サトル先生たちは教頭先生の言葉に頷く。

 すると教頭先生は、俺の方をチラッと見た。

 

「律樹はサトル先生と一緒に探しなさい」

「え?どうして?」

 

 聞き返す俺に、教頭先生たちは冷ややかな視線

を向けた。

 

「カガリ失踪の原因はお前だろ」

「うっ!」

「律樹、私たちがお前を完全に信用していると思

 っていたのか?」

「ぐっ!?」

 

 は、反論できん。

 確かに疑われても仕方ないか。

 

 ・・・・・・まぁ サトル先生と一緒でもいいか。

 それに、ちょうど先生に相談したいことがあっ

たし。

 

 俺はサトル先生とともにカガリを探し始めた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〜カガリサイド〜

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

 学校を抜け出した私は、独りになりたくて誰に

も見つからない森の奥まで歩いていた。

 

 けれど突然、気分が悪くなった。

 その場に膝をつく。

 そして右目に激痛が走った。

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・グッ!?」

 

 気づけば、流れ落ちる血が頬を伝っていた。

 

「え・・・・・・あっ?」

 

 物心ついた頃から、感情が高ぶると右目が痛く

なることはあった。

 だが、今日の痛みは今までとは比べものになら

ない。

 

「一体なんなの・・・・・・この感覚は?」

 

 私はふらつきながら歩き続け、小さな湧き水の

池を見つけた。

 池のほとりにたどり着いた私は、水面に映る自

分の顔を見て息を呑んだ。

 

「これって・・・・・・まさか」

 

 写輪眼?

 勾玉は一つしかない。

 だが間違いない。

 これは写輪眼だ。

 でも――どうして右目だけ?

 

「グッ!? 目が!?」

 

 視界がぼやける。

 頭が割れるように痛い。

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

 呼吸が荒くなる。

 右目から流れ落ちた涙が、水面に波紋を広げた

 それでも私は目を閉じなかった。

 

「ぐああああぁっ!!」

 

 閉じてしまえば、何か大切なものを見失ってし

まう気がしたからだ。

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・父さん・・・・・・」

 

 写輪眼に映し出されるように、脳裏へ父の姿が

浮かぶ。

 

『強くなれ、カガリ』

『誰よりも優しい忍になれ』

 

 幼い頃に聞いた声。

 もう二度と聞くことのできない声。

 

「父さん・・・・・・」

 

 父さんは里のために死んだ。

 母さんも、私が生まれる前に・・・・・・。

 そうだ。

 私はずっと独りだった。

 

 慰霊碑の前で流した涙は止まっていた。

 けれど胸の奥の痛みだけは消えない。

 

「なんで・・・・・・?」

 

 爪が食い込むほど拳を握り締める。

 

「なんで私から大切な人を奪うの・・・・・・!」

 

 拳から滴る血が地面を濡らした。

 

「もう誰も失いたくない・・・・・・!」

 

 父さんも。

 母さんも。

 仲間たちも。

 もう二度と――。

 

「失いたくないっ!!」

 

 力が欲しい。

 誰も失わずに済む力が――。

 そう強く願った瞬間だった。

 

「グッ!? アアアアァァァッ!!」

 

 瞳の中で勾玉が回転する。

 一つ。

 二つ。

 三つ。

 写輪眼は完全な三つ巴へと進化した。

 しかし変化は止まらない。

 

「な、に・・・・・・!?」

 

 激痛と共に瞳の模様がさらに歪み始める。

 

「ぐっ!?」

 

 まるで血のような赤い光が揺らめき、三つ巴が

溶けるように変形していく。

 

「いやああああぁぁぁっ!!」

 

 やがて紋様は収束し――。

 手裏剣を思わせる妖しく美しい形へと変貌した

 

「こ、これって・・・・・・」

 

 万華鏡写輪眼――。

 その名を私は知らない。  

 だが、本能が理解していた。

 今この瞬間、自分の中で何かが決定的に変わっ

たのだと。

 

「あはっ!ははははっ!?」

 

 胸の奥から湧き上がる力。

 これまでとは比較にならないほど鮮明に感じ取

れる世界。

 

「手に入れた・・・・・・力を」

 

 そして、その変化を見届ける者がいた。

 大木に身を同化させた何者かが、遠くからカガ

リの様子を見つめていた。

 

「(あの年齢で万華鏡写輪眼を開眼するとは・・・)」

 

 

ーto be continuedー




次回 神の力
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