木の葉の摩利支天と呼ばれた忍    作:rOOd

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№8  火の意志

       【桜月 夜中】

 

    [木の葉隠れの里 とある森]

 

「ああああああああぁぁぁっ!!?」

 

 カガリの暴走を止められない。

 

「・・・・・・カガリ」

 

 噂に聞くスサノオの脅威に、私は息を呑んだ。

 

「不完全でこれか」

 

 遠目で見た限り、カガリのスサノオはまだ不完

全なはずだ。

 それでも、私が土遁で築いた壁など容易く破壊

されてしまう。

 

「先ほどのクナイ・・・・・・恐ろしい」

 

 チャクラのクナイは律樹の水遁でかろうじて逸

らしたが、その威力は凄まじい。

 掠めただけで大木を灰にし、直撃すれば建物す

ら、一瞬で消し飛ばしかねない。 

 

 不完全なスサノオでこれほどの力。

 

 もし完全体となれば、一体どれほどの脅威とな

るのか――想像するだけで背筋が冷えた。

 

「・・・・・・どうすればいい」

 

 私は自分の無力さに歯噛みした。

 

「もはや、私の力ではどうにもならん」

 

 あの異常な瞳術に対抗できる可能性があるのは

写輪眼を持つうちはの忍くらいだ。

 ならば、すぐに救援を――。

 

 いや、駄目だ。間に合わん!?

 

 その前に、錯乱するカガリの精神が完全に崩壊

してしまう。

 そう諦めかけた時だった。

 

「サトル先生!?」

「教頭先生!?」

 

 別の場所でカガリを探していた教頭先生たちが

こちらに合流した。

 

「サトル先生、あれはまさか」

 

 教頭先生はあの禍々しいチャクラの中心にいる

カガリを見て言葉を失う。

 私は簡潔に状況を説明した。

 

「はい。カガリは万華鏡写輪眼を開眼し、うちは

 の禁断の術『スサノオ』を発動しました」

「な!?スサノオ!!」

 

 私が頷くと、教頭先生たちの表情は絶望に染ま

った。

 

「サトル先生、カガリは」

「錯乱状態です。私たちの声も届きません」

 

 その場に重苦しい沈黙が流れる。

 私は悩み抜いた末、苦渋の決断を下した。  

 

「このままでは里の住民まで危害が及ぶ・・・・・・」

「「・・・・・・・・・・・・」」

「もう時間がない」

 

 カガリが暴走を止める術が思いつかない。

 このまま放置すれば、被害はさらに拡大するだ

ろう。

 かくなる上はーー。

 カガリが里へ侵攻する前に。

 

「カガリを始末する!」

 

 私が絞り出すように告げたその瞬間。

 誰かが私の袖を掴んだ。

 振り向くと、そこには傷だらけの律樹が立って

いた。

 

「先生、その決断はまだ早いよ」

「律樹!カガリはもう、自我を失いかけている。

 私たちではどうすることもできん!」

 

 私の声には焦りが滲んでいた。

 このままではカガリも、そして里も守れない。

 そんな絶望的な状況の中で、満身創痍の律樹だ

けは、静かに 前を見据えていた。

 

「俺に任せてよ、サトル先生」

 

 律樹は満面の笑みを浮かべながらそう言った。

 

「ま、任せろ!?この状況をか!?」

「そう。俺の力でカガリを救い出す」

 

 その言葉に、私は激昂した。

 

「ふざけるな、上忍の私でさえ歯が立たないのだ

 ぞ!?」

「だから俺が行くんだ」

 

 私がきつく怒鳴りつけても、律樹は笑みを崩さ

なかった。

 そして――。

 

「・・・・・・俺は千手律樹」

「ッ!?」

「初代火影・千手柱間の孫だ」

 

 なぜだろう。

  絶望しかなかったはずなのに、律樹ならこの状

況を覆してしまうのではないかと思えた。

 

 律樹の瞳には、絶望すら覆してみせるという確

かな意志が宿っている。

 

「・・・・・・火の意志」

 

 私は確信した。

 律樹には、私が幼い頃に憧れた初代火影様と同

じ火の意志がある。

 

 どれほど困難な状況でも諦めず、人を守るため

に立ち向かう強い心。

 

 それこそが火の意志だ。

 

「俺は伝説の木遁は使えない」

 

 律樹はゆっくりとカガリを見据えた。

 そして、一歩。

 絶望の中へ、迷うことなく踏み出す。

 

「だけど――過去に苦しむカガリを救い出す力な

 ら持っている」

 

 そう言うと、律樹は胸の前で静かに両手を合わ

せた。

 その掌の間に、淡いチャクラの光が生まれる。

 

「サトル先生。これは俺と縄樹だけの秘密だ」

 

 律樹の声は静かだった。

 だが、その瞳には揺るぎない決意が宿っている

 

「・・・・・・あ、あれは」

 

 律樹の身体から水色のチャクラが溢れ出した。

 それは私が知る水遁のチャクラはまるで違った

 

 生き物のように蠢きながら律樹の周囲を巡り

まるで意思を持つかのように脈動していた。

 

「な、何だ・・・・・・・・・このチャクラは・・・・・・!?」

 

 教頭先生が息を呑む。

 私も言葉を失った。

 

 律樹の掌の間に集まったチャクラは、激しく渦

を巻きながら回転する。

 チャクラが圧縮され、収束し、その密度を際限

なく高めていく。

 その激しい動きは空気が震え、地面の砂が浮き

上がった。

 やがて凝縮されたチャクラは、一つの蒼き球体

へと変貌する。

 その輝きは、まるで小さな蒼い星のようだった

 そして――。

 

「これが俺たちの力――『才牙』だ!」

 

 律樹の掌から放たれた蒼き光が夜の森を照らし

たーー次の瞬間。

 

「万水を統べよーー『水波能売命』」

 

 無数の水流が絡み合い、一枚の巨大な盾へと変

貌した。 

 

 盾の形はまるで、水龍の鱗そのものだった。

 

 荒れ狂うスサノオの前に立ちはだかる絶対防御

だった。

 

 ーto be continuedー

 

 

 




次回 激突
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